困難女性支援法と聞くと、ビックリするような名称ですが、正式名称は「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」といいます。
困難な問題というのは、性被害や生活困窮、家庭関係の破綻とか、女性をとりまく様々な問題だね。
売春防止法→困難女性支援法
1956年に成立した売春防止法では、「売春をなすおそれのある女子の保護更生」を目的としていましたが、性被害や生活困窮、家庭関係の破綻などの困難な問題を抱える女性の支援も担ってきました。
この売春防止法から脱却し、新しい枠組みで困難な問題を抱える女性を支援する法律が「困難女性支援法」で、2024年4月から施行されています。
基本方針&基本計画
第七条 厚生労働大臣は、困難な問題を抱える女性への支援のための施策に関する基本的な方針(基本方針)を定めなければならない。
第八条 都道府県は、基本方針に即して、当該都道府県における困難な問題を抱える女性への支援のための施策の実施に関する基本的な計画(以下この条において「都道府県基本計画」という。)を定めなければならない。
3 市町村(特別区を含む。以下同じ。)は、基本方針に即し、かつ、都道府県基本計画を勘案して、当該市町村における困難な問題を抱える女性への支援のための施策の実施に関する基本的な計画(以下この条において「市町村基本計画」という。)を定めるよう努めなければならない。
国の基本方針は義務、都道府県の基本計画も義務、市町村の基本計画は努力義務だね。
婦人相談所→女性相談支援センター
第九条 都道府県は、女性相談支援センターを設置しなければならない。
売春防止法で規定されていた婦人相談所は、「女性相談支援センター」と名称変更されました。
都道府県には設置義務あり。指定都市は設置できるとなっているよ。
婦人相談員→女性相談支援員
第十一条 都道府県(女性相談支援センターを設置する指定都市を含む)は、困難な問題を抱える女性について、その発見に努め、その立場に立って相談に応じ、及び専門的技術に基づいて必要な援助を行う職務に従事する職員(女性相談支援員)を置くものとする。
売春防止法で規定されていた婦人相談員は、「女性相談支援員」を名称変更されました。
女性相談支援員は、都道府県に必置であることを覚えておいてね。
婦人保護施設→女性自立支援施設
第十二条 都道府県は、困難な問題を抱える女性を入所させて、その保護を行うとともに、その心身の健康の回復を図るための医学的又は心理学的な援助を行い、及びその自立の促進のためにその生活を支援し、あわせて退所した者について相談その他の援助を行うことを目的とする施設(女性自立支援施設)を設置することができる。
女性自立支援施設は、都道府県の任意設置だね。
まとめ
売春防止法 | 困難女性支援法 | |
---|---|---|
成立 | 1956年 | 2022年 |
施行 | 1958年 | 2024年 |
相談所 | 婦人相談所 | 女性相談支援センター(都道府県に必置) |
相談員 | 婦人相談員 | 女性相談支援員(都道府県に必置) |
基本方針 | 厚生労働大臣(義務) | |
基本計画 | 都道府県(義務) 市町村(努力義務) |
過去問
困難女性支援法は施行されて間もないので、まだ国家試験には出題されていませんが、今後必ず出題されるでしょう。
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ここまでで、「高齢者」、「障害者」、「児童」という福祉の主たる対象を学んできました。
次はこの3者に共通する「虐待防止法」について学びます。
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