アセスメントって重要です。
アセスメント(評価)には事前と事後の二種類あるんでしたね。
事前の評価は「アセスメント」、事後の評価は「エバリュエーション」でした。
例えば、障害福祉では障害支援区分認定を行う際にアセスメントを実施します。
その区分が低く見積もられてしまうと、受けられる福祉サービスが限定されたり、事業所の報酬が減少しますので、アセスメントはとても重要です。
良い支援によって障害の程度が軽くなり区分が低くなったら、良い支援を提供した事業所の報酬が増えてほしいのですが、逆に減ってしまいます。
悩ましいです。
また、個別支援計画を立てるためにはこのような徹底したアセスメントが必要なんですが、十分とは言えず、障害福祉の現場では心理アセスメントはほとんど実施されていません。

心理療法で学んだ知能検査や発達検査ですね。
このように、ご利用者を支援する上で、まず重要となるアセスメントですが、ここでは、アセスメントの前段階となる基礎情報に関するアセスメントツールを見ていきましょう。
ジェノグラム
3世代以上の家族状況を図式化する家系図です。
ジェノグラムは単なる家系図と覚えましょう。

「ジェノ」というのは「遺伝子(gene)」のことですね。
ソシオグラム
集団の人間関係について誰が誰に対してどのような感情を持っているかなどを矢印で図式化したものです。
集団内で人気のある者、孤立者などが把握できます。

刑事ドラマでホワイトボードに書かれる人間関係を示すアレです。

カリスマ社会福祉士は、ソシオグラムは「謗る(そしる)=悪口を言う」で覚えたのだ。人間関係図を見ると悪口を言っている人が思い浮かぶから。
ソシオグラムの家族版「ファミリーマップ」というのがありますが、試験にはでないでしょう。
エコマップ
エコマップは、クライエントとその家族の関係や社会資源との関係を、円や線で図式化したものです。

「エコ」というのは「エコロジー(生態学、自然環境)」という意味だね。僕はエコバッグを持ち歩いてるよ。
ジェノグラム、ソシオグラム、エコマップの3つはアセスメントツールの基本なので確実に押さえましょう。

エゴグラム
エゴグラムは、エリック・バーンの交流分析理論に基づいて人間の性格を5つの指標に分けて分析する手法です。

エコマップと混同しないでー
心の特性を5つの自我状態に分け、その状態のバランスを以下のようにグラフ化することで性格を理解する手法です。
エゴグラムの考え方から、東京大学医学部心療内科TEG研究会が日本人の性格傾向やものの考え方に合わせて開発した心理検査を「東大式エゴグラム(TEG)」といいます。


パーソナリティ理論では、人の性格を5つの指標で診断するビッグファイブという理論がありましたね。なんとなくこれに似ているような・・・
認知症ケアマッピング:DCM(Dementia Care Mapping)
認知症ケアマッピングは、パーソン・センタード・ケアの考えに基づいて、認知症のある人の生活状況をアセスメントする手法です。
日常の生活状況を6時間以上連続した観察を行い、その時の状態や行動をひたすら記録していきます。

国家試験には「認知症ケアマッピング」ではなく、DCMとして出題されることもありますので略語の方も覚えておいてください。「Dementia=認知症」ですね。
PIE(Person-in-Environment)
1980年代にアメリカで開発が始まった、クライエントの社会生活機能の問題を、社会的役割、環境的要因から記述し分類する手法です。
上の説明だと国際生活機能分類ICFを思い浮かべますが、PIEはコード化するのに対してICFはコード化しません。
まとめ
ジェノグラム、ソシオグラム、エコマップは3大アセスメントツールとして意味をしっかり覚えておいてください。
エコマップとエゴグラムは全く別物です。
「グラム」が共通なので、ジェノグラム、ソシオグラム、エゴグラムと3つセットにしがちですが、エゴグラムではなくエコマップです。

エゴグラムは性格診断法なので仲間外れなの!
講義動画
以下の講義動画では、エゴグラムのルーツであるエリックバーンの交流分析と5つの自我状態について詳しく説明しています。
過去問
第31回 問題104
アセスメントツールに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ジェノグラムは、成員間の選択・拒否関係を図式化し、小集団における人間関係の構造を明らかにする。
2 エゴグラムは、3世代以上の家族を図式化し、世代間の人間関係の構造を明らかにする。
3 ソシオグラムは、交流分析理論に基づき、人間の性格を5つの領域に分けて分析する。
4 DCM(Dementia Care Mapping)は、クライエントとその家族の関係や社会資源との関係を、円や線を用いて表す。
5 PIE(Person-in-Environment)は、クライエントが訴える社会生活機能の問題を記述し、分類し、コード化する。
1 ジェノグラムは、成員間の選択・拒否関係を図式化し、小集団における人間関係の構造を明らかにする。
ジェノグラムは単なる家系図ですので、拒否関係などを表しません。
これはソシオグラムの説明です。
2 エゴグラムは、3世代以上の家族を図式化し、世代間の人間関係の構造を明らかにする。
これはジェノグラムの説明ですので間違いです。
3 ソシオグラムは、交流分析理論に基づき、人間の性格を5つの領域に分けて分析する。
違います。
交流分析理論といえばエゴグラムです。
4 DCM(Dementia Care Mapping)は、クライエントとその家族の関係や社会資源との関係を、円や線を用いて表す。
DCMの「D」は「Dimentia=認知症」です。
これはエコマップの説明ですので間違いです。
5 PIE(Person-in-Environment)は、クライエントが訴える社会生活機能の問題を記述し、分類し、コード化する。
これが正解です。
次の記事
次は、ソーシャルワークの記録についてです。

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