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福祉政策におけるニーズの捉え方

福祉政策は、福祉ニーズをどのように充足するか、そのためにどのように「資源」を分配するかを考えていくものです。

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貨幣的ニード&非貨幣的ニード

福祉ニーズは時代によって変化しますが、大昔の福祉ニーズは「貧困」でした。

貧困であれば「お金」を支給すればニーズは充足されるでしょう。

しかし、現代の福祉ニーズはそんな簡単な話ではありません。

そのために福祉サービスがあるのです。

このように、金銭で満たされるニーズを「貨幣的ニード」、金銭では満たされないニードを「非貨幣的ニード」と呼び、三浦文夫が提唱しています。

潜在的ニーズ&顕在的ニーズ

ニーズには、表面に現れる顕在的ニーズもあれば、内側に潜んでいる潜在的ニーズもあります。

カリスマくん
カリスマくん

ブラッドショーの4ニードは、エクスプレストニードのような表明されて顕在化されているニードだけではないよね。

視点 ニード
(日本語表記)
ニード
(英語表記)
内容
本人 自覚ニード、感得されたニード フェルトニード 本人が自覚しているニード
表明ニード エクスプレストニード 本人が表明したニード
他者 比較ニード コンパラティブニード 同じような状況でサービスを利用している人に対して利用していない人のニード
規範的ニード ノーマティブニード 行政や専門家が判断するニード

潜在需要&有効需要

有効需要とは、貨幣的支出の裏づけのある需要のことです。

対して、潜在需要とは貨幣的支出とならないでいる需要のことです。

普遍主義&選別主義

福祉サービスを分配するときには、普遍主義選別主義の2種類の考え方があります。

普遍主義は、年金や医療保険のような「社会保険制度」に代表されるように、ニーズがある場合に普遍的にサービスを提供します。

一方で、選別主義は、「社会福祉制度」や「生活保護制度」のように、ニーズがある対象者を選別してサービスを提供します。

カリスマくん
カリスマくん

選別主義では例えば所得を調査して条件にあった場合に資源を配分するので、必要なところへ手厚く分配できるというメリットがあるけど、スティグマを抱えるといったデメリットもあるね。

必要原則&貢献原則

必要原則ニーズ原則)とは、社会福祉制度や生活保護制度のように必要としているところに資源を分配します。

一方で貢献原則とは、社会保険制度のように貢献度合いによって分配します。

カリスマくん
カリスマくん

例えば社会保険制度の1つである年金制度では、たくさん年金保険料を払った人にたくさん資源が配分されるね。これが貢献原則だよ。

応益負担&応能負担

応益負担では、社会保険制度に代表されるように、受けた利益に対して対価を支払います。

一方で、応能負担では、社会福祉制度に代表されるように、支払い能力に応じて対価を支払います。

普遍主義&選別主義
貢献原則&必要原則

過去問

第27回 問題26 

福祉サービスのニーズを充足するための資源に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
1 福祉サービスのニーズを充足するもののうち、資源と言えるのは、その価値が金銭に換算される場合である。
2 福祉サービスは、それにアクセスできなければ、ニーズを充足しない。
3 インフォーマルな活動であっても、福祉サービスのニーズを充足するものは資源である。
4 普遍主義的な資源の配分においては、資力調査に基づいて福祉サービスの対象者を規定する。
5 福祉サービスのニーズを判定するには、専門職の裁量を排除しなければならない。

1 福祉サービスのニーズを充足するもののうち、資源と言えるのは、その価値が金銭に換算される場合である。
間違いです。福祉ニーズには「貨幣的ニード」だけでなく、「非貨幣的ニード」もあります。

2 福祉サービスは、それにアクセスできなければ、ニーズを充足しない。
正しいです。福祉サービスを実際に利用しなければニーズは充足されません。

3 インフォーマルな活動であっても、福祉サービスのニーズを充足するものは資源である。
正しいです。社会資源は法制度に基づくフォーマルなものと法制度に基づかないインフォーマルなものがあります。

4 普遍主義的な資源の配分においては、資力調査に基づいて福祉サービスの対象者を規定する。
間違いです。これは普遍主義ではなく選別主義です。

5 福祉サービスのニーズを判定するには、専門職の裁量を排除しなければならない。
間違いです。専門職の裁量は重要です。

第28回 問題25 

福祉サービス利用者のニーズに関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1 政府による資源配分では、ニーズ原則が貫かれている。
2 ニーズの質や水準にかかわりなく、サービスに定額の負担を課すことを、普遍主義という。
3 ニーズ充足の評価には、主観的評価も含まれる。
4 サービス情報が公開されていれば、ニーズが潜在化することはない。
5 その人の主観的な欲求が表現されたもの以外は、ニーズとはみなせない。

1 政府による資源配分では、ニーズ原則が貫かれている。
誤りです。ニーズ原則(必要原則)と貢献原則の2種類があります。

2 ニーズの質や水準にかかわりなく、サービスに定額の負担を課すことを、普遍主義という。
誤りです。ニーズの質や水準にかかわりなくということは、普遍主義でも選別主義でもありません。
これは応益負担の内容だと思います。

3 ニーズ充足の評価には、主観的評価も含まれる。
正しいです。

4 サービス情報が公開されていれば、ニーズが潜在化することはない。
誤りです。サービス情報が公開されていても知られていなければニーズは潜在化することが多々あります。

5 その人の主観的な欲求が表現されたもの以外は、ニーズとはみなせない。
誤りです。ブラッドショーの4つのニードによれば、フェルトニードやエクスプレストニード以外にもノーマティブニードやコンパラティブニードがありましたね。

第26回 問題24

ニーズ(必要)に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 欲求は、本人の発言で表現されなければ、ニーズ(必要)とはならない。
2 充足すべきニーズ(必要)の把握は、行政や専門職が行い、本人や家族がこれに関与することはない。
3 社会福祉実践は、ニーズ(必要)のうち、その人が自覚し具体的に支援を求めるものを対象にする。
4 ニーズ(必要)充足のために平等な資源の量を分配すべきであるという考え方を、貢献原則と呼ぶ。
5 同じ量の資源を用いても、ニーズ(必要)の充足のされ方は個人の健康状態や生活水準などに応じて異なる。

1 欲求は、本人の発言で表現されなければ、ニーズ(必要)とはならない。
間違いです。ブラッドショーの4つのニードの中には、エクスプレストニードだけではなく、フェルトニード、コンパラティブニード、ノーマティブニードがありました。

2 充足すべきニーズ(必要)の把握は、行政や専門職が行い、本人や家族がこれに関与することはない。
間違いです。本人や家族も関与します。

3 社会福祉実践は、ニーズ(必要)のうち、その人が自覚し具体的に支援を求めるものを対象にする。
間違いです。フェルトニード(自覚ニード)やエクスプレストニード(表明ニード)だけでなく、コンパラティブニードやノーマティブニードがあります。

4 ニーズ(必要)充足のために平等な資源の量を分配すべきであるという考え方を、貢献原則と呼ぶ。
間違いです。これは貢献原則ではなく、ニーズ原則(必要原則)の説明です。

5 同じ量の資源を用いても、ニーズ(必要)の充足のされ方は個人の健康状態や生活水準などに応じて異なる。
正しいです。例えば自転車を支給しても、その人の健康状態や生活水準でその有用性は大きく変わるので、ニーズの充足のされ方は個々で異なります。

第33回 問題26

福祉政策における資源供給の在り方に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 現金よりも現物で給付を行う方が、利用者の選択の自由を保障できる。
2 バウチャーよりも現金で給付を行う方が、利用者が本来の目的以外に使うことが生じにくい。
3 日本の介護保険法における保険給付では、家族介護者に対して現金給付が行われることはない。
4 負の所得税は、低所得者向けの現金給付を現物給付に置き換える構想である。
5 普遍主義的な資源の供給においては、資力調査に基づいて福祉サービスの対象者を規定する。

1 現金よりも現物で給付を行う方が、利用者の選択の自由を保障できる。
誤りです。現金の方が利用者の選択肢は広がります。

2 バウチャーよりも現金で給付を行う方が、利用者が本来の目的以外に使うことが生じにくい。
誤りです。バウチャーというのは金券やクーポン券のことで、現金は何に対しても使うことができますが、バウチャーの場合は利用を限定することができます。

3 日本の介護保険法における保険給付では、家族介護者に対して現金給付が行われることはない。
正しいです。ドイツの介護保険制度では介護手当として現金給付が行なわれます。

4 負の所得税は、低所得者向けの現金給付を現物給付に置き換える構想である。
誤りです。負の所得税とは、所得が一定に満たない人は課税されなかったり、不足している分の一部を現金給付することです。

5 普遍主義的な資源の供給においては、資力調査に基づいて福祉サービスの対象者を規定する。
誤りです。普遍主義では資力調査は行われません。資力調査が行われる生活保護は選別主義です。

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次からは心理的支援について学んでいきます。心理学は社会福祉士にとって大きな武器の1つです。

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