事例分析(事例検討)では、ケースカンファレンスで実施されるような固有事例だけでなく、手段的事例を扱うこともあります。違いを把握しておきましょう。
事例分析とは
事例分析とは、事例を振返り分析することですが、その目的は以下のようなものです。
・クライエントの豊かな生活、継続的な支援を実現する
・課題の実現を妨げている要因を明らかにする
・職員の教育・研修の機会とする
・関係機関・専門職種との連携・協力・協働関係を構築する
・福祉課題を発見し、地域のネットワークの構築と社会資源の創造に結びつける
この事例分析によって、その事例の担当者がひとりで問題を抱え込まず、さまざまな職種が課題を共有でき、支援の方法が広がります。

事例検討では「うまくいかなかったケースを大切にする」という姿勢が大事だね。
事例分析で用いられる事例には、固有事例と手段的事例の2種類あります。
固有事例
固有事例は、ケースカンファレンスなどで検討される興味深い事例などで、事例そのものに焦点を当てて検討されるものです。
手段的事例
手段的事例は、関心のある社会問題などに対して、事例を通して分析を行うための事例です。例えば貧困や虐待などのテーマを決め、そのテーマに対して参考となる事例を選び分析するため、事例自体に興味があるわけではなく、テーマを深堀りするための材料として事例が用いられます。
過去問
第36回 問題113
事例分析の対象を手段的事例と固有事例に分けたとき、手段的事例の例として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ソーシャルワーカーが担当しているクライエントの支援において、今後の方向性を考えるために、クライエントと共に事例分析をした。
2 新人のソーシャルワーカーが担当しているクライエントの支援過程について、指導的立場のソーシャルワーカーと一緒に、事例分析をした。
3 ソーシャルワーカーが担当している事例で、支援結果が良好なものがあったので、その要因を明らかにするため、事例分析をした。
4 ソーシャルワーカーが担当している事例で、複雑な問題を抱え支援が困難なクライエントがおり、事例分析をした。
5 ソーシャルワーカーが担当している地区で、高齢者から振り込め詐欺に関する相談が頻繁にあるため、研修を目的とした事例分析をした。
選択肢5が手段的事例となり正解です。その他の選択肢は固有事例です。
第37回 問題118
事例を読んで、事例分析の視点から見て、クライエントのAさんに関する事例検討会における参加者からの発言のうち、適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
地域の居宅介護支援事業所がケアマネジャーを対象とした定例の事例検討会を開催した。事例提供者のB居宅介護支援事業所のCケアマネジャーから、一人暮らしのAさん(85歳)の事例が報告された。CケアマネジャーはAさん宅を訪問した際、近隣住民から「Aさんは約2か月前からゴミ収集のない日にごみ出しをしている」「自分の部屋がわからなくなりマンションの管理人が何度も付き添って帰宅している」という話を聞いていることを参加者に報告し、今後の支援について参加者に意見を求めた。
1 「Aさんについて近隣住民が困っていることをヒアリングしてはどうでしょうか」
2 「Cケアマネジャーは、Aさんの強みや状態をどのように捉えていますか」
3 「まずは、マンションの管理人にAさんの今後についての考えを聞いてみてはいかがでしょうか」
4 「一人暮らしの継続は難しいので、グループホームの利用を促してはどうでしょうか」
5 「Aさん自身は、今の状況についてどのようにお考えなのでしょうか」
選択肢2と5が正解です。Aさん自身とその担当者であるCケアマネジャーの意見を聞くことが優先です。
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次は、ブラッドショーのニード論です。


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