コロナ禍で注目された生活福祉資金貸付制度。それ以降国家試験にもよく出題されています。どんな制度なのか詳しく見ていきましょう。
概要
生活福祉資金貸付制度は、低所得者や高齢者、障害者の生活を経済的に支えるとともに、その在宅福祉および社会参加の促進を図ることを目的とした貸付制度です。
また、本貸付制度では、資金の貸付けによる経済的な援助にあわせて、地域の民生委員が資金を借り受けた世帯の相談支援を行います。
根拠法
社会福祉法
種別
第一種社会福祉事業
社会福祉法の第二条には、第一種社会福祉事業として「生計困難者に対して無利子又は低利で資金を融通する事業」が規定されていたね。これが生活福祉資金貸付制度だよ。
実施主体
都道府県社会福祉協議会
窓口
市町村社会福祉協議会
対象
低所得世帯…資金の貸付けにあわせて必要な支援を受けることにより独立自活できると認められる世帯であって、必要な資金を他から借り受けることが困難な世帯(市町村民税非課税程度)。
障害者世帯…身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた者(現に障害者総合支援法によるサービスを利用している等これと同程度と認められる者を含みます。)の属する世帯。
高齢者世帯…65歳以上の高齢者の属する世帯(日常生活上療養または介護を要する高齢者等)
種類
①総合支援資金
②福祉資金(福祉費、緊急小口資金)
③教育支援資金
④不動産担保型生活資金
条件
総合支援資金と緊急小口資金は、自立相談支援事業の利用
利息
連帯保証人あり→無利子
連帯保証人なし→1.5%
延滞利子10.75%
財源
全額公費負担、貸付種類によって国の負担割合が異なる
過去問
第26回 問題69
生活福祉資金貸付制度に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 生活福祉資金の借入れの申込みは民生委員を介して行わなければならない。
2 生活福祉資金の貸付金を償還期限までに返却しなかった場合、延滞利子を付して返済しなければならない。
3 連帯保証人を立てないと生活福祉資金の貸付を受けることができない。
4 生活福祉資金は重複貸付が禁止されているため、総合支援資金の貸付を受けた場合、教育支援資金の貸付を受けることはできない。
5 生活福祉資金の借入れの申込み先は福祉事務所である。
1 生活福祉資金の借入れの申込みは民生委員を介して行わなければならない。
間違いです。生活福祉資金貸付制度の実施主体は都道府県社会福祉協議会です。民生委員は関係ありません。
2 生活福祉資金の貸付金を償還期限までに返却しなかった場合、延滞利子を付して返済しなければならない。
これが正解です。10%以上の延滞利子が遅延損害金として加算されます。
3 連帯保証人を立てないと生活福祉資金の貸付を受けることができない。
間違いです。連帯保証人を立てれば無利子、立てなければ有利子になります。
4 生活福祉資金は重複貸付が禁止されているため、総合支援資金の貸付を受けた場合、教育支援資金の貸付を受けることはできない。
間違いです。重複可能です。
5 生活福祉資金の借入れの申込み先は福祉事務所である。
間違いです。申込み先は都道府県社会福祉協議会です。窓口は市町村社会福祉協議会です。
第33回 問題69
生活福祉資金貸付制度に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 借入れの申込先は、福祉事務所である。
2 借入れの申込みは、民生委員を介して行わなければならない。
3 資金貸付けと併せて必要な相談支援を受ける。
4 償還の猶予はできない。
5 総合支援資金は、連帯保証人を立てないと貸付けを受けることができない。
前の問題とほぼ同じです。このように過去問とほぼ同じ問題が出題されることもあるのです。
1 借入れの申込先は、福祉事務所である。
間違いです。実施主体は都道府県社会福祉協議会、窓口は市町村社会福祉協議会です。
2 借入れの申込みは、民生委員を介して行わなければならない。
間違いです。民生委員は関係ありません。
3 資金貸付けと併せて必要な相談支援を受ける。
これが正解です。
4 償還の猶予はできない。
間違いです。償還期間中に災害等で返済が困難になった場合は返済が猶予されることがあります。
5 総合支援資金は、連帯保証人を立てないと貸付けを受けることができない。
間違いです。連帯保証人を立てれば無利子、立てなければ有利子です。
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