「地域福祉」岡村重夫の覚え方は、地域住民の主体性

地域福祉 日本の医療福祉
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日本のコミュニティ施策の変遷

1969年 国民生活審議会調査部会コミュニティ問題小委員会「コミュニティ問題における人間性の回復」

高度経済成長による都市化やモータリゼーションによって従来の地域共同体が崩壊していく中で、新しいコミュニティの創造を訴えました。
地域共同体とは一線を画す「コミュニティ」は地域住民によって自発的に形成される自治的な地域社会です。

1971年 自治省「コミュニティ(近隣社会)に関する対策要綱」

モデルコミュニティ事業を立ち上げ、全国にいくつかのモデルコミュニティができました。

モデルコミュニティではコミュニティセンターなどの集会施設を中心に、それらの管理運営や分化・レクリエーション活動などの住民活動が行われました。

1983年 自治省「コミュニティ推進地区設置要綱」

都市化の進展によってコミュニティ施策推進の必要性が極めて高い地区を設定し、コミュニティ活動の活発化を図ろうとしました。

1990年 自治省「コミュニティ活動活性化地区設定施策」

コミュニティ活動が行われている地域で、さらなる活性化が必要な地区を設定し、指導や助言を行いました。

このように国は1971年、1983年、1990年と3段階に分けてコミュニティ施策を推進してきました。

1995年に発生した阪神淡路大震災は、地域コミュニティの重要性が改めて認識されるキッカケとなり、ボランティアの重要性も再認識されました。

1998年には「NPO法」が制定され、非営利活動を行う団体に法人格を付与し、国民の行う自由な社会貢献活動の発展を目指しました。

日本の地域福祉(前史)

江戸時代に地域で支え合ってきた仕組みを見てみましょう。

頼母子講(タノモシコウ)

何名か集まってそれぞれがお金を出し合って一人に与える、つぎには別の一人に与える。

このような共に支え合う共済的、金融的機能のある経済的救済を目的とした組織のことです。

1791年 七分積金制度 

江戸や大阪中心の都市の救済のため、松平定信が寛政改革の際に江戸町方に命じた積立制度です。

町費の7割を積立て、凶荒時の救済や孤児や貧民の救済を行いました。

五保の制

近隣の五戸を一組として、納税や治安維持に協力しあうなど、共助の機能を持った農耕と貢納のための組織です。

戸令

疾病、障害、高齢者、経済的困窮者など救済の対象を細かく分け、まずは親族間による相互扶助で、それでも難しい場合は近隣地域社会が救済することが求められた制度です。

田植えなどの農作業で、一時的に大勢の人手が必要な時に協力し合い、別の日には別の人を皆で助けるという仕組みです。

地域福祉5人衆

三浦文夫 

公的責任における生活保護などの貨幣的ニードから対人サービスなどの非貨幣的ニードの充足の必要性を提起しました。

三浦文夫のキーワードは「貨幣的ニード」と「非貨幣的ニード」です。

これまでは低所得者に「貨幣的ニード」があるとされていましたが、家族機能の弱体化や地域社会の崩壊によってあらゆる人が「非貨幣的ニード」を抱くようになったとされています。

岡村重夫

地域住民の主体的参加のないままサービス提供がなされても、それは地域福祉ではないと考え、地域の問題は可能な限り地域で解決することを目指しました。

岡村重夫のキーワードは「地域住民の主体的参加」です。

1974年「地域福祉論」の中で、地域福祉の構成要件を「コミュニティケア」、「一般組織化活動と福祉組織化活動」、「予防的社会福祉」の3つに分類しました。

永田幹夫

地域福祉の構成要素として、「在宅福祉サービス」「環境改善サービス」「組織活動」の3つに分類し、地域福祉の具体的展開のために新たなサービス供給体制の創出を図ることを重視しました。

在宅福祉サービス(予防的サービス、専門的ケア、在宅ケア、福祉増進サービスを含む対人福祉サービス)を整備することで社会福祉サービスを必要とする個人や家族の自立を地域社会の場において図ることを重視しました。

真田是

地域における住民活動を地域の福祉力にしていくことを重視し、これは自然に発生するものではないため、住民の自治組織が社会福祉に注目することの必要性を提起しています。

読み方は「さなだなおし」です。

右田紀久惠

福祉ニーズを生活問題として捉え、その問題解決に向けた住民の主体的な参加を重視し、地方自治体と住民との協働の必要性についても提起しています。

キーワードは「住民の主体的参加」、これは岡村重夫と同じですが、もう一つ「自治型地域福祉」も覚えておきましょう。

地域福祉関係キーワード

ソーシャルキャピタル

「社会関係資本」と訳されます。

これは人々のつながりや社会的ネットワークなど、人間が持つ資源としての側面を指します。

社会関係資本と聞くと、産業や生活の基盤となる公共施設をイメージするかもしれませんが、それは「社会資本」ですので全く違います。

ソーシャルインクルージョン

「社会的包摂」と訳されます。

インクルード(include)=「含む」の意味なので、社会に含まれるということです。

つまり人々を社会の一員として受入れ支え合うという理念です。

ソーシャルアクション

社会福祉制度の創設や制度運営の改善を目指し、世論に働きかける活動です。

過去問

第29回 問題32

地域福祉の学説に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 岡村重夫は、生活課題を貨幣的ニードと非貨幣的ニードに分類し、後者に対応する在宅福祉サービスを充実することを重視した。
2 永田幹夫は、地域社会で発生する生活課題の解決を図るために、地域住民の主体的で共働的な問題解決プロセスを重視した。
3 真田是は、住宅福祉サービスを整備することで、社会福祉サービスを必要とする個人や家族の自立を地域社会の場において図ることを重視した。
4 三浦文夫は、生活問題とその解決のための政策、そして地域社会の産業構造の変革も視野に入れた生活の共同的維持・再生産の地域的システムを重視した。
5 右田紀久惠は、地方自治体における福祉政策の充実や住民自治を基底に据えた自治型地域福祉を重視した。

1 岡村重夫は、生活課題を貨幣的ニードと非貨幣的ニードに分類し、後者に対応する在宅福祉サービスを充実することを重視した。
貨幣的ニードは三浦文夫のキーワードですので間違いです。

2 永田幹夫は、地域社会で発生する生活課題の解決を図るために、地域住民の主体的で共働的な問題解決プロセスを重視した。
「地域住民の主体的な・・・」といえば岡村重夫ですので間違いです。

3 真田是は、在宅福祉サービスを整備することで、社会福祉サービスを必要とする個人や家族の自立を地域社会の場において図ることを重視した。
「在宅福祉サービス」といえば永田幹夫ですので間違いです。

4 三浦文夫は、生活問題とその解決のための政策、そして地域社会の産業構造の変革も視野に入れた生活の共同的維持・再生産の地域的システムを重視した。
この内容は真田是の学説ですので間違いです。

5 右田紀久惠は、地方自治体における福祉政策の充実や住民自治を基底に据えた自治型地域福祉を重視した。
「自治型地域福祉」と言えば右田紀久惠ですので正解です。

第30回 問題93

日本の社会福祉の発展に寄与した人物に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 石井十次は、医療ソーシャルワーカーとして実践に携わった。
2 浅賀ふさは、北海道家庭学校を創設し、感化教育を実践した。
3 岡村重夫は、社会関係の主体的側面に焦点を当てた社会福祉固有の視点と領域を提起した。
4 留岡幸助は、ケースワーク技術や援助プロセスにおける理論を発展させた。
5 竹内愛二は「無制限主義」を掲げ、孤児を救済する民間社会事業を展開した。

石井十次:「岡山孤児院」を創設し「無制限主義」を掲げ無制限に孤児を救済
浅賀ふさ:日本初の医療ソーシャルワーカー
留岡幸助:「北海道家庭学校」「東京巣鴨の家庭学校」を創設
竹内愛二:ケースワーク理論を発展
が、覚えておくべき内容です。
選択肢が全て入れ替えになっているのが分かります。
例えば選択肢1は石井十次ではなく選択肢2の浅賀ふさの内容です。
結局、正解は、残った選択肢3、岡村重夫です。
「主体的・・・」がキーワードの人です。

第29回 問題34

日本における地域福祉の前史に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 頼母子講(タノモシコウ)は、共済的・金融的機能を持ち、経済的救済を目的とした組織のことをいう。
2 7分積金制度は、生活に困窮する者の救済を目的とした儒教的徳治主義を象徴とする天皇の慈恵政策のことをいう。
3 五保の制は、生活に困窮する者がいた場合には、まずは親族間での相互扶助を重視した制度のことをいう。
4 結は、江戸幕府の下で町人の負担する町の経費を節約した額の中から積立てをして、貧民や孤児を救済した制度のことをいう。
5 戸令(コリョウ)は、五戸を一組として、共助の機能を持った農耕と貢納のための組織のことをいう。

1 頼母子講(タノモシコウ)は、共済的・金融的機能を持ち、経済的救済を目的とした組織のことをいう。
これが正解です。

2 七分積金制度は、生活に困窮する者の救済を目的とした儒教的徳治主義を象徴とする天皇の慈恵政策のことをいう。
七分積金制度は江戸の町費の7割を積み立てる制度ですので間違いです。

3 五保の制は、生活に困窮する者がいた場合には、まずは親族間での相互扶助を重視した制度のことをいう。
これは戸令の説明です。

4 結は、江戸幕府の下で町人の負担する町の経費を節約した額の中から積立てをして、貧民や孤児を救済した制度のことをいう。
これは七分積金制度の説明です。

5 戸令(コリョウ)は、五戸を一組として、共助の機能を持った農耕と貢納のための組織のことをいう。
これは五保の制の説明です。

このタイプの入れ替え問題があることも合わせて知っておいてください。
正解が導きやすくなります。

第31回 問題33

地域福祉に関する理念や概念に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
1 ソーシャルキャピタルとは、地域における公共的建築物や公共交通といった物的資本の整備状況を示すことをいう。
2 住民主体の原則とは、行政の指導の下で地域住民が主体となって行う地域活動の原則のことをいう。
3 ノーマライゼーションとは、障害のある人に、障害のない人と同じような暮らしが可能となる生活条件を作り出していく考え方のことをいう。
4 地域移行支援とは、住まい・医療・介護・予防・生活支援を一体的に提供することで、在宅の限界点を高めることをいう。
5 ソーシャルインクルージョンとは、全ての人々を孤独や孤立、排除や摩擦から援護し、社会の構成員として包み支え合う社会を目指すことをいう。

1 ソーシャルキャピタルとは、地域における公共的建築物や公共交通といった物的資本の整備状況を示すことをいう。
ソーシャルキャピタルは物的資本ではなく、人々の繋がりや社会的ネットワークなど、人間関係が持つ資源です。

2 住民主体の原則とは、行政の指導の下で地域住民が主体となって行う地域活動の原則のことをいう。
行政指導の下では住民主体ではありませんので間違いです。

3 ノーマライゼーションとは、障害のある人に、障害のない人と同じような暮らしが可能となる生活条件を作り出していく考え方のことをいう。
正しいです。

4 地域移行支援とは、住まい・医療・介護・予防・生活支援を一体的に提供することで、在宅の限界点を高めることをいう。
地域移行支援とは、施設などに入所している障害者に対して、地域生活へ移行するための支援を行うものです。

5 ソーシャルインクルージョンとは、全ての人々を孤独や孤立、排除や摩擦から援護し、社会の構成員として包み支え合う社会を目指すことをいう。
正しいです。

第30回 問題33

地域福祉への参加に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 住民主体の地域福祉活動は、専門機関の支援を求めないで進めることが望ましい。
2 福祉公社などの住民参加型在宅福祉サービス団体は、介護保険制度を補完することを目的に設立された。
3 共同募金は、地域福祉の推進に関わる第一種社会福祉事業である。
4 特定非営利活動法人の活動分野や「まちづくりの推進を図る活動」が最も多い。
5 介護保険制度の地域密着型サービスの運営推進会議は、都道府県が設置する。

1 住民主体の地域福祉活動は、専門機関の支援を求めないで進めることが望ましい。
そんなわけありません。

2 福祉公社などの住民参加型在宅福祉サービス団体は、介護保険制度を補完することを目的に設立された。
福祉公社は1980年に出来た武蔵野市福祉公社が日本初です。
福祉公社は行政機関では困難なきめ細かい相談や心理的支援を行い、全ての市民の安心した老後生活を保障することが設立目的とされています。
介護保険制度を補完することが目的ではありませんし、そもそも2000年に介護保険制度ができた時より以前に福祉公社は出来ています。

3 共同募金は、地域福祉の推進に関わる第一種社会福祉事業である。
頻出の共同募金ですが、第一種社会福祉事業なのでこれが正解です。

4 特定非営利活動法人の活動分野や「まちづくりの推進を図る活動」が最も多い。
NPO法人で最も多い活動分野は「保健、医療又は福祉の増進を図る活動」です。

5 介護保険制度の地域密着型サービスの運営推進会議は、都道府県が設置する。
運営推進会議は各事業所が自ら設置しますので、都道府県が設置するものではありません。
運営推進会議は、事業所が利用者や市町村職員等に対し提供しているサービス内容等を明らかにすることにより、事業所による利用者の抱え込みを防止し地域に開かれたサービスにすることが目的です。

第30回 問題35

社会福祉法の規定に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 市町村は、地域福祉計画の策定において、福祉サービス利用者の意見聴取をしなければならない。
2 地域住民、社会福祉を目的とする事業を経営する者及び社会福祉に関する活動を行う者は、相互に協力して地域福祉の推進に努めなければならない。
3 市町村社会福祉協議会は、地域福祉コーディネーターを配置しなければならない。
4 市町村社会福祉協議会は、社会福祉を目的とする事業を経営する者又は更生保護事業を経営する者の3分の2以上が参加していなければならない。
5 共同募金会は、共同募金を行うには、市町村社会福祉協議会の意見を聴き、配分委員会の承認を得て、共同募金の目標額を広告しなければならない。

1 市町村は、地域福祉計画の策定において、福祉サービス利用者の意見聴取をしなければならない。
そのような規定はなく、そもそも地域福祉計画は義務ではなく「努力義務」です。

2 地域住民、社会福祉を目的とする事業を経営する者及び社会福祉に関する活動を行う者は、相互に協力して地域福祉の推進に努めなければならない。
正しいです。

3 市町村社会福祉協議会は、地域福祉コーディネーターを配置しなければならない。
そのような規定はありません。

4 市町村社会福祉協議会は、社会福祉を目的とする事業を経営する者又は更生保護事業を経営する者の3分の2以上が参加していなければならない。
3分の2ではなく過半数です。
過半数であれば2つ以上の社会福祉協議会はできませんから。

5 共同募金会は、共同募金を行うには、市町村社会福祉協議会の意見を聴き、配分委員会の承認を得て、共同募金の目標額を広告しなければならない。
共同募金会があらかじめ意見を聴くよう定められているのは、市町村社会福祉協議会ではなく、都道府県社会福祉協議会です。

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