この記事では、私が受験した第32回社会福祉士国家試験の試験中にどのように考え解答したかを含めて過去問解説をします。
3カ月の学習期間を終え、どの程度の知識・理解で試験に臨んだのかを知っていただき、読むだけで過去問1年分勉強できるようにもなっています。
結論の1つに書いていますが、私自身、間違ってはいけない問題をいくつか間違ってしまったこと、そして、試験中に確実に正解だと自信があった問題は150問中90問程度しかありませんでした。
確実に正解だと思えた問題が少ないと試験後に不安になり、私自身も合格ギリギリラインかなという感触でしたが、実際は117点という安全圏で合格ができたことを、まずは知ってもらえればと思います。
つまり、自信を持てなかった残り60問についても「選択肢を絞ることができた」という点、これが学習の成果であり、合格に繋がります。
学習した知識によって選択肢を消去でき、選択肢を2~3つ程度まで絞り込めたことで、点数が積み上がっていったわけです。
3か月の学習期間で合格できるという確証はこのあたりの実績からきています。
さらに、各分野と最後のまとめで、第32回の試験の問題傾向を以下のように分析しています。
各問題を以下の4種類に分け、それぞれどのくらいの割合になるのか集計しました。
②学習したから選択肢が絞れる問題(良問)
③学習しなくても解ける問題(易問)
④学習しても解けない問題(難問)
当然、①や②が多ければ試験として望ましいですが、③や④が多ければ勉強する意味がないので受ける価値のない試験ということになります。
はたしてどのような結果になるでしょうか。
私の体験記のような読み物として読んでいただいて、自然に過去問1年分が解けていればと記事にしました。実際、100点超える点数を取っている人も大したことないなと思いながら読んでもらえればと思います。
人体の構造と機能及び疾病
合格体験記にも書きましたが、試験開始前の試験官による説明中に問題用紙から透けて見える問題があります。それが最初のこの分野の問題です。

見えるのは問題1~3のいくつかの選択肢。
試験開始と同時にすぐに回答できるよう、頭を働かせながら待ちます。
ただし、この時に再度「2つ選択問題をチェック」することも思い起こしてください。むしろこちらの方が重要です。
問題1
人体の構造と機能に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 視覚は、後頭葉を中枢とする。
2 腸管は、口側より、空腸、回腸、十二指腸、大腸の順序である。
3 肺でガス交換された血液は、肺動脈で心臓へと運ばれる。
4 横隔膜は、消化管の蠕動に関わる。
5 副甲状腺ホルモンは、カリウム代謝をつかさどる。
1 視覚は、後頭葉を中枢とする。
この選択肢をズバリ正解と思えないと勉強不足です。
初めに正解がくるとなんとなく不安になりますが、視覚を司るのは後頭葉であることは受験生にとっては常識ですので自信を持って選択肢1が選べないといけません。
首の後ろ(頭の付け根あたり)は目とつながっているので揉むと目が気持ちいいんですよ。試験勉強で目が疲れたら揉んでみてください。揉みながら目と後頭葉がつながっていることを体で記憶してください。絶対忘れないでしょう。
2 腸管は、口側より、空腸、回腸、十二指腸、大腸の順序である。
選択肢1が正解だと思っても、実際の試験では他の選択肢にも目を通します。
十二指腸は胃の直下だから、間違いだとすぐに分かります。
正確には以下の図を参照してください。

3 肺でガス交換された血液は、肺動脈で心臓へと運ばれる
心臓から出ている血管が動脈、心臓へ戻るのは静脈なので間違いであることがわかります。
この動脈と静脈の入れ替えは典型的な間違い選択肢です。
4 横隔膜は、消化管の蠕動に関わる。
5 副甲状腺ホルモンは、カリウム代謝をつかさどる。
試験中は選択肢4と5はよくわかりませんでした。
それでも選択肢1が確実に正解である事がわかったので、あまり気にせず次の問題へ。
因みに、選択肢4の横隔膜は呼吸に関わり、消化管の蠕動にはまったく関係がありません。
選択肢5の副甲状腺ホルモンはカリウムではなくカルシウムの代謝を司ります。
カリウムの代謝は腎臓が担っています。
結局、この問題は「①学習したから解ける問題」で、私は正解できました。
問題2
高齢者の脱水に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1 体全体の水分量は、若年者と変わらない。
2 喉の渇きを感じやすいため、脱水になりにくい。
3 1日の水分摂取量は、若年者より多い。
4 降圧利尿薬の服用は、脱水の原因にならない。
5 腎臓による水の再吸収能力が、低下している。
1 体全体の水分量は、若年者と変わらない。
そんなわけありませんよね。高齢になると水分量は減っていくはずで、常識的に考えればこの選択肢は間違いです。
2 喉の渇きを感じやすいため、脱水になりにくい。
高齢者が脱水になりにくいはずがありません。常識的に考えて。
3 1日の水分摂取量は、若年者より多い。
この選択肢はよくわかりませんが、高齢者は意識して水分取る人が多いから摂取量は多そうですが、そういう事じゃなさそうです。
たぶん間違いだと思いますが、確実に消去できる選択肢ではありません。
4 降圧利尿薬の服用は、脱水の原因にならない。
利尿薬ということはオシッコがたくさんでるわけですから脱水の原因にならないわけがありません。
5 腎臓による水の再吸収能力が、低下している。
消去法的にも、正攻法でも、この選択肢以外正解はないでしょう。
この問題は、「③学習しなくても解ける問題」で、私は正解でした。
「高齢になると体の様々な機能が低下する」という常識があればある程度選択肢が絞れてしまいます。
問題3
消化器の構造と機能に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1 唾液には、消化酵素は含まれない。
2 胃粘膜からは、強アルカリ性の消化液が分泌される。
3 膵臓(すいぞう)には、内分泌腺と外分泌腺がある。
4 小腸は、水分を吸収しない。
5 胆汁は、胆のうで作られる。
1 唾液には、消化酵素は含まれない。
唾液には、アミラーゼという消化酵素が含まれるので間違いです。
食べ物が一番最初に入る口に消化酵素が無いわけありませんね。
2 胃粘膜からは、強アルカリ性の消化液が分泌される。
胃の粘膜からは、強アルカリではなく強酸性の消化液が分泌されて、ウイルスとか細菌とか殺してくれるんですね。
食べすぎると「胃酸」が出すぎて気持ち悪くなりますね。
つまり「胃酸」という「酸」が出ているのです。
3 膵臓(すいぞう)には、内分泌腺と外分泌腺がある。
これはよくわからないので保留にしました。
4 小腸は、水分を吸収しない。
小腸が水分を吸収するかどうかは勉強した記憶がありませんでしたが、水分を吸収しないわけないと思いました。
5 胆汁は、胆のうで作られる。
これは思わず正解だと思ってしまいましたが、よく考えてみると胆汁は肝臓で作られて胆のうに蓄えられるんでした。
ということで、私は消去法で選択肢3を選びました。
この問題も「①学習したから解ける問題」で、私は正解でした。
問題4
事例を読んで、国際生活機能分類(ICF)に基づいて分類する場合、正しいものを1つ選びなさい。
[事例]Aさん(50歳、男性)は、脳出血により片麻痺を残したが、リハビリテーションによって杖と下肢装具を用いた自立歩行を獲得し、復職を達成した。混雑時の通勤の負担と、思うようにならない気分の落ち込みから仕事を休みがちとなったが、職場より出勤時間の調整が図られ、仕事を再開するに至った。
1 片麻痺は、「活動」に分類される。
2 歩行は、「心身機能・身体構造」に分類される。
3 歩行に用いた杖と下肢装具は、「個人因子」に分類される。
4 気分の落ち込みは、「活動」に分類される。
5 出勤時間調整の職場の配慮は、「環境因子」に分類される。
1 片麻痺は、「活動」に分類される。
片麻痺はその人の状態だから「活動」というのは変です。
生活機能には「心身機能・身体構造」「活動」「参加」の3種類あったから、片麻痺は「心身機能・身体構造」だと思いました。
実際、片麻痺は「心身機能・身体構造」です。
改めて、生活機能の3種類、「心身機能・身体構造」「活動」「参加」を覚えておいてください。
2 歩行は、「心身機能・身体構造」に分類される。
歩行は「活動」ですので間違いです。
3 歩行に用いた杖と下肢装具は、「個人因子」に分類される。
杖や下肢装具は「個人因子」というよりは「環境因子」だろうと考えました。
実際、杖や下肢装具は「環境因子」でした。
4 気分の落ち込みは、「活動」に分類される。
気分の落ち込みは「心身機能・身体構造」だと思うけど、確信はありませんでした。
実際、気分の落ち込みは「心身機能・身体構造」の中でも心身機能です。
5 出勤時間調整の職場の配慮は、「環境因子」に分類される。
私はこれが正解だと考え選びました。
この問題も「①学習したから解ける問題」で、私は正解でした。
問題5
1978年にWHOが採択したアルマ・アタ宣言に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 先進国と開発途上国間における人々の健康状態の不平等について言及している。
2 政府の責任についての言及はない。
3 自己決定権についての言及はない。
4 健康ニーズに対応する第一義的責任は、専門職個人にあると言及している。
5 地域、国家、その他の利用可能な資源の活用についての言及はない。
アルマ・アタ宣言といえばプライマリヘルスケア程度の知識しかないな・・・、と思いながら。
1 先進国と開発途上国間における人々の健康状態の不平等について言及している。
うーん、正しいような感じだけど保留にしました(実際は直感どおりこれが正解でした)。
2 政府の責任についての言及はない。
これは明らかに間違い選択肢を作った感じがします。実際間違いでした。
3 自己決定権についての言及はない。
自己決定権については、1978年の段階で言及されていなかった可能性はあると考え保留にしました。
4 健康ニーズに対応する第一義的責任は、専門職個人にあると言及している。
この選択肢は明らかに間違いだと分かります。
健康の第一義的責任が専門職という他人にあるわけがありません。
5 地域、国家、その他の利用可能な資源の活用についての言及はない。
これも敢えて間違い選択肢を作った感じなので間違い選択肢として消去しました。
ということで、選択肢1か3が正解でしょうが、正面から考えると選択肢1なんですが、選択肢2と3で「ない」という語尾が続いているので、どちらかが正しい可能性もあるなと余計なことを考えてしまい、選択肢3を選んでしまいました。
正解は選択肢1でした。
この問題はあとで冷静になって考え直すと、どう考えても選択肢1が正解だと思えるのですが、今でもなぜ試験中に選択肢3を選んでしまったのかわかりません。
この問題は「③学習しなくても解ける問題」です。
問題6
次のうち、脳血管性認知症の特徴的な症状として、適切なものを2つ選びなさい。
1 パーキンソン症状
2 まだら認知症
3 幻視
4 感情失禁
5 常同行動
「2つ」選ぶ問題がやっと出てきたなと思いながら・・・。
脳血管性認知症の特徴は「まだら認知症」であることは受験生にとっては常識です。
脳の血管の状態が良いときは認知症の症状がでないけど状態が悪い時は症状がでる「まだら」な認知症。
それ以外の症状は記憶になかったのですが、その他の選択肢をよく見てみると・・・
選択肢1のパーキンソン症状はレビー小体型認知症。
選択肢3の幻視もレビー小体型認知症。
選択肢5の常同行動といえば自閉症。
ということで選択肢2と4が正解だろうと結論付けました。
確かに、選択肢2と4が正解です。
これは、まさしく「①学習したから解ける問題」で、私は正解できました。
問題7
近年のリハビリテーションに関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1 がんは、リハビリテーションの対象とはならない。
2 内部障害は、リハビリテーションの対象とはならない。
3 脳卒中のリハビリテーションは、急性期、回復期、生活期(維持期)に分けられる。
4 リハビリテーションは、機能回復訓練に限定される。
5 リハビリテーションを担う職種には、言語聴覚士は含まれない。
1 がんは、リハビリテーションの対象とはならない。
そんなわけありません。
2 内部障害は、リハビリテーションの対象とはならない。
そんなわけありません。
3 脳卒中のリハビリテーションは、急性期、回復期、生活期(維持期)に分けられる。
確か、もう1つあったような・・・。
と考えながら、とりあえず保留。
あとから考えて、4つあったなぁと思ったのは病床の機能「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」でした。脳卒中のリハビリだから「高度急性期」はないのですね。
4 リハビリテーションは、機能回復訓練に限定される。
「限定される」が明らかに間違い選択肢を作った感じ。
5 リハビリテーションを担う職種には、言語聴覚士は含まれない。
そんなわけありません。
ってことで消去法で選択肢3を選びました。
選択肢3が正解です。
これは「③学習しなくても解ける問題」で、私は正解できました。
まとめ
種類 | 問題数 |
---|---|
①学習したから解ける問題(最良問) | 4 |
②学習したから選択肢が絞れる問題(良問) | 0 |
③学習しなくても解ける問題(易問) | 3 |
④学習しても解けない問題(難問) | 0 |
私の点数:6点/7点満点
この分野は出題範囲が広すぎて学習範囲として網羅しきれないところがあるのですが、この年の問題は典型的な設問が多く助かりました。
しっかり学習した内容が活きる良問が多かったと思います。
アルマ・アタ宣言の問題を間違えてしまったのですが、あとから見返すと正解できたのにと思います。
このような「よく考えれば解けたはずの問題」というのが必ず出てきますので、いかにそのような問題に対処できるかもカギになります。
心理学と心理的支援
問題8
次のうち、馴化(じゅんか)による行動の記述として、適切なものを1つ選びなさい。
1 同じ大きな音が繰り返されるにつれて、驚愕(きょうがく)反応が小さくなった。
2 乳児に新しいおもちゃを見せたら、古いおもちゃよりも長く注視した。
3 まぶたにストローで空気を吹き付けると、思わずまばたきした。
4 食あたりした後に、その食べ物を見るだけで吐き気がするようになった。
5 うまくできたら褒めることで、ピアノの練習に取り組むようになった。
馴化という初めて見る単語が出てきて少し焦りましたが、よく見ると「馴れる」という漢字であることに気付き、そのような選択肢を選べば良いと思いました。
ということで選択肢1が正解であることを確信し、マーク。
実際、正解は選択肢1でした。
これは「③学習しなくても解ける問題」でした。
問題9
パーソナリティの理論に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 クレッチマー(Kretschmer,E.)は、特性論に基づき、体格と気質の関係を示した。
2 ユング(Jung,C.)は、外向型と内向型の二つの類型を示した。
3 オールポート(Allport,G.)は、パーソナリティの特性を生物学的特性と個人的特性の二つに分けた。
4 キャッテル(Cattell,R.)は、パーソナリティをリビドーにより説明した。
5 5因子モデル(ビッグファイブ)では、外向性、内向性、神経症傾向、開放性、協調性の5つの特性が示されている。
パーソナリティ理論はしっかり学習した内容だったので出題されたことに喜びました。
1 クレッチマー(Kretschmer,E.)は、特性論に基づき、体格と気質の関係を示した。
クレッチマーは特性論ではなく類型論なので間違いであることはすぐに分かりました。
クレッチマーは精神病患者の体型と性格の違いを分析し、「分裂気質型」「循環(躁鬱)気質」「粘着気質」と3つの特性に分類した人です。
2 ユング(Jung,C.)は、外向型と内向型の二つの類型を示した。
これがズバリ正解であることは容易にわかります。
ユングは類型論として内向型と外向型の類型を示したということは、受験生にとっては常識です。
3 オールポート(Allport,G.)は、パーソナリティの特性を生物学的特性と個人的特性の二つに分けた。
選択肢2が正解であることは確信がありましたが、一応残りの選択肢も見ておきます。
オールポートは初耳でした。
オールポートは人の特性を「共通特性」と「個人特性」に分けた人だということを試験後に知りました。
4 キャッテル(Cattell,R.)は、パーソナリティをリビドーにより説明した。
キャッテルも初耳でした。
リビドーは「性的衝動を発動させる力」で、フロイトが最初に使った用語です。
キャッテルは流動性知能と結晶性知能を提唱した人です。
これも試験後に知りました。
5 5因子モデル(ビッグファイブ)では、外向性、内向性、神経症傾向、開放性、協調性の5つの特性が示されている。
ビッグファイブは特性論の代表格で過去問ではこれが正解になっていたことを思い出しました。
今回はどうでしょうか。
5因子として外向性と内向性という同じ因子が挙げられているので明らかに間違いであることはピンときました。
5因子はそれぞれ独立しているので、外向性と内向性という同じ軸で評価できるものが並ぶはずがありません。
ということでこれは間違い。
ビッグファイブは、「外向性」「神経症傾向」「誠実性」「調和性」「経験への開放性」の5因子です。
これはまさに「①学習したから解ける問題」で、正解できました。
問題10
愛着理論に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1 乳幼児期の愛着の形成により獲得される内的ワーキングモデルが、後の対人関係パターンに影響することは稀(まれ)である。
2 ストレンジ・シチュエーション法では、虐待など不適切な養育と関係のある愛着のタイプを見いだすことは難しい。
3 愛着のタイプに影響を及ぼす要因には、養育者の子どもに対する養育態度だけでなく、子ども自身の気質もある。
4 子どもの後追い行動は、愛着の形成を妨げる要因になる。
5 乳幼児期の子どもの愛着対象は、母親に限定されている。
そもそも愛着理論なんて勉強しなかったなぁと思いながら・・・
1 乳幼児期の愛着の形成により獲得される内的ワーキングモデルが、後の対人関係パターンに影響することは稀(まれ)である。
この選択肢は、間違い選択肢を敢えて作った感じが否めないのですが、一応保留にしました。
普通に考えると、乳幼児期の愛着形成によって、後の対人関係に影響すると考えるのが自然ですし、その通りです。
2 ストレンジ・シチュエーション法では、虐待など不適切な養育と関係のある愛着のタイプを見いだすことは難しい。
これはわからないので保留。
間違い選択肢のニオイはしますが。
ストレンジ・シチュエーション法というのは、子どもにとってストレンジ(特異な)なシチュエーション(状況)を作り出して、その時の子どもの様子や行動を観察することで、親からの愛着の状況などがわかるもので、選択肢にあるような虐待などの不適切な養育と関係のある愛着のタイプを見出すこともできます。
3 愛着のタイプに影響を及ぼす要因には、養育者の子どもに対する養育態度だけでなく、子ども自身の気質もある。
これが正解っぽいなと思ってこの選択肢を選びました。
文章として自然だし、この文章が間違っているようには見えません。
確かに正解でした。
4 子どもの後追い行動は、愛着の形成を妨げる要因になる。
これは明らかに間違いだと分かりました。
子どもの後追い行動は愛着の形成を促進します。
5 乳幼児期の子どもの愛着対象は、母親に限定されている。
そんなわけないと直感的に思います。
選択肢としても「限定」のような表現で間違い選択肢のニオイがプンプンしていますし。
ということで正解は選択肢3でした。
これは「③学習しなくても解ける問題」で、正解できました。
問題11
前期高齢者(65~74歳)における認知機能や知的機能の一般的な特徴について、適切なものを1つ選びなさい。
1 作動記憶の機能は、加齢による影響が顕著にみられる。
2 エピソード記憶の機能は、加齢による影響がほとんどみられない。
3 意味記憶の機能は、加齢による影響が顕著にみられる。
4 流動性知能は、加齢による影響がほとんどみられない。
5 結晶性知能は、加齢による影響が顕著にみられる。
1 作動記憶の機能は、加齢による影響が顕著にみられる。
これは保留。作動記憶ってなんだっけ、ド忘れしたー。
と、試験中に思いました。
作動記憶は別名ワーキングメモリで、何か作業などをするときに一時的に記憶しておく短期記憶です。
高齢になるとまさにこの種類の記憶が顕著に弱くなるので、これが正解です。
2 エピソード記憶の機能は、加齢による影響がほとんどみられない。
これは間違いです。
3 意味記憶の機能は、加齢による影響が顕著にみられる。
意味記憶は加齢によって低下してきそうだから、これが正解有力としておこう、と試験中は考えました。
4 流動性知能は、加齢による影響がほとんどみられない。
流動性知能は加齢による影響が顕著にみられるはずだからこれは間違い。
5 結晶性知能は、加齢による影響が顕著にみられる。
結晶性知能は加齢による影響があまりみられないからこれも間違い。
選択肢1と3で迷うも、選択肢3を選んでしまいました。
正解は選択肢1でした。
この問題は本来間違ってはいけない問題、作動記憶(ワーキングメモリ)の知識がなかったのは私の勉強不足でした。
これは「①学習したから解ける問題」でした。
問題12
ストレスに関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1 コーピングとは、ストレスの原因となる出来事のことである。
2 日常の些細(ささい)ないらだちごとが積み重なっても、健康を損なうようなストレスは生じない。
3 ストレッサーを制御できるという信念は、ストレスの緩和にはつながらない。
4 アパシーとは、ストレス状態が続いても、それに対処できている状態のことである。
5 ハーディネスとは、ストレスに直面しても健康を損なうことが少ない正確特性である。
1 コーピングとは、ストレスの原因となる出来事のことである。
ストレスの原因はストレッサーだから間違い。
受験生の常識です。
2 日常の些細(ささい)ないらだちごとが積み重なっても、健康を損なうようなストレスは生じない。
そんなわけないと試験中にツッコミを入れつつ、選択肢を消去。
3 ストレッサーを制御できるという信念は、ストレスの緩和にはつながらない。
これはストレスの緩和につながる気がするので間違いでしょう。
4 アパシーとは、ストレス状態が続いても、それに対処できている状態のことである。
アパシーは無気力状態のことだからストレスに対処できている状態とは真逆。
これも間違い選択肢として消去。
5 ハーディネスとは、ストレスに直面しても健康を損なうことが少ない性格特性である。
これが正解と確信、消去法でもこれしか残らないので自信をもって選択肢5を選びました。
ということで選択肢5が正解でした。
これも簡単な問題ですが「①学習したから解ける問題」の範疇でしょう。
問題13
ストレス反応の1つであるバーンアウトの症状に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 理解と発話の両面での失語症状が生じる。
2 人を人と思わなくなる気持ちが生じる。
3 近時記憶の著しい低下が生じる。
4 視覚的な幻覚が頻繁に生じる。
5 他者との関係を強めようとする傾向が生じる。
バーンアウトって燃え尽きて廃人のようになることだったはず、そんな感じの選択肢を選べばいいんだな、と考えながら選択肢を見ていくと・・・案外難しかったです。
1 理解と発話の両面での失語症状が生じる。
バーンアウトって失語症状が生じるんだろうか、と考えながらとりあえず保留にしました。
2 人を人と思わなくなる気持ちが生じる。
人を人と思わなくなる気持ちが生じるんだろうか、これもよくわからないので保留にしました。
3 近時記憶の著しい低下が生じる。
これも正解のような気がするので保留にしました。
4 視覚的な幻覚が頻繁に生じる。
幻覚が頻繁に生じるってことはないだろうと思うので消去。
5 他者との関係を強めようとする傾向が生じる。
これは明らかに間違いなので消去。
結局選択肢4と5しか消去できず、うーん、選択肢2は無いような気がするし、選択肢3が妥当かなぁ。
・情緒的な消耗感
・達成感の低下
・脱人格化
で、消耗感や達成感の低下は分かるのですが、脱人格化というのは選択肢2にあるような「人を人と思わなくなる気持ち」です。
これは自己防衛反応の一種で、それ以上消耗しないように人に対して思いやりのない対応をしたりするようになるのです。
ということで正解は選択肢2でした。
これは「①学習したから解ける問題」でしたが、解けませんでした。
バーンアウトの症状に「人を人と思わなくなる気持ちが生じる」ことを私は一生忘れないでしょう。
問題14
心理療法に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 回想法は、高齢者の自動思考を修正することを目的としている。
2 応用行動分析は、個人の無意識に焦点を当てて介入を行っていく。
3 認知行動療法は、クライエントの人生を振り返ることでアイデンティティを再確認していく。
4 森田療法は、不安をあるがままに受け入れられるように支援していく。
5 ブリーフセラピーは、未来よりも過去に焦点を当てて介入を行っていく。
1 回想法は、高齢者の自動思考を修正することを目的としている。
これはどうだったかなぁと、とりあえず保留に。
回想法は過去の出来事を思い出すことによって心理的に安定な状態を取り戻す方法で、特に高齢者がこれまでの人生の中で形成された考えに基づいて問題の解決に当たるものです。
2 応用行動分析は、個人の無意識に焦点を当てて介入を行っていく。
応用行動分析ってなんだっけ、個人の無意識に焦点を当てるのは精神分析療法だったはずなのでこれは消去。
応用行動分析(ABA)というのは、行動の前後を分析することでその行動の目的を明らかにし、前後の環境を操作して問題行動を解消する分析方法のことです。
3 認知行動療法は、クライエントの人生を振り返ることでアイデンティティを再確認していく。
クライエントの人生を振り返るのは回想法、認知行動療法は不適切な思考を修正するやつだったはずと考え、これも消去。
4 森田療法は、不安をあるがままに受け入れられるように支援していく。
これがズバリ正解だと分かりました。
森田療法のキーワードは「不安をあるがままに受け入れる」です。
5 ブリーフセラピーは、未来よりも過去に焦点を当てて介入を行っていく。
ブリーフセラピーは短期で問題解決を図るから過去に焦点を当てている暇はありません。
ブリーフとは「簡潔な」という意味でしたね。
ということで、この問題は「①学習したから解ける問題」で、私は正解できました。
まとめ
種類 | 問題数 |
---|---|
①学習したから解ける問題(最良問) | 5 |
②学習したから選択肢が絞れる問題(良問) | 0 |
③学習しなくても解ける問題(易問) | 2 |
④学習しても解けない問題(難問) | 0 |
私の点数:5点/7点満点
間違ってはいけないワーキングメモリを間違ってしまいました。
バーンアウトの症状に関しては全くのノータッチでしたが、他の受験生は解けたのでしょうか。
バーンアウトの症状として「脱人格化」というものがあることを覚えておかなければなりません。
社会理論と社会システム
問題15
次のうち、ウェーバー(Weber,M.)の合法的支配の説明として、正しいものを1つ選びなさい。
1 伝統や慣習により正当化される支配
2 正当な手続きにより制定された法に従うことで成立する支配
3 支配者のリーダーシップや資質、魅力によって正当化される支配
4 絶対的な権力者が定めた法に基づいて行われる支配
5 少数の卓越した能力を持つ者たちによって行われる支配
ウェーバーの合法的支配は、法律などで合法的に支配する体制のことですが、学習していなくても語感で分かると思います。
私も学習していたときに、語感そのままやなと思った記憶があったので。
1 伝統や慣習により正当化される支配
これはウェーバーの伝統的支配なので消去。
2 正当な手続きにより制定された法に従うことで成立する支配
これが合法的支配で正解、自信を持って選びました。
3 支配者のリーダーシップや資質、魅力によって正当化される支配
これはカリスマ的支配なので消去。
4 絶対的な権力者が定めた法に基づいて行われる支配
この選択肢も合法的支配の説明ではありません。
5 少数の卓越した能力を持つ者たちによって行われる支配
これもカリスマ的支配に近いと思われます。
結局、ウェーバーの支配類型を勉強していなくても解けたようにも思いますが、4類型を知っていれば選択肢1や選択肢3は別の類型の説明であることがわかるので、4類型をしっかり学習した人にとってはわかりやすかったと思います。
ということでこの問題は「②学習したから選択肢が絞れる問題(良問)」で、正解できました。
問題16
「平成30年労働力調査年報」(総務省)に示された、過去5年間の日本の失業等の動向に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 若年層の完全失業率は、上昇傾向にある。
2 「若年無業者」の若年人口に対する割合は、5%台で推移している。
3 自発的な離職者数は、増加している。
4 女性の完全失業率は、男性の完全失業率よりも一貫して高い。
5 男女共に完全失業率は、低下している。
(注)「若年無業者」とは、15~34歳の非労働力人口のうち家事も通学もしていない者を指す。
この問題は難問です。
どの選択肢も確実に消去できるものはありませんでしたので、選択肢4の「一貫して」などは間違い選択肢になりやすい程度のことしか材料がありません。
考え方として、平成25~30年あたりはアベノミクスで少しずつ景気が上向いてきた程度の知識で、であれば選択肢1と3を消去。
結果的に私は選択肢2と5で迷い、結局2を選びました。
答えは選択肢5でした。
以下、選択肢の解説です。
1 若年層の完全失業率は、上昇傾向にある。
グラフを見れば明らかですが、減少傾向です。

2 「若年無業者」の若年人口に対する割合は、5%台で推移している。
グラフを見れば、若年無業者の割合は2%台で推移しています。

3 自発的な離職者数は、増加している。
自発的な離職者数は減少しています。

4 女性の完全失業率は、男性の完全失業率よりも一貫して高い。
グラフを見れば明らかですが、完全失業率は女性より男性が一貫して高くなっています。

5 男女共に完全失業率は、低下している。
これが正解です。
グラフを見れば2010年以降は男女ともに低下しています。
ただし、近年ではコロナ禍で失業率は増加しており、逆に選択肢①と③が正しくなっています。
この問題は、「④学習しても解けない問題(難問)」で、私は間違ってしまいました。
問題17
次のうち、コンパクトシティに関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 拡散した都市機能を集約させ、生活圏の再構築を図る都市
2 出身地域の異なる外国人住民の多様なコミュニティから形成される都市
3 文化や芸術、映像などの産業をまちづくりの中核に据える都市
4 先端技術産業を軸として、地方経済の発展を目指す都市
5 世界中の金融・情報関連産業が集積する都市
コンパクトシティなんて勉強しなかったなぁと思いながら・・・
1 拡散した都市機能を集約させ、生活圏の再構築を図る都市
コンパクトという語感から、分散した機能を集約するという説明がピッタリです。
これが正解だと目星を付けつつ、他の選択肢も見ていきます。
2 出身地域の異なる外国人住民の多様なコミュニティから形成される都市
これは明らかにコンパクトシティの説明ではないことが分かります。
このような都市をトランスナショナルコミュニティというそうですが私は知りませんでした。
私が中学校で習ったのは、多様な人種や文化が集まるアメリカを形容する「人種のるつぼ」、それから「人種のサラダボウル」なども習いました。
しかし現在では定住する外国人が減り、国家間を移動する人も増え、そのようなエスニックタウンを形容するのが「トランスナショナルコミュニティ」です。
3 文化や芸術、映像などの産業をまちづくりの中核に据える都市
これも明らかにコンパクトシティの説明ではないことだけはわかります。
このような都市を「創造都市(クリエイティブ・シティ)」と呼ぶそうですが、私は知りませんでした。
4 先端技術産業を軸として、地方経済の発展を目指す都市
これも明らかにコンパクトシティの説明ではないことはわかります。
これは「産業クラスター」の説明ですが、アメリカのシリコンバレーのような大企業や研究機関が集まっている都市とは違い、地方経済の発展を目指す都市です。
5 世界中の金融・情報関連産業が集積する都市
コンパクトというと集積されたという表現が合っていますが、何が集積されたかというと、少なくとも金融・情報関連産業ではないことは想像できるはずです。
なのでこれも間違い選択肢であろうと想像できます。
ということで選択肢1が選べます。
結局この問題は「③学習しなくても解ける問題(易問)」で、正解できました。
都市についての知識として以下の用語も覚えておきましょう。
・メガロポリス(巨帯都市)
・エキュメノポリス(世界都市)
メトロポリスは国や地方の経済・文化の中心となっている都市です。
メガロポリスはメトロポリスが連なった地域のことで、日本では東京、名古屋、大阪の三大都市圏を東海道メガロポリスと呼んだりします。
エキュメノポリスはさらに大きい、地球全体を覆いつくすほどに拡大した世界都市のことです。
実際はエキュメノポリスは存在しませんが。
一応用語として覚えておきましょう。
問題18
次のうち、直系家族制についての記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 複数の子どもが、結婚後も親と同居することを原則とする。
2 夫婦の結婚とともに誕生し、一方の死亡によって家族が一代限りで消滅する。
3 跡継ぎとなる子どもの家族との同居を繰り返して、家族が世代的に再生産される。
4 離家した子どもの生殖家族が、親と頻繁な交際や相互援助を行う。
5 親の死亡をきっかけに、財産を均分相続して家族が分裂する。
私はこのとき直系家族の意味を知りませんでした。
ただ、直系というのは家系図でいう縦ラインなので、選択肢を見た時になんとなく選択肢3がしっくりくるなと思って、結局それが正解でした
直系家族というのは、その家族の子どものうち一人が結婚して同居し、新たな家族を再生産していく家族のことです。
多くの場合は長男が跡を継いで家族を繋いでいきます。
1 複数の子どもが、結婚後も親と同居することを原則とする。
複数の子どもというのが間違いです。
一人の子どもが跡を継ぎます。
2 夫婦の結婚とともに誕生し、一方の死亡によって家族が一代限りで消滅する。
これは全く違いますね。
3 跡継ぎとなる子どもの家族との同居を繰り返して、家族が世代的に再生産される。
これが直系家族制です。
4 離家した子どもの生殖家族が、親と頻繁な交際や相互援助を行う。
これは修正拡大家族の説明だと思われます。
例えば介護が必要な親を、家を出た子どもの家族が助けるというような形ですね。
5 親の死亡をきっかけに、財産を均分相続して家族が分裂する。
これも全く違いますね。
結局この問題は「③学習しなくても解ける問題(易問)」で、正解できました。
問題19
次のうち、パーソンズ(Parsons,T.)の社会的行為論として、正しいものを1つ選びなさい。
1 コミュニケーション的行為論
2 交換理論
3 集合行動論
4 象徴的相互作用論
5 主意主義的行為論
この問題のような、人物とキーワードを結びつけるだけの問題は、単純に覚えていれば得点できるので、社会福祉士の国家試験にふさわしいかどうかは別として、得点にしたいものです。
これは選択肢5が正解であることは、学習した人なら当たり前です。
1 コミュニケーション的行為論
これはハーバーマスが提唱した理論で、自分の意志や考えに相手の自由な納得と承認を求める行為のことです。
2 交換理論
これはホマンズらが提唱した理論で、「人はは互いに資源を交換し合っており、互いに貸借のバランスをとるように行動する」とする理論です。
3 集合行動論
これはスメルサーが提唱した理論で、社会システム論と価値付加プロセス論を導入することで、その発生から収束までを体系的に分析できるようにしました。
4 象徴的相互作用論
これはブルーマーなどが提唱した理論で、人間は物事に何らかの意味や象徴を付与し、それに則して行動するという理論です。
5 主意主義的行為論
これが正解です。
パーソンズは、ウェーバーやデュルケムらの行為理論の欠点を補い、観察可能な科学理論として体系化することを目指しました。
人間には自発性があり、それが行為の過程で取捨選択され目的合理的な選択意志として発現するという考え方を主意主義といいます。
ということで、この問題は「①学習したから解ける問題」で、正解できました。
問題20
次のうち、「囚人のジレンマ」に関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 合理的な仕組みに対して過剰な執着を持つ状況を指す。
2 一定期間、閉鎖的・画一的に管理された場所で生活する状況を指す。
3 協力し合うことが互いの利益になるにもかかわらず、非協力への個人的誘因が存在する状況を指す。
4 二つの矛盾した命令を受けているため、そのいずれも選択することができない状況を指す。
5 非協力的行動を行うと罰を受け、協力的行動を行うと報酬を得ることで、協力的行動が促される状況を指す。
囚人のジレンマとは、以下のような例です。
同じ罪で共犯のAとBについて、以下のような司法取引を持ち掛ける。
自白すれば無罪放免、ただしそれはもう一方が黙秘していた場合。もし、もう一方も自白すれば両者とも懲役5年。
黙秘すれば懲役2年、ただしそれはもう一方も黙秘していた場合。もし、もう一方が自白していれば懲役10年。
自白するか黙秘するか?
この場合、両者が黙秘して両者とも懲役2年となるのが最も良い選択肢となるのですが、実際は両者は自白してしまい、両者とも懲役5年となってしまうというのが囚人のジレンマです。
例えばAの考えとして、自分が自白すれば無罪か懲役5年、自分が黙秘すれば懲役2年か懲役10年。
となると、Aは自白した方が良さそうと考えても不思議ではありません。
しかし、Bも同じことを考えるはずなのでBも自白して、結局両者が懲役5年になってしまいます。
でもよくよく考えると、お互い相手の協力が得られるはずという考えに立てば、両者が黙秘をして両者が懲役2年になるのが最も良い解答になるはずなんです。
これが囚人のジレンマです。
ということで選択肢を見てみると、選択肢3が正解ですね。
ということで、この問題は「①学習したから解ける問題」で、正解できました。
問題21
社会問題は、ある状態を解決されるべき問題とみなす人々のクレイム申立てとそれに対する反応を通じて作り出されるという捉え方がある。このことを示す用語として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 社会統制論
2 緊張理論
3 文化学習理論
4 構築主義
5 ラベリング論
この問題は、私はわかりませんでした。
唯一、選択肢5が消去できたくらいで、あとは当てずっぽうで選択肢1を選んで間違えました。
社会統制論:犯罪が生まれるのは社会統制が弱いからと考える理論です。
緊張理論:犯罪が生まれるのは社会が人々に強いる緊張や欲求不満が原因と考える理論です。
文化学習理論:犯罪が生まれるのは犯罪集団などへの参加等によって犯罪文化を学習するためと考える理論です。
構築主義:問題文にあるとおりです。これが正解です。
ラベリング理論:犯罪が発生するのは「逸脱者」というラベルを貼られた人がその期待に応えて逸脱していくからと考える理論です。
この問題は「②学習したから選択肢が絞れる問題」で、私は間違えました。
まとめ
種類 | 問題数 |
---|---|
①学習したから解ける問題(最良問) | 2 |
②学習したから選択肢が絞れる問題(良問) | 2 |
③学習しなくても解ける問題(易問) | 2 |
④学習しても解けない問題(難問) | 1 |
私の点数:5点/7点満点
この分野は、直系家族、主意主義的行為論、構築主義など用語の意味を知っていれば解ける問題が多かったですね。
浅く広く学習すべき分野です。
現代社会と福祉
問題22
社会福祉法の内容に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 福祉サービス利用援助事業は、第一種社会福祉事業である。
2 市町村は、地方社会福祉審議会を設置しなければならない。
3 市町村は、社会福祉事業等に従事する者の確保に関する基本指針を定めなければならない。
4 都道府県は、都道府県地域福祉支援計画を策定しなければならない。
5 共同募金は、都道府県を単位として毎年1回実施される。
1 福祉サービス利用援助事業は、第一種社会福祉事業である。
福祉サービス利用援助事業は第二種社会福祉事業です。
第一種社会福祉事業は主に入所系の重要な事業が多いので、福祉サービス利用援助事業が第一種社会福祉事業でないことはすぐにピンときます。
2 市町村は、地方社会福祉審議会を設置しなければならない。
このような義務規定はありません。もしこの審議会に設置義務があるなら、一度は勉強の過程で出てきたはず、なのに、こんな内容聞いたことないから間違いでしょう、このように考えました。
3 市町村は、社会福祉事業等に従事する者の確保に関する基本指針を定めなければならない。
このような義務規定はありません。
4 都道府県は、都道府県地域福祉支援計画を策定しなければならない。
地域福祉支援計画は2020年現在で努力義務です。
5 共同募金は、都道府県を単位として毎年1回実施される。
これがズバリ正解であることがわからなければ勉強不足です。
受験生にとって基本中の基本です。
社会福祉法には、社会福祉法人、社会福祉事業、社会福祉協議会など重要な内容が多いですが、1つだけ毛色の違う内容として共同募金について規定されています。
共同募金は時々出題されて、しかも覚えやすいので、正確に確実に覚えておきましょう。
ということで、この問題は「①学習したから解ける問題」で、私は正解できました。
問題23
「ニッポン一億総活躍プラン」(2016年(平成28年)6月閣議決定)の内容に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 地域資源の活用や自然環境を活用した第4次産業革命を実現すべきとした。
2 一億総活躍社会を実現するのは、次世代の役割であるとした。
3 地方創生は、一億総活躍社会を実現する上で最も緊急度の高い取組の一つであるとした。
4 一億総活躍社会は、政府に頼らず社会の側の責任において実現すべきとした。
5 「成長」か「分配」かという論争に終止符を打ち、「成長」に重点を置いた施策を推進するとした。
選択肢2、選択肢4、選択肢5については明らかに間違っていると思えますね。
選択肢1の第4次産業革命というのもおかしな気がします。
選択肢3が正解っぽいなと普通に考えれば思えます。
試験中は選択肢1と選択肢3で迷いましたが、選択肢3を選んで正解でした。
ということで、「③学習しなくても解ける問題(易問)」です。
問題24
1950年代から1970年代にかけての社会福祉の理論に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 木田徹郎は、社会事業を、資本主義の維持という側面から、賃金労働の再生産機構における「社会的問題」の緩和・解決の一形式と捉えた。
2 三浦文夫は、政策範疇(はんちゅう)としての社会福祉へのアプローチの方法として、ニード論や供給体制論を展開した。
3 岡村重夫は、生活権を起点に据えた実践論・運動論を組み入れた社会福祉学が総合的に体系化されなければならないと論じた。
4 孝橋正一は、社会福祉の固有の機能を、個人とそれを取り巻く環境との間の不均衡を調整し、環境への適応を促すことと論じた。
5 一番ケ瀬康子は、政策論よりも援助技術論を重視すべきと論じた。
この問題はパッと見て難しそうな印象を受けますが、正解がズバリ選べる問題で、私は正解以外の選択肢は全くわかりませんでしたが、正解できました。皆が苦手な岡村重夫もでています。岡村重夫は「地域住民の主体性」だけでは乗り越えられなくなってきました。岡村重夫は2001年になくなっていますが、まさか自分が死んでから社会福祉士受験生を苦しめることになろうとは想像もしていなかったでしょう。
見ていきましょう。
1 木田徹郎は、社会事業を、資本主義の維持という側面から、賃金労働の再生産機構における「社会的問題」の緩和・解決の一形式と捉えた。
これは木田徹郎ではなく孝橋正一の記述です。
2 三浦文夫は、政策範疇(はんちゅう)としての社会福祉へのアプローチの方法として、ニード論や供給体制論を展開した。
三浦文夫と言えば、貨幣的ニードと非貨幣的ニードですね。これは受験生にとって常識です。
なのでこの選択肢は正解の有力候補なんですが、供給体制論というのが三浦文夫なのかどうかで迷います。
ただ、他の選択肢がほぼ分からなかったので私はこの選択肢を選びました。
結局、これが正解でした。
3 岡村重夫は、生活権を起点に据えた実践論・運動論を組み入れた社会福祉学が総合的に体系化されなければならないと論じた。
これは一番ケ瀬康子の内容です。
一番ケ瀬康子や真田是は「運動論」がキーワードです。
4 孝橋正一は、社会福祉の固有の機能を、個人とそれを取り巻く環境との間の不均衡調整し、環境への適応を促すことと論じた。
これは岡村重夫の内容です。キーワードや特徴がないので、この文章をもう一度見ても岡村重夫と思えないでしょう。
5 一番ケ瀬康子は、政策論よりも援助技術論を重視すべきと論じた。
政策論は孝橋正一、技術論は岡村重夫です。
ということで、この問題は「①学習したから解ける問題」で、私は正解できました。
問題25
「ベヴァリッジ報告」に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 福祉サービスの供給主体を多元化し、民間非営利団体を積極的に活用するように勧告した。
2 従来の社会民主主義とも新自由主義とも異なる「第三の道」路線を選択するように勧告した。
3 ソーシャルワーカーの養成・研修コースを開設して、専門性を高めるように勧告した。
4 衛生・安全、労働時間、賃金、教育で構成されるナショナル・ミニマムという考え方を示した。
5 社会保障計画は、社会保険、国民扶助、任意保険という三つの方法で構成されるという考え方を示した。
この問題はベヴァリッジ報告の詳しい内容を問う難問です。
ベヴァリッジ報告といえばナショナル・ミニマムというキーワードが浮かびますが、選択肢4が正しいかどうかはすぐには分かりません。
というか、結局難しすぎて、選択肢4を選ばざるを得ない状況でした。
1 福祉サービスの供給主体を多元化し、民間非営利団体を積極的に活用するように勧告した。
福祉多元主義といえばグリフィス報告ですのでこの選択肢は消去できます。
この選択肢を見た段階で、おそらくこの問題はイギリスの報告書に関する内容になっているのではないかと想像します。
2 従来の社会民主主義とも新自由主義とも異なる「第三の道」路線を選択するように勧告した。
第三の道といえばブレア政権のギデンズですのでこの選択肢も消去できます。
3 ソーシャルワーカーの養成・研修コースを開設して、専門性を高めるように勧告した。
これは、1959年のヤングハズバンド報告の内容のようですが、これはわかりませんでした。
4 衛生・安全、労働時間、賃金、教育で構成されるナショナル・ミニマムという考え方を示した。
ナショナル・ミニマムはイギリスのウェッブ夫妻が提唱しましたが、ベヴァリッジ報告にも影響を与えています。
ナショナル・ミニマムというのは国が保障する最低限度の生活のことですから、「衛生・安全、労働時間、賃金、教育で構成される」というのは変ですよね。
5 社会保障計画は、社会保険、国民扶助、任意保険という三つの方法で構成されるという考え方を示した。
これが正解です。
ただ、ここまで知っていた受験生はほぼいないのではないでしょうか。
ということで、この問題は「④学習しても解けない問題(難問)」で、私は間違えてしまいました。
問題26
1973年(昭和48年)の「福祉元年」に実施した福祉政策に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 年金の給付水準を調整するために物価スライド制を導入した。
2 標準報酬の再評価を行い、厚生年金では「9万円年金」を実現した。
3 被用者保険における家族療養費制度を導入した。
4 老人医療費支給制度を実施して、60歳以上の医療費を無料にした。
5 老人家庭奉仕員派遣事業が法定化された。
福祉元年に実施された政策は以下の3つを覚えなければなりません。
・高額療養費制度の導入
・年金の物価スライド制の導入
医療費無料化は70歳以上であることに注意です。「老人の医療費無料化」とだけ覚えていると選択肢4で悩んでしまいます。
ということで、正解は選択肢1です。
因みに、選択肢5の「老人家庭奉仕員派遣事業」というのはホームヘルプサービスのことで、1963年に制定された老人福祉法で規定されています。
実は私は恥ずかしいことに選択肢5を選んでしまいました。
ということで、この問題は「①学習したから解ける問題」で、私は不正解でした。
問題27
「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」(2018年(平成30年)12月、外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議決定)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 地域における外国人の活躍と共生社会の実現を図る地方公共団体の主体的で先導的な取組のために、社会福祉法人からの寄付金を募る。
2 災害時に避難所等にいる外国人被災者への情報伝達を支援する「災害時外国人支援情報コーディネーター」の養成研修を実施する。
3 外国人への行政・生活情報の提供において、個人情報保護の観点からソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の利用は極力避ける。
4 公営住宅法に基づき、外国人を含む住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録や住宅情報の提供、住居支援等を促進する。
5 外国人への情報提供及び相談を行う一元的な窓口として、厚生労働省の地方更生局に「多文化共生総合相談ワンストップセンター(仮)」を設置する。
この問題は私は全くわからず、常識的に消去できた選択肢は3くらいでした。
「SNSの活用を極力避ける」というのは明らかにおかしいです。
正解は選択肢2なのですが、それ以外の選択肢もそれらしく作ってあるので、知識がないと解けません。
「災害時外国人支援情報コーディネーターの養成研修」については総務省のHPに案内が出ていますので興味のある方は見てみてください。
ということで、この問題は「④学習しても解けない問題(難問)」で、私は間違えました。
問題28
国際連合が掲げている「持続可能な開発目標」(SDGs)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 2000年に制定されたミレニアム開発目標(MDGs)の目標を破棄し、それに代わる目標を掲げている。
2 経済成長、社会的包摂、人口増加抑制策の調和が、持続可能な開発を達成するために求められている。
3 持続可能な開発の達成には、政府の手を借りることなく民間セクターによる行動が必要とされている。
4 貧困に終止符を打つとともに、気候変動や環境保護への取組も求めている。
5 目標実現に向けた進捗状況のフォローアップと審査の責任は国際連合にあるとし、独立した国際的専門機関を設置している。
(注)「持続可能な開発目標」(SDGs)とは、2015年の国際連合総会において採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」において掲げられた目標である。
前問に続いて、この問題も難問・奇問のたぐいです。
SDGsについて学習していた受験生はあまりいかなったでしょう。
この問題も、常識的に消去できるのは選択肢3くらいです。
選択肢3の「政府の手を借りることなく」は明らかにおかしいですね。
私は選択肢2を選びましたが、正解は選択肢4でした。
SDGsでは、持続可能な開発のために「経済成長」「社会的包摂」「環境保全」の調和が欠かせないとされています。
選択肢2にある「人口増加抑制策」は間違いです。
ということで、この問題も「④学習しても解けない問題(難問)」で、私は不正解でした。
問題29
社会福祉法の改正(2016年(平成28年))において明記された、社会福祉法人の「地域における公益的な取組」に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 重点目標として、孤立防止の見守り活動の実施が義務づけられている。
2 法人の理事会に、「地域における公益的な取組」を担当する理事を置くことが義務づけられている。
3 地域社会への貢献を、社会福祉法人の新たな役割として明確化した。
4 日常生活又は社会生活上の支援を必要とする者に対して、無料又は低額な料金で、福祉サービスを積極的に提供するよう努めなければならない。
5 行政が主体となって実施する事業を代替することも含まれている。
2016年の社会福祉法改正では、社会福祉法人に「地域における公益的な取組」の責務規定が創設されました。
この問題は、私は選択肢3を選びましたが、正解は選択肢4でした。
1 重点目標として、孤立防止の見守り活動の実施が義務づけられている。
これは義務ではありません。孤立防止の見守り活動が義務というのは変ですね。
2 法人の理事会に、「地域における公益的な取組」を担当する理事を置くことが義務づけられている。
これも、そのような義務は規定されていません。
3 地域社会への貢献を、社会福祉法人の新たな役割として明確化した。
間違いです。私はこれが正解だと思いましたが、「新たな」というのが間違いでしょうか。
つまり以前から地域社会への貢献は、社会福祉法人の役割であったと。
4 日常生活又は社会生活上の支援を必要とする者に対して、無料又は低額な料金で、福祉サービスを積極的に提供するよう努めなければならない。
正しいです。法律の文言には、そのままこの文章が掲載されています。
5 行政が主体となって実施する事業を代替することも含まれている。
このような内容はありません。
社会福祉法人は社会福祉事業を行うことが主な役割ですので行政が主体となって実施する事業を代替することはありません。
因みに社会福祉法は2021年にも改正され市町村の相談体制が強化されます。
この問題は判断が難しいですが、「④学習しても解けない問題(難問)」、私は間違えました。
問題30
文部科学省の「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する基本指針」(2017年(平成29年))で示された不登校児童生徒への支援に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
1 不登校児童生徒が学校へ登校するという結果を第一の目標としている。
2 不登校児童生徒の意思を十分に尊重し、その状況によっては休養が必要な場合があることに留意する。
3 不登校児童生徒の実態に配慮した教育を実施する「特例校」の設置を促進している。
4 不登校児童生徒や保護者のプライバシーの保護に配慮して、学校や教育委員会による家庭訪問は控える。
5 「チーム学校」体制の整備を、スクールソーシャルワーカーのリーダーシップの下で推進する。
「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する基本指針」など読んだことのない受験生が多かったと思いますが、この問題は易しかったです。
1 不登校児童生徒が学校へ登校するという結果を第一の目標としている。
不登校児に対して学校へ登校することを第一の目標にするのはいけませんね。
2 不登校児童生徒の意思を十分に尊重し、その状況によっては休養が必要な場合があることに留意する。
これは正しいです。
3 不登校児童生徒の実態に配慮した教育を実施する「特例校」の設置を促進している。
これは保留。
4 不登校児童生徒や保護者のプライバシーの保護に配慮して、学校や教育委員会による家庭訪問は控える。
プライバシーに配慮して家庭訪問を控えるというのはおかしいです。
5 「チーム学校」体制の整備を、スクールソーシャルワーカーのリーダーシップの下で推進する。
スクールソーシャルワーカーのリーダーシップの下でというのはおかしいです。
ということで、保留にしていた選択肢3と明らかに正しい選択肢2が正解です。
ということで、「③学習しなくても解ける問題(易問)」で、正解できました。
問題31
社会保障審議会福祉部会に設置された福祉人材確保専門委員会の「ソーシャルワーク専門職である社会福祉士に求められる役割等について」(2018年(平成30年))に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 社会福祉士には、地域課題の解決の拠点となる場づくり、ネットワーキングなどを通じて、地域住民の活動支援を行うことが求められている。
2 地域住民が主体的に地域課題を把握して解決を試みている場合は、社会福祉士はそれを見守ることに専念する。
3 地域課題の解決に必要な新たな社会資源の創出は、社会福祉士の専権的な職務である。
4 地域で表出されにくいニーズの発見は、民生委員に一任する。
5 社会福祉士は、地元の商店や営利企業との連携を控えることとされている。
この問題も前問のように「ソーシャルワーク専門職である社会福祉士に求められる役割等について」を読んだことがなくても解ける易しい問題です。
1 社会福祉士には、地域課題の解決の拠点となる場づくり、ネットワーキングなどを通じて、地域住民の活動支援を行うことが求められている。
これは正しいようなので保留にしました。
2 地域住民が主体的に地域課題を把握して解決を試みている場合は、社会福祉士はそれを見守ることに専念する。
「社会福祉士は見守ることに専念する」というのはおかしいです。
3 地域課題の解決に必要な新たな社会資源の創出は、社会福祉士の専権的な職務である。
「社会資源の創出は、社会福祉士の専権的な職務」ではありません。これも常識的に考えてわかります。
4 地域で表出されにくいニーズの発見は、民生委員に一任する。
これも明らかにおかしいです。
5 社会福祉士は、地元の商店や営利企業との連携を控えることとされている。
これも明らかにおかしいです。
この問題が正解できなかった受験生はいるのでしょうか。
それくらい問題として意味のない内容になっていると思います。
ということで、「③学習しなくても解ける問題(易問)」で、正解できました。
まとめ
種類 | 問題数 |
---|---|
①学習したから解ける問題(最良問) | 3 |
②学習したから選択肢が絞れる問題(良問) | 0 |
③学習しなくても解ける問題(易問) | 3 |
④学習しても解けない問題(難問) | 4 |
私の点数:5点/10点満点
この分野は、試験にふさわしくない易問や難問が多かったです。
見たこともないような報告書の内容を問う問題などもいくつかありましたが、結局常識的に考えて解けるような易問が混ざっていて、しかも10問もあるのでゼロ点を取ってしまう心配はないでしょうが。
私は福祉元年の政策など、間違ってはいけない問題を間違ってしまい、他の難問奇問もことごとく間違ってしまったのですが、なんとか半分は正解することができました。
地域福祉の理論と方法
問題32
日本の地域福祉の歴史に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 隣保館は、日露戦争を契機として国による一元的な管理体制に移行した。
2 中央慈善協会は、全国の主要な都市で展開されていたセツルメント運動の組織化を図ることを目的として設立された。
3 共同募金会は、関東大震災によって被災した人々を援助するために、政府の呼び掛けによって設立された。
4 方面委員制度は、岡山県で発足した済世顧問制度を始まりとし、後に方面委員令により全国的な制度として普及した。
5 市町村社会福祉協議会は、戦後間もなく、社会福祉事業法の制定時に法制化された。
1 隣保館は、日露戦争を契機として国による一元的な管理体制に移行した。
これはわからず保留にしました。
隣保館は日本の公営セツルメント施設のようなものですが、日露戦争を契機に国による一元的な管理体制に移行したのかどうか。
隣保館活動はセツルメントの影響を受け、明治後期にスラム地区対策として民間の社会事業家によって設置されたことに始まります。
隣保事業の法制化がなされたのは1958年の社会福祉事業法の改正で、現在は社会福祉法の第2種社会福祉事業として規定されています。
2 中央慈善協会は、全国の主要な都市で展開されていたセツルメント運動の組織化を図ることを目的として設立された。
中央慈善協会は社会福祉協議会の前身で、セツルメント運動の組織化が目的で設立されたのではありません。
慈善活動に関する調査の実施や、慈善活動を行っている団体間の連絡調整などを行うことを目的として、1908年(明治41年)に設立されました。
3 共同募金会は、関東大震災によって被災した人々を援助するために、政府の呼び掛けによって設立された。
共同募金運動は、1947年に「国民たすけあい運動」として始まりました。
関東大震災は1923年ですから全く時代が違います。
4 方面委員制度は、岡山県で発足した済世顧問制度を始まりとし、後に方面委員令により全国的な制度として普及した。
これがズバリ正解です。
これが正しいと思えなければ勉強不足です。
5 市町村社会福祉協議会は、戦後間もなく、社会福祉事業法の制定時に法制化された。
1951年の社会福祉事業法制定時に法定化されたのは都道府県社会福祉協議会で、市町村社会福祉協議会は法定化されたのは1983年の社会福祉事業法改正の時でした。
この問題はズバリ選択肢4が選べなくてはいけません。
他の選択肢でも1以外は消去したい問題です。
ということで、この問題は「①学習したから解ける問題(最良問)」で、正解できました。
問題33
地域福祉における住民の参加を促進する仕組みや制度に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1 1960年代に徳島県社会福祉協議会等に設置された善意銀行は、住民が支援を必要とする個人・団体に対して労力・技術・金品等を提供した場合に、銀行が費用を助成する仕組みである。
2 1970年代に開始された学童・生徒のボランティア活動普及事業は、学童・生徒のボランティア活動の促進を目的として、全国全ての公立小・中学校に助成を行う事業である。
3 1980年代以降、全国に広がった住民参加型在宅福祉サービスは、有償性・非営利性・会員制を主な特徴とし、地域で支援を必要とする人々に対して家事援助・外出支援等のサービスを提供する活動である。
4 1990年代に全国で実施されたふれあいのまちづくり事業は、障害者等の社会参加を保障することを目的として、市町村が公共施設などにおけるバリアフリー化を促進するための事業である。
5 2000年代に道路運送法の改正により法制化された福祉有償運送は、社会福祉施設が所有する福祉車両を要援護者等に有償で貸し出す仕組みである。
この問題は全く分かりませんでした。
当てずっぽうで選択肢4にしましたが、正解は選択肢3でした。
1 1960年代に徳島県社会福祉協議会等に設置された善意銀行は、住民が支援を必要とする個人・団体に対して労力・技術・金品等を提供した場合に、銀行が費用を助成する仕組みである。
間違いです。
善意銀行というのは寄付を受け付けて、寄附を受けたい個人や福祉施設などに分配する仲介役です。
2 1970年代に開始された学童・生徒のボランティア活動普及事業は、学童・生徒のボランティア活動の促進を目的として、全国全ての公立小・中学校に助成を行う事業である。
間違いです。
全国全ての公立小中学校ではなく、指定を受けた公立小中学校が助成を受ける事業です。
3 1980年代以降、全国に広がった住民参加型在宅福祉サービスは、有償性・非営利性・会員制を主な特徴とし、地域で支援を必要とする人々に対して家事援助・外出支援等のサービスを提供する活動である。
これが正解です。
4 1990年代に全国で実施されたふれあいのまちづくり事業は、障害者等の社会参加を保障することを目的として、市町村が公共施設などにおけるバリアフリー化を促進するための事業である。
間違いです。
ふれあいのまちづくり事業は、対象は障害者だけでなく高齢者や児童に対して地域の状況に即した福祉サービスを提供し、主体的な活動ができるよう体制整備を図ることを目的とした、市町村社会福祉協議会が実施している事業です。
5 2000年代に道路運送法の改正により法制化された福祉有償運送は、社会福祉施設が所有する福祉車両を要援護者等に有償で貸し出す仕組みである。
間違いです。
要介護者や身体障害者に対して車を貸し出すのではなく個別に輸送するサービスです。
ということで、この問題は「④学習しても解けない問題(難問)」で、間違えました。
こんな問題解けません。
問題34
事例を読んで、B福祉活動専門員がC民生委員に提案することとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
[事例]
社会福祉協議会のB福祉活動専門員に、C民生委員から、担当地域で80代の父親と、ひきこもりがちと思われる50代の息子が暮らす世帯があるが、どのように関わってよいか分からないという相談があった。雨戸が閉まっていることが多く、息子は就労しているかどうか分からない状態であり、訪問した際には息子から、「困っていることはない」というドア越しの応対のみで、父親にも会うことができなかったという。
1 親子どちらも支援を求めていないため、C民生委員は世帯への関わりを控える。
2 世帯の状況を把握するために、C民生委員と一緒に自宅を訪問する。
3 C民生委員は父親の問題に焦点を当て、息子には関わらない。
4 C民生委員が中心となって、ひきこもりの人とその家族の集いの場を設ける。
5 複合的な課題を抱えた世帯の問題は、生活困窮者自立支援制度の自立相談支援事業の窓口に対応を任せる。
この問題は易しすぎて間違うことはできません。
選択肢2以外に選べません。
ということで、「③学習しなくても解ける問題(易問)」で、正解できました。
問題35
ボランティア活動について各法律で規定されている事項に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 災害対策基本法では、ボランティアによる防災活動が災害時において果たす役割が重要であることから、国及び地方公共団体は、その自主性を尊重しつつ、ボランティアとの連携に努めなければならないとされている。
2 社会福祉法では、市町村社会福祉協議会が、ボランティアコーディネーターを配置しなければならないとされている。
3 学校教育法では、全ての小中学校でボランティア活動など社会奉仕体験活動を実施しなければならないとされている。
4 特定非営利活動促進法では、特定非営利活動法人の役員は、無償のボランティアでなければ就任できないとされている。
5 社会福祉法では、災害救助法が適用される災害が発生した場合、都道府県共同募金会は、当該都道府県の区域内に限って災害ボランティアセンターの経費に準備金を拠出しなければならないとされている。
この問題も癖のある問題ですが、私は消去法で正解にたどり着けました。
1 災害対策基本法では、ボランティアによる防災活動が災害時において果たす役割が重要であることから、国及び地方公共団体は、その自主性を尊重しつつ、ボランティアとの連携に努めなければならないとされている。
なんとなく正解っぽいと思いながら一応保留にしておきます。
2 社会福祉法では、市町村社会福祉協議会が、ボランティアコーディネーターを配置しなければならないとされている。
社会福祉協議会についてはしっかり学習している人が多いと思いますが、このような義務規定を聞いたことないと思った人が多かったのではないでしょうか。
たいていの場合、その選択肢は間違っていますし、実際間違いでした。
3 学校教育法では、全ての小中学校でボランティア活動など社会奉仕体験活動を実施しなければならないとされている。
小中学校でボランティア活動の義務規定があるのは聞いたことがありません。
ボランティアなのに義務化するのは変です。
4 特定非営利活動促進法では、特定非営利活動法人の役員は、無償のボランティアでなければ就任できないとされている。
NPO法人について学習していてこのような規定は記憶にありませんね。
だからこの選択肢も消去です。
5 社会福祉法では、災害救助法が適用される災害が発生した場合、都道府県共同募金会は、当該都道府県の区域内に限って災害ボランティアセンターの経費に準備金を拠出しなければならないとされている。
社会福祉法も共同募金もどちらも学習しましたが、このような義務規定は聞いたことがありませんので消去です。
実際、間違いです。
ということで、消去していって残った選択肢1が正解です。
これは、「②学習したから選択肢が絞れる問題(良問)」で、正解できました。
問題36
社会福祉法に規定されている地域福祉に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 地域住民等は、地域生活課題の解決に資する支援が包括的に提供される体制の整備に努めなければならない。
2 市町村は、市町村地域福祉計画を市町村社会福祉協議会が策定する地域福祉活動計画と一体的に策定しなければならない。
3 都道府県は、福祉サービスを必要とする地域住民の地域生活課題を把握し、支援関係機関と連携して解決を図るよう留意しなければならない。
4 社会福祉を目的とする事業を経営する者は、地域福祉の推進に係る取組を行う他の地域住民等に助言と指導を行わなければならない。
5 国及び地方公共団体は、地域福祉の推進のために必要な各般の措置を講ずるよう努めなければならない。
この問題も難しめの問題ですが、私は正解できました。
1 地域住民等は、地域生活課題の解決に資する支援が包括的に提供される体制の整備に努めなければならない。
地域住民に対してこのように求めるのは変な感じもしますが、一応保留に。
2 市町村は、市町村地域福祉計画を市町村社会福祉協議会が策定する地域福祉活動計画と一体的に策定しなければならない。
市町村地域福祉計画も地域福祉活動計画も作成義務はないことは受験生にとっては常識です。
なので消去できます。
3 都道府県は、福祉サービスを必要とする地域住民の地域生活課題を把握し、支援関係機関と連携して解決を図るよう留意しなければならない。
地域住民の生活課題を把握するのは、都道府県ではなく市町村でしょう。
これも消去できます。
4 社会福祉を目的とする事業を経営する者は、地域福祉の推進に係る取組を行う他の地域住民等に助言と指導を行わなければならない。
地域住民に助言と指導をするというのは変ですね。協力や連携が妥当でしょう。
ということでこの選択肢も消去できます。
5 国及び地方公共団体は、地域福祉の推進のために必要な各般の措置を講ずるよう努めなければならない。
これが正解です。
この選択肢が間違っているようには見えません。
ということでこれは、「②学習したから選択肢が絞れる問題(良問)」で、正解できました。
問題37
市町村社会福祉協議会に関して、社会福祉法に規定されている次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 福祉サービスの苦情を解決するための運営適正化委員会を設置する。
2 生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)を配置し、制度では対応できないニーズに対応する。
3 役員の総数の3分の1を関係行政庁の職員で構成しなければならない。
4 第一種社会福祉事業の経営に関する指導及び助言を行う。
5 市町村の区域内における社会福祉事業又は更生保護事業を経営する者の過半数が参加する。
この問題は確実に正解できなければなりません。
1 福祉サービスの苦情を解決するための運営適正化委員会を設置する。
間違いです。運営適正化委員会の設置は都道府県社会福祉協議会です。
必ず覚えましょう。
2 生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)を配置し、制度では対応できないニーズに対応する。
生活支援コーディネーターは地域において生活支援・介護予防サービスの提供体制の構築に向けたコーディネートを行いますが、配置されるのは市町村役場や地域包括支援センターなどです。市町村から委託されて社会福祉法人に配置される事もあるようですが、社会福祉法に規定されているわけではありません。
3 役員の総数の3分の1を関係行政庁の職員で構成しなければならない。
そんな規定はありません。
4 第一種社会福祉事業の経営に関する指導及び助言を行う。
こんな大きな権限が、民間の社会福祉協議会にあるはずはありません。
5 市町村の区域内における社会福祉事業又は更生保護事業を経営する者の過半数が参加する。
これがズバリ正解です。この内容は覚えていなくてはなりません。
ということで、この問題は「①学習したから解ける問題(最良問)」で、正解できました。
問題38
民生委員・児童委員についての法律上の規定に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 民生委員は、市町村内の小学校区ごとに1名配置する。
2 主任児童委員は、児童虐待の早期発見と介入のため児童相談所に配属される。
3 民生委員協議会は、民生委員の職務上必要があるときに関係各庁に意見することができる。
4 民生委員は、職務上知り得た特定の要援護者個人の情報を広く地域住民と共有してもよい。
5 民生委員は、その職務に関して市町村長の指揮監督を受ける。
この問題も民生委員の基本的な内容ばかりなので正解できなければなりません。
1 民生委員は、市町村内の小学校区ごとに1名配置する。
民生委員の配置は、市町村の区域の置くとされていて、小学校区と限定されていません。
配置人数は何世帯毎に1人と基準が示されています。
2 主任児童委員は、児童虐待の早期発見と介入のため児童相談所に配属される。
主任児童委員は、児童委員の中から選ばれて児童相談所などの関係機関と連絡調整しますが、児童相談所に配置されるわけではありません。
3 民生委員協議会は、民生委員の職務上必要があるときに関係各庁に意見することができる。
これがズバリ正解です。
4 民生委員は、職務上知り得た特定の要援護者個人の情報を広く地域住民と共有してもよい。
これは明らかに間違いです。
5 民生委員は、その職務に関して市町村長の指揮監督を受ける。
民生委員は都道府県知事に指揮監督を受けるので間違いです。超基本です。
ということで、この問題は「①学習したから解ける問題(最良問)」で、正解できました。
問題39
地域福祉推進のための財源に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 厚生労働省の「これからの地域福祉のあり方に関する研究会」報告書(2008年(平成20年))では、住民の地域福祉活動の資金は原則として公的財源によるとされている。
2 厚生労働省の「地域力強化検討会最終とりまとめ」(2017年(平成29年))では、地域の課題を地域で解決していく財源として、クラウドファンディングやSIB(Social Impact Bond)等を取り入れていくことも有効であるとされている。
3 社会福祉法の改正(2016年(平成28年))では、社会福祉法人は、収入の一定割合を地域における公益的な取組の実施に充てなければならないとされた。
4 「平成29年度特定非営利活動法人に関する実態調査」(内閣府)によれば、NPO法人の収入は、「会費」、「寄付金」が大半を占めている。
5 共同募金実績額の推移をみると、年間の募金総額(一般募金と歳末助けあい募金の合計)は、1995年(平成7年)から2017年(平成29年)までの約20年間、一貫して増加している。
この問題は選択肢2と3で迷いますが、私は選択肢2を選んで正解できました。
1 厚生労働省の「これからの地域福祉のあり方に関する研究会」報告書(2008年(平成20年))では、住民の地域福祉活動の資金は原則として公的財源によるとされている。
地域福祉活動の資金が公的財源というのはおかしいです。
2 厚生労働省の「地域力強化検討会最終とりまとめ」(2017年(平成29年))では、地域の課題を地域で解決していく財源として、クラウドファンディングやSIB(Social Impact Bond)等を取り入れていくことも有効であるとされている。
これは正解っぽい書き方になっていて、実際正解です。
3 社会福祉法の改正(2016年(平成28年))では、社会福祉法人は、収入の一定割合を地域における公益的な取組の実施に充てなければならないとされた。
2016年の社会福祉法改正で、社会福祉法人の地域における公益的な取組の責務規定が創設されました。
なのでこの選択肢が正解に思えそうですが、「収入の一定割合を地域における公益的な取組の実施に充てなければならない」というのとは少し違いますね。
4 「平成29年度特定非営利活動法人に関する実態調査」(内閣府)によれば、NPO法人の収入は、「会費」、「寄付金」が大半を占めている。
NPO法人の収入は「事業収益」が大半を占めています。
これは受験生なら覚えておかなければなりません。
5 共同募金実績額の推移をみると、年間の募金総額(一般募金と歳末助けあい募金の合計)は、1995年(平成7年)から2017年(平成29年)までの約20年間、一貫して増加している。
20年間一貫して増加しているというのは、そんなはずないと思いますよね。
実際間違っています。
ということでこれは、「②学習したから選択肢が絞れる問題(良問)」で、私は正解できました。
問題40
社会福祉協議会が地域において行う福祉調査や分析活動に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
1 災害時要援護者のニーズを視覚的に把握するために、デジタル地図の上に様々な情報を表示するGIS(地理情報システム)を用いた。
2 実際に虐待のおそれのある個別事例の検討会を、当該小地域における住民懇談会で実施した。
3 高齢者の訪問介護サービスに関するニーズの総量を具体的に推計するために、福祉総合相談窓口の担当者に聞き取り調査を行った。
4 障害のある当事者のニーズを把握するため、フォーカスグループインタビューを行った。
5 在宅で暮らす後期高齢者のニーズの全体像を把握するために、高齢者個人へのアンケート調査の回答フォームを社会福祉協議会のホームページ上に設置し、調査を実施した。
この問題は「社会福祉協議会が実施すべきかどうか」を問う問題のように思ってしまいますが、そうではなく、単に選択肢の内容が適切かどうかだけを見ていけばよいということが、解きながらわかってきます。
1 災害時要援護者のニーズを視覚的に把握するために、デジタル地図の上に様々な情報を表示するGIS(地理情報システム)を用いた。
これは正しいです。
2 実際に虐待のおそれのある個別事例の検討会を、当該小地域における住民懇談会で実施した。
虐待のおそれのある個別事例というプライバシーへの配慮が必要な内容を住民懇談会で実施するのは適切ではありません。
3 高齢者の訪問介護サービスに関するニーズの総量を具体的に推計するために、福祉総合相談窓口の担当者に聞き取り調査を行った。
ニーズの総量を推計するのに、窓口担当者だけに聞き取り調査を行うだけでは目的は果たせません。
アンケートなどで量的な調査が必要でしょう。
4 障害のある当事者のニーズを把握するため、フォーカスグループインタビューを行った。
フォーカスグループインタビューは特定のカテゴリーに属する人達へのインタビューなので、障害のある当事者のニーズを把握するという目的にも合致しますので、正しいです。
5 在宅で暮らす後期高齢者のニーズの全体像を把握するために、高齢者個人へのアンケート調査の回答フォームを社会福祉協議会のホームページ上に設置し、調査を実施した。
コンピューターに弱い人が多いと思われる後期高齢者へのアンケートをホームページ上で行うのは適切ではありません。
ということで、「③学習しなくても解ける問題(易問)」で、正解できました。
問題41
事例を読んで、N市社会福祉協議会の福祉活動専門員(社会福祉士)が行ったアウトカム評価として、最も適切なものを1つ選びなさい。
[事例]
N市では、近年ひきこもりに関する相談が増加する一方、具体的な支援活動が市内に不足していることが課題となっていた。そのため、ひきこもりの人やその家族に対する支援活動の拡大を目的として、N市社会福祉協議会が行政の補助金を得て、計6回の講義・見学等からなるひきこもりサポーターの養成研修を企画・実施することになった。初めての取組であることから、行政からプログラム評価の枠組みを用いて、研修のアウトカム評価を行うことが求められた。
1 ひきこもりに関する理解度を測る調査票を作成し、養成研修受講前の受講者の理解度を計測する。
2 養成研修終了後に、支援活動に取り組み始めた受講者の人数とその活動内容を把握する。
3 養成研修の実施回数及び内容が、当初企画したとおりに実施されているかを確認する。
4 養成研修終了後に、N市の市民を対象としたアンケート調査により、ひきこもりに関する市民の意識を把握する。
5 養成研修終了後に、N市内でひきこもり状態から就業に至った人数を把握し、就業による経済効果と補助金額との差を計測する。
アウトカムは「結果」という意味です。
1 ひきこもりに関する理解度を測る調査票を作成し、養成研修受講前の受講者の理解度を計測する。
結果の評価なのに、受講前の理解度を計測しても結果の評価になりません。
2 養成研修終了後に、支援活動に取り組み始めた受講者の人数とその活動内容を把握する。
これが正解ですね。研修受講後の変化を調査するのはアウトカム評価になります。
3 養成研修の実施回数及び内容が、当初企画したとおりに実施されているかを確認する。
これでは結果としてどのような効果があったのか全く分かりません。
4 養成研修終了後に、N市の市民を対象としたアンケート調査により、ひきこもりに関する市民の意識を把握する。
N市の市民全体を調査するのではなく、養成研修受講者を対象にしないとアウトカム評価になりません。
5 養成研修終了後に、N市内でひきこもり状態から就業に至った人数を把握し、就業による経済効果と補助金額との差を計測する。
この内容はもしかしたら間接的に効果を評価できるかもしれませんが、最も適切なものを選ぶとなると、選択肢2が正解でしょう。
ということで、「③学習しなくても解ける問題(易問)」で、正解できました。
まとめ
種類 | 問題数 |
---|---|
①学習したから解ける問題(最良問) | 3 |
②学習したから選択肢が絞れる問題(良問) | 3 |
③学習しなくても解ける問題(易問) | 3 |
④学習しても解けない問題(難問) | 1 |
私の点数:9点/10点満点
この分野は難問が1問だけだったので9割の得点率でした。
福祉行財政と福祉計画
問題42
地方公共団体に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 特別区を設置できるのは、都に限定されている。
2 都道府県が処理する社会福祉に関する事務は、機関委任事務である。
3 中核市の指定要件として、人口数は50万人以上と定められている。
4 広域連合は、介護保険事業に関する事務を処理できないとされている。
5 政令指定都市は、婦人相談所を設置することができる。
基本問題なのでこれは正解できなければなりません。パッと選択肢を眺めた時に、学習した内容が活きそうな問題だなーと思いました。
1 特別区を設置できるのは、都に限定されている。
これは一見正解のように思いますが、都に限定されているわけではありません。
現状では東京都にしか特別区はありませんが、人口200万人以上の指定都市などは特別区を設置することができます。
大阪都構想というのは大阪市に特別区を設置しようというもので、大阪市は人口200万人以上なので可能なわけです。
「限定されている」という表現にひっかからなければなりません。
2 都道府県が処理する社会福祉に関する事務は、機関委任事務である。
地方公共団体の事務は、昔は機関委任事務がありましたが、現在は自治事務と法定受託事務の2種類しかありません。
基本中の基本です。
3 中核市の指定要件として、人口数は50万人以上と定められている。
中核市は人口20万人以上、政令指定都市が人口50万人以上です。
4 広域連合は、介護保険事業に関する事務を処理できないとされている。
介護保険事業に関する事務は市町村ですが、広域連合も可です。
5 政令指定都市は、婦人相談所を設置することができる。
ズバリこれが正解です。
婦人相談所は、都道府県に設置義務、政令指定都市は設置できるとされています。
選択肢1を保留にしたとしても選択肢5で正解だと思えなければなりません。
ということで、この問題は「①学習したから解ける問題(最良問)」で、私は正解できました。
問題43
次の社会福祉施設等の費用のうち、法律上、国が4分の3を負担することになっているものとして、正しいものを1つ選びなさい。
1 救護施設の入所措置に要する費用
2 養護老人ホームの入所措置に要する費用
3 婦人相談所の行う一時保護に要する費用
4 母子生活支援施設の母子保護の実施に要する費用
5 児童養護施設の入所措置に要する費用
国が4分の3を負担するのは、「生活保護制度」「生活困窮者自立支援制度の必須事業」「児童扶養手当」の3つでした。
しかし選択肢にはなさそうなので、少し焦ります。
でもよく見ると、選択肢1の救護施設が生活保護制度により設けられたものであることが思い出されます。
このことに試験中に気付いた私はニヤリとしました。
ということで選択肢1が正解です。
1 救護施設の入所措置に要する費用
これが正解です。
2 養護老人ホームの入所措置に要する費用
これは全額市町村の負担です。
3 婦人相談所の行う一時保護に要する費用
これは10分の5以内とされています(売春防止法第40条)。
私は知りませんでした。
4 母子生活支援施設の母子保護の実施に要する費用
母子生活支援施設は児童福祉法で規定されている施設なので、児童福祉は国の負担2分の1でしたね。
5 児童養護施設の入所措置に要する費用
選択肢4と同じで児童福祉法で規定されている施設なので、国の負担は2分の1です。
この問題は「①学習したから解ける問題(最良問)」で、私は正解できました。
問題44
「平成31年版地方財政白書」(総務省)における民生費に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 地方公共団体の目的別歳出純計決算額のうち、民生費は教育費に次いで多い。
2 都道府県の目的別歳出では、生活保護費の割合が最も高い。
3 都道府県の性質別歳出では、扶助費の割合が最も高い。
4 市町村の目的別歳出では、児童福祉費の割合が最も高い。
5 市町村の性質別歳出では、人件費の割合が最も高い。
頻出の民生費がこの年も出題されました。
民生費というのは福祉に関する費用のことですね。
基本的な問題なので正解したいです。
1 地方公共団体の目的別歳出純計決算額のうち、民生費は教育費に次いで多い。
歳出で最も多いのは民生費だというのは受験生には常識ですので、「教育費に次いで」というのは間違いです。
因みに歳出の第二位は教育費です。都道府県と市町村に分けて見ると、以下のグラフにあるように、都道府県では教育費が最大になっています。
理由としては学校の教職員の人件費が大きいからです。市町村では圧倒的に民生費が大きいです。

2 都道府県の目的別歳出では、生活保護費の割合が最も高い。
グラフにあるように、都道府県では、1位:老人福祉費、2位:社会福祉費、3位:児童福祉費、となっていて、生活保護費は微々たるものです。
市町村では、1位:児童福祉費、2位:社会福祉費、3位:老人福祉費、となっていて、生活保護費は老人福祉費と同じくらいです。
ここで押さえておくべきは、市町村も都道府県も生活保護費は小さいということと、市町村の1位が児童福祉費ということです。
それ以外は年度によって順位が変わることがありますので覚える必要はありません。

3 都道府県の性質別歳出では、扶助費の割合が最も高い。
都道府県の性質別歳出では、グラフにあるように扶助費よりも人件費が圧倒的に大きいです。
学校の教職員の人件費が大きいためです。

4 市町村の目的別歳出では、児童福祉費の割合が最も高い。
これがズバリ正解です。受験生には常識なので、他の選択肢が分からなかったとしてもこれが選べなければなりません。
5 市町村の性質別歳出では、人件費の割合が最も高い。
都道府県と違って、市町村の場合は人件費よりも扶助費が大きくなっています。
ということで、この問題は「①学習したから解ける問題(最良問)」で、私は正解できました。
問題45
次の計画のうち、定めたとき、又は変更したときに内閣総理大臣に提出しなければならないものを1つ選びなさい。
1 都道府県介護保険事業支援計画
2 都道府県における子どもの貧困対策についての計画
3 都道府県障害福祉計画
4 都道府県老人福祉計画
5 都道府県子ども・子育て支援事業支援計画
これらの計画の中で内閣府が所管しているのは選択肢5の「子ども・子育て支援事業計画」ですのでこれが正解です。
介護保険事業計画、障害福祉計画、老人福祉計画など厚生労働省が所管です。
私は、内閣総理大臣に提出?と驚いてしまいましたが、よく考えれば解ける問題でした。
ということで、この問題は「①学習したから解ける問題(最良問)」で、私は正解できました。
問題46
次の各計画の策定を規定している法律に、計画の実績について評価を行うと明記されているものを1つ選びなさい。
1 市町村自殺対策計画
2 市町村介護保険事業計画
3 市町村障害者計画
4 市町村子ども・子育て支援事業計画
5 市町村老人福祉計画
これは難問でした。
実績の評価について、それぞれの計画で必要かどうか、そこまで学習していた人はいなかったのではないでしょうか。
私は、なんとなくこの中で最も評価が必要かなと思ったのは、選択肢2の介護保険事業計画で、実際これが正解でした。
子ども・子育て支援事業計画も評価が必要な感じがします。これは実は法律ではなく基本指針に書かれています。
障害者計画などは理念的なことが書かれているので、あまり評価は必要なさそうだなと考えました。
ということでこれは、「②学習したから選択肢が絞れる問題(良問)」で、私は正解できました。
問題47
福祉計画に関して、1990年(平成2年)の福祉関係八法改正より以前の記述として、正しいものを1つ選びなさい。
1 「エンゼルプラン」が策定された。
2 障害福祉計画が障害者自立支援法に規定された。
3 社会福祉施設緊急整備5か年計画が策定された。
4 「新ゴールドプラン」が策定された。
5 地域福祉計画が社会福祉法に規定された。
(注)1 「エンゼルプラン」とは「今後の子育て支援のための施策の基本的方向について」のことである。
(注)2 「新ゴールドプラン」とは、「新・高齢者保健福祉推進十か年戦略」のことである。
この問題も正解しなければならない問題です。
福祉年表を見れば一目瞭然ですが、一見しただけで社会福祉施設緊急整備5か年計画だけ時代が古いなぁと思えなくてはなりません。
社会福祉施設緊急整備5か年計画は高度経済成長期の1970年です。
このころは潤沢な財政にまかせて、福祉施設などが整備され、1973年の福祉元年には70歳以上の医療費無料化などの大盤振る舞いがされたのでしたね。
選択肢3が正解です。
2005年 障害者自立支援法
1970年 社会福祉施設緊急整備5か年計画
1994年 新ゴールドプラン
2000年 社会福祉法
ということで、この問題は「①学習したから解ける問題(最良問)」で、私は正解できました
問題48
第7期介護保険事業計画(2018年度(平成30年度)開始)に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 地域包括支援センターが、創設されることになった。
2 市町村が実施主体となる地域支援事業が開始された。
3 介護保険事業計画が、初めて地域包括ケア計画と位置づけられた。
4 「基本指針」において、医療法に規定される医療計画との整合性を確保することの重要性が明記された。
5 第7期の第一号被保険者の保険料が全市町村で引き上げられた。
(注)「基本方針」とは、「介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施を確保するための基本的な指針」(平成30年3月13日厚生労働省告示第57号)のことを指す。
多くの受験生は2000年以降の歴史を苦手としていて、私もここ10~20年の改革については知識が浅かったので焦りました。
この問題は2018年度の内容を問う問題で、この年は介護保険事業計画と医療計画が同期する年でした。つまりこれまでは医療計画は5年毎、介護保険事業計画は3年毎で同時改定が行われる年がなかなかやってこなかったのですが、2018年に同時作成になるのでこの機会に医療計画を6年毎の作成にして毎回同期するようにしたのです。
私はこのことにピンときたので、2018年というポイントとなる年に起こった事ということで選択肢4が正解だとわかりました。
地域包括支援センターや地域支援事業は介護保険制度ができて比較的早い時期に始まっていますから間違いだと分かります。
ということで、この問題は「①学習したから解ける問題(最良問)」です。
2006年 地域支援事業開始
2015年~第六期以降の介護保険事業計が地域包括ケア計画として位置づけ
2018年~医療計画が6年毎となり介護保険事業計画と同期
まとめ
種類 | 問題数 |
---|---|
①学習したから解ける問題(最良問) | 6 |
②学習したから選択肢が絞れる問題(良問) | 1 |
③学習しなくても解ける問題(易問) | 0 |
④学習しても解けない問題(難問) | 0 |
私の点数:7点/7点満点
この分野は学習した人が解ける良問ぞろいで私は満点でした。
社会保障
問題49
日本の社会保障制度の歴史的展開に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 1950年(昭和25年)の社会保障制度審議会の勧告では、日本の社会保障制度は租税を財源とする社会扶助制度を中心に充実すべきとされた。
2 1961年(昭和36年)に国民皆保険が実施され、全国民共通の医療保険制度への加入が義務づけられた。
3 1972年(昭和47年)に児童手当法が施行され、事前の保険料の拠出が受給要件とされた。
4 1983年(昭和58年)に老人保健制度が施行され、後期高齢者医療制度が導入された。
5 1995年(平成7年)の社会保障制度審議会の勧告で、介護サービスの供給制度の運用に要する財源は、公的介護保険を基盤にすべきと提言された。
社会保障制度の歴史は難しい問題が多いのですが、この問題は選択肢を消去しながら正解を導くことができます。
1 1950年(昭和25年)の社会保障制度審議会の勧告では、日本の社会保障制度は租税を財源とする社会扶助制度を中心に充実すべきとされた。
社会保障制度の中心が租税を財源とする社会扶助制度になると財政的に破綻してしまいます。
社会扶助制度はあくまでも生活困窮者など限定された人が対象で、生活保護などで保障します。
2 1961年(昭和36年)に国民皆保険が実施され、全国民共通の医療保険制度への加入が義務づけられた。
1961年に国民皆保険が実施されましたが、全国民共通の医療保険制度ではありません。
医療保険制度は国民健康保険や厚生年金保険などに分かれていますね。
3 1972年(昭和47年)に児童手当法が施行され、事前の保険料の拠出が受給要件とされた。
1972年に児童手当法が施行されましたが、保険料は必要ありません。
4 1983年(昭和58年)に老人保健制度が施行され、後期高齢者医療制度が導入された。
後期高齢者医療制度ができたのは2008年の高齢者医療確保法の時です。
5 1995年(平成7年)の社会保障制度審議会の勧告で、介護サービスの供給制度の運用に要する財源は、公的介護保険を基盤にすべきと提言された。
これが正解です。2000年に介護保険制度ができたことは受験生にとっては常識なので、なんとなくこれが正解に見えるでしょう。
ということでこれは、「②学習したから選択肢が絞れる問題(良問)」で、私は正解できました。
問題50
「平成28年度社会保障費用統計」(国立社会保障・人口問題研究所)に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 2016年度(平成28年度)の社会保障給付費は、150兆円を超過した。
2 2016年度(平成28年度)の社会保障給付費を部門別(「医療」「年金」「福祉その他」)にみると、「福祉その他」の割合は1割に満たない。
3 2016年度(平成28年度)の社会保障給付費を機能別(「高齢」「保健医療」「家族」「失業」など)にみると、「家族」の割合は1割に満たない。
4 2016年度(平成28年度)の社会保障財源における公費負担の割合は、社会保険料の割合よりも大きい。
5 2015年度(平成27年度)における社会支出の国際比較によれば、日本の社会支出の対国内総生産比は、フランスよりも高い。
この問題は社会保障給付費の基本的内容ですので正解したいです。
1 2016年度(平成28年度)の社会保障給付費は、150兆円を超過した。
社会保障給付費は120兆円程度ですので150兆円ということはありません。
2 2016年度(平成28年度)の社会保障給付費を部門別(「医療」「年金」「福祉その他」)にみると、「福祉その他」の割合は1割に満たない。
部門別には、年金5割、医療3割、福祉その他2割ですので1割に満たないということはありません。
3 2016年度(平成28年度)の社会保障給付費を機能別(「高齢」「保健医療」「家族」「失業」など)にみると、「家族」の割合は1割に満たない。
機能別には、高齢5割弱、保健医療3割強、その他は微々たるものですのでこれが正解です。
4 2016年度(平成28年度)の社会保障財源における公費負担の割合は、社会保険料の割合よりも大きい。
これは本質的におかしいです。社会保障は本来保険料で賄うべきものなので、保険料より公費が上回る事はありません。
5 2015年度(平成27年度)における社会支出の国際比較によれば、日本の社会支出の対国内総生産比は、フランスよりも高い。
社会支出というのはほぼ社会保障給付費と同じという理解でよいと思います。
国際的には社会保障給付費ではなく社会支出が用いられます。
日本、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、スウェーデンの6か国のうち、社会支出はフランスが最も高いです。
私は選択肢2と3で少し迷いましたが、「福祉その他」は確か2割程度あったはずと思い出し、選択肢3を選びました。
ということでこれは、「②学習したから選択肢が絞れる問題(良問)」で、私は正解できました。
問題51
会社に勤めている人が仕事を休業した場合などの社会保障制度上の取扱いに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 健康保険の被保険者が病気やケガのために会社を休んだときは、標準報酬月額の2分の1に相当する額が傷病手当金として支給される。
2 厚生年金の被保険者に病気やケガが発生してから、その症状が固定することなく1年を経過し、一定の障害の状態にある場合は、障害厚生年金を受給できる。
3 育児休業を取得する場合に支給される育児休業給付金は、子どもが3歳になるまでを限度とする。
4 労働者が業務災害による療養のため休業し、賃金を受けられない日が4日以上続く場合は、労働者災害補償保険による休業補償給付を受けられる。
5 育児休業期間中の厚生年金保険料は、被保険者分のみ免除される。
休業補償の様々な制度に関する問題ですが、基本的な内容ばかりなので正解したいです。
1 健康保険の被保険者が病気やケガのために会社を休んだときは、標準報酬月額の2分の1に相当する額が傷病手当金として支給される。
2分の1ではなく3分の2です。基本的に休業補償は、介護休業でも育児休業でも傷病手当金でも最低6割が補償されます。2分の1では少なくて生活できません。
2 厚生年金の被保険者に病気やケガが発生してから、その症状が固定することなく1年を経過し、一定の障害の状態にある場合は、障害厚生年金を受給できる。
症状が固定していなければ障害年金はもらえません。
3 育児休業を取得する場合に支給される育児休業給付金は、子どもが3歳になるまでを限度とする。
育児休業は最長でも2歳までが限度です。
4 労働者が業務災害による療養のため休業し、賃金を受けられない日が4日以上続く場合は、労働者災害補償保険による休業補償給付を受けられる。
これが正解です。
ズバリこれが正解だと思えなければなりません。
5 育児休業期間中の厚生年金保険料は、被保険者分のみ免除される。
事業主分も免除されます。
ということで、この問題は「①学習したから解ける問題(最良問)」で、私は正解できました。
問題52
遺族年金に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 死亡した被保険者の子が受給権を取得した遺族基礎年金は、生計を同じくするその子の父または母がある間は支給停止される。
2 死亡した被保険者の子が受給権を取得した遺族基礎年金は、その子が婚姻した場合でも引き続き受給できる。
3 遺族基礎年金は、死亡した被保険者の孫にも支給される。
4 受給権を取得した時に、30歳未満で子のいない妻には、当該遺族厚生年金が10年間支給される。
5 遺族厚生年金の額は、死亡した者の老齢基礎年金の2分の1である。
遺族年金の基本を問う問題ですので正解したいです、が私は間違ってしまいました。
1 死亡した被保険者の子が受給権を取得した遺族基礎年金は、生計を同じくするその子の父または母がある間は支給停止される。
これが正解です。
2 死亡した被保険者の子が受給権を取得した遺族基礎年金は、その子が婚姻した場合でも引き続き受給できる。
婚姻した場合は遺族基礎年金は支給停止されます。
3 遺族基礎年金は、死亡した被保険者の孫にも支給される。
遺族基礎年金の対象は、「子のある配偶者または子」ですので孫は対象になりません。
遺族厚生年金であれば孫は対象になります。
4 受給権を取得した時に、30歳未満で子のいない妻には、当該遺族厚生年金が10年間支給される。
子のいない30歳未満の妻は、5年間遺族厚生年金が支給されます。
私はこの選択肢を選んでしまいました。
5 遺族厚生年金の額は、死亡した者の老齢基礎年金の2分の1である。
遺族厚生年金は死亡した人の放銃報酬月額などから算出されるので、老齢基礎年金額とは関係がありません。
ということで、この問題は「①学習したから解ける問題(最良問)」で、私は間違ってしまいました。
問題53
医療保険制度に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 後期高齢者医療制度には、75歳以上の全国民が加入する。
2 後期高齢者の医療費は、後期高齢者の保険料と公費で折半して負担する。
3 都道府県は、当該都道府県内の市町村とともに国民健康保険を行う。
4 健康保険組合の保険料は、都道府県ごとに一律となっている。
5 協会けんぽ(全国健康保険協会管掌健康保険)の給付費に対し、国は補助を行っていない。
1 後期高齢者医療制度には、75歳以上の全国民が加入する。
一定の障害がある場合は65歳以上から加入し、生活保護受給者は75歳以上でも加入しませんので間違いです。
私は、寝たきりなどの場合は65歳以上から加入することを知っていましたが、生活保護受給者が適用除外であることを知らなかったため、この選択肢が正解だと思ってしまいました。
2 後期高齢者の医療費は、後期高齢者の保険料と公費で折半して負担する。
後期高齢者の医療費は、保険料1割、現役世代(国民健康保険、被用者保険)から後期高齢者支援金4割、公費5割で賄っています。
3 都道府県は、当該都道府県内の市町村とともに国民健康保険を行う。
すばりこれが正解です。国民健康保険の保険者は都道府県と市町村です。
私は、選択肢1が正解だと思っていましたが、この選択肢を見て選択肢3を選びました。
国民健康保険の保険者は都道府県と市町村であることは基本中の基本です。
4 健康保険組合の保険料は、都道府県ごとに一律となっている。
都道府県ごとに一律ではなく組合が定めています。
5 協会けんぽ(全国健康保険協会管掌健康保険)の給付費に対し、国は補助を行っていない。
協会けんぽにも国の補助があります。
細かい内容を問う少し難しめの問題でしたが、選択肢3を見ればこれが正解だと思えなくてはなりません。
ということで、この問題は「①学習したから解ける問題(最良問)」で、私は正解できました。
問題54
事例を読んで、子育て支援などに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
[事例]会社員のDさん(32歳、男性)と自営業を営むEさん(30歳、女性)の夫婦は、間もなく第1子の出産予定日を迎えようとしている。Dさんは、厚生年金と健康保険の被保険者で、Eさんは国民年金と国民健康保険の被保険者である。
1 Eさんは、「産前産後期間」の間も国民年金の保険料を支払わなければならない。
2 Eさんが出産したときは、国民健康保険から出産育児一時金が支払われる。
3 Dさんが育児休業を取得する場合、健康保険から育児休業給付金が支給される。
4 Dさん夫妻の第1子の医療保険給付の一部負担は、義務教育就学前までは3割である。
5 Dさん夫妻の第1子が3歳に満たない期間については、月額2万円の児童手当が給付される。
(注)「産前産後期間」とは、出産予定日又は出産日が属する月の前月から4か月間を指す。
この問題は正確な理解を問う良い問題だと思いますが、私は間違えてしまいました。
1 Eさんは、「産前産後期間」の間も国民年金の保険料を支払わなければならない。
国民年金は産前産後期間は保険料が免除されます。
私はこの選択肢を選んでしまいました。
2 Eさんが出産したときは、国民健康保険から出産育児一時金が支払われる。
これが正解です。出産育児一時金は国民健康保険などの「医療保険」から拠出されます。
3 Dさんが育児休業を取得する場合、健康保険から育児休業給付金が支給される。
育児休業給付金は健康保険から拠出されるのではなく雇用保険からです。
4 Dさん夫妻の第1子の医療保険給付の一部負担は、義務教育就学前までは3割である。
義務教育就学前までの子どもの医療費は2割負担です。
5 Dさん夫妻の第1子が3歳に満たない期間については、月額2万円の児童手当が給付される。
児童手当は子どもの数によりますが、最大で月額1.5万円です。
ということで、この問題は「①学習したから解ける問題(最良問)」で、私は間違えてしまいました。
この問題はよくよく理解しておいてください。
問題55
事例を読んで、適切なものを2つ選びなさい。
[事例]
Fさん(65歳、女性)は、22歳からアパレル関係の大企業で正社員として働き、厚生年金にも加入していた。その後会社員の夫と結婚し、35歳の時に退職して専業主婦になった。48歳の時に個人事業主として手芸店を開き、現在ではかなりの事業収入を得ている。
1 Fさんが大企業で働いて厚生年金に加入していた時には、給与の額にかかわらず毎月定額の保険料を払っていた。
2 Fさんは通算して10年以上年金制度に加入しているので、老齢基礎年金を受給できる。
3 Fさんが専業主婦であった期間は、Fさん自身が国民年金の保険料を納付する必要はない。
4 Fさんは、事業収入に応じた年金保険料を支払わなければならない。
5 Fさんは65歳なので老齢厚生年金を受給できるが、事業収入が基準を超える場合は年金額が減額される。
この問題は難しめですが、学習することで選択肢は絞れます。
1 Fさんが大企業で働いて厚生年金に加入していた時には、給与の額にかかわらず毎月定額の保険料を払っていた。
厚生年金の保険料は給与の額で変動しますので間違いです。
2 Fさんは通算して10年以上年金制度に加入しているので、老齢基礎年金を受給できる。
これは正しいです。
3 Fさんが専業主婦であった期間は、Fさん自身が国民年金の保険料を納付する必要はない。
これも正しいです。
会社員の妻は第三号被保険者になりますので保険料を支払う必要はありません。
4 Fさんは、事業収入に応じた年金保険料を支払わなければならない。
間違いです。
Fさんは個人事業主で国民年金に加入しているので、毎月定額の保険料になります。
5 Fさんは65歳なので老齢厚生年金を受給できるが、事業収入が基準を超える場合は年金額が減額される。
仮に会社に勤めて厚生年金に加入していれば収入が一定以上の場合に年金は減額されますが、個人事業主であれば厚生年金に加入しないので、どんなに収入が多くても年金は減額されません。
ということでこれは、「②学習したから選択肢が絞れる問題(良問)」で、私は正解できました。
まとめ
種類 | 問題数 |
---|---|
①学習したから解ける問題(最良問) | 4 |
②学習したから選択肢が絞れる問題(良問) | 3 |
③学習しなくても解ける問題(易問) | 0 |
④学習しても解けない問題(難問) | 0 |
私の点数:5点/7点満点
この分野は受験生が苦手とする分野ですが、この年の問題は良問が多く、事例問題も含めてためになる内容が多かったです。
私は、絶対に正解すべき問題54を間違えてしまいました。
障害者に対する支援と障害者自立支援制度
問題56
「平成28年生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)」(厚生労働省)における障害児・者の実態に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 身体障害者手帳を所持している身体障害児(0~17歳)では、内部障害が最も多い。
2 「障害者手帳所持者等」(65歳未満)で、「障害者総合支援法」に基づく福祉サービスを利用している者は半数を超えている。
3 「障害者手帳所持者等」(65歳未満)で、「今後の暮らしの希望」をみると、「施設で暮らしたい」が最も多い。
4 「障害者手帳所持者等」(65歳未満)で、「困った時の相談相手」をみると、家族が最も多い。
5 「障害者手帳所持者等」(65歳未満)で、「外出の状況」をみると、「1カ月に1~2日程度」が最も多い。
(注)1「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
(注)2「障害者手帳所持者等」とは、障害者手帳所持者及び障害者手帳非所持でかつ「障害者総合支援法」に基づく自立支援給付等を受けている者のことである。
この調査内容を厚生労働省のHPでしっかり見ていた受験生はいないでしょうが、常識的に答えられるはずです。
1 身体障害者手帳を所持している身体障害児(0~17歳)では、内部障害が最も多い。
身体障害として「内部障害」が最も多いとは考えにくいです。実際は「肢体不自由」が最も多いです。
因みに内部障害とは心臓機能障害、じん臓機能障害、呼吸器機能障害、ぼうこう・直腸機能障害、小腸機能障害、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害の6つの障害のことです。

2 「障害者手帳所持者等」(65歳未満)で、「障害者総合支援法」に基づく福祉サービスを利用している者は半数を超えている。
65歳未満の障害者のうち、福祉サービスを利用しているのは3割程度です。
3 「障害者手帳所持者等」(65歳未満)で、「今後の暮らしの希望」をみると、「施設で暮らしたい」が最も多い。
「施設で暮らしたい」と考える人は少ないでしょう。最も多いのは「今までと同じように暮らしたい」です。

4 「障害者手帳所持者等」(65歳未満)で、「困った時の相談相手」をみると、家族が最も多い。
これが正解です。困った時の相談相手は「家族」が8割を超えています。

5 「障害者手帳所持者等」(65歳未満)で、「外出の状況」をみると、「1カ月に1~2日程度」が最も多い。
外出は「毎日」が3割を超えており、最も多くなっています。
私は選択肢2と4で迷いながら選択肢4を選びました。
ということで、これは「③学習しなくても解ける問題(易問)」で、私は正解できました。

問題57
障害者福祉制度の発展過程に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 1960年(昭和35年)に成立した精神薄弱者福祉法は、ノーマライゼーションを法の理念とし、脱施設化を推進した。
2 1981年(昭和56年)の国際障害者年で主題として掲げられたのは、合理的配慮であった。
3 1995年(平成7年)に精神保健法が精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に改正され、保護者制度が廃止された。
4 2013年(平成25年)に成立した「障害者差別解消法」では、障害者を医学モデルに基づいて定義している。
5 2018年(平成30年)に閣議決定された障害者基本計画(第4次)では、命の重さは障害によって変わることはないという価値観を社会全体で共有できる共生社会の実現に寄与することが期待されている。
(注)「障害者差別解消法」とは、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」のことである。
1 1960年(昭和35年)に成立した精神薄弱者福祉法は、ノーマライゼーションを法の理念とし、脱施設化を推進した。
1960年にできた精神薄弱者福祉法は、障害児の親たちが施設を作ってほしいとの重いでできた法律です。
つまり世界的には脱施設化の流れの中で、日本はそれに逆行し、この法律をきっかけにたくさんの施設が作られていくことになりました。
2 1981年(昭和56年)の国際障害者年で主題として掲げられたのは、合理的配慮であった。
1981年の国際障害者年のテーマは「完全参加と平等」でした。
3 1995年(平成7年)に精神保健法が精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に改正され、保護者制度が廃止された。
1995年(平成7年)に精神保健法が精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に改正されました。
保護者制度というのは、自発的入院である任意入院と、公権力による強制入院である措置入院との間に、法定の保護者の同意を要件とする医療保護入院という中間的形態を置く制度です。精神保健福祉法が改正された1995年には、まだ保護者制度が残りました。廃止されたのは2014年の改正時です。
4 2013年(平成25年)に成立した「障害者差別解消法」では、障害者を医学モデルに基づいて定義している。
「医学モデル」は、障害は心身機能の障害のみに起因するという考え方で、かなり古いモデルです。
近年では障害者差別解消法も含めて「社会モデル」が基本です。
社会モデルは、障害者が受ける様々な制限は心身機能の障害のみに起因するのではなく、社会における様々な障壁と相対することによって生ずるとされています。
5 2018年(平成30年)に閣議決定された障害者基本計画(第4次)では、命の重さは障害によって変わることはないという価値観を社会全体で共有できる共生社会の実現に寄与することが期待されている。
これが正解です。この選択肢を見ると正解のニオイがします。
私は選択肢3を保留にしつつ、選択肢5を見てこちらを選びました。
この問題は難しい問題だったと思いますが、学習していれば選択肢は絞れたでしょう。
ということでこれは、「②学習したから選択肢が絞れる問題(良問)」で、私は正解できました。
問題58
事例を読んで、Gさんが利用できる「障害者総合支援法」に基づく障害福祉サービスとして、適切なものを2つ選びなさい。
[事例]
Gさん(22歳、男性)は20歳の時に脊髄損傷を患い、現在、電動車いすを使用しながら親元で暮らしている。これまで家族から介護を受けて生活をしてきたが、親元を離れ、日中は創作活動などを行いながら自立生活をしていきたいと希望している。一般就労はしておらず、障害支援区分は5で、電動車いすを使って移動が可能だが、手足に麻痺(まひ)がある。「歩行」、「移乗」、「排尿」、「排便」のいずれも見守りや部分的又は全面的な支援を必要としている。
1 重度訪問介護
2 行動援護
3 生活介護
4 同行援護
5 就労定着支援
障害者総合支援法の規定される福祉サービスを問う問題ですが、障害福祉に携わる人以外にはなかなか難しいかもしれません。
というか私は障害福祉に携わっていますが、それでも難しかったです。
1 重度訪問介護
重度訪問介護は、障害支援区分4以上で二肢以上に麻痺がある等の人に、自宅や外出時の介護を行うサービスです。
まさにこのサービスはGさんに必要です。
2 行動援護
行動援護は、障害支援区分3以上で外出時の移動中の援護を行うサービスです。
重度訪問介護には外出時の介護も含まれていますので、こちらは必要ないでしょう。
3 生活介護
生活介護は、障害支援区分3以上で創作活動や生産活動などの日中活動を提供するサービスです。
まさにこのサービスはGさんに適しています。
4 同行援護
同行援護は行動援護と混同しがちですが、こちらは視覚障害者向けのサービスなのでGさんは利用できません。
5 就労定着支援
就労定着支援は就労している障害者が、職場に定着するための支援なので、現在一般就労していないGさんは利用できません。
ということで正解は選択肢1と3です。
この問題は「①学習したから解ける問題(最良問)」で、私は正解できました。
問題59
「障害者総合支援法」に定められている市町村の役割などに関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 障害支援区分の認定のための調査を、指定一般相談支援事業者等に委託することができる。
2 障害支援区分の認定に関する審査判定業務を行わせるため、協議会を設置する。
3 市町村障害福祉計画を策定するよう努めなければならない。
4 指定障害福祉サービス事業者の指定を行う。
5 高次脳機能障害に対する支援普及事業などの特に専門性の高い相談支援事業を行う。
この問題も少し難しめですが、学習していればある程度選択肢を絞ることができます。
1 障害支援区分の認定のための調査を、指定一般相談支援事業者等に委託することができる。
これが正解です。
認定調査については「市町村は、指定一般相談支援事業者等)に委託することができる(第20条第2項)。」とされています。
私はこの選択肢を正解だとは思えず保留にしました。
2 障害支援区分の認定に関する審査判定業務を行わせるため、協議会を設置する。
障害支援区分の認定に関する審査判定業務を行うのは、「審査会」です。
3 市町村障害福祉計画を策定するよう努めなければならない。
市町村障害福祉計画は努力義務ではなく「義務」です。
4 指定障害福祉サービス事業者の指定を行う。
事業者の指定を行うのは市町村ではなく都道府県です。
5 高次脳機能障害に対する支援普及事業などの特に専門性の高い相談支援事業を行う。
専門性の高い事業は、市町村には荷が重いです。
都道府県が行います。
結局、選択肢2,3,4,5は消去できるので残った1を選びました。
ということでこれは、「②学習したから選択肢が絞れる問題(良問)」で、私は正解できました。
問題60
発達障害者支援法の規定に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 市町村は、個々の発達障害者の特性に応じた適切な就労の機会の確保、就労定着のための支援に努めなければならない。
2 都道府県は、支援体制の課題を共有するとともに、関係者の連携の緊密化を図るため、発達障害者支援地域協議会を設置しなければならない。
3 発達障害者とは、発達障害がある者であって発達障害及び社会的障壁により日常生活又は社会生活に制限を受けるものをいう。
4 都道府県知事は、発達障害者に対する専門的な就労の支援等を障害者就業・生活支援センターに行わせることができる。
5 都道府県知事は、該当する者に精神障害者保健福祉手帳を交付する。
この問題は難問です。
発達障害者支援法をしっかり学習している受験生はほぼいません。
正解選択肢は3なのですが、これを正解にして何を訴えたいのでしょう。変な問題です。
1 市町村は、個々の発達障害者の特性に応じた適切な就労の機会の確保、就労定着のための支援に努めなければならない。
これは市町村の仕事ではなく国と都道府県の仕事として規定されています。
2 都道府県は、支援体制の課題を共有するとともに、関係者の連携の緊密化を図るため、発達障害者支援地域協議会を設置しなければならない。
発達障害者支援地域協議会は都道府県が設置することができますが、義務規定ではありません。
3 発達障害者とは、発達障害がある者であって発達障害及び社会的障壁により日常生活又は社会生活に制限を受けるものをいう。
これが正解です。
4 都道府県知事は、発達障害者に対する専門的な就労の支援等を障害者就業・生活支援センターに行わせることができる。
障害者就業・生活支援センターは国の出先機関なので、都道府県知事は命令できません。
5 都道府県知事は、該当する者に精神障害者保健福祉手帳を交付する。
精神障害者保健福祉手帳は都道府県知事が交付するので正しいのですが、精神障害者保健福祉手帳は精神保健福祉法に規定されており発達障害者支援法ではありませんので間違いです。
結局、私は選択肢1と3で迷いに迷って、選択肢1を選んでしまいました。
ということで、これは「②学習したから選択肢が絞れる問題(良問)」で、私は間違ってしまいました。
問題61
障害者基本法に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 法の目的では、障害者本人の自立への努力について規定されている。
2 都道府県は、都道府県障害者計画の策定に努めなければならないと規定されている。
3 国及び地方公共団体は、重度の障害者について、終生にわたり必要な保護等を行うよう努めなければならないと規定されている。
4 社会的障壁の定義において、社会における慣行や観念は除外されている。
5 障害者政策委員会の委員に任命される者として、障害者が明記されている。
障害者基本法を読んだことのある受験生は少なかったと思いますが、一部学習が必要な内容と残りは常識的に考えれば解ける問題です。
1 法の目的では、障害者本人の自立への努力について規定されている。
そんなことは書かれてありません。
2 都道府県は、都道府県障害者計画の策定に努めなければならないと規定されている。
障害者計画の策定は努力義務ではなく「義務」です。
これは受験生にとって基本です。
3 国及び地方公共団体は、重度の障害者について、終生にわたり必要な保護等を行うよう努めなければならないと規定されている。
これは明らかに間違っていますね。
こんなこと書かれているわけがありません。受験生をなめんなと思いながら消去しました。
4 社会的障壁の定義において、社会における慣行や観念は除外されている。
社会的障壁には社会における慣行や観念が含まれます。これも常識的にわかります。
5 障害者政策委員会の委員に任命される者として、障害者が明記されている。
これが正解です。政策委員会の委員は、障害者、障害者の自立及び社会参加に関する事業に従事する者並びに学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣が任命することになっています。
選択肢1,2,3,4は容易に消去できて、残った選択肢5を自信をもって選べる問題でした。
ということでこれは、「②学習したから選択肢が絞れる問題(良問)」で、私は正解できました。
問題62
医療観察制度に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 対象者は、起訴された者に限られており、起訴されていない者は含まれない。
2 保護観察所には、対象者の社会復帰を支援する、精神保健福祉士等の専門家である社会復帰調整官が配置されている。
3 「医療観察法」の目的は、精神障害者の医療及び保護を行い、その自立と社会経済活動への参加の促進のために必要な援助を行い、精神障害者の福祉の増進及び国民の精神保健の向上を図ることである。
4 入院による医療の決定を受けた者に対しては、指定入院医療機関で、専門的な医療の提供が行われるとともに、保健所による退院後の生活環境の調整が実施される。
5 通院による医療の決定を受けた者及び退院を許可された者は、処遇の実施計画に基づいて、期間の定めなく、地域の指定医療機関による医療を受ける。
(注)「医療観察法」とは、「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」のことである。
医療観察法の内容は勉強不足の人が多かったのではないでしょうか。
1 対象者は、起訴された者に限られており、起訴されていない者は含まれない。
法律では「心神喪失又は心神耗弱の状態で重大な他害行為を行い、不起訴処分となるか無罪等が確定した人に対して」となっていますので、起訴された者に限られていません。不起訴処分となった人も対象です。
2 保護観察所には、対象者の社会復帰を支援する、精神保健福祉士等の専門家である社会復帰調整官が配置されている。
これが正解です。
3 「医療観察法」の目的は、精神障害者の医療及び保護を行い、その自立と社会経済活動への参加の促進のために必要な援助を行い、精神障害者の福祉の増進及び国民の精神保健の向上を図ることである。
医療観察法では、「心神喪失又は心神耗弱の状態(精神障害のために善悪の区別がつかないなど、刑事責任を問えない状態)で、重大な他害行為を行った人に対して、適切な医療を提供し、社会復帰を促進することを目的とする」と書かれていますので、間違いです。
4 入院による医療の決定を受けた者に対しては、指定入院医療機関で、専門的な医療の提供が行われるとともに、保健所による退院後の生活環境の調整が実施される。
間違いです。
保健所ではなく、保護観察所に配置されている社会復帰調整官が退院後の生活環境の調整を行います。
5 通院による医療の決定を受けた者及び退院を許可された者は、処遇の実施計画に基づいて、期間の定めなく、地域の指定医療機関による医療を受ける。
「期間の定めなく」というところが、おかしいなとピンときます。
ということで、これは「④学習しても解けない問題(難問)」でしたが、私は正解できました。
まとめ
種類 | 問題数 |
---|---|
①学習したから解ける問題(最良問) | 1 |
②学習したから選択肢が絞れる問題(良問) | 4 |
③学習しなくても解ける問題(易問) | 1 |
④学習しても解けない問題(難問) | 1 |
私の点数:6点/7点満点
私は運よく6点取れましたが、難しめの問題が多かったと思います。
この分野で0点を取って足切りを食らった人もいたのではないでしょうか。
低所得者に対する支援と生活保護制度
問題63
2000年度(平成12年度)以降の生活保護の全国的な動向(年次推移)に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 住宅扶助費の生活保護費全体に占める割合は、一貫して減少している。
2 被保護世帯及び非保護人員共に、2011年(平成23年)の東日本大震災を契機に増加に転じた。
3 世帯類型別にみた非保護世帯の構成比をみると、「母子世帯」の割合が一貫して増加している。
4 保護の開始理由別の被保護世帯数の推移をみると、「傷病」が一貫して増加している。
5 介護扶助人員は、一貫して増加している。
1 住宅扶助費の生活保護費全体に占める割合は、一貫して減少している。
グラフを見れば、住宅扶助費の割合はむしろ増加していますね。
私はこれを選んで間違えました。

2 被保護世帯及び非保護人員共に、2011年(平成23年)の東日本大震災を契機に増加に転じた。
間違いです。グラフを見れば、それ以前から増加し続けています。

3 世帯類型別にみた非保護世帯の構成比をみると、「母子世帯」の割合が一貫して増加している。
グラフを見れば、母子世帯は一貫して増加していませんね。
4 保護の開始理由別の被保護世帯数の推移をみると、「傷病」が一貫して増加している。
表を見ると、傷病は一貫して増加していません。むしろ割合は減少していますね。

5 介護扶助人員は、一貫して増加している。
グラフでは少し分かりにくいですがこれが正解です。

この問題はかなり難しめで自信をもって消去できる選択肢すらありませんでした。
ということでこれは、「④学習しても解けない問題(難問)」で、私は間違えました。
問題64
生活保護法が規定する基本原理・原則に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 日本国憲法第26条に規定する理念に基づく。
2 保護は、世帯を単位としてその要否及び程度を定めるものとする。
3 保障される最低限度の生活とは、肉体的に生存を続けることが可能な程度のものである。
4 生活困窮に陥った年齢によって、保護するかしないかを定めている。
5 生活保護の基準は、厚生労働省の社会保障審議会が定める。
この問題は基本事項ばかりなので確実に正解したいです。
1 日本国憲法第26条に規定する理念に基づく。
間違いです。憲法第25条の理念に基づいています。
2 保護は、世帯を単位としてその要否及び程度を定めるものとする。
これが正解です。世帯単位の原則ですね。
3 保障される最低限度の生活とは、肉体的に生存を続けることが可能な程度のものである。
間違いです。「健康で文化的な生活水準」で「最低限度の生活を満たしかつそれを超えないもの」とされています。
4 生活困窮に陥った年齢によって、保護するかしないかを定めている。
そんなことはありません。
5 生活保護の基準は、厚生労働省の社会保障審議会が定める。
間違いです。保護の基準は厚生労働大臣が定めます。
この問題は自信をもって選択肢2の正解を選ぶことができました。
この問題は「①学習したから解ける問題(最良問)」です。
問題65
生活保護の種類と内容に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 生活扶助は、衣料品費、食料品費、葬祭費などを給付する。
2 教育扶助は、高等学校の就学に係る学用品費について給付する。
3 住宅扶助は、家賃等のほか、補修その他住宅の維持に必要なものを給付する。
4 医療扶助は、原則として金銭給付によって行うものとする。
5 出産扶助は、原則として現物給付によって行うものとする。
この問題も基本事項ばかりで確実に正解したいです。
1 生活扶助は、衣料品費、食料品費、葬祭費などを給付する。
葬祭費は葬祭扶助で給付されるので間違いです。
2 教育扶助は、高等学校の就学に係る学用品費について給付する。
これは典型的なひっかけ選択肢で、高等学校の就学費は生業扶助でした。
3 住宅扶助は、家賃等のほか、補修その他住宅の維持に必要なものを給付する。
これが正解です。
4 医療扶助は、原則として金銭給付によって行うものとする。
医療扶助は現物給付です。
5 出産扶助は、原則として現物給付によって行うものとする。
出産扶助が現金給付です。
この問題も自信を持って選択肢3を選ぶことができました。
この問題は「①学習したから解ける問題(最良問)」です。
問題66
事例を読んで、福祉事務所の生活保護現業員が行う業務として、最も適切なものを1つ選びなさい。
[事例]
Hさん(70歳、男性)は生活保護を受給し、アパートで一人暮らしをしている。糖尿病を患っており、主治医からの診断書によると働くことは困難な状況である。趣味がなく、友人との付き合いもなく、一日の大半をアパートでテレビを見て過ごしており、食生活も不規則である。親族としては遠方で暮らす妹のみであるが、Hさんは妹とは20年以上音信不通が続いており、所在を知らないと言っている。
1 稼働能力の活用を図るため、公共職業安定所(ハローワーク)へ行って求職活動を行うよう、指導・指示を行う。
2 自立支援プログラムに参加するよう、指導・指示を行う。
3 生活保護受給者等就労自立促進事業を利用するため、公共職業安定所(ハローワーク)へ支援要請を行う。
4 面接相談を通して本人の意向を把握した上で、社会生活自立や日常生活自立に向けた支援の方法を検討する。
5 扶養義務者である妹に対して、回答期限を付して書面による扶養照会を行う。
生活保護現業員(ケースワーカー)は、生活保護受給者に対して自立支援を行います。
この事例の場合、働くことが困難であるとのことなので、ハローワークでの求職活動やハローワークへの支援要請は間違いです。
また自立支援プログラムに参加するよう「指導・指示」するような権限もありません。
扶養義務者に「回答期限の付して」扶養照会をするというのも変です。
ということで最も適切な選択肢は4です。
「②学習したから選択肢が絞れる問題(良問)」で、私は正解できました。
問題67
福祉事務所の組織及び設置に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 福祉事務所の現業を行う所員(現業員)の定数については、生活保護法で定めている。
2 市が設置する福祉事務所の社会福祉主事は、生活保護法の施行について、市長の事務の執行を補助する。
3 福祉事務所の指導監督を行う所員(査察指導員)、現業を行う所員(現業員)、事務を行う所員はいずれも社会福祉主事でなければならない。
4 福祉事務所の長は、厚生労働大臣の指揮監督を受けて、所務を掌理する。
5 福祉事務所に置かれている社会福祉主事は、25歳以上の者でなければならない。
この問題も基本事項ばかりなので正解しなければなりません。
1 福祉事務所の現業を行う所員(現業員)の定数については、生活保護法で定めている。
福祉事務所の現業員の定数は社会福祉法第16条に定められています。ただし、あくまでも標準定数なので定数を満たさなくても罰則などはありません。
2 市が設置する福祉事務所の社会福祉主事は、生活保護法の施行について、市長の事務の執行を補助する。
これが正解です。生活保護法第21条に規定されています。
3 福祉事務所の指導監督を行う所員(査察指導員)、現業を行う所員(現業員)、事務を行う所員はいずれも社会福祉主事でなければならない。
査察指導員と現業員(ケースワーカー)については社会福祉主事でなければなりませんが、事務を行う所員は社会福祉主事である必要はありません。
4 福祉事務所の長は、厚生労働大臣の指揮監督を受けて、所務を掌理する。
厚生労働大臣の指揮監督ではなく、都道府県知事または市町村長の指揮監督を受けます。
福祉事務所の設置義務があるのは都道府県と市、設置できるのは町村でしたので、それぞれの設置自治体の長の指揮監督を受けるわけです。
5 福祉事務所に置かれている社会福祉主事は、25歳以上の者でなければならない。
間違いです。社会福祉主事は20の者です。
私はこの問題も自信を持って選択肢2を選ぶことができました。
ということで、この問題は「①学習したから解ける問題(最良問)」です。
問題68
事例を読んで、福祉事務所の生活保護現業員による保護申請時に行う説明に関する記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
[事例]
Jさん(70歳、女性)は、年金と息子からの仕送りで一人暮らしをしていた。息子が交通事故で仕事を失い、収入がなくなって仕送りができなくなり、年金だけでは暮らせないため、生活保護を申請した。
1 働くことが可能との医師の判断がある場合には、生活保護を受給できないと説明する。
2 Jさんに娘がいる場合には、娘からの扶養を受けることが生活保護を受給するための要件となることを説明する。
3 自宅が持ち家の場合、処分した後に生活保護を受給できると説明する。
4 収入に変更があった場合は、申告する義務があることを説明する。
5 保護申請は、福祉事務所指定の申請書でなければ受け付けられないことを説明する。
この問題も基本事項ばかりなので正解できなくてはなりません。
1 働くことが可能との医師の判断がある場合には、生活保護を受給できないと説明する。
間違いです。働くことが可能であっても仕事に就けない場合もありますので、生活が困窮していて保護基準を満たせば受けられます。
2 Jさんに娘がいる場合には、娘からの扶養を受けることが生活保護を受給するための要件となることを説明する。
間違いです。娘からの扶養を働きかけることになりますが、受給要件とはなっていません。
3 自宅が持ち家の場合、処分した後に生活保護を受給できると説明する。
これも間違いです。持ち家を処分するよりも保有している方が生活維持や自立の助長に有効であると認められる場合は処分しなくても受給できる場合があります。
4 収入に変更があった場合は、申告する義務があることを説明する。
これが正解です。
5 保護申請は、福祉事務所指定の申請書でなければ受け付けられないことを説明する。
間違いです。福祉事務所所定の申請書でなければ受け付けてもらえないことはありません。
私は自信を持って選択肢4を選ぶことができました。
ということで、これは「②学習したから選択肢が絞れる問題(良問)」です。
問題69
低所得者の支援を行う組織や制度に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 福祉事務所未設置町村は、生活困窮者及びその家族等からの相談に応じ、生活困窮者自立相談支援事業の利用勧奨等を行う事業を行うことができる。
2 生活困窮者自立相談支援事業の相談支援員は、社会福祉主事でなければならないと社会福祉法に定められている。
3 民生委員は、地域の低所得者を発見し、福祉事務所につなぐために市長から委嘱され、社会奉仕の精神で住民の相談に応じる者である。
4 住宅を喪失した人への支援策として、無料定額宿泊所は全ての市町村が設置しなければならない。
5 生活困窮者一時生活支援事業は、生活保護の被保護者が利用する事業である。
この問題も基本事項ばかりなので正解しなければなりません。
1 福祉事務所未設置町村は、生活困窮者及びその家族等からの相談に応じ、生活困窮者自立相談支援事業の利用勧奨等を行う事業を行うことができる。
これが正解です。
2 生活困窮者自立相談支援事業の相談支援員は、社会福祉主事でなければならないと社会福祉法に定められている。
このような定めはありません。
3 民生委員は、地域の低所得者を発見し、福祉事務所につなぐために市長から委嘱され、社会奉仕の精神で住民の相談に応じる者である。
間違いです。民生委員は厚生労働大臣から委嘱されます。
4 住宅を喪失した人への支援策として、無料定額宿泊所は全ての市町村が設置しなければならない。
間違いです。全ての市町村ではありません。
5 生活困窮者一時生活支援事業は、生活保護の被保護者が利用する事業である。
間違いです。生活困窮者自立支援法で規定されるサービスは、生活保護に陥る前の生活困窮者が利用するものです。
選択肢2~5は明らかに消去できるので残る選択肢1しか選びようがありません。
ということで、これは「①学習したから解ける問題(最良問)」で、私は正解できました。
まとめ
種類 | 問題数 |
---|---|
①学習したから解ける問題(最良問) | 4 |
②学習したから選択肢が絞れる問題(良問) | 2 |
③学習しなくても解ける問題(易問) | 0 |
④学習しても解けない問題(難問) | 1 |
私の点数:6点/7点満点
生活保護制度の分野は学習すれば点数に結びつきやすく、出題される内容も毎回似ているので得点源にできます。
過去問中心の学習でいきましょう。
保健医療サービス
問題70
日本の医療費の自己負担限度額に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 食費、住居費、差額ベッド代は高額療養費制度の支給の対象とはならない。
2 医療保険加入者が70歳未満である場合、二人以上の同一世帯で合算した年額の医療費の自己負担限度額が定められている。
3 医療保険加入者が医療保険と介護保険を共に利用した場合、それらの費用を世帯で合算した月額の自己負担限度額が定められている。
4 医療保険加入者が70歳以上である場合、入院の費用に限り世帯単位での医療費の自己負担限度額が定められている。
5 医療保険加入者が高額長期疾病(特定疾病)の患者である場合、医療費の自己負担を免除することが定められている。
1 食費、住居費、差額ベッド代は高額療養費制度の支給の対象とはならない。
これが正解です。高額療養費の支給対象外のこれらの項目は基本です。
2 医療保険加入者が70歳未満である場合、二人以上の同一世帯で合算した年額の医療費の自己負担限度額が定められている。
間違いです。この世帯合算の制度は、同一月内に同一世帯の者に一定額以上の自己負担が複数ある場合にそれらを合算することができ、合算額が自己負担限度額を超えた分について高額療養費として支給されます。
3 医療保険加入者が医療保険と介護保険を共に利用した場合、それらの費用を世帯で合算した月額の自己負担限度額が定められている。
間違いです。月額ではなく年額で定められています。
4 医療保険加入者が70歳以上である場合、入院の費用に限り世帯単位での医療費の自己負担限度額が定められている。
間違いです。入院の費用に限らず、外来の費用も合算した自己負担限度額が定められています。
5 医療保険加入者が高額長期疾病(特定疾病)の患者である場合、医療費の自己負担を免除することが定められている。
間違いです。この場合の自己負担限度額はゼロではなく1万円となっています。
この問題はとても難しい選択肢が多かったですが、選択肢1がいきなり正解であることが分かるので解けました。
ということで、この問題は「①学習したから解ける問題(最良問)」で、私は正解できました。
問題71
医療施設等の利用目的に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 介護医療院の利用は、主として長期にわたり療養が必要である要介護者を対象としている。
2 療養病棟の利用は、急性期で医療的ケアが必要である者を対象としている。
3 地域包括ケア病棟の利用は、病院で長期にわたり医療的ケアが必要である者を対象としている。
4 介護老人保健施設の利用は、高度で濃密な医療と介護が必要である者を対象としている。
5 回復期リハビリテーション病棟の利用は、高度急性期医療を受けた後、週末期と判断された者を対象としている。
1 介護医療院の利用は、主として長期にわたり療養が必要である要介護者を対象としている。
これが正解です。
2 療養病棟の利用は、急性期で医療的ケアが必要である者を対象としている。
間違いです。療養病棟は急性期ではなく慢性期です。
3 地域包括ケア病棟の利用は、病院で長期にわたり医療的ケアが必要である者を対象としている。
間違いです。急性期治療を経過した患者等を受け入れ、患者の在宅・生活復帰支援を担うとともに、介護施設、自宅等からの患者の緊急時の受け入れにも対応する病棟が地域包括ケア病棟です。
4 介護老人保健施設の利用は、高度で濃密な医療と介護が必要である者を対象としている。
間違いです。
介護老人保健施設は医療法に規定されている医療提供施設ではありますが、高度で濃密な医療を必要としている人は対象ではありません。
5 回復期リハビリテーション病棟の利用は、高度急性期医療を受けた後、週末期と判断された者を対象としている。
間違いです。回復期リハビリテーションと銘打っているのに週末期の患者が対象というのはおかしいです。
私は選択肢1と4で迷って、4を選んでしまいました。
後から考えれば選択肢4は消去できたのですが、なぜ間違ってしまったのだろうというような問題でした。
試験本番ではこういうことが起こるのです。
ということで、この問題は「①学習したから解ける問題(最良問)」で、私は間違ってしまいました。
問題72
特定健康診査及び特定保健指導に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 特定健康診査及び特定保健指導の対象年齢は、40歳以上60歳以下である。
2 特定保健指導の目的は、糖尿病等の生活習慣病の予防である。
3 特定健康診査の目的は、がんの早期発見である。
4 特定健康診査の結果は、結果に問題がなければ保険者から受診者への通知を省略することができる。
5 特定健康診査は、被用者が同じ内容の事業者検診を受けていても、改めて受けることが義務づけられている。
この問題も基本なので正解選択肢を選べなければなりません。
1 特定健康診査及び特定保健指導の対象年齢は、40歳以上60歳以下である。
間違いです。特定健康診査及び特定保健指導の対象年齢は、40歳以上74歳以下です。
2 特定保健指導の目的は、糖尿病等の生活習慣病の予防である。
これが正解です。私はこの選択肢を選んで正解できました。
3 特定健康診査の目的は、がんの早期発見である。
間違いです。特定健康診査の目的は、糖尿病などの生活習慣病の発症や重症化を予防することです。
4 特定健康診査の結果は、結果に問題がなければ保険者から受診者への通知を省略することができる。
そんなことはありません。結果は全員に通知されます。
5 特定健康診査は、被用者が同じ内容の事業者検診を受けていても、改めて受けることが義務づけられている。
間違いです。同じ内容の検診を受けていれば省略できます。
ということで、この問題は「①学習したから解ける問題(最良問)」で、私は正解できました。
問題73
「地域における保健師の保健活動に関する指針」に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 地域住民に対して、生活習慣病の三次予防に重点を置いた指導を行う。
2 地域住民に対して、保健師が主体となって地域の健康づくりを推進する。
3 産後に抑うつ状態の可能性が高いと判断される養育者に対して、受療指示を行う。
4 担当地域の市町村地域防災計画を策定する。
5 地域診断を実施し、取り組むべき健康課題を明らかにする。
(注)「地域における保健師の保健活動に関する指針」とは、「地域における保健師の保健活動について」(平成25年4月19日健発0419第1号厚生労働省健康局長通知)で示された指針のことである。
この問題も易しいので正解できなければなりません。
明らかに間違いだと思える選択肢を消去していくと、正解しか残りません。
1 地域住民に対して、生活習慣病の三次予防に重点を置いた指導を行う。
間違いです。三次予防ではありません。一次予防です。
一次予防は健康増進や疾病予防、二次予防は早期発見など、三次予防は治療家庭のリハビリなどです。
2 地域住民に対して、保健師が主体となって地域の健康づくりを推進する。
保健師が主体となるのはおかしいです。あくまでも地域住民が主体です。
3 産後に抑うつ状態の可能性が高いと判断される養育者に対して、受療指示を行う。
保健師は受療「指示」を行うことはできません。
4 担当地域の市町村地域防災計画を策定する。
これは保健師の仕事ではありません。市町村長などが作成します。
5 地域診断を実施し、取り組むべき健康課題を明らかにする。
これが正解です。
この問題は易しめでした。
ということで、これは「②学習したから選択肢が絞れる問題(良問)」で、私は正解できました。
問題74
訪問リハビリテーションを行う際の理学療法士の業務に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 処方薬を服用する患者とその家族に対して、服用方法の指導をする。
2 中心静脈カテーテルが挿入された患者に対して、カテーテルを抜去する。
3 人工呼吸器を装着した患者に対して、気管カニューレを交換する。
4 脳梗塞後遺症による筋麻痺(まひ)の患者に対して、医師の指示の下にマッサージをする。
5 高カロリー輸液を点滴中の患者に対して、輸液の投与量を調整する。
理学療法士の仕事のポイントは、「医療行為はできない」ということと、「医師の指示の下」でマッサージなどの理学療法を行うという2点です。
ということで、選択肢1,2,3,5のような医療行為はできませんので、選択肢4が正解です。
ということで、この問題は「①学習したから解ける問題(最良問)」で、私は正解できました。
問題75
事例を読んで、K医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)による週末期のLさんの家族への対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
[事例]
Lさん(58歳、男性)は、末期の肝臓がんであるとの告知を受け、現在入院中である。主治医からK医療ソーシャルワーカーに、Lさんの今後の療養について意思確認するよう依頼があった。そのため、Lさんの下を一度訪れたが、現段階では決められないとLさんに面接を断られた。そこでK医療ソーシャルワーカーは、Lさんの了承を得た上で家族と面接を行った。
1 Lさんに意思の確認のための面接を断られたため、今後のLさんとの面接を中止すると伝えた。
2 Lさんの人生観や価値観、生き方などを家族から把握することは控えた。
3 Lさんの家族の意見がまとまらない場合、主治医の意見を優先する旨を家族に伝えた。
4 Lさんの意思決定支援を今後どうすべきか家族と話し合った。
5 Lさんの意思を推定する責任が、家族にある旨を伝えた。
この問題は常識的に考えて選択肢4しか選べません。
易しすぎる問題です。
ということで、これは「③学習しなくても解ける問題(易問)」で、私は正解できました。
問題76
事例を読んで、医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)が行う退院支援に関する次の記述のうち、この段階における対応で、適切なものを2つ選びなさい。
[事例]
先天性代謝異常の疾患に罹患(りかん)しているMちゃん(生後8か月)は、呼吸器を装着し頻回の吸引が必要であり、バルーンカテーテル、経管栄養を使用している。出生以来、NICU(新生児集中治療室)に2か月、小児病棟に6か月入院してきたが、主治医からの退院許可を受け、自宅での生活の準備を始めることになった。出生以来、Mちゃんの見舞いを欠かさずしてきた両親は、初めて自宅でMちゃんと一緒に生活することに喜びを感じていた。一方で病院から離れることに不安を感じ、これまで相談に乗っていた医療ソーシャルワーカーに不安を打ち明けた。
1 医療的ケア児等コーディネーターとの連携を検討する。
2 両親に特別障害者手当を申請するよう勧める。
3 訪問看護ステーションと両親を交えたカンファレンスを実施する。
4 両親に医療型障害児入所施設の空き状況を伝える。
5 これまでも同様の患者がいたことを伝え、心配する必要はないと両親を励ます。
この問題も優しい問題で、2つ選択ですが間違うことはないでしょう。
唯一、知識が活きるとすれば、特別障害者手当でしょうか。
この手当は成人した障害者がもらう手当ですので今回のケースには該当しませんね。
選択肢1と3が正解です。
ということで、これは「③学習しなくても解ける問題(易問)」で、私は正解できました。
まとめ
種類 | 問題数 |
---|---|
①学習したから解ける問題(最良問) | 4 |
②学習したから選択肢が絞れる問題(良問) | 1 |
③学習しなくても解ける問題(易問) | 2 |
④学習しても解けない問題(難問) | 0 |
私の点数:6点/7点満点
保健医療サービスは難しい問題は全く解けなかったりしますが、今回の問題は易しい問題が多かったと思います。
権利擁護と成年後見制度
問題77
次のうち、成年後見開始審判の申立てにおいて、申立権者に含まれない者として、正しいものを1つ選びなさい。
1 本人の孫の配偶者
2 本人の叔母
3 本人の甥
4 本人の子
5 本人のいとこの配偶者
政権後見開始審判の申立てができるのは、「本人、配偶者、4親等内の親族、検察官等」です。
ここでは「4親等内の親族」に当たるのはどこまでかを把握していれば解けます。
4親等内の親族はいとこまでが該当しますので、その配偶者というのは「4親等内の姻族」ということで該当しません。
親族とは、6親等内の血族と配偶者および3親等内の姻族です。
選択肢5が正解です。
ということで、この問題は「①学習したから解ける問題(最良問)」で、私は正解できました。
問題78
事例を読んで、次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
[事例]
Aさんは、判断能力が低下している状況で販売業者のU社に騙(だま)され、50万円の価値しかない商品をU社から100万円で購入する旨の売買契約書に署名捺印(なついん)した。U社は、Aさんに代金100万円の支払を請求している。
1 Aさんにおいて、その商品と同じ価値の商品をもう一つ引き渡すよう請求する余地はない。
2 Aさんにおいて、消費者契約法上、Aさんの誤認を理由とする売買契約の取消しをする余地はない。
3 Aさんにおいて、商品が引き渡されるまでは、代金の支払を拒む余地はない。
4 Aさんにおいて、U社の詐欺を理由とする売買契約の取消しをする余地はない。
5 Aさんにおいて、契約当時、意思能力を有しなかったとして、売買契約の無効を主張する余地はない。
この問題は日本語がややこしいので、あまり適切な問題とは言えないと思いますが、しっかり考えていけば解けます。
1 Aさんにおいて、その商品と同じ価値の商品をもう一つ引き渡すよう請求する余地はない。
これが正解です。分かりにくいですが、騙されているので契約の取消や無効を訴えるべきなので、もう一つ商品を引き渡すよう請求するのはおかしいですね。
2 Aさんにおいて、消費者契約法上、Aさんの誤認を理由とする売買契約の取消しをする余地はない。
騙されたのだから、Aさんの誤認を理由とする売買契約の取消しをする余地があります。
3 Aさんにおいて、商品が引き渡されるまでは、代金の支払を拒む余地はない。
当然、商品が引き渡されるまでは、代金の支払を拒む余地があります。
4 Aさんにおいて、U社の詐欺を理由とする売買契約の取消しをする余地はない。
騙されたのだから、U社の詐欺を理由とする売買契約の取消しをする余地があります。
5 Aさんにおいて、契約当時、意思能力を有しなかったとして、売買契約の無効を主張する余地はない。
判断能力が低下している状況で騙されたのだから、契約当時意思能力を有しなかったとして売買契約の無効を主張する余地があります。
この問題は正直わけがわからない人が多かったと思います。
しかしよくよく日本語を読み解いていくと、正解は選択肢1しかありません。
知識は不要ということで、これは「③学習しなくても解ける問題(易問)」で、私は正解できました。
問題79
行政処分に対する不服申立てに関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 処分庁に上級行政庁がない場合は、処分庁に対する異議申立てをすることができる。
2 審査請求をすることのできる期間は、原則として、処分があったことを知った日の翌日から起算して10日以内である。
3 審査請求に係る処分に関与した者は、審査請求の審理手続を主宰する審理員になることができない。
4 行政事件訴訟法によれば、特別の定めがあるときを除き、審査請求に対する裁決を経た後でなければ、処分の取消しの訴えを提起することができない。
5 再調査の請求は、処分庁以外の行政庁が審査請求よりも厳格な手続によって処分を見直す手続である。
1 処分庁に上級行政庁がない場合は、処分庁に対する異議申立てをすることができる。
間違いです。
異議申し立てではなく、審査請求することになります。
2 審査請求をすることのできる期間は、原則として、処分があったことを知った日の翌日から起算して10日以内である。
間違いです。10日以内では短すぎます。3カ月以内です。
3 審査請求に係る処分に関与した者は、審査請求の審理手続を主宰する審理員になることができない。
これが正解です。当然といえば当然です。
4 行政事件訴訟法によれば、特別の定めがあるときを除き、審査請求に対する裁決を経た後でなければ、処分の取消しの訴えを提起することができない。
間違いです。
審査請求していなくても処分の取消しの訴えを提起出来るのが原則で、これを「自由選択主義」といいます。
しかし、個別の法律で「審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消の訴えを提起することができない」と定められているときには、審査請求を経ないでいきなり取消訴訟を提起することはできません。これを「審査請求前置主義」と言います。
5 再調査の請求は、処分庁以外の行政庁が審査請求よりも厳格な手続によって処分を見直す手続である。
間違いです。再調査は処分庁に対してその処分の取消しや変更を求める手続きです。
この問題はとても難しい問題で、私は選択肢4を選んで間違えました。
生半可に「審査請求前置主義」を学んでいると、選択肢4が正解に見えてしまいます。
ということで、私が解けなかったからというわけではありませんが、学習した人ほど選択肢4にひっかかった受験生が多かったと思いますので、「④学習しても解けない問題(難問)」とさせていただきます。
問題80
成年後見制度に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1 子が自分を成年後見人候補者として、親に対する後見開始の審判を申し立てた後、家庭裁判所から第三者を成年後見人とする意向が示された場合、審判前であれば、家庭裁判所の許可がなくても、その子は申立てを取り下げることができる。
2 財産上の利益を不当に得る目的での取引の被害を受けるおそれのある高齢者について、被害を防止するため、市町村長はその高齢者のために後見開始の審判の請求をすることができる。
3 成年被後見人である責任無能力者が他人に損害を加えた場合、その者の成年後見人は、法定の監督義務者に準ずるような場合であっても、被害者に対する損害賠償責任を負わない。
4 判断能力が低下した状況で自己所有の土地を安価で売却してしまった高齢者のため、その後に後見開始の審判を申し立てて成年後見人が選任された場合、行為能力の制限を理由に、その成年後見人はこの土地の売買契約を取り消すことができる。
5 浪費者が有する財産を保全するため、保佐開始の審判を経て保佐人を付すことができる。
1 子が自分を成年後見人候補者として、親に対する後見開始の審判を申し立てた後、家庭裁判所から第三者を成年後見人とする意向が示された場合、審判前であれば、家庭裁判所の許可がなくても、その子は申立てを取り下げることができる。
間違いです。家庭裁判所の許可がなければ取り下げる事はできません。
2 財産上の利益を不当に得る目的での取引の被害を受けるおそれのある高齢者について、被害を防止するため、市町村長はその高齢者のために後見開始の審判の請求をすることができる。
これが正解です。市町村長は後見開始の審判請求ができます。
3 成年被後見人である責任無能力者が他人に損害を加えた場合、その者の成年後見人は、法定の監督義務者に準ずるような場合であっても、被害者に対する損害賠償責任を負わない。
間違いです。成年後見人が損害賠償責任を負います。
4 判断能力が低下した状況で自己所有の土地を安価で売却してしまった高齢者のため、その後に後見開始の審判を申し立てて成年後見人が選任された場合、行為能力の制限を理由に、その成年後見人はこの土地の売買契約を取り消すことができる。
間違いです。後見開始の審判前に成年被後見人が行った財産処分については、成年後見人の取消権が及びません。
5 浪費者が有する財産を保全するため、保佐開始の審判を経て保佐人を付すことができる。
間違いです。浪費者というだけで保佐人を付すことはできません。
この問題は文章が長いので難しく感じますが、選択肢2を見て正解だと思いたい問題です。
ということで、これは「②学習したから選択肢が絞れる問題(良問)」で、私は正解できました。
問題81
成年後見制度の利用促進に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 成年後見制度利用促進基本計画の対象期間は、おおむね10年程度とされている。
2 市町村は、成年後見制度利用促進基本計画を勘案して、成年後見制度の利用の促進に関する施策についての基本的な計画を定めなければならない。
3 成年後見制度利用促進基本計画においては、利用のしやすさよりも不正防止の徹底が優先課題とされている。
4 政府は、成年後見制度の利用の促進に関する施策の総合的かつ計画的な促進を図るため、成年後見制度利用促進会議を設けることとされている。
5 「成年後見制度利用促進法」でいう成年後見等実施機関とは、介護、医療又は金融に係る事業その他の成年後見制度の利用に関連する事業を行うものをいう。
(注)「成年後見制度利用促進法」とは、「成年後見制度の利用の促進に関する法律」のことである。
1 成年後見制度利用促進基本計画の対象期間は、おおむね10年程度とされている。
間違いです。対象期間はおおむね5年とされています。
2 市町村は、成年後見制度利用促進基本計画を勘案して、成年後見制度の利用の促進に関する施策についての基本的な計画を定めなければならない。
間違いです。義務ではなく努力義務となっています。
福祉計画の分野でしっかり勉強した人は、こんな計画に義務規定はなかったなと思えるはずです。
3 成年後見制度利用促進基本計画においては、利用のしやすさよりも不正防止の徹底が優先課題とされている。
間違いです。この選択肢も普通に考えるとおかしいです。
不正防止の徹底と利用しやすさの調和とされています。
4 政府は、成年後見制度の利用の促進に関する施策の総合的かつ計画的な促進を図るため、成年後見制度利用促進会議を設けることとされている。
これが正解です。
5 「成年後見制度利用促進法」でいう成年後見等実施機関とは、介護、医療又は金融に係る事業その他の成年後見制度の利用に関連する事業を行うものをいう。
この内容は成年後見関連事業者のことです。
成年後見等実施機関とは、「自ら成年後見人等となり、又は成年後見人等若しくはその候補者の育成及び支援等に関する活動を行う団体をいう」と規定されています。
私は選択肢2と3を消去して、選択肢4を選びました。
ということで、これは「②学習したから選択肢が絞れる問題(良問)」で、私は正解できました。
問題82
事例を読んで、日常生活自立支援事業による支援に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
[事例]
Bさん(80代、認知症)は、介護サービスを受けながら在宅生活を送っていたが、金銭管理が不自由になったことを心配したC介護支援専門員からの相談により、3年ほど前から日常生活自立支援事業を利用している。ところが2か月前から、Bさんの判断能力が急速に低下し始め、支援計画の変更が必要となった。
1 Bさんは認知症であるため、Bさんに代わって、C介護支援専門員が日常生活自立支援事業における支援計画の変更を行った。
2 日常生活自立支援事業における支援計画の変更に当たっては、Bさんの親族による承諾が必要である。
3 判断能力の低下により、本事業による援助が困難であると事業実施者が認めた場合には、成年後見制度の利用の支援等適切な対応を行う必要がある。
4 Bさんの在宅生活継続が危ぶまれるため、日常生活自立支援事業による支援の一環としてBさんの居住する住宅の処分を行うこととした。
5 Bさんの判断能力の急速な低下に対応するため、日常生活自立支援事業の今後の利用について運営適正化委員会に諮った。
この問題を解くカギは、以下の2点です。
①日常生活自立支援事業は、成年後見制度を利用する程に認知機能は低下しておらず、事業への契約能力のある人が対象
②運営適正化委員会は苦情申立を行うところ
この2点についての知識があるだけで、選択肢1、2、4、5は消去できます。
日常生活自立支援事業を利用する人は契約能力を有しているので、親族の承諾は必要ありません。
運営適正化委員会は苦情申立機関なのに日常生活自立支援事業の利用について運営適正化委員会に諮るのはおかしいです。
ということで正解は選択肢3です。
この問題は「①学習したから解ける問題(最良問)」で、私は正解できました。
問題83
虐待や配偶者暴力等の防止・対応等に関する関係機関の役割として、正しいものを1つ選びなさい。
1 「児童虐待防止法」において、母子健康包括支援センター(子育て世代包括支援センター)の長は、職員に臨検及び捜索をさせることができる。
2 「障害者虐待防止法」において、基幹相談支援センターの長は、養護者による障害者虐待により障害者の生命または身体に重大な危険が生じているおそれがあると認めるときは、職員に立入検査をさせることができる。
3 「DV防止法」において、警視総監もしくは道府県警察本部長は、保護命令を発することができる。
4 「高齢者虐待防止法」において、市町村は、養護者による高齢者虐待を受けた高齢者について、老人福祉法の規定による措置を採るために必要な居室を確保するための措置を講ずるものとする。
5 「高齢者虐待防止法」において、市町村が施設内虐待の通報を受けたときは、市町村長は、速やかに警察に強制捜査を要請しなければならない。
(注1)「児童虐待防止法」とは、「児童虐待の防止等に関する法律」のことである。
(注2)「障害者虐待防止法」とは、「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」のことである。
(注3)「DV防止法」とは、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」のことである。
(注4)「高齢者虐待防止法」とは、「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」のことである。
1 「児童虐待防止法」において、母子健康包括支援センター(子育て世代包括支援センター)の長は、職員に臨検及び捜索をさせることができる。
間違いです。母子健康包括支援センターの役目ではありません。
2 「障害者虐待防止法」において、基幹相談支援センターの長は、養護者による障害者虐待により障害者の生命または身体に重大な危険が生じているおそれがあると認めるときは、職員に立入検査をさせることができる。
間違いです。基幹相談支援センターの長ではなく、市町村長が職員に立ち入り検査をさせることができます。
3 「DV防止法」において、警視総監もしくは道府県警察本部長は、保護命令を発することができる。
間違いです。保護命令を発するのは警視総監や道府県警察本部長ではなく裁判所です。
4 「高齢者虐待防止法」において、市町村は、養護者による高齢者虐待を受けた高齢者について、老人福祉法の規定による措置を採るために必要な居室を確保するための措置を講ずるものとする。
これが正解です。老人福祉法の措置権限は1990年の福祉八法改正で都道府県から市町村に移ったという知識があれば、これが正解っぽく見えるはず。
5 「高齢者虐待防止法」において、市町村が施設内虐待の通報を受けたときは、市町村長は、速やかに警察に強制捜査を要請しなければならない。
間違いです。警察の強制捜査を要請するというのは書かれていません。
この問題は選択肢4が正解っぽいなーと思いながら、他の選択肢が間違いっぽいなーと同時に思える事で、自信を持って選択肢4を選べるはずです。
ということで、これは「②学習したから選択肢が絞れる問題(良問)」で、私は正解できました。
まとめ
種類 | 問題数 |
---|---|
①学習したから解ける問題(最良問) | 2 |
②学習したから選択肢が絞れる問題(良問) | 3 |
③学習しなくても解ける問題(易問) | 1 |
④学習しても解けない問題(難問) | 1 |
私の点数:6点/7点満点
成年後見制度はややこしいですが、しっかり学習すればいずれ血となり肉となる知識になります。
以上で午前科目は終了です。午前科目は学習に時間のかかる分野が多いのでここまでくるのはたいへんだった人が多かったはず。
残りは150問中67問、半分は超えました。
社会調査の基礎
~ここから午後科目~
問題84
社会調査に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 貧困の実態調査などの社会調査を基に、社会改良が行われることもある。
2 社会調査は、研究者が個人ではなくて共同で行わなければならない。
3 報道機関が行っている世論調査は、社会調査に含まれない。
4 社会調査は、社会福祉援助技術として有効な方法ではない。
5 社会調査は、数量的データとして結果を提示できなければならない。
この問題は易しすぎて誰にでも解けてしまうので悪問ですね。
選択肢1以外を選ぶ人はいません。
例えば選択肢1が仮に間違いだったとすれば、貧困の実態調査などの社会調査で社会改良が行われることはないことになりますが、そんなことはありませんよね。
社会調査には量的調査と質的調査があることを知っていれば選択肢5も間違いであることはすぐにわかります。
選択肢4が仮に正しかったとすれば、社会調査を社会福祉士国家試験で出題するわけがありません。
ということで、これは「③学習しなくても解ける問題(易問)」で、私は正解できました。
問題85
2007年(平成19年)の統計法改正に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 調査票情報の利用制度が変わり、目的を問わず誰でも二次利用できるようになった。
2 改正の目的は、公的統計の位置づけを「行政のための統計」から「社会の情報基盤としての統計」へと転換させることである。
3 基幹統計は、それ以前の指定統計と異なって、回答の義務を規定している。
4 統計委員会は、各都道府県に設置されるようになった。
5 調査対象者の秘密保護の扱いは、改正前と変わっていない。
2007年の統計法改正に関しては学習したことはありませんでしたが、なんとなく選択肢2が正解のように見えると思います。
1 調査票情報の利用制度が変わり、目的を問わず誰でも二次利用できるようになった。
「目的を問わず誰でも」というのは明らかにおかしいです。
2 改正の目的は、公的統計の位置づけを「行政のための統計」から「社会の情報基盤としての統計」へと転換させることである。
これが正解です。
3 基幹統計は、それ以前の指定統計と異なって、回答の義務を規定している。
間違いです。指定統計でも回答の義務がありました。
4 統計委員会は、各都道府県に設置されるようになった。
間違いです。統計委員会は内閣府に設置されていましたが、総務省に移管されました。
5 調査対象者の秘密保護の扱いは、改正前と変わっていない。
間違いです。秘密保護の扱いは強化されました。
捉えどころのない問題でした。
私は選択肢2を選ぶことができましたが自信はありませんでした。
これは「④学習しても解けない問題(難問)」で、私は正解できました。
問題86
調査対象者の抽出に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 標本抽出方法の確率抽出と非確率抽出では、非確率抽出の方が母集団に対する代表性が高い方法である。
2 適切に抽出された標本調査であれば、標本誤差は生じない。
3 調査対象者の多段抽出は、単純無作為抽出に比べて母集団の特性を推定する精度が高い。
4 系統抽出法、抽出台帳に一定の規則性がある場合には、抽出した標本に偏りを生じることはない。
5 スノーボール・サンプリングは、非確率抽出法の一つである。
1 標本抽出方法の確率抽出と非確率抽出では、非確率抽出の方が母集団に対する代表性が高い方法である。
間違いです。
確率抽出の方が母集団の代表性が高いです。
2 適切に抽出された標本調査であれば、標本誤差は生じない。
間違いです。
標本誤差とは、標本調査をした場合の全数調査との誤差なので、必ず標本誤差は発生します。
3 調査対象者の多段抽出は、単純無作為抽出に比べて母集団の特性を推定する精度が高い。
間違いです。
多段抽出は有意抽出の一種なので、何らかの作為的な部分が介入するので母集団の特性を推定する精度は、単純無作為抽出に比べて低くなります。
4 系統抽出法は、抽出台帳に一定の規則性がある場合には、抽出した標本に偏りを生じることはない。
間違いです。
規則性があると抽出した標本に偏りが生じてしまう可能性があります。
5 スノーボール・サンプリングは、非確率抽出法の一つである。
これが正解です。
スノーボールサンプリングは、調査対象者から知人を紹介してもらい、雪だるま式にサンプル数を増やしていく方法です。
これは特定の人の知人つながりのサンプルに偏ってしまうので、非確率抽出法ですね。
スノーボールサンプリングを知っていればズバリ正解を選べますが、その他の選択肢も消去しやすいものばかりなので、しっかり学習した人には易しい問題でした。
ということで、この問題は「①学習したから解ける問題(最良問)」で、私は正解できました。
問題87
量的調査の測定尺度に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 名義尺度は、代表値を求めることはできない。
2 順序尺度は、測定値の大小や優劣を意味しない。
3 間隔尺度は、測定値の間隔を数量的に表現できない。
4 比例尺度は、数値の間隔が等しいだけでなく数値の比も意味を持つ。
5 名義尺度、順序尺度、間隔尺度、比例尺度は、いずれも標準偏差を計算することに数量的な意味がある。
この問題は、私は試験中に不適切問題?と思ってしまいました。
「正解がない?」と。
試験中はなぜか冷静な判断ができないということを思い知らされた問題でした。
1 名義尺度は、代表値を求めることはできない。
間違いです。
名義尺度でも最頻値などは求める事が出来ます。
2 順序尺度は、測定値の大小や優劣を意味しない。
間違いです。
順序尺度は、測定値の大小や優劣の情報も含まれます。
「1.とても満足 2.やや満足 3.普通 4.やや不満 5.とても不満」などの順序尺度では優劣を意味しますね。
3 間隔尺度は、測定値の間隔を数量的に表現できない。
間違いです。
間隔尺度は測定値の間隔を数量的に表現できます。
間隔尺度の代表は「温度」ですが、数量的に表現できますね。
4 比例尺度は、数値の間隔が等しいだけでなく数値の比も意味を持つ。
正しいです。
比例尺度にはゼロ点が存在するので、四則演算が可能、つまり数値の比も意味を持ちます。
例えば体重80kgは体重40kgの人の2倍であると言えますね。
つまり比が意味を持つわけです。
先ほどの間隔尺度の温度では比が意味を持ちません。
5 名義尺度、順序尺度、間隔尺度、比例尺度は、いずれも標準偏差を計算することに数量的な意味がある。
間違いです。
名義尺度ど順序尺度では、標準偏差は計算できません。
私は選択肢4の「数値の間隔が等しい」というところにひっかかって正しい思えず、「正解がない?」と焦り、選択肢2を選んでしましました。
後から冷静に考えれば分かったのですが、試験中はどうも冷静に考えられなくなることがありますね。
ということで、この問題は「①学習したから解ける問題(最良問)」です。
問題88
質問紙の作成に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
1 ダブルバーレルは、質問の中に三つ以上の論点を含めないようにする作成方法である。
2 リッカート尺度は、「当てはまる」「どちらともいえない」「当てはまらない」などというように多段階で程度を測定する選択肢で回答を求めるものである。
3 キャリーオーバー効果は、前に回答したことが、後に続く質問の回答へ効果的な影響を与えるので、積極的に用いるのが望ましい。
4 質問紙の作成においては、全て〇や数字で回答するようにし、文字の記述を求める自由回答の欄を設けてはいけない。
5 フェイスシートは、回答者の年齢、学歴、家族構成などの属性を回答する欄である。
この問題も典型的な問題なのでズバリ正解を選ぶことも、消去法で正解にたどり着くこともできます。
1 ダブルバーレルは、質問の中に三つ以上の論点を含めないようにする作成方法である。
間違いです。
ダブルだから質問の中に2つ以上の論点が含まれるのがダブルバーレル質問です。
例えば「あなたは肉や魚が好きですか?」という質問は、肉が好きか嫌いか、魚が好きか嫌いかという2つの質問が含まれてしまっていますね。
2 リッカート尺度は、「当てはまる」「どちらともいえない」「当てはまらない」などというように多段階で程度を測定する選択肢で回答を求めるものである。
正しいです。
リッカート尺度は心理的な傾向を測定する時に用いられます。
「1とても良い、2良い、3普通、4悪い、5とても悪い」などです。
3 キャリーオーバー効果は、前に回答したことが、後に続く質問の回答へ効果的な影響を与えるので、積極的に用いるのが望ましい。
間違いです。
前に回答したことが後に続く質問の回答に影響を与えてしまうキャリーオーバー効果は、起こらないように質問の順番を工夫したりしなければなりません。
4 質問紙の作成においては、全て〇や数字で回答するようにし、文字の記述を求める自由回答の欄を設けてはいけない。
間違いです。
そんな制約ありません。
5 フェイスシートは、回答者の年齢、学歴、家族構成などの属性を回答する欄である。
正しいです。
この問題は、選択肢1,3,4が明らかに消去できるので、選択肢2,5が正解であることは導きやすいですね。
ダブルバーレルやキャリーオーバー効果は基本中の基本ですから。
ということで、この問題は「①学習したから解ける問題(最良問)」で、私は正解できました。
問題89
量的調査の集計と分析に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 質問紙調査のデータを集計する際に、全体的な回答の分布を見たい場合に、度数分布表を用いることはない。
2 データの分布を代表する値として平均値を用いておけば、中央値や最頻値は見なくてもよい。
3 標準偏差は、調査データが全体としてどれぐらい平均値から離れて散らばっているかを表す指標の一つである。
4 推測統計とは、収集されたデータそのものの特徴を記述するための方法である。
5 オッズ比は、分布の左右対称性に関する指標である。
量的調査の集計と分析についての問題は難しかったりしますが、この問題は易しめです。
1 質問紙調査のデータを集計する際に、全体的な回答の分布を見たい場合に、度数分布表を用いることはない。
間違いです。
全体的な回答の分布を見る時にこそ、度数分布表を用います。
2 データの分布を代表する値として平均値を用いておけば、中央値や最頻値は見なくてもよい。
これも変な文章で間違い選択肢のニオイがプンプンします。
平均値だけでは分布の全体像はわかりません。
3 標準偏差は、調査データが全体としてどれぐらい平均値から離れて散らばっているかを表す指標の一つである。
これが正解です。
4 推測統計とは、収集されたデータそのものの特徴を記述するための方法である。
間違いです。
この内容は推測統計ではなく記述統計のことが書かれています。
推測統計は、収集されたデータから母集団の性質を推測する統計的な方法です。
5 オッズ比は、分布の左右対称性に関する指標である。
分布の左右対称性に関する指標は「歪度」といいます。
オッズ比は、出来事が発生する比率の群間比較に用いられます。
オッズ比を知らない受験生は多かったかもしれませんが、選択肢3がズバリ正解であることは分かると思います。
ということで、この問題は「①学習したから解ける問題(最良問)」で、私は正解できました。
問題90
調査の情報の整理と分析に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
1 グラウンデッド・セオリー・アプローチにおける軸足コーディングは、単一のカテゴリーと複数のサブカテゴリーを関連づける方法である。
2 プリコーディングとは、自由記述や事前に数値化が困難な回答に対して、調査者が後からコードの割当てをすることをいう。
3 会話分析の関心は、調査対象者がどのように日常的な相互行為を秩序立てて生み出すのかを解明するために、会話内容ではなく、会話の形式や構造に向けられる。
4 ミックス法は、質問紙などの量的調査とインタビューなどの質的調査を組み合わせる方法である。
5 インタビューデータの分析において、対象者が使っている言葉をそのままコードとして用いることをオープン・コーディングという。
1 グラウンデッド・セオリー・アプローチにおける軸足コーディングは、単一のカテゴリーと複数のサブカテゴリーを関連づける方法である。
正しいです。
軸足コーディングはオープンコーディングで抽出されたカテゴリーを相互に関連づけたり、カテゴリーとサブカテゴリーの関係を明らかにしていく分析です。
2 プリコーディングとは、自由記述や事前に数値化が困難な回答に対して、調査者が後からコードの割当てをすることをいう。
間違いです。
後からコード化するのはアフターコーディングです。プリコーディングの「プリ」は「事前に」の意味なので逆です。
プリペイドカードとかのプリですね。
3 会話分析の関心は、調査対象者がどのように日常的な相互行為を秩序立てて生み出すのかを解明するために、会話内容ではなく、会話の形式や構造に向けられる。
間違いです。
会話分析では当然会話の内容にも関心を向けます。
4 ミックス法は、質問紙などの量的調査とインタビューなどの質的調査を組み合わせる方法である。
正しいです。
量的調査と質的調査を組み合わせるのがミックス法です。
5 インタビューデータの分析において、対象者が使っている言葉をそのままコードとして用いることをオープン・コーディングという。
間違いです。
対象者が使っている言葉をそのままコードとして用いるのはインビボコーティングです。
オープンコーディングは、質的データを意味のまとまりごとに切片化し、その内容を簡潔に表す語句でコード化する初期のコーディングです。
この問題は選択肢2,3,5が明らかに間違いで消去できるので、残る選択肢1と4が正解であることが導かれます。
ということで、この問題は「①学習したから解ける問題(最良問)」で、私は正解できました。
まとめ
種類 | 問題数 |
---|---|
①学習したから解ける問題(最良問) | 5 |
②学習したから選択肢が絞れる問題(良問) | 0 |
③学習しなくても解ける問題(易問) | 1 |
④学習しても解けない問題(難問) | 1 |
私の点数:6点/7点満点
この分野も学習が活きる問題が多く、得点源にできる分野でした。
相談援助の基盤と専門職
問題91
社会福祉士及び介護福祉士法の規定されている社会福祉士の義務等に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 資質向上の責務として、相談援助に関わる後継者の育成を行わなければならない。
2 秘密保持義務として、その業務に関して知り得た人の秘密は、いかなる理由があっても開示してはならない。
3 信用失墜行為の禁止として、所属組織の信用を傷つけるような行為をしてはならない。
4 連携保持の責務として、業務内容の変化に対応するため、知識と技能の向上に努めなければならない。
5 誠実義務として、個人の尊厳を保持し、自立した日常生活を営むことができるよう、常のその者の立場に立って、誠実にその業務を行わなければならない。
相談援助分野はやさしい問題が多いので、確実に正解しなければならない問題も多いです。
とにかく、明らかに消去できる選択肢を消去していって、確実に得点にしましょう。
1 資質向上の責務として、相談援助に関わる後継者の育成を行わなければならない。
間違いです。後継者育成の義務はありません。
2 秘密保持義務として、その業務に関して知り得た人の秘密は、いかなる理由があっても開示してはならない。
「いかなる理由があっても」は怪しいなぁと思いながら試験中は保留にしましたが、やはり間違いでした。
「法律上の義務が課せられない限り」となっていますので、法律上の義務が課せられる場合は秘密を開示しなければなりません。
3 信用失墜行為の禁止として、所属組織の信用を傷つけるような行為をしてはならない。
このようなことは書かれていません。「社会福祉士および介護福祉士」の信用を傷つけるような行為をしてはならないと書かれています。
4 連携保持の責務として、業務内容の変化に対応するため、知識と技能の向上に努めなければならない。
連携保持の責務なのに知識と技能の向上に努めなければならないというのは変な気がします。
実際は、「福祉サービス関係者等との連携を保たなければならない」と規定されています。
5 誠実義務として、個人の尊厳を保持し、自立した日常生活を営むことができるよう、常のその者の立場に立って、誠実にその業務を行わなければならない。
これが正解です。
私も選択肢1と2を消去したあと、3と4を保留にして、5を見た時に選択肢5を選びました。
ということで、この問題は「②学習したから選択肢が絞れる問題(良問)」で、私は正解できました。
問題92
「ソーシャルワークのグローバル定義」(2014年)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ソーシャルワークの発展は、西欧諸国を基準に展開する。
2 ソーシャルワークは、できる限り、「人々のために」ではなく、「人々とともに」働くという考え方をとる。
3 ソーシャルワークの基盤となる知は、単一の学問分野に依拠する。
4 ソーシャルワークの原則は、人間の内発的価値と尊厳の尊重から、多様性の尊重へと変化した。
5 ソーシャルワークの本質として人間関係における問題解決を図ることが新たに加わり、政策目標であることが示された。
(注)「ソーシャルワークのグローバル定義」とは、2014年7月の国際ソーシャルワーカー連盟(IFSW)と国際ソーシャルワーク学校連盟(IASSW)の総会・合同会議で採択されたものを指す。
1 ソーシャルワークの発展は、西欧諸国を基準に展開する。
間違いです。「各国および世界の各地域で展開してもよい」とされています。
2 ソーシャルワークは、できる限り、「人々のために」ではなく、「人々とともに」働くという考え方をとる。
これが正解です。
3 ソーシャルワークの基盤となる知は、単一の学問分野に依拠する。
間違いです。
「ソーシャルワークは、複数の学問分野をまたぎ、その境界を超えていくものであり、広範な科学的理論及研究を利用する」とされています。
4 ソーシャルワークの原則は、人間の内発的価値と尊厳の尊重から、多様性の尊重へと変化した。
人間の内発的価値と尊厳の尊重も多様性の尊重もどちらも原則です。
5 ソーシャルワークの本質として人間関係における問題解決を図ることが新たに加わり、政策目標であることが示された。
このような内容はソーシャルワークの政策目標として明示されていません。
私は選択肢2と4で迷って選択肢4を選んでしまいました。
ということで、この問題は「②学習したから選択肢が絞れる問題(良問)」で、私は不正解でした。
問題93
ソーシャルワーク実践理論を発展させた人物に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 ベーム(Boehm,W)は、人間と環境の相互作用を基本視点とした生態学的アプローチを展開した。
2 ジャーメイン(Germain,C.)は、ソーシャルワークを本質的な観点から検討し、ソーシャルワークの活動を三つの機能に分類して定義化を試みた。
3 シュワルツ(Schwartz,W.)は、個人と社会の関係は共生的な相互依存関係であるとし、ソーシャルワーカーの媒介機能を重視する相互作用モデルを展開した。
4 ゴールドシュタイン(Goldstein,H.)は、価値の体系、知識の体系および多様な介入方法の3要素に基づくソーシャルワーク実践の共通基盤を提唱した。
5 バートレット(Bartlett,H.)は、システム理論を指向した一元的アプローチを展開し、後に認知的-人間性尊重アプローチを展開した。
1 ベーム(Boehm,W)は、人間と環境の相互作用を基本視点とした生態学的アプローチを展開した。
間違いです。生態学的アプローチ(エコロジカルアプローチ)といえばジャーメインでしたね。
ベームは、ソーシャルワークの活動を、①損傷を負った能力の回復、②個人的資源と社会的資源の確保、③社会的機能の予防、の三つの機能に分類した人です。
2 ジャーメイン(Germain,C.)は、ソーシャルワークを本質的な観点から検討し、ソーシャルワークの活動を三つの機能に分類して定義化を試みた。
間違いです。
こちらがベームの説明になっています。
3 シュワルツ(Schwartz,W.)は、個人と社会の関係は共生的な相互依存関係であるとし、ソーシャルワーカーの媒介機能を重視する相互作用モデルを展開した。
これが正解です。
シュワルツが展開した相互作用モデルとは、個人と社会組織が互いの利益のために相互援助システムとして機能することを目的とするものである。ソーシャルワーカーの機能を、個人と社会が互いに手を差し伸べる過程を媒介することとした「媒介機能」は、ソーシャルワーク全体に多大な影響を与えた。
4 ゴールドシュタイン(Goldstein,H.)は、価値の体系、知識の体系および多様な介入方法の3要素に基づくソーシャルワーク実践の共通基盤を提唱した。
間違いです。
これはバートレットの説明になっています。
5 バートレット(Bartlett,H.)は、システム理論を指向した一元的アプローチを展開し、後に認知的-人間性尊重アプローチを展開した。
間違いです。
これはゴールドシュタインの説明になっています。
この問題は知らない人物がいろいろ出てきて私はよくわかりませんでした。
ジャーメインが生態学的アプローチの提唱者であることは知っていたので、選択肢1と2を消去し、選択肢3を自信なく選んだら正解でした。
ということで、この問題は「②学習したから選択肢が絞れる問題(良問)」で、私は正解できました。
問題94
アドボカシーに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ケースアドボカシーとは、クライエントと同じ状況に置かれている人たちの権利を守るために、新たな制度を開発する活動である。
2 コ―ズアドボカシーとは、クライエントの権利を守るために、法的な手段を用いる活動である。
3 セルフアドボカシーとは、クライエントが自らの権利を主張していく活動である。
4 シチズンアドボカシーとは、同じ課題を抱えるクライエントの代弁や制度の改善・開発を目指す活動である。
5 リーガル・アドボカシーとは、一人のクライエントの安定した生活を復権させる活動である。
この問題は易しいので絶対に正解しなければなりません。
1 ケースアドボカシーとは、クライエントと同じ状況に置かれている人たちの権利を守るために、新たな制度を開発する活動である。
これはコ―ズアドボカシーの説明なので間違いです。
2 コ―ズアドボカシーとは、クライエントの権利を守るために、法的な手段を用いる活動である。
これはケースアドボカシーの説明なので間違いです。
3 セルフアドボカシーとは、クライエントが自らの権利を主張していく活動である。
これが正解です。
4 シチズンアドボカシーとは、同じ課題を抱えるクライエントの代弁や制度の改善・開発を目指す活動である。
シチズンアドボカシーは市民の自発的な行為によって、不利益を被る可能性がある人を擁護することですので間違いです。
5 リーガル・アドボカシーとは、一人のクライエントの安定した生活を復権させる活動である。
間違いです。
リーガルアドボカシーは弁護士など法的な訓練を受けた人が、クライエントの権利行使を援助したり、権利を擁護するために働きかけるものです。
一人のクライエントが対象ではありません。
ということで、この問題は「①学習したから解ける問題(最良問)」で、私は正解できました。
問題95
社会福祉施設等において、国により配置が義務づけられている専門職として、正しいものを1つ選びなさい。
1 介護老人福祉施設における薬剤師
2 母子生活支援施設における保健師
3 婦人保護施設における理学療法士
4 乳児院における看護師
5 地域包括支援センターにおける医師
1 介護老人福祉施設における薬剤師
間違いです。
介護老人福祉施設に配置されるのは、医師、生活相談員、介護職員、看護職員(看護師若しくは准看護師)、栄養士、機能訓練指導員、介護支援専門員です。
2 母子生活支援施設における保健師
間違いです。
母子生活支援施設に配置されるのは、母子支援員(保育士や社会福祉士など)、嘱託医、少年指導員、調理員(それに代わるものでも可)です。
3 婦人保護施設における理学療法士
間違いです。婦人保護施設に理学療法士は変ですよね。
婦人保護施設に配置されるのは、施設長、入所者を指導する職員、調理員などです。
4 乳児院における看護師
これが正解です。
乳児院に配置されるのは、小児科診療の経験が豊富な医師(若しくは嘱託医)、看護師、個別対応職員、家庭支援専門相談員(社会福祉士など)、心理療法担当職員(乳幼児又はその保護者10人以上に心理療法を行う場合)、栄養士や調理員、保育士です。
乳幼児10人の乳児院には2人以上、10人増すごとに1人以上の看護師を置くことが義務づけられています。
5 地域包括支援センターにおける医師
間違いです。
地域包括支援センターに配置されるのは、保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員でした。
社会福祉士が必置となっている唯一の機関でしたね。
私は選択肢2と4で迷いましたが、結局4を選んで正解でした。
ということで、この問題は「①学習したから解ける問題(最良問)」で、私は正解できました。
問題96
事例を読んで、D社会福祉士が抱える倫理的ジレンマとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
[事例]
V病院はこの地域の急性期医療の拠点であり、複数の社会福祉士が働いており、円滑な退院支援を心掛けている。D社会福祉士が担当したEさんは一人暮らしの85歳の男性で、猛暑による脱水症状のため緊急搬送された。入院して10日目で全身状態は落ち着き、D社会福祉士にEさんの速やかな退院支援を行うよう依頼があった。Eさんは今回の入院で一人暮らしが不安になり、当面V病院での入院継続を希望している。困惑したD社会福祉士は、同僚のF社会福祉士にも相談することにした。
1 クライエントの利益に対する責任と、記録の開示
2 クライエントに対する責任と、所属機関に対する責任
3 同僚に対する責任と、専門性への責任
4 クライエントとの信頼関係と、信用失墜行為の禁止
5 守秘義務と、制度や法令順守に対する責任
この問題は事例をしっかり読み込んで、D社会福祉士が抱える倫理的ジレンマを想像します。
一人暮らしの男性が脱水症状で入院していて、回復したので退院させたいが本人は一人暮らしの状況に戻るのに不安を抱えているということでした。
つまり退院させたい病院の意向と、退院を続けたい本人の意向の間でD社会福祉士は悩んでいるわけです。
ということで正解は選択肢2しかありませんね。
ということで、この問題は「③学習しなくても解ける問題(易問)」で、私は正解できました。
問題97
事例を読んで、G社会福祉士がこの段階で行う対応として、適切なものを2つ選びなさい。
[事例]
地域包括支援センターのG社会福祉士は、「どこに相談してよいか分からない」という女性からの電話を受けた。電話の内容は、数年前からこの地区で一人暮らしをしている母親(72歳)を心配した、遠隔地に住む娘からのものであり、以下のことが話された。「母親に認知症の初期症状がみられるようで、ゴミを出す日を間違えたり、家の中も片付けられない。近所の人とゴミのことで口論となることもあり、今後この地区で、今までのように暮らしていくことができるか、また、家族としてどのようにしていけばよいか悩んでいる」。
1 アウトリーチ
2 モニタリング
3 ソーシャルアクション
4 ターミネーション
5 アセスメント
この辺りになると、2つ選ぶというところを見落としがちなので忘れてはいけません。
2つ選ぶ問題は得点しやすいので絶対に見逃さないように。
この問題は易しいので絶対に間違ってはいけません。
正解は選択肢1と5です。
選択肢2、3、4が明らかに間違いなので消去法でも正解できます。
ということで、この問題は「①学習したから解ける問題(最良問)」で、私は正解できました。
まとめ
種類 | 問題数 |
---|---|
①学習したから解ける問題(最良問) | 3 |
②学習したから選択肢が絞れる問題(良問) | 3 |
③学習しなくても解ける問題(易問) | 1 |
④学習しても解けない問題(難問) | 0 |
私の点数:6点/7点満点
この分野は例年易しい問題が多く、この年もそうでした。
午後科目は社会調査に続いて、このあたりまで調子よく解いていけます。
相談援助の理論と方法
問題98
ソーシャルワークに影響を与えたシステム理論に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ホメオスタシスとは、システムが恒常性を保とうとする働きである。
2 システムとは、複数の要素が無機的に関わり合っている集合体である。
3 開放システムの変容の最終状態は、初期条件によって一義的に決定される。
4 外部と情報やエネルギーの交換を行っているのは、閉鎖システムである。
5 サイバネティックスとは、システムが他の干渉を受けずに自己を変化させようとする仕組みである。
1 ホメオスタシスとは、システムが恒常性を保とうとする働きである。
これが正解です。
ホメオスタシスは恒常性維持機能などと訳されます。
2 システムとは、複数の要素が無機的に関わり合っている集合体である。
間違いです。
「無機的に」でなはく「有機的に」関わり合っています。
3 開放システムの変容の最終状態は、初期条件によって一義的に決定される。
間違いです。
初期条件によって一義的に決定されるものではありません。
4 外部と情報やエネルギーの交換を行っているのは、閉鎖システムである。
間違いです。
外部と情報やエネルギーの交換を行っているのは、開放システムです。
5 サイバネティックスとは、システムが他の干渉を受けずに自己を変化させようとする仕組みである。
間違いです。
サイバネティックスとは、情報の通信と制御の観点から、生物、人間、機械、組織、社会等の機構を統一的に解明しようとする考え方で、システムがどのように作動・変動するのかは、フィードバックによるものと考えます。そのフィードバックについて理論を定式化しようとしたのがサイバネティックスなので、説明文にある「他の干渉を受けずに」というのは間違いです。
私は選択肢1がズバリ正解であることがわかったので容易でした。
選択肢2、3、4も明らかに消去できます。
ということで、この問題は「①学習したから解ける問題(最良問)」で、私は正解できました。
問題99
岡村重夫が述べた社会福祉の一般的機能に関して、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 評価的機能は、援助者が、対象者の参加なしに対象者が抱える生活困難を評価するために発揮される。
2 調整的機能は、専門職間で生じている不調和の解決を図るために発揮される。
3 送致的機能は、援助者の所属機関が対象者の主訴に対処できないとき、適切な機関に対象者を紹介するために発揮される。
4 開発的機能は、個人の社会関係能力条件を開発するために発揮される。
5 保護的機能は、個人が必要とする保護を永続的に提供するために発揮される。
岡村重夫がまたでた!と恐れ戦きますが、普通に考えれば消去できる選択肢が多いです。
1 評価的機能は、援助者が、対象者の参加なしに対象者が抱える生活困難を評価するために発揮される。
間違いです。
「対象者の参加なしに」ではいけません。
2 調整的機能は、専門職間で生じている不調和の解決を図るために発揮される。
間違いです。
専門職間の不調和ではなく、地域にある関係機関・組織等の連絡調整のことです。
3 送致的機能は、援助者の所属機関が対象者の主訴に対処できないとき、適切な機関に対象者を紹介するために発揮される。
間違いです。
送致的機能は、対象者の欠損した社会関係を回復させたり、新たな社会関係を見出すように援助する機能です。
4 開発的機能は、個人の社会関係能力条件を開発するために発揮される。
これが正解です。
5 保護的機能は、個人が必要とする保護を永続的に提供するために発揮される。
間違いです。
「永続的に」ではいけません。
選択肢1、2、5は明らかに消去できます。
私は選択肢3、4で迷って結局3を選んで間違えました。
ということで、この問題は「②学習したから選択肢が絞れる問題(良問)」で、私は不正解でした。
問題100
事例を読んで、H児童福祉司(社会福祉士)の家族システムの視点に基づいた対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
[事例]
父(43歳)と母(39歳)と暮らしているJ君(12歳)は、真夜中に繁華街を徘徊(はいかい)していたところ警察に補導された。親と連絡がつかないため、W児童相談所に保護された。W児童相談所のH児童福祉司がJ君に家族について尋ねたところ、父母は仕事が多忙で、今日も母親から渡されたお金で夕食を食べるために繁華街に来ていたことがJ君から語られた。
1 J君の行動は父の無責任さによるものと考え、父への介入に焦点を当てる。
2 J君に、真夜中に繁華街を徘徊しないよう指導する。
3 J君に、父や母がJ君のことをどう思っているかを尋ねる。
4 J君に、一時的に親戚宅で生活するよう提案する。
5 J君の心情を考え、今以上にJ君に関わるよう、母親を指導する。
確実に正解したい易しい問題です。
明らかに消去できるのは、選択肢1,2,4,5で、選択肢3しか残りませんね。
ということで、この問題は「③学習しなくても解ける問題(易問)」で、私は正解できました。
問題101
ソーシャルワーク実践理論の基礎に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ランク(Rank,O.)の意思療法は、利用者の過去に着目し、利用者のパーソナリティの構造や自我の働きを捉える診断主義学派の礎となった。
2 ロス(Ross,M.)のコミュニティ・オーガニゼーション説は、地域における団体間調整の方法としてのインターグループワークを提唱した。
3 ホリス(Hollis,F.)の心理社会的アプローチは、診断主義学派と機能主義学派、両アプローチの折衷アプローチであり、両学派の統合を試みた。
4 タフト(Taft,J.)ら機能主義学派は、ソーシャルワーカーが所属する機関の機能に着目し、機関におけるソーシャルワーカーの役割を重視した。
5 パールマン(Perlman,H.)の問題解決アプローチは、精神分析や自我心理学の理論を否定し、人・状況・その双方の関連性においてケースワークを捉えた。
この問題は確実に正解したいです。
1 ランク(Rank,O.)の意思療法は、利用者の過去に着目し、利用者のパーソナリティの構造や自我の働きを捉える診断主義学派の礎となった。
間違いです。
ランクの意思療法は診断主義ではなく機能主義でしたね。
2 ロス(Ross,M.)のコミュニティ・オーガニゼーション説は、地域における団体間調整の方法としてのインターグループワークを提唱した。
間違いです。
インターグループワークと言えば、ニューステッターでしたね。
3 ホリス(Hollis,F.)の心理社会的アプローチは、診断主義学派と機能主義学派、両アプローチの折衷アプローチであり、両学派の統合を試みた。
間違いです。
ホリスは心理社会的アプローチの代表者ですが、診断主義から派生したアプローチです。
診断主義と機能主義の折衷アプローチといえば問題解決アプローチです。
4 タフト(Taft,J.)ら機能主義学派は、ソーシャルワーカーが所属する機関の機能に着目し、機関におけるソーシャルワーカーの役割を重視した。
これが正解です。
機能主義の機能とは、ワーカーが所属する機関の機能という意味でしたね。
5 パールマン(Perlman,H.)の問題解決アプローチは、精神分析や自我心理学の理論を否定し、人・状況・その双方の関連性においてケースワークを捉えた。
間違いです。
問題解決アプローチは診断主義と機能主義の折衷アプローチなので、診断主義に取り入れられている精神分析を否定しません。
私は選択肢4をズバリ選んで、さらに他の選択肢も消去できたので自信をもって回答できました。
ということで、この問題は「①学習したから解ける問題(最良問)」で、私は正解できました。
問題102
事例を読んで、Kソーシャルワーカー(社会福祉士)の援助の初回面接における応答として、適切なものを2つ選びなさい。
[事例]
X小児がん拠点病院のKソーシャルワーカーは医師からの依頼で、これからの治療や生活に対する支援実施のため、同院の血液腫瘍科で小児がんと告知された女児(3歳)の両親と面談することになった。面接の冒頭、目を真っ赤にした母親は、「先生から娘の病気の説明は受けましたが、現実味がありません。ただ、なぜと繰り返し考えてしまいます。私たちの娘はなぜ3歳でがんになったのですか。できることなら私が代わってあげたい」と訴えた。
1 「今は混乱しているでしょうが、そのうち冷静に考えることができますよ」
2 「同じ経験をされている方はたくさんいます。その方々と会ってみませんか」
3 「ご心配が募る中でも娘さんの病気に向き合おうと努めておられるのですね」
4 「今は治療も進歩しているので大丈夫。安心して治療に専念しましょう」
5 「これからの治療や生活について、ご一緒に考えていきたいと思います」
易しい問題なので確実に正解したいです。
正解は選択肢3と5ですね。
「初回面接時」であること、「はげましの言葉はダメ」ということがポイントでしょうか。
ということで、この問題は「③学習しなくても解ける問題(易問)」で、私は正解できました。
問題103
相談援助の過程に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 プランニングとは、人と環境の相互作用の枠組みで情報収集及び分析を行う段階である。
2 エバリュエーションとは、ソーシャルワーカーとクライエントが出会い、信頼関係を構築する段階である。
3 コーピングとは、実施されているサービスが適切に提供されているか事実確認を行う段階である。
4 インテークとは、支援の成果を評価し、その状況によっては終結へと進む段階である。
5 インターベンションとは、援助計画に沿って支援を実施していく段階である。
この問題も易しいので確実に正解したいです。
1 プランニングとは、人と環境の相互作用の枠組みで情報収集及び分析を行う段階である。
間違いです。
これはアセスメントの説明です。
2 エバリュエーションとは、ソーシャルワーカーとクライエントが出会い、信頼関係を構築する段階である。
間違いです。
これはインテークの説明です。
3 コーピングとは、実施されているサービスが適切に提供されているか事実確認を行う段階である。
間違いです。
コーピングはストレスへの対処のことですので全く違います。
4 インテークとは、支援の成果を評価し、その状況によっては終結へと進む段階である。
間違いです。
これはエバリュエーションの説明です。
5 インターベンションとは、援助計画に沿って支援を実施していく段階である。
これが正解です。
インターベンションは「介入」の意味で、よく出題されます。
ということで、この問題は「①学習したから解ける問題(最良問)」で、私は正解できました。
問題104
シングル・システム・デザイン法に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 適用対象として、個人よりも家族など小集団に対する支援が適切である。
2 ベースライン期とは、支援を実施している期間を指す。
3 クライエントを、実験群と統制群に分けて測定する。
4 測定対象のクライエントに対する支援効果を明らかにできる。
5 ABデザインを用いる場合、測定期間中に支援を一旦中止する必要がある。
私は試験中、シングル・システム・デザイン法って何?って思いました。
これは社会福祉を評価する方法の1つです。
福祉が措置制度から契約制度になり、福祉の質を評価することが求められているのです。
1 適用対象として、個人よりも家族など小集団に対する支援が適切である。
間違いです。
個人も家族などの小集団も対象です。
2 ベースライン期とは、支援を実施している期間を指す。
間違いです。
ベースライン期とは、支援実施前の期間のことです。
3 クライエントを、実験群と統制群に分けて測定する。
間違いです。
社会福祉評価法にはシングル・システム・デザイン法以外にも集団比較実験計画法やクロスセクショナル事例研究法(断面的事例研究法)、グランプリ調査法、メタ・アナリシス法などがあって、この記述は集団比較実験計画法の内容になっています。
4 測定対象のクライエントに対する支援効果を明らかにできる。
これが正解です。
5 ABデザインを用いる場合、測定期間中に支援を一旦中止する必要がある。
間違いです。
シングル・システム・デザイン法ではベースライン期を「A」、介入期を「B」で表します。
これにはいくつかのデザイン分類があって、その中でABデザインは最も基本的なデザインです。
これはワーカーの介入による変化と援助の因果関係を繰り返し観察するので支援を一旦中止する必要はありません。
シングル・システム・デザイン法と集団比較実験計画法を比較すると、集団比較実験計画法の方が介入と変化の因果関係を捉えやすいので、一般化して同じケースに適用できます。
逆にシングル・システム・デザイン法は一般化しにくいので、ケース毎に調査しなければなりません。
シングル・システム・デザイン法は集団比較実験計画法に比べて実践的な方法なんですが、介入と変化の因果関係を明確にしにくい欠点があります。
私は全く未学習でしたのでよくわからず選択肢4を選びました。
ということで、この問題は「④学習しても解けない問題(難問)」で、私は運よく正解できました。
問題105
事例を読んで、エイズ治療拠点病院のL医療ソーシャルワーカーの、この段階における応答として、適切なものを2つ選びなさい。
[事例]
3か月前にエイズ脳症でパートナーのMさんを看取ったAさん(50歳)が、L医療ソーシャルワーカーの下を訪れた。L医療ソーシャルワーカーは、「もう生きていけない」と悲しんでいたAさんを、Mさんの他界後も支援してきた。この日、面接室でAさんは、「Mが亡くなってからは毎日Mのことを思い出して泣き、しばらくは夢を見ているようでした。今も悲しい気持ちに変わりありませんが、最近現実を直視できるようになってきました。これからは、一人で暮らしていけると思います」と話した。
1 「よくMさんを支え続けていらっしゃいましたね」
2 「お一人で生活していけるというお気持ちは、きっと一時的なものですね」
3 「面接室でお目に掛かることもこの先ないかと思うとお別れが寂しいですね」
4 「今後のことで相談が必要となるようなことがありましたらご連絡ください」
5 「パートナーと死別した方のグループに入会しましょう」
この問題も確実に正解したいです。
選択肢1と4以外、選ぶ余地はありません。
ということで、この問題は「③学習しなくても解ける問題(易問)」で、私は正解できました。
問題106
事例を読んで、B社会福祉士が介入しようとしているシステムとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
[事例]
P国から2年前に来日したCさんは、現在、難民認定を得て就労可能な在留資格を持って、Q市で暮らしている。日本語能力は十分ではないが、R市にある会社に就職している。しかし、自宅付近では孤独な暮らしで、近隣住民との会話ややりとりは全くない。Cさんは、どうしたら近隣住民と交流を持てるのかと悩み、Q市社会福祉協議会のB社会福祉士に相談した。B社会福祉士は、Cさんと同じような相談を複数回受けたことがあったため、実態把握の必要性を感じた。このため、Q市に居住している外国籍住民を対象とした聞き取りを行い、その結果を町内会に報告し、対応を促すこととした。
1 ミクロシステム
2 メゾシステム
3 クロノシステム
4 マクロシステム
5 エクソシステム
選択肢はブロンフェンブレナーが提唱した社会システムです。
ミクロシステム→個人や家族
メゾシステム→地域
クロノシステム→ライフイベントや時代の流れ(兄弟の誕生など)
マクロシステム→社会や国家
エクソシステム→地域より少し広い(親の勤務先や兄弟の通う学校など)
ということで、この事例では地域へ介入しようとしていますので、正解は選択肢2です。
私はよくわからなかったので選択肢1を選んで間違えました。
ということで、この問題は「④学習しても解けない問題(難問)」で、私は不正解でした。
問題107
ソーシャルワークにおける援助関係に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ラポールとは、被援助者に代わって援助者が意思決定することを表す
2 パートナーシップとは、援助者と被援助者が共に課題に取り組む関係性を表す。
3 逆転移とは、被援助者が自己の感情を援助者に向けることを表す。
4 パターナリズムとは、援助者と被援助者間の情動的な絆(きずな)を表す。
5 アタッチメントとは、被援助者が援助者から自立している状態を表す。
この問題も正解したいです。
1 ラポールとは、被援助者に代わって援助者が意思決定することを表す。
間違いです。
ラポールとは援助者と被援助者の信頼関係のことです。
説明はパターナリズムの内容になっています。
2 パートナーシップとは、援助者と被援助者が共に課題に取り組む関係性を表す。
これが正解です。
3 逆転移とは、被援助者が自己の感情を援助者に向けることを表す。
間違いです。
逆転移は援助者が自己の感情を被援助者に向けることです。
4 パターナリズムとは、援助者と被援助者間の情動的な絆(きずな)を表す。
間違いです。
これはアタッチメントの内容になっています。
パターナリズムとは本人の意思にかかわりなく、本人の利益のために本人に代わって意思決定をすることです。
5 アタッチメントとは、被援助者が援助者から自立している状態を表す。
間違いです。
アタッチメントは「愛着」と訳され、子どもと養育者の情動的な心の結びつきのことです。
私は選択肢2を選べましたが、パターナリズムだけ知りませんでした。
ということで、この問題は「②学習したから選択肢が絞れる問題(良問)」で、私は正解できました。
問題108
相談援助の面接技法に関する説明として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 言い換えによって、話す内容の選択をクライエントに対して求める。
2 共感によって、ソーシャルワーカーが問題に対する価値判断を明確に伝える。
3 ミラクル・クエスチョンによって、問題が解決した後の生活の様子や気持ちについて、クライエントの想像を促す。
4 アイメッセージによって、クライエントに対して客観的に情報を伝える。
5 閉じられた質問によって、クライエントに自由な語りを促す。
この問題も易しいので確実に正解したいです。
選択肢1と2は明らかに間違いですね。
ミラクルクエスチョンは、問題が解決したというような奇跡が起こったときにどうするかというような非現実的な質問です。
なので選択肢3が正解です。
選択肢4と5も明らかに間違いですね。
「開かれた質問」と「閉じられた質問」はしっかり理解しておきましょう。
Yes,Noで答えられるような限定した答えになる質問が「閉じられた質問」です。
選択肢5は「開かれた質問」です。
ということで、この問題は「①学習したから解ける問題(最良問)」で、私は正解できました。
問題109
カデューシン(Kadushin,A.&Kadushin,G.)が示した、「会話」と「ソーシャルワーク面接」の相違に関する記述として、正しいものを1つ選びなさい。
1 「ソーシャルワーク面接」と比べて、「会話」には意図的な目的が存在している。
2 「ソーシャルワーク面接」と比べて、「会話」では参加者間に明確な役割分担がある。
3 「ソーシャルワーク面接」と比べて、「会話」の参加者はしばしば文化的に異質である。
4 「会話」と比べて、「ソーシャルワーク面接」には参加者間に平等な権威と力がある。
5 「会話」と比べて、「ソーシャルワーク面接」ではスピーチのパターンが構造化されている。
この問題はなんとなく想像しながら解いていきました。選択肢4と5で迷いながら4を選んでしまいました。
1 「ソーシャルワーク面接」と比べて、「会話」には意図的な目的が存在している。
間違いです。会話よりも面接の方が意図的な目的がありそうです。
2 「ソーシャルワーク面接」と比べて、「会話」では参加者間に明確な役割分担がある。
間違いです。会話には明確な役割分担はありません。
3 「ソーシャルワーク面接」と比べて、「会話」の参加者はしばしば文化的に異質である。
間違いです。会話の参加者は同一文化に属する場合が多いです。
4 「会話」と比べて、「ソーシャルワーク面接」には参加者間に平等な権威と力がある。
間違いです。ソーシャルワーク面接では不平等な権威と力があります。
5 「会話」と比べて、「ソーシャルワーク面接」ではスピーチのパターンが構造化されている。
これが正解です。
後から考えれば、選択肢5が正解と思えるのですが、試験中は4と5で迷って何故か選択肢4を選んでしまいました。
ということで、この問題は「③学習しなくても解ける問題(易問)」で、私は間違えてしまいました。
問題110
ドメスティック・バイオレンスの被害女性を支援するNPO法人(Y法人)にDさん(35歳、女性)が、「何年も前から、夫に殴られたり蹴られたりしていて、このままだとどうなるか分からないので、助けてほしい」と、保護を求めて来所した。このためY法人はDさんを保護するとともに、Y法人のE社会福祉士がDさんと面接することとなった。
次の記述のうち、この面接の導入部分におけるE社会福祉士の関わりとして、適切なものを2つ選びなさい。
1 なぜ、これまで助けを求めなかったのかを問う。
2 この面接の目的を伝える。
3 これから尋ねることに対して、正確に回答するよう指示する。
4 支援を求めてY法人に来たことをねぎらい、緊張を解く。
5 E社会福祉士がこれまで担当した事例から、解決方法を伝える。
易しい問題です。
選択肢2と4以外に選びようがありません。
ということで、この問題は「③学習しなくても解ける問題(易問)」で、私は正解できました。
問題111
ケースマネジメントの範囲や目的に関するモデルについての次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 クライエントのケアプランを作成し、サービス提供者へ送致するまでの中核的な機能に焦点化したものを最小限モデルという。
2 クライエントの暮らす地域のケアシステムを変革するために、ネットワーク推進、システム改変、計画化(施策提言)を含めるものを包括的モデルという。
3 クライエントが利用する資源開発に向けての弁護機能、サービスの品質の監視、市民教育を含めるものをコーデネーションモデルという。
4 クライエント本人を尊重し、利用者の利益を向上させるというソーシャルワークの価値、倫理を基盤にするものをシステム指向モデルという。
5 クライエントに対して、効果的で効率的なサービスの調整を目指すものを利用者指向モデルという。
この問題は一見して「入れ替え問題」であることがわかりますが、そもそもどのモデルも聞いたことがなかったので、各モデルの語感から想像するしかありませんでした。
1 クライエントのケアプランを作成し、サービス提供者へ送致するまでの中核的な機能に焦点化したものを最小限モデルという。
これが正解です。
2 クライエントの暮らす地域のケアシステムを変革するために、ネットワーク推進、システム改変、計画化(施策提言)を含めるものを包括的モデルという。
間違いです。
これはシステム指向モデルの説明です。
3 利用する資源開発に向けての弁護機能、サービスの品質の監視、市民教育を含めるものをコーデネーションモデルという。
間違いです。
これは包括的モデルの説明です。
4 クライエント本人を尊重し、利用者の利益を向上させるというソーシャルワークの価値、倫理を基盤にするものをシステム指向モデルという。
間違いです。
これは利用者指向モデルの説明です。
5 クライエントに対して、効果的で効率的なサービスの調整を目指すものを利用者指向モデルという。
間違いです。
これはコーディネーションモデルの説明です。
私は選択肢5を選んで間違えました。
ということで、この問題は「④学習しても解けない問題(難問)」で、私は不正解でした。
問題112
S市社会福祉協議会は、S市から避難行動要支援者への支援の役割調整等のコーディネートを委託されている。
次の記述のうち、コーディネーターであるS市社会福祉協議会のF社会福祉士が平常時から行う行動として、適切なものを2つ選びなさい。
1 避難行動要支援者を個別に訪問し、避難支援を行うに当たっての留意点を聞き取る。
2 内閣府が策定する、避難支援のための個別計画を地域の支援者と共有する。
3 地域住民に声を掛け、避難訓練を避難行動要支援者と一緒に行う。
4 災害発生に備えて、避難行動要支援者名簿を地域の全戸に配布する。
5 避難行動要支援者に対して、住民の中から住民基本台帳によって支援者の役割を割り当てる。
この問題は易しいので正解したいです。
常識的に解ける問題でしょう。
1 避難行動要支援者を個別に訪問し、避難支援を行うに当たっての留意点を聞き取る。
正しいです。
2 内閣府が策定する、避難支援のための個別計画を地域の支援者と共有する。
間違いです。
個別計画を策定するのは内閣府ではなく市町村です。
地域の人の個別計画を内閣府が策定できるわけありませんね。
3 地域住民に声を掛け、避難訓練を避難行動要支援者と一緒に行う。
正しいです。
4 災害発生に備えて、避難行動要支援者名簿を地域の全戸に配布する。
避難行動要支援者名簿は不特定多数の人に情報が洩れてはいけません。
災害対策基本法には「名簿情報を提供するときは(中略)名簿情報の提供を受ける者に対して名簿情報の漏えいの防止のために必要な措置を講ずるよう求めること・・・」
とありますので全戸に配布するのは論外です。
5 避難行動要支援者に対して、住民の中から住民基本台帳によって支援者の役割を割り当てる。
間違いです。
住民基本台帳を見て支援者の役割を割り当てるのは明らかにおかしいです。
ということで、この問題は「③学習しなくても解ける問題(易問)」で、私は正解できました。
問題113
事例を読んで、地域包括支援センターのG社会福祉士が、現段階で行う関係者の連携による会議として、最も適切なものを1つ選びなさい。
[事例]
近隣住民から、Hさん(82歳、女性)宅から異臭がするとの相談を受けたJ民生委員が、その地域を担当する地域包括支援センターのG社会福祉士に、訪問への同行を依頼した。Hさん宅を訪問し話を聞く中で、ゴミ収集の曜日や分別の方法の理解が難しくなっている状況が分かってきた。他にも同様のケースの存在を意識したG社会福祉士は、Hさん個人への支援と、地域でHさんと同じような困難を持つ高齢者を支えるために会議を開催することにした。
1 住宅確保が難しい人の、民間賃貸住宅への入居を進める住宅確保要配慮者住居支援協議会
2 高齢者虐待対応のための個別ケース会議
3 高齢者のニーズ調査を企画する、介護保険法に基づくサービス担当者会議
4 地域包括支援センターと関係者で協議する地域ケア会議
5 介護支援専門員の資質向上を目指す地域包括支援センターの事例検討会
1 住宅確保が難しい人の、民間賃貸住宅への入居を進める住宅確保要配慮者住居支援協議会
間違いです。これは見当違いです。
2 高齢者虐待対応のための個別ケース会議
間違いです。個別ケース会議では地域全体の課題解決にはなりません。
3 高齢者のニーズ調査を企画する、介護保険法に基づくサービス担当者会議
間違いです。サービス担当者会議は個別支援の会議なので地域全体の課題解決にはなりません。
4 地域包括支援センターと関係者で協議する地域ケア会議
地域ケア会議は、個別支援と地域支援の両方を話し合うので、これが正解です。
5 介護支援専門員の資質向上を目指す地域包括支援センターの事例検討会
間違いです。これも見当違いです。
ということで、この問題は「①学習したから解ける問題(最良問)」で、私は正解できました。
問題114
次のうち、グループワークにおいてグループワーカーが活用する援助媒体として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 メンバー間に形成されるソーシャルワーク関係
2 メンバーとグループワーカーの間に形成される相互援助関係
3 現在のグループの発達段階では達成が難しい、高い目標設定をしたプログラム
4 グループワーカーが運営する別のグループの集団規範
5 援助目標達成に関わる人、物、社会制度等の社会資源
1 メンバー間に形成されるソーシャルワーク関係
間違いです。
ソーシャルワーク関係は、メンバーとグループワーカーとの間に形成されるものです。
2 メンバーとグループワーカーの間に形成される相互援助関係
間違いです。
相互援助関係はメンバー間に形成されるものです。
3 現在のグループの発達段階では達成が難しい、高い目標設定をしたプログラム
間違いです。
達成が難しい目標が援助媒体になるわけがありません。
4 グループワーカーが運営する別のグループの集団規範
グループが違えばその性質は全く異なるので、他のグループの集団規範は参考になりません。
5 援助目標達成に関わる人、物、社会制度等の社会資源
これが正解です。
私は選択肢3、4は消去し、1、2、5で迷いました。
これも後で冷静に考えると選択肢5が選べるのですが、試験中の私は選択肢1を選んでしましました。
ということで、この問題は「③学習しなくても解ける問題(易問)」で、私は不正解でした。
問題115
セルフヘルプグループに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 セルフヘルプグループのメンバーは、特定の体験を共有し、蓄積し吟味することによって生み出される体験的知識を活用し、問題に対処する。
2 セルフヘルプグループは、既に組織的に活動しているグループを基に形成される。
3 セルフヘルプグループは、多様な専門性を持つ専門職による、多職種連携の一形態である。
4 セルフヘルプグループでは、メンバー間の上下関係を活用する。
5 セルフヘルプグループへの入退会は、グループ運営を円滑に行うために、ソーシャルワーカーがその可否を決定する。
セルフヘルプグループがどんなグループかを知っていれば容易に正解できます。
セルフヘルプグループは同じ境遇や環境、困難を持つ人達の集まりで、犯罪被害者の会や同性愛者の会など。
想像すればわかりますが、メンバー間に上下関係はなく、専門職が介入しなくてもグループとして機能します。
ということで選択肢1以外ありませんね。
ということで、この問題は「①学習したから解ける問題(最良問)」で、私は正解できました。
問題116
グループスーパービジョンに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 スーパーバイザーがスーパーバイジーの個々人の資質や能力を比較し評価することを目的とする。
2 スーパーバイザーとスーパーバイジー間の信頼関係を、個人スーパービジョンよりも短時間のうちに構築できる。
3 スーパーバイジー同士の議論や検討により、学習効果の高まりを期待することができる。
4 スーパーバイジー個人が抱える課題を、複数のスーパーバイザー間で共有することで、より適切な支援が行われる。
5 個々のスーパーバイジーが担当する事例ではなく、一般的な模擬事例を検討に用いる。
グループスーパービジョンは、一人のスーパーバイザーが複数のスーパーバイジーに対してグループでスーパービジョンを行う形態です。
選択肢3が正解であることは容易にわかりますね。
ということで、この問題は「①学習したから解ける問題(最良問)」で、私は正解できました。
問題117
ソーシャルワークの記録に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 プランニングシートには、利用者がサービスを利用してどのような生活をしたのかについて記述する。
2 時間の経過に沿ってソーシャルワーク過程において起こる事実を記録する形式を説明体という。
3 逐語録では、話し言葉の記録にソーシャルワーカーの説明や解釈を加えて記述する。
4 的確に情報を伝達することを求められるため、文字情報で統一する。
5 グループインタビューの記録係は、参加者の非言語的反応を含めて記録する。
この問題も易しいので確実に正解したいです。
1 プランニングシートには、利用者がサービスを利用してどのような生活をしたのかについて記述する。
間違いです。プランニングシートは援助計画を記入するシートです。
2 時間の経過に沿ってソーシャルワーク過程において起こる事実を記録する形式を説明体という。
間違いです。
「時間の経過に沿って」とくれば叙述体です。
3 逐語録では、話し言葉の記録にソーシャルワーカーの説明や解釈を加えて記述する。
間違いです。
逐語録は話し言葉をそのまま記録するものです。
4 的確に情報を伝達することを求められるため、文字情報で統一する。
間違いです。
文字情報だけでなくジェノグラムやエコマップを用いて図式化することが有効です。
5 グループインタビューの記録係は、参加者の非言語的反応を含めて記録する。
これが正解です。参加者が話したことだけではなく、表情とか雰囲気なども記録することが重要です。
ということで、この問題は「①学習したから解ける問題(最良問)」で、私は正解できました。
問題118
T市役所で地域福祉計画を担当する職員であるK社会福祉士は、次期の地域福祉計画の策定に向けて、2017年(平成29年)に改正された社会福祉法の内容を踏まえ、策定の準備に取り組むこととなった。
次の記述のうち、K社会福祉士が取り組む内容として、適切なものを2つ選びなさい。
1 現行の計画を評価するために評価委員会を立ち上げ、数量化できる、定量的な事項に限定して客観的に評価を行う。
2 地域住民、福祉・保健・医療関係者、市役所内で計画に係る複数の部局の職員等が参加する地域福祉計画策定委員会を組織する。
3 地域福祉計画に地域住民の意見を反映させるために、各地区の公民館等を会場として地域住民が主体的に参加する懇談会を開催する。
4 計画に対する地域住民の意見は、前回の計画の策定時におけるアンケート調査結果のデータを基にして計画の策定を進める。
5 計画の策定には専門的な知識と技術が必要になるため、市内の社会福祉法人に策定の作業を委託することを検討する。
1 現行の計画を評価するために評価委員会を立ち上げ、数量化できる、定量的な事項に限定して客観的に評価を行う。
間違いです。「限定して」という表現がいかにも間違い選択肢を作成した感があります。定量的事項に限定してはいけません。
2 地域住民、福祉・保健・医療関係者、市役所内で計画に係る複数の部局の職員等が参加する地域福祉計画策定委員会を組織する。
正しいです。
3 地域福祉計画に地域住民の意見を反映させるために、各地区の公民館等を会場として地域住民が主体的に参加する懇談会を開催する。
これも正しいです。
4 計画に対する地域住民の意見は、前回の計画の策定時におけるアンケート調査結果のデータを基にして計画の策定を進める。
間違いです。前回のアンケート結果ではダメですよね。
5 計画の策定には専門的な知識と技術が必要になるため、市内の社会福祉法人に策定の作業を委託することを検討する。
間違いです。
地域福祉計画の策定に当たっては地域福祉計画策定委員会のような策定組織を設置することとなっており、社会福祉法人に委託するようなものではありません。
易しめの問題なので正解したいです。
ということで、この問題は「③学習しなくても解ける問題(易問)」で、私は正解できました。
まとめ
種類 | 問題数 |
---|---|
①学習したから解ける問題(最良問) | 8 |
②学習したから選択肢が絞れる問題(良問) | 2 |
③学習しなくても解ける問題(易問) | 8 |
④学習しても解けない問題(難問) | 3 |
私の点数:16点/21点満点
学習しなくても解ける問題が8問もあって得点が積みあがりました。
半分以上が③と④で占められているので良い問題ではありませんでしたね。
福祉サービスの組織と経営
問題119
社会福祉法人制度に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 社会福祉法人が行える事業は、社会福祉事業と公益事業に限定される。
2 社会福祉法人は福祉サービス提供のための法人であるため、診療を行う事業を実施できない。
3 社会福祉法人が解散した際の残余財産は、設立時の寄付者に帰属する。
4 社会福祉法人は、他の社会福祉法人と合併することはできない。
5 社会福祉法人は、社会福祉事業の主たる担い手としてふさわしい事業を行うため、自主的にその経営基盤の強化を図らなければならない。
1 社会福祉法人が行える事業は、社会福祉事業と公益事業に限定される。
間違いです。
社会福祉法人が行える事業は「社会福祉事業」「公益事業」「収益事業」の3種類あります。
2 社会福祉法人は福祉サービス提供のための法人であるため、診療を行う事業を実施できない。
間違いです。
社会福祉事業の中には、生計困難者のために無料又は低額で診療を行う事業が規定されています。
3 社会福祉法人が解散した際の残余財産は、設立時の寄付者に帰属する。
間違いです。社会福祉法人の残余財産は、「社会福祉法人その他社会福祉事業を行う者のうちから選定される」ようにしなければなりません。
つまり、社会福祉法人はほとんど税金で運営されていますので、設立時の寄付者に残余財産が渡るのは不適切なのです。
4 社会福祉法人は、他の社会福祉法人と合併することはできない。
間違いです。
社会福祉法人は合併することができます。
5 社会福祉法人は、社会福祉事業の主たる担い手としてふさわしい事業を行うため、自主的にその経営基盤の強化を図らなければならない。
これが正解です。
この問題は易しめなので正解したいです。
ということで、この問題は「②学習したから選択肢が絞れる問題(良問)」で、私は正解できました。
問題120
特定非営利活動法人の制度や実態に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 内閣府の統計によると、2018年度(平成30年度)末時点の特定非営利活動法人の活動分野として最も多いのは、「保健、医療又は福祉の増進を図る活動」である。
2 特定非営利活動法人の全ての職員のうち、給与を受ける者の数は3分の1以下でなければならないと法に定められている。
3 一つの市町村のみに主たる事業所を置く特定非営利活動法人の所管庁は、市町村長であると法に定められている。
4 特定非営利活動法人は非営利組織であるので、収益事業を行うことはできない。
5 特定非営利活動法人の認証を受けるには、社員のうち3人以上の者の氏名(法人にあってはその名称及び代表者の氏名)や住所又は居所を記載した書面が必要である。
1 内閣府の統計によると、2018年度(平成30年度)末時点の特定非営利活動法人の活動分野として最も多いのは、「保健、医療又は福祉の増進を図る活動」である。
これが正解です。
「保健、医療又は福祉の増進を図る活動」は6割弱、次いで「社会教育の推進を図る活動」が5割弱です。
基本中の基本なのでズバリこれが正解だと選べなければなりません。
2 特定非営利活動法人の全ての職員のうち、給与を受ける者の数は3分の1以下でなければならないと法に定められている。
間違いです。
「給与を受ける者の数は3分の1以下でなければならない」という規定はありません。
3 一つの市町村のみに主たる事業所を置く特定非営利活動法人の所管庁は、市町村長であると法に定められている。
間違いです。
特定非営利活動法人の所轄庁は、原則として主たる事務所が所在する「都道府県の知事」です。
ただし、その事務所がひとつの指定都市の区域内のみに所在する場合は「指定都市の長」が所轄庁となります。
4 特定非営利活動法人は非営利組織であるので、収益事業を行うことはできない。
間違いです。社会福祉法人と同じようにNPO法人でも収益事業を行えます。
5 特定非営利活動法人の認証を受けるには、社員のうち3人以上の者の氏名(法人にあってはその名称及び代表者の氏名)や住所又は居所を記載した書面が必要である。
間違いです。
3人以上ではなく10人以上です。
ということで、この問題は「①学習したから解ける問題(最良問)」で、私は正解できました。
問題121
集団の力学に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 集団の凝集性を高めるには、メンバー間の異質性を強化して他の集団との競争を促進させる方策が重要である。
2 集団浅慮とは、集団が外部からの圧力により長期的視野に立つ戦略的な意思決定が起きる現象である。
3 コンフリクトとは、集団内部に発生する対立や闘争であり、集団に肯定的な影響を与えるものではない。
4 集団の凝集性が高まると、メンバー間の親近感が強まるとともにリスクに対する警戒感が強まり、意思決定は堅実なものになる。
5 集団の凝集性が高くても、集団目標と組織目標の一致度が低い場合には、生産性が低下する。
1 集団の凝集性を高めるには、メンバー間の異質性を強化して他の集団との競争を促進させる方策が重要である。
間違いです。
集団の凝集性を高めるには、メンバー間の異質性を強化していては逆行してしまいます。
2 集団浅慮とは、集団が外部からの圧力により長期的視野に立つ戦略的な意思決定が起きる現象である。
間違いです。
集団浅慮は、集団で議論すると全員が深く考えず意思決定されてしまう現象です。
3 コンフリクトとは、集団内部に発生する対立や闘争であり、集団に肯定的な影響を与えるものではない。
間違いです。コンフリクトは意見の対立などのことですが、これによりよりよいアイデアを生み出すことにもなります。
4 集団の凝集性が高まると、メンバー間の親近感が強まるとともにリスクに対する警戒感が強まり、意思決定は堅実なものになる。
間違いです。集団の凝集性が高まると集団浅慮が起こりやすくなり、浅はかな意思決定がなされる可能性が高まります。
5 集団の凝集性が高くても、集団目標と組織目標の一致度が低い場合には、生産性が低下する。
これが正解です。
私は選択肢3と5で迷いましたが、選択肢3を選んでしまいました。
ということで、この問題は「②学習したから選択肢が絞れる問題(良問)」で、私は不正解でした。
問題122
福祉サービス提供組織の経営体制と財源に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
1 個人が社会福祉法人に対してその主たる目的である業務に関連して寄附した場合には、必要書類を添付の上確定申告をすることで所得控除を受けることができる。
2 社会福祉法人のうち、第一種社会福祉事業を経営しない法人は、評議員会を設置しなくてもよい。
3 介護保険制度における介護報酬の支払には、保険者がサービス利用者本人に支払い、その後利用者から事業所に対して支払う法定代理受領の仕組みがある。
4 特定非営利活動法人における社員総会に出席できない社員は、定款の定めるところにより書面による表決に代えて電磁的方法によって表決を行うことができる。
5 特定非営利活動法人は、特定非営利活動に係る事業に支障がない限り、利益の配当をすることができる。
この問題も基本的内容が多く、正解したいです。
1 個人が社会福祉法人に対してその主たる目的である業務に関連して寄附した場合には、必要書類を添付の上確定申告をすることで所得控除を受けることができる。
正しいです。
2 社会福祉法人のうち、第一種社会福祉事業を経営しない法人は、評議員会を設置しなくてもよい。
間違いです。2017年から全ての社会福祉法人に評議員会の設置が義務付けられました。
3 介護保険制度における介護報酬の支払には、保険者がサービス利用者本人に支払い、その後利用者から事業所に対して支払う法定代理受領の仕組みがある。
間違いです。法定代理受領では保険者が利用者に支払うべき費用を、事業所に直接支払う仕組みです。
4 特定非営利活動法人における社員総会に出席できない社員は、定款の定めるところにより書面による表決に代えて電磁的方法によって表決を行うことができる。
正しいです。
5 特定非営利活動法人は、特定非営利活動に係る事業に支障がない限り、利益の配当をすることができる。
間違いです。NPO法人は利益の配当ができず、利益が出れば事業のために使用しなければなりません。
選択肢2、3、5が消去でき、残った選択肢も明らかに正解だと思えるので自信を持って解答したいです。
ということで、この問題は「①学習したから解ける問題(最良問)」で、私は正解できました。
問題123
福祉サービス提供組織の社会的責任に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 コンプライアンスは、営利組織のためのものであるため、福祉という公益性の高いサービス提供組織においてその確立は認められていない。
2 ディスクロージャーとは、組織内において課題を発見し事故を未然に防ぐ内部監査である。
3 アカウンタビリティとは、ステークホルダーに対する説明責任を指す。
4 ガバナンスは、営利組織の問題であり非営利組織にはその確立が求められていない。
5 公益事業への苦情を通報した利用者を保護するために、公益通報者保護法を遵守しなければならない。
1 コンプライアンスは、営利組織のためのものであるため、福祉という公益性の高いサービス提供組織においてその確立は認められていない。
間違いです。
コンプライアンスは「法令順守」と訳されますが、社会規範や良識に従うことも含まれます。
営利、非営利に関わらず、福祉サービス提供組織においても求められています。
2 ディスクロージャーとは、組織内において課題を発見し事故を未然に防ぐ内部監査である。
間違いです。
ディスクロージャーはクローズ(閉じる)の対義語で、「情報公開、情報開示」と訳されます。
3 アカウンタビリティとは、ステークホルダーに対する説明責任を指す。
これが正解です。
アカウンタビリティは「説明責任」と訳されます。
ステークホルダーとは「利害関係者」のことです。
4 ガバナンスは、営利組織の問題であり非営利組織にはその確立が求められていない。
ガバナンスは「統治」と訳されますが、企業などがその目的に沿って適切に経営されるようにすることです。
当然、非営利組織にも求められます。
5 公益事業への苦情を通報した利用者を保護するために、公益通報者保護法を遵守しなければならない。
間違いです。公益通報者保護法は企業の内部告発した人などを守るための法律で、公益事業への苦情通報者の保護というのは違いますね。
ということで、この問題は「①学習したから解ける問題(最良問)」で、私は正解できました。
問題124
介護サービスの人材の確保に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 第7期介護保険事業計画の介護サービス見込み量等に基づく介護人材の必要数は、2020年度末には約100万人が見込まれている。
2 経済連携協定(EPA)に基づく介護福祉士候補者の受入れの対象国は、インドネシア、フィリピン、ベトナムの3か国である。
3 厚生労働省が示す「介護に関する入門的研修」の目的は、潜在介護福祉士の現場復帰を目指すプログラムの一環である。
4 介護分野の有効求人倍率は、全産業平均とほぼ同程度で推移している。
5 「平成29年度『介護労働実態調査』の結果」(公益財団法人介護労働安定センター)によると、訪問介護員、介護職員の1年間の離職率は正規職員、非正規職員合わせて約30%であった。
1 第7期介護保険事業計画の介護サービス見込み量等に基づく介護人材の必要数は、2020年度末には約100万人が見込まれている。
間違いです。2020年度末には200万人以上の介護人材が必要になる見込みです。
2 経済連携協定(EPA)に基づく介護福祉士候補者の受入れの対象国は、インドネシア、フィリピン、ベトナムの3か国である。
これが正解です。
3 厚生労働省が示す「介護に関する入門的研修」の目的は、潜在介護福祉士の現場復帰を目指すプログラムの一環である。
間違いです。介護に関心を持つ介護未経験者に、不安を払拭するための研修です。
4 介護分野の有効求人倍率は、全産業平均とほぼ同程度で推移している。
間違いです。
介護分野の求人倍率は全産業より高い水準で推移しており、人材不足が続いています。
5 「平成29年度『介護労働実態調査』の結果」(公益財団法人介護労働安定センター)によると、訪問介護員、介護職員の1年間の離職率は正規職員、非正規職員合わせて約30%であった。
「平成29年度『介護労働実態調査』の結果」では、訪問介護員、介護職員の1年間の離職率は16.2%でした。
訪問介護員の1年間の離職率は正規職員17.0%、非正規職員13.8%、介護職員は正規職員が14.3%、非正規職員が20.6%でした。
この問題はズバリ選択肢2を選びたいですが、少し難しかったかもしれません。
ということで、この問題は「②学習したから選択肢が絞れる問題(良問)」で、私は正解できました。
問題125
社会福祉法人の会計財務等に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 減価償却費は、法人の外部に資金が流出する費用である。
2 貸借対照表の負債の部は、資金を何に投下したかを表す。
3 管理会計は、組織外部者への情報開示を目的とする。
4 事業活動計算書とは、一時点のストックを表すものである。
5 貸借対照表は、バランスシートと呼ばれるように、負債及び純資産の部合計と資産の部合計の金額は一致する。
1 減価償却費は、法人の外部に資金が流出する費用である。
減価償却費は建物や車など、時間経過によって価値が減っていく、そのコストです。
法人の外部に資金が流出するということはありません。
2 貸借対照表の負債の部は、資金を何に投下したかを表す。
間違いです。
負債の部は「外部からの調達資金」を表しており、ある時点での返済すべき資金の残高明細やその合計が記載されます。
3 管理会計は、組織外部者への情報開示を目的とする。
間違いです。管理会計は、自社の経営に生かすために作成する社内向けの会計です。
4 事業活動計算書とは、一時点のストックを表すものである。
間違いです。事業活動計算書はその年度における施収益、費用及び増減差額を計算する財務諸表なので、「一時点の」ではなく「ある期間の」です。
5 貸借対照表は、バランスシートと呼ばれるように、負債及び純資産の部合計と資産の部合計の金額は一致する。
これが正解です。正解っぽいなと思えてほしいです。
ということで、この問題は「①学習したから解ける問題(最良問)」で、私は正解できました。
まとめ
種類 | 問題数 |
---|---|
①学習したから解ける問題(最良問) | 4 |
②学習したから選択肢が絞れる問題(良問) | 3 |
③学習しなくても解ける問題(易問) | 0 |
④学習しても解けない問題(難問) | 0 |
私の点数:6点/7点満点
この分野は良問ぞろいでしたね。
高齢者に対する支援と介護保険制度
問題126
「平成30年版高齢社会白書」(内閣府)にみる日本の人口の高齢化の動向及び将来設計に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 2025年に後期高齢者数と前期高齢者数が逆転し、後期高齢者数が上回ると予測されている。
2 高齢化率の「倍加年数」は24年であり、1970年から1994年にかけてであった。
3 2017年時点で、都道府県の中で高齢化率が最も低いのは東京都であった。
4 65歳以上人口に占める一人暮らしの者の割合は、2040年には男女共に40%を超えると予測されている。
5 2060年に高齢化率は50%を超えると予測されている。
1 2025年に後期高齢者数と前期高齢者数が逆転し、後期高齢者数が上回ると予測されている。
間違いです。2018年(平成30年)に、後期高齢者数が前期高齢者数を上回ると見込まれています。
2 高齢化率の「倍加年数」は24年であり、1970年から1994年にかけてであった。
これが正解です。
私のサイトで勉強していただいた方にはしつこく以下の内容を覚えてもらいました。
1970年 高齢化率7%
1994年 高齢化率14%
ということで「あっ!24年だ!」と試験中に声がでそうになりました。
ズバリこれを選べてほしい問題です。
福祉の歴史では年を問われる問題はほとんどないので基本的に覚える必要はないと思いますが、高齢化率は覚えておいた方がよいでしょう。
3 2017年時点で、都道府県の中で高齢化率が最も低いのは東京都であった。
間違いです。
2017年時点で、都道府県の中で高齢化率が最も低いのは沖縄県の21%でした。
4 65歳以上人口に占める一人暮らしの者の割合は、2040年には男女共に40%を超えると予測されている。
間違いです。
65歳以上人口に占める一人暮らしの割合は、2040年には20~25%程度と見込まれています。
5 2060年に高齢化率は50%を超えると予測されている。
間違いです。
高齢化率は2065年で40%弱程度と見込まれています。
ということで、この問題は「①学習したから解ける問題(最良問)」で、私は正解できました。
問題127
高齢者等に関する近年の政策の動向についての次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 「ニッポン一億総活躍プラン」(2016年(平成28年)6月閣議決定)において、2025年度に向けて、高齢者の介護予防施策に関する成果と要介護認定者数の伸びの抑制についての数値目標が掲げられた。
2 「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」(2017年(平成29年)改訂(厚生労働省))の7つの柱において、若年性認知症の人の特性に配慮した就労・社会参加支援等の推進が掲げられた。
3 「高齢社会対策大綱」(2018年(平成30年)2月閣議決定)において、高齢者の支援において新技術(人工知能や介護ロボット、情報通信技術など)を活用することは、人間的な温かさが乏しいため、避けることが望ましいという提言が行われた。
4 「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」(2018年(平成30年)改訂(厚生労働省))では、本人の意思による積極的安楽死についての決定プロセスが規定された。
5 「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン」(2018年(平成30年)(厚生労働省))において、において、認知症の人の意思決定支援については、ケアを提供する専門職員や行政職員は関与しないことが規定された。
1 「ニッポン一億総活躍プラン」(2016年(平成28年)6月閣議決定)において、2025年度に向けて、高齢者の介護予防施策に関する成果と要介護認定者数の伸びの抑制についての数値目標が掲げられた。
間違いです。介護予防の数値目標は掲げられていません。
2 「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」(2017年(平成29年)改訂(厚生労働省))の7つの柱において、若年性認知症の人の特性に配慮した就労・社会参加支援等の推進が掲げられた。
これが正解です。
3 「高齢社会対策大綱」(2018年(平成30年)2月閣議決定)において、高齢者の支援において新技術(人工知能や介護ロボット、情報通信技術など)を活用することは、人間的な温かさが乏しいため、避けることが望ましいという提言が行われた。
間違いです。
先進技術の活用及び高齢者向け市場の活性化の方向性が示されました。
4 「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」(2018年(平成30年)改訂(厚生労働省))では、本人の意思による積極的安楽死についての決定プロセスが規定された。
間違いです。
安楽死は積極的安楽死と消極的安楽死の2種類ありますが、消極的安楽死は「尊厳死」とも呼ばれ、延命治療を行わないなどのことで日本で日常的に行われています。
一方で積極的安楽死はいわゆる我々が想像する安楽死で、薬物などを投与することで楽に死ねるようにすることです。
この積極的安楽死は日本ではそもそも違法なので、決定プロセスが規定されるはずはありません。
5 「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン」(2018年(平成30年)(厚生労働省))において、認知症の人の意思決定支援については、ケアを提供する専門職員や行政職員は関与しないことが規定された。
間違いです。そんなはずはありません。
この問題は、明らかに選択肢3、4、5が間違いと思えて消去でき、私は選択肢1と2で迷って選択肢2を選びました。
学習が活きない問題ではありますね。
ということで、この問題は「③学習しなくても解ける問題(易問)」で、私は正解できました。
問題128
高齢者保健福祉施策の変遷に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 老人保健法(1982年(昭和57年))により、市町村による40歳以上の者に対する医療以外の保健事業(健康教育、健康診査、訪問指導など)の実施が規定された。
2 老人福祉法の改正(1990年(平成2年))により、特別養護老人ホーム等の入所決定権が、国から都道府県に移譲された。
3 介護保険法(1997年(平成9年))により、第一種社会福祉事業は原則として民間営利企業が経営することとなった。
4 高齢者の医療の確保に関する法律(2006年(平成18年))により、老人訪問看護制度が創設された。
5 高齢者の居住の安定確保に関する法律の改正(2011年(平成23年))により、高齢者向け優良賃貸住宅の制度が創設された。
1 老人保健法(1982年(昭和57年))により、市町村による40歳以上の者に対する医療以外の保健事業(健康教育、健康診査、訪問指導など)の実施が規定された。
これが正解です。健康診査などの保険事業はもともと老人福祉法で規定されていましたが、老人保健法に移りました。
老人福祉法では65歳以上が対象でしたが、老人保健法では40歳以上(と障害者)が対象になりました。
私は40歳以上という点を覚えていなくて、この選択肢を選べませんでした。
2 老人福祉法の改正(1990年(平成2年))により、特別養護老人ホーム等の入所決定権が、国から都道府県に移譲された。
間違いです。1990年の福祉八法改正で、老人福祉法が改正され入所決定権は都道府県から市町村に移譲されました。
3 介護保険法(1997年(平成9年))により、第一種社会福祉事業は原則として民間営利企業が経営することとなった。
間違いです。
第一種社会福祉事業は、原則として国・地方公共団体又は社会福祉法人が経営します。
4 高齢者の医療の確保に関する法律(2006年(平成18年))により、老人訪問看護制度が創設された。
間違いです。
老人訪問看護制度は1991年の老人保健法の改正で創設された制度です。
5 高齢者の居住の安定確保に関する法律の改正(2011年(平成23年))により、高齢者向け優良賃貸住宅の制度が創設された。
2011年に実施された高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)の改正では、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の制度が創設されました。
高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)については、2001年の同法の制定時に高齢者円滑入居賃貸住宅(高円賃)、高齢者専用賃貸住宅(高専貸)とともに創設されましたが、高齢者の住まいの不足や制度の複雑化などの課題に対応するため、これまでの高優賃・高円賃・高専貸が廃止されてサ高住に統一されました。
この問題は基本ではありますが、私は間違ってしまいました。
選択肢2と3は消去できたのですが、選択肢5を選んでしまいました。
選択肢1の老人保健法の内容はしっかり覚えておかなくてはならない基本です。
この問題は「①学習したから解ける問題(最良問)」ですが、私は間違ってしまいました。
問題129
介護予防に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 指標としての健康寿命とは、健康状態で生活することが期待される平均期間である。
2 サルコペニアとは、加齢によって予備力が低下し、ストレスへの回復力が低下した状態で、要介護状態の前段階といえる。
3 2016年(平成28年)における平均寿命と健康寿命の差は、女性より男性の方が大きい。
4 フレイルとは、高齢期の筋量や筋力の低下、それに伴う身体機能低下で、サルコペニアの要因の一つである。
5 予防・健康づくりの推進のための介護予防と生活習慣病対策・フレイル対策は、一体的に介護保険で行われている。
1 指標としての健康寿命とは、健康状態で生活することが期待される平均期間である。
これが正解なんですが、試験本番では自信をもって選ぶことはできません。
私は保留にして次にいきました。
2 サルコペニアとは、加齢によって予備力が低下し、ストレスへの回復力が低下した状態で、要介護状態の前段階といえる。
これはフレイルの説明で、サルコペニアはフレイルの前段階で筋力が低下した状態です。
3 2016年(平成28年)における平均寿命と健康寿命の差は、女性より男性の方が大きい。
間違いです。男性より女性の方が大きいです。
男性が8.8歳、女性が12.3歳なので、女性は不健康な状態で10年以上も生きなければならないのが現状です。
女性は平均寿命が長いのに・・・
4 フレイルとは、高齢期の筋量や筋力の低下、それに伴う身体機能低下で、サルコペニアの要因の一つである。
間違いです。フレイルの要因の1つがサルコペニアです。
5 予防・健康づくりの推進のための介護予防と生活習慣病対策・フレイル対策は、一体的に介護保険で行われている。
介護予防は介護保険、生活習慣病対策・フレイル対策は医療保険の保険事業で行われています。
後期高齢者医療制度の特定健康診査などは生活習慣病対策でしたね。
結局、私はフレイルとサルコペニアは消去できたのですが、選択肢3を選んでしまいました。
なかなか選択肢1を選ぶのは勇気がいります。平均期間とかにひっかかりますね。
ということで、この問題は「②学習したから選択肢が絞れる問題(良問)」で、私は不正解でした。
問題130
片麻痺の要介護者に対する介護の方法に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1 上着を脱がせるときは、麻痺のある側から脱がせ、着るときは麻痺のない側から袖を通す。
2 車いすからベッドへ移譲介助する場合、ベッドに対して要介護者の患側に車いすを置く。
3 移動介助におけるボディメカニクス活用として、介助者の支持基底面を狭くとる。
4 食事時の座位姿勢として、頸部は体幹に対して後屈の姿勢とする。
5 杖歩行の介助を行う場合、介助者は杖を持っていない側の後ろに立つ。
1 上着を脱がせるときは、麻痺のある側から脱がせ、着るときは麻痺のない側から袖を通す。
間違いです。上着は「脱健着患」が原則です。
2 車いすからベッドへ移譲介助する場合、ベッドに対して要介護者の患側に車いすを置く。
間違いです。患側に車椅子を置くと、健側の手でベッドを掴んだりできませんね。
3 移動介助におけるボディメカニクス活用として、介助者の支持基底面を狭くとる。
間違いです。支持基底面とは体を支える床面積のことなので、介助者は支持基底面を広めにとると安定します。
4 食事時の座位姿勢として、頸部は体幹に対して後屈の姿勢とする。
間違いです。
食事中は頸部は体幹に対して前傾にします。
想像すればわかりますが、後屈の姿勢では誤嚥しやすいです。
5 杖歩行の介助を行う場合、介助者は杖を持っていない側の後ろに立つ。
これが正解です。
私は選択肢5を最初に選んでいたのですが、なぜか見直しのときに選択肢2に変えてしまって間違えました。
今でもなぜそうしてしまったのか、謎です。
この問題は「①学習したから解ける問題(最良問)」ですが、私は間違ってしまいました。
問題131
事例を読んで、L介護支援専門員(社会福祉士)が行う支援で、適切なものを2つ選びなさい。
[事例]
脳梗塞後遺症で左片麻痺のMさん(84歳、要介護3)の在宅生活に向けた退院時カンファレンスが開催された。Mさんは79歳の妻と二人暮らしで、主たる介護者は妻である。Mさんは杖歩行の訓練中であるが、転倒防止のため車いすを使用している。カンファレンスで、「在宅生活でも車いすの継続利用が望ましい」と理学療法士の意見があった。そのため、自宅の住宅改修などを行う必要性があることが話し合われ、居宅介護支援事業所のL介護支援専門員が居住環境の見直しをすることとなった。
1 住宅改修は、Mさんより、介護者である妻の希望を優先する。
2 在宅生活のため、屋外の段差解消は必要ないと説明する。
3 浴室での座位保持のため、入浴用椅子の購入を勧める。
4 居宅介護住宅改修費の支給限度基準額は10万円であることを伝える。
5 畳からフローリングへの変更が可能であると伝える。
1 住宅改修は、Mさんより、介護者である妻の希望を優先する。
間違いです。妻の希望ではなく本人の希望を優先するのが当然です。
2 在宅生活のため、屋外の段差解消は必要ないと説明する。
間違いです。屋外の段差解消も外出時には必要です。
3 浴室での座位保持のため、入浴用椅子の購入を勧める。
正しいです。
4 居宅介護住宅改修費の支給限度基準額は10万円であることを伝える。
間違いです。
居宅介護住宅改修費の支給限度基準額は20万円です。
数字の入った選択肢は間違いになりやすいですね。
5 畳からフローリングへの変更が可能であると伝える。
正しいです。介護保険の住宅改修ではこれが認められています。
滑りの防止や移動の円滑化のためです。
私は選択肢3、4、5で迷いながら、選択肢4は数字が入っているので間違いだろうと考え、正解できました。
ということで、この問題は「③学習しなくても解ける問題(易問)」で、私は正解できました。
問題132
介護保険制度に関する次の記述のうち、国の役割として、正しいものを1つ選びなさい。
1 介護保険事業支援計画を策定すること。
2 介護給付費等審査委員会を設置すること。
3 介護保険に関する収入及び支出について特別会計を設けること。
4 市町村に対して介護保険の財政の調整を行うため、調整交付金を交付すること。
5 指定情報公表センターの指定をすること。
1 介護保険事業支援計画を策定すること。
これは都道府県の役割です。介護保険事業「支援」計画は都道府県、介護保険事業計画は市町村でしたね。
2 介護給付費等審査委員会を設置すること。
間違いです。介護給付費等審査委員会を設置するのは国民健康保険団体連合会です。
3 介護保険に関する収入及び支出について特別会計を設けること。
間違いです。特別会計は保険者である市区町村に設けられます。
4 市町村に対して介護保険の財政の調整を行うため、調整交付金を交付すること。
これが正しいです。
5 指定情報公表センターの指定をすること。
間違いです。
指定情報公表センターを指定するのは都道府県知事です。
都道府県知事は介護サービス情報の公表などを行わなければなりませんが、それを指定情報公表センターに行わせることができます。
私は選択肢2、4、5で迷って選択肢4をある程度自信を持って選びました。
ということで、この問題は「①学習したから解ける問題(最良問)」で、私は正解できました。
問題133
介護保険制度の地域支援事業における介護予防・生活支援サービス事業に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 この事業は、被保険者のうち、居宅で生活している要介護者及び要支援者が幅広く対象となっている。
2 通所型サービス(第一号通所事業)では、保健・医療専門職による短期間で行われるサービスが実施可能となっている。
3 訪問型サービス(第一号訪問事業)では、訪問介護員による身体介護は実施されないこととなっている。
4 介護予防ケアマネジメント(第一号介護予防支援事業)については、地域包括支援センターへ委託をしてはならないこととなっている。
5 この事業における利用者負担は、全国一律になっている。
この問題は基本的な内容なので正解したいです。
1 この事業は、被保険者のうち、居宅で生活している要介護者及び要支援者が幅広く対象となっている。
間違いです。要介護者は対象外です。
2 通所型サービス(第一号通所事業)では、保健・医療専門職による短期間で行われるサービスが実施可能となっている。
これが正解です。
3 訪問型サービス(第一号訪問事業)では、訪問介護員による身体介護は実施されないこととなっている。
間違いです。訪問型サービスでは身体介護も実施されます。
4 介護予防ケアマネジメント(第一号介護予防支援事業)については、地域包括支援センターへ委託をしてはならないこととなっている。
間違いです。介護予防ケアマネジメントは地域包括支援センターで実施します。
5 この事業における利用者負担は、全国一律になっている。
間違いです。
利用者負担は、各市町村が定めます。
ということで、この問題は「①学習したから解ける問題(最良問)」で、私は正解できました。
問題134
厚生労働省の介護人材確保対策に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 介護福祉士の資格等取得者の届出制度では、離職した介護福祉士に対し、その再就業を促進し効果的な支援を行うため、都道府県福祉人材センターに氏名・住所等を届け出ることを努力義務としている。
2 介護保険制度の介護報酬における介護職員処遇改善加算では、介護サービス事業所・施設等が特段の届出や要件を問われることなく、介護職員の賃金増額などを図るため加算を取得できることとなっている。
3 福祉・介護人材確保緊急支援事業により、キャリア支援専門員が福祉事務所に配置され、個々の求職者にふさわしい職場を開拓するとともに働きやすい職場づくりに向けた指導・助言を行うこととなっている。
4 「2025年に向けた介護人材の確保」によると、介護人材の構造転換を図るために、専門性の高い人材を活用する「富士山型」の方策から、基礎的な知識を有する人材を活用する「まんじゅう型」の方策へと転換を図る必要性が示されている。
5 「2025年に向けた介護人材の確保」によると、中高年齢者等や介護未経験の者に対し、生活支援サービスの担い手養成のための研修の受講を支援するため、介護福祉士等修学資金貸付制度の充実を図るとされている。
1 介護福祉士の資格等取得者の届出制度では、離職した介護福祉士に対し、その再就業を促進し効果的な支援を行うため、都道府県福祉人材センターに氏名・住所等を届け出ることを努力義務としている。
これが正解です。私は介護福祉士ですが、こんな努力義務があること知りませんでした。
国は介護士不足を最重要課題と考えているので、ここまでするのですね。
2 介護保険制度の介護報酬における介護職員処遇改善加算では、介護サービス事業所・施設等が特段の届出や要件を問われることなく、介護職員の賃金増額などを図るため加算を取得できることとなっている。
間違いです。届出が必要で要件もあります。
文章が明らかに不自然ですね。
3 福祉・介護人材確保緊急支援事業により、キャリア支援専門員が福祉事務所に配置され、個々の求職者にふさわしい職場を開拓するとともに働きやすい職場づくりに向けた指導・助言を行うこととなっている。
間違いです。「キャリア支援専門員が福祉事務所に配置され」となっていますが、福祉事務所に配置されるのは、所長、現業員、就労支援員、事務員の4種類で、キャリア支援専門員は知りません。実際は福祉事務所ではなく都道府県福祉人材センターです。
4 「2025年に向けた介護人材の確保」によると、介護人材の構造転換を図るために、専門性の高い人材を活用する「富士山型」の方策から、基礎的な知識を有する人材を活用する「まんじゅう型」の方策へと転換を図る必要性が示されている。
間違いです。「まんじゅう型」から「富士山型」への構造転換が必要とされています。
5 「2025年に向けた介護人材の確保」によると、中高年齢者等や介護未経験の者に対し、生活支援サービスの担い手養成のための研修の受講を支援するため、介護福祉士等修学資金貸付制度の充実を図るとされている。
間違いです。
介護福祉士等就学資金貸付制度は、介護福祉士養成施設・福祉系高校の学生確保の方策です。
この問題は難問で、確実に消去できるのは選択肢2くらいです。
私は選択肢5を選んでしまいました。
ということで、この問題は「④学習しても解けない問題(難問)」で、私は不正解でした。
問題135
「平成29年度『高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律』に基づく対応状況等に関する調査結果」(厚生労働省)で示されている「養介護施設従事者等」による高齢者虐待に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 市町村等が虐待と判断した件数は、2008年度(平成20年度)以降、減少傾向にある。
2 虐待の発生要因として最も多いものは、「倫理観や理念の欠如」である。
3 虐待の事実が認められた施設・事業所のうち、およそ3割が過去に何らかの指導等(虐待以外の事案に関する指導等を含む)を受けている。
4 被虐待高齢者の状況を認知症高齢者の日常生活自立度でみると、「Ⅰ」が全体のおよそ4分の3を占めている。
5 虐待の内容として最も多いものは、「経済的虐待」となっている。
(注)「養介護施設従事者等」とは、養介護施設又は養介護事業の業務に従事する者を指す。
1 市町村等が虐待と判断した件数は、2008年度(平成20年度)以降、減少傾向にある。
間違いです。増加し続けています。
2 虐待の発生要因として最も多いものは、「倫理観や理念の欠如」である。
間違いです。
虐待の発生要因は、「教育・知識・介護技術等に関する問題」最も多く、次いで「職員のストレスや感情コントロールの問題」となっています。
3 虐待の事実が認められた施設・事業所のうち、およそ3割が過去に何らかの指導等(虐待以外の事案に関する指導等を含む)を受けている。
これが正解です。
4 被虐待高齢者の状況を認知症高齢者の日常生活自立度でみると、「Ⅰ」が全体のおよそ4分の3を占めている。
間違いです。「Ⅱ」が全体の4分の3を占めています。
認知症高齢者の日常生活自立度は以下の表のようにランク分けされます。

5 虐待の内容として最も多いものは、「経済的虐待」となっている。
間違いです。高齢者虐待で最も多いのは「身体的虐待」です。
基本中の基本です。
私は選択肢1と5を消去して、選択肢3を選びました。
ということで、この問題は「②学習したから選択肢が絞れる問題(良問)」で、私は正解できました。
まとめ
種類 | 問題数 |
---|---|
①学習したから解ける問題(最良問) | 5 |
②学習したから選択肢が絞れる問題(良問) | 2 |
③学習しなくても解ける問題(易問) | 2 |
④学習しても解けない問題(難問) | 1 |
私の点数:6点/10点満点
この年の最も難しかった分野だったのではないでしょうか。
この分野でゼロ点を取って足切りにあった人もいたのでは。
私は、「倍加年数24年」に自信があったので安心でしたが、それ以外の問題は正解だという自信がなく、何度も何度もこの分野中心に見直しをしました。
児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度
問題136
社会保障審議会児童部会に設置された児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会の「子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について(第14次報告)」(2018年(平成30年))に示された心中以外の虐待死に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 死因となる虐待の種類は、ネグレクトが最も多い。
2 主たる加害者は、実父が最も多い。
3 虐待通告を受理した後、48時間以内に安全確認をすることを新たに提言した。
4 死亡した子どもの年齢は、0歳が最も多い。
5 児童相談所が関与していた事例が半数を超えている。
1 死因となる虐待の種類は、ネグレクトが最も多い。
間違いです。死因は身体的虐待が最も多く、6割を超えています(もっとも多いのは心理的虐待です)。
2 主たる加害者は、実父が最も多い。
間違いです。主たる加害者は実母が最も多く、6割を超えています。
3 虐待通告を受理した後、48時間以内に安全確認をすることを新たに提言した。
間違いです。
この「48時間ルール」は2007年の児童相談所運営指針の見直しで定められました。
2006年に京都で3歳の男子が食事を与えられずに餓死するという痛ましい事件が起こり、通報があったのに防げなかったことが教訓になっています。
4 死亡した子どもの年齢は、0歳が最も多い。
これが正解です。さらに0歳0か月の死亡が最も多くなっています。
5 児童相談所が関与していた事例が半数を超えている。
間違いです。
虐待死の事例で児童相談所が関与していたのは2割に満たない件数です。
児童相談所が関与していれば死なずに済んだ例は多いのかもしれません。
難しい問題で、確実に消去できるのは選択肢1くらいでしょうか。
私は選択肢3を選んで間違えましたが、選択肢4を選べた人がどれくらいいたでしょう。
ということで、この問題は「④学習しても解けない問題(難問)」で、私は不正解でした。
問題137
次のうち、子どもの権利に関する先駆的な思想を持ち、児童の権利に関する条約の精神に多大な影響を与えたといわれ、第二次世界大戦下ナチスドイツによる強制収用所で子どもたちと死を共にしたとされる人物として、正しいものを1つ選びなさい。
1 ヤヌシュ・コルチャック(Korczak,J.)
2 トーマス・ジョン・バーナード(Barnardo,T.J.)
3 セオドア・ルーズベルト(Roosevelt,T.)
4 エレン・ケイ(Key,E.)
5 ロバート・オーウェン(Owen,R.)
この問題は受験生を悩ませたと思います。
私も聞いたことのない人物が多く、焦りました。
知っているのは選択肢3のルーズベルトくらい、この人はアメリカの大統領だったはず。
冷静になって考えなおし、ナチスドイツによる強制収容所に入っていたということはユダヤ系の名前を探せばいいんだなと。
ということは、選択肢2、3、5はアメリカっぽいので違うなと思いました。
残る選択肢1と4のうち選択肢4は女性っぽいので選択肢4を選びました(女性だと思った根拠はありませんでしたが)。
正解は選択肢1でした。
因みに、トーマス・ジョン・バーナードは1870年に貧困浮浪男子のためのバーナードホームを創設したことで有名ですね。
エレン・ケイはスウェーデンの女性思想家です。
ロバート・オーウェンはイギリスの実業家です。
ということで、この問題は「④学習しても解けない問題(難問)」で、私は不正解でした。
問題138
児童福祉法に基づく里親制度に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 里親には、養育里親、養子縁組里親、親族里親、週末里親の4種類がある。
2 里親となることを希望する者に配偶者がいなくても、都道府県知事が認めれば里親として認定される。
3 全ての里親希望者は、必要な研修を受講することが義務づけられている。
4 一人の里親希望者に対して、異なった種類の里親を重複して認定することはできない。
5 里親への委託が開始される児童の年齢は、12歳未満と定められている。
この問題は基本なので正解できなければなりません。
1 里親には、養育里親、養子縁組里親、親族里親、週末里親の4種類がある。
間違いです。里親の種類は、養育里親、養子縁組里親、親族里親、専門里親の4種類です。
2 里親となることを希望する者に配偶者がいなくても、都道府県知事が認めれば里親として認定される。
これが正解です。
3 全ての里親希望者は、必要な研修を受講することが義務づけられている。
間違いです。親族里親は研修の必要がありません。
養育里親、養子縁組里親、専門里親の3つは研修が義務づけられています。
4 一人の里親希望者に対して、異なった種類の里親を重複して認定することはできない。
間違いです。異なった種類の里親に重複してなることができます。
5 里親への委託が開始される児童の年齢は、12歳未満と定められている。
間違いです。児童福祉法では児童の定義は18歳未満なので、里親への委託対象は18歳未満です。
ただし都道府県が認めれば20歳まで延長されます。
消去法でも正攻法でも選択肢2を選びたいです。
ということで、この問題は「①学習したから解ける問題(最良問)」で、私は正解できました。
問題139
母子健康包括支援センター(子育て世代包括支援センター)の業務に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 配偶者からの暴力がある家庭で乳幼児を養育している母につき、子と共に一時保護する。
2 妊娠・出産・子育てに関する妊産婦等からの相談の応ずるとともに、必要に応じ、支援プランを策定する。
3 乳幼児がいる世帯の経済的な問題に関する保護者からの相談に応ずるとともに、必要に応じ、現金給付を行う。
4 保育所利用の申請に関する相談に応ずるとともに、保育所利用の申請を受け付け、入所の可否の判断を行う。
5 病院又は診療所の付置が義務づけられており、必要に応じて出産や病気の診断、治療等の医療行為を行う。
1 配偶者からの暴力がある家庭で乳幼児を養育している母につき、子と共に一時保護する。
間違いです。
これは配偶者暴力相談支援センターの仕事です。
2 妊娠・出産・子育てに関する妊産婦等からの相談の応ずるとともに、必要に応じ、支援プランを策定する。
これが正解です。
2016年の母子保健法改正により母子健康包括支援センター(子育て世代包括支援センター)が規定され、このような機能があります。
3 乳幼児がいる世帯の経済的な問題に関する保護者からの相談に応ずるとともに、必要に応じ、現金給付を行う。
間違いです。現金給付はしません。
4 保育所利用の申請に関する相談に応ずるとともに、保育所利用の申請を受け付け、入所の可否の判断を行う。
間違いです。
保育所利用の相談などは市町村の役割です。
5 病院又は診療所の付置が義務づけられており、必要に応じて出産や病気の診断、治療等の医療行為を行う。
間違いです。
母子健康包括支援センターは医療行為を行いません。
私は、母子健康包括支援センターについては全く勉強していませんでした、選択肢1、3、4、5が明らかに消去できるので、正解を容易に選べました。
ということで、この問題は「③学習しなくても解ける問題(易問)」で、私は正解できました。
問題140
要保護児童対策地域協議会に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 国は、要保護児童等を支援するために、関係機関、関係団体及び関係者により構成される要保護児童対策地域協議会を設置しなければならない。
2 児童相談所長は、要保護児童対策地域協議会を構成する関係機関等のうちから、1個に限り要保護児童対策調整機関を指定しなければならない。
3 要保護児童対策調整機関の調整担当者は、厚生労働大臣が定める基準に適合する研修を受けなければならない。
4 要保護児童対策調整機関には、専門的な知識及び技術に基づき適切な業務を行うことができる者として、主任児童委員を配置しなければならない。
5 母子健康包括支援センター(子育て世代包括支援センター)を設置した市町村は、要保護児童対策地域協議会を廃止することとされている。
要保護児童対策地域協議会というのは2004年から児童福祉法に規定され、要保護児童や要支援児童、特定妊婦への適切な支援を図ることを目的に地方公共団体が設置・運営する組織です。
1 国は、要保護児童等を支援するために、関係機関、関係団体及び関係者により構成される要保護児童対策地域協議会を設置しなければならない。
間違いです。協議会の設置・運営の主体は国ではなく地方公共団体です。
2 児童相談所長は、要保護児童対策地域協議会を構成する関係機関等のうちから、1個に限り要保護児童対策調整機関を指定しなければならない。
要保護児童対策調整機関を指定するのは設置した地方公共団体の長です。
要保護児童対策調整機関は、協議会を構成する関係機関等との連絡調整を行う機関です。
3 要保護児童対策調整機関の調整担当者は、厚生労働大臣が定める基準に適合する研修を受けなければならない。
これが正解です。
2016年の児童福祉法等改正で厚生労働大臣が定める基準に適合する研修を受講しなければならないと規定されました。
4 要保護児童対策調整機関には、専門的な知識及び技術に基づき適切な業務を行うことができる者として、主任児童委員を配置しなければならない。
間違いです。
児童委員はそもそもボランティアで、その中から選ばれる主任児童委員もボランティアですから、そんな人を「配置しなければならない」というのはおかしいです。
正しくは、児童福祉司あるいは保健師等の児童福祉司に準ずる資格を有したものとされています。
5 母子健康包括支援センター(子育て世代包括支援センター)を設置した市町村は、要保護児童対策地域協議会を廃止することとされている。
このような規定はありません。
母子健康包括支援センターは2016年の母子保健法の改正で規定されました。
主に妊産婦及び乳幼児の実情を把握し、妊娠・出産・子育てに関する相談に応じ、妊娠期から子育て期にわたる支援を提供する要保護児童対策地域協議会の関係機関の一つです。
私は要保護児童対策地域協議会など初耳でしたが、選択肢1と4を消去して選択肢3を選べました。
ということで、この問題は「②学習したから選択肢が絞れる問題(良問)」で、私は正解できました。
問題141
事例を読んで、学校が最初に行う対応として、適切なもの2つ選びなさい。
[事例]
小学校2年生のAちゃん(女児)には度々あざがあり、理由を聞かれると転んだと話していた。その日は顔が腫れ上がっており、学級担任が尋ねると、父親に殴られたことを打ち明けた。Aちゃんは、父親が怖いので家に帰りたくないと話した。父親は日頃から学校に対しても威圧的な要求が多かった。学級担任はすぐに校長にこのことを報告した。
1 養護教諭、学年主任、校長がそれぞれAちゃんから聞き取りを行い、父親から殴られた詳細について、重ねて確認する。
2 Aちゃんが父親から殴られたと話していることを母親に伝え、あざの原因を問いただす。
3 Aちゃんを帰宅させ、速やかに職員会議を開いて、全教職員にこのことを伝え、情報収集と協議を行う。
4 速やかに児童相談所に通告する。
5 速やかに教育委員会に連絡する。
この事例は、Aちゃんが虐待を受けていることが明らかなので、まずは児童相談所に通告する選択肢4、そして教育委員会にも通告する選択肢5が正解です。
なんとなく、通報する選択肢を2つとも選ぶのには勇気がいりますね。
私は選択肢5ではなく選択肢1を選んでしまいましたが、多くの大人から聞き取りをされるAちゃんの心理を考えると適切ではないでしょう。
ということで、この問題は「④学習しても解けない問題(難問)」で、私は不正解でした。
問題142
児童相談所の設置及び業務に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 都道府県及び政令指定都市・中核市は、児童相談所を設置しなければならない。
2 児童相談所長が行う一時保護は、保護者の同意なく1か月を超えてはならない。
3 児童相談所長は、児童本人の意に反して一時保護を行うことはできない。
4 児童相談所長は、児童等の親権者に係る民法の規定による親権喪失の審判の請求を行うことができる。
5 管理栄養士の配置又はこれに準ずる措置を行うものとする。
この問題は基本中の基本なので正解しなければなりません。
1 都道府県及び政令指定都市・中核市は、児童相談所を設置しなければならない。
間違いです。児童相談所は都道府県と政令指定都市は必置ですが、中核市は必置ではありません。
2 児童相談所長が行う一時保護は、保護者の同意なく1か月を超えてはならない。
間違いです。1カ月ではなく2カ月を超えてはならないとされています。
数字の入っている選択肢は間違いになりやすいですね。
3 児童相談所長は、児童本人の意に反して一時保護を行うことはできない。
間違いです。本人や家族の同意がなくても一時保護を行うことがあります。
このように児童相談所の権限はものすごく大きいことを覚えておきましょう。
これは良い面も悪い面もあります。
4 児童相談所長は、児童等の親権者に係る民法の規定による親権喪失の審判の請求を行うことができる。
これが正解です。
5 管理栄養士の配置又はこれに準ずる措置を行うものとする。
間違いです。管理栄養士の配置は規定されていません。
私は、選択肢4を選んで、その他の選択肢も自信をもって消去できました。
ということで、この問題は「①学習したから解ける問題(最良問)」で、私は正解できました。
まとめ
種類 | 問題数 |
---|---|
①学習したから解ける問題(最良問) | 2 |
②学習したから選択肢が絞れる問題(良問) | 1 |
③学習しなくても解ける問題(易問) | 1 |
④学習しても解けない問題(難問) | 3 |
私の点数:4点/7点満点
この分野も難問ぞろいでした。
この年の午後科目は難しめだったとの印象は、「高齢者に対する支援と介護保険制度」と「児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度」が連続して難しめの問題が多かったからでしょう。午前科目は自信があったのに午後科目で意気消沈した受験生も多かったと思います。
就労支援サービス
問題143
日本の労働法制に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 日本国憲法第28条が保障する労働三権は、団結権、団体交渉権、勤労権である。
2 労働者災害補償保険の保険料は、事業主と労働者が折半して負担する。
3 雇用保険法において失業とは、被保険者が離職し、労働の意志及び能力を有するにもかかわらず、職業に就くことができない状態にあることをいう。
4 最低賃金法に基づく地域別最低賃金は、都道府県知事が決定する。
5 労働契約法は、使用者は、労働者に1週間について40時間を超えて労働させてはならないと規定している。
この問題も基本なので確実に正解しましょう。
1 日本国憲法第28条が保障する労働三権は、団結権、団体交渉権、勤労権である。
間違いです。憲法に保障されている労働三権は、団結権、団体交渉権、団体行動権です。
2 労働者災害補償保険の保険料は、事業主と労働者が折半して負担する。
間違いです。労災保険の保険料は事業主が全額負担します。
サラリーマンの方は給与明細を見てください。
雇用保険料は徴収されていても労災保険料は徴収されていないですね。
3 雇用保険法において失業とは、被保険者が離職し、労働の意志及び能力を有するにもかかわらず、職業に就くことができない状態にあることをいう。
これが正解です。「労働の意志及び能力を有する」というのがポイントです。
なので失業保険は、労働の意志がなければもらえません。
4 最低賃金法に基づく地域別最低賃金は、都道府県知事が決定する。
間違いです。地域別最低賃金は厚生労働大臣又は都道府県労働局長が定めます。
都道府県と勘違いしやすいので間違えないよう覚えてください。
5 労働契約法は、使用者は、労働者に1週間について40時間を超えて労働させてはならないと規定している。
間違いです。労働契約法ではなく労働基準法です。
私は、選択肢1、2、5を消去して選択肢4で少し迷ったのですが、選択肢3が正解だと思えたので3を選びました。
ということで、この問題は「①学習したから解ける問題(最良問)」で、私は正解できました。
問題144
障害者雇用率制度に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 民間企業の法定雇用率は、2018年度(平成30年度)から3.0%になっている。
2 障害者雇用納付金制度は、対象障害者の雇用に伴う経済的負担の調整並びにその雇用の促進及び継続を図ることを目的としている。
3 週所定労働時間が20時間以上30時間未満の障害者は、雇用率算定の対象にはならない。
4 法定雇用率未達成の企業は、企業規模にかかわらず障害者雇用納付金が徴収される。
5 厚生労働大臣は、法定雇用率が未達成の場合、原則として企業名を公表しなければならない。
1 民間企業の法定雇用率は、2018年度(平成30年度)から3.0%になっている。
法定雇用率はそんなに高くありません。
2018年度に民間企業の法定雇用率は2.0%→2.2%に引き上げられました。
2021年までの間にさらに0.1%引き上げられる予定です。
2 障害者雇用納付金制度は、対象障害者の雇用に伴う経済的負担の調整並びにその雇用の促進及び継続を図ることを目的としている。
これが正解です。
3 週所定労働時間が20時間以上30時間未満の障害者は、雇用率算定の対象にはならない。
問題分にある短時間労働者の場合、身体障害者と知的障害者は0.5人としてカウントされる、このようなハーフカウントがあることを覚えておきましょう。
さらに短時間労働者が重度の身体、知的、精神障害者の場合は1人として雇用率にカウントされます。
つまり重度障害者のダブルカウントと短時間労働者のハーフカウントで相殺されて1人になるわけです。
4 法定雇用率未達成の企業は、企業規模にかかわらず障害者雇用納付金が徴収される。
間違いです。
障害者雇用納付金制度は、「常時雇用している労働者が100人を超える事業主」を対象としています。
5 厚生労働大臣は、法定雇用率が未達成の場合、原則として企業名を公表しなければならない。
間違いです。法定雇用率が未達成の場合、厚生労働大臣が雇用計画の作成を命じることができ、さらに「雇用計画を作成した事業主が正当な理由がなく勧告に従わないときに社名を公表することができる」とされているので、社名公表が原則ではありません。
私は選択肢2と5で迷いました。
選択肢5の社名公表は知識としてあったので最初はこちらを選んでいましたが、「原則として公表しなければならない」とまではいかないと考え直し、選択肢2を選べました。
ということで、この問題は「①学習したから解ける問題(最良問)」で、私は正解できました。
問題145
福祉事務所の就労支援員の業務に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 公共職業安定所(ハローワーク)への同行支援
2 障害者雇入れ計画の策定指導
3 健康管理の指導
4 職業能力開発促進法に基づく公共職業訓練
5 職場適応のためのジョブコーチ支援計画の策定
この問題は基本なので正解しましょう。
1 公共職業安定所(ハローワーク)への同行支援
これが正解です。
2 障害者雇入れ計画の策定指導
間違いです。障害者雇用率が未達成である企業の事業主に対して「障害者雇入れ計画の策定指導」を行うのは「ハローワークの雇用指導官」の業務です。
3 健康管理の指導
間違いです。健康管理を含む生活面に対する助言や指導は福祉事務所の現業員(ケースワーカー)の役割です。
4 職業能力開発促進法に基づく公共職業訓練
間違いです。公共職業訓練を実施するのは国及び地方公共団体の役割です。
5 職場適応のためのジョブコーチ支援計画の策定
間違いです。ジョブコーチ支援計画の策定はジョブコーチの役割です。
ジョブコーチは障害者職業センターに配置されています。
私は選択肢3を保留にして結局選択肢1を選べました。
ということで、この問題は「①学習したから解ける問題(最良問)」で、私は正解できました。
問題146
事例を読んで、障害者就業・生活支援センターのB支援担当職員(社会福祉士)が行うべき支援として、最も適切なものを1つ選びなさい。
[事例]
障害者就業・生活支援センターのB支援担当職員は、知的障害のあるCさんから、勤務先で担当する仕事の内容が変わったため、それに対応するのが難しくて失敗が多くなり、出勤する意欲が湧かなくなってしまったと相談を受けた。実際、既に1週間仕事は休んでいるが、現在の事業所での就労は継続したいという。Cさんは、10年前に特別支援学校高等部を卒業と同時に現在の事業所に就職した。
1 近隣の就労移行支援事業所が行う就労定着支援を利用するよう助言する。
2 卒業した特別支援学校に対して、Cさんの新たな個別の教育支援計画の策定を要請する。
3 障害者職業能力開発校において、現在求人の多い職種での職業訓練の受講をするように助言する。
4 職業適性上の課題が考えられるので、地域障害者職業センターに職業準備支援を依頼する。
5 事業所を訪問して状況を確認した上で、関係者によるカンファレンスを開催する。
易しい問題なので間違ってはいけません。
1 近隣の就労移行支援事業所が行う就労定着支援を利用するよう助言する。
就労定着支援を利用できるのは、生活介護、自立訓練、就労継続支援、就労移行支援のいずれかの利用を経て企業等に新たに雇用された場合で、就労に伴う環境変化により生じた課題解決等を支援します。Cさんは特別支援学校から直接就職しているので就労定着支援を利用することはできません。
2 卒業した特別支援学校に対して、Cさんの新たな個別の教育支援計画の策定を要請する。
間違いです。卒業して10年も経過した支援学校が計画を立てられるわけがありません。
3 障害者職業能力開発校において、現在求人の多い職種での職業訓練の受講をするように助言する。
間違いです。Cさんは現在の事業所で就労を継続したいとの希望があるので、このような対応は不適切です。
4 職業適性上の課題が考えられるので、地域障害者職業センターに職業準備支援を依頼する。
間違いです。職業準備支援は現在就労中のCさんが利用することはできません。
5 事業所を訪問して状況を確認した上で、関係者によるカンファレンスを開催する。
これが正解です。
ということで、この問題は「②学習したから選択肢が絞れる問題(良問)」で、私は正解できました。
まとめ
種類 | 問題数 |
---|---|
①学習したから解ける問題(最良問) | 3 |
②学習したから選択肢が絞れる問題(良問) | 1 |
③学習しなくても解ける問題(易問) | 0 |
④学習しても解けない問題(難問) | 0 |
私の点数:4点/4点満点
この分野は単一分野としての足切りはなく、次の更生保護制度を合わせてゼロ点だった場合に足切りになります。
就労支援は易しかったですね。
更生保護制度
問題147
保護観察に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 保護観察は、保護観察対象者の居住地を管轄する保護観察所が行う。
2 保護観察の対象者は、自らの改善更生に必要な特別遵守事項を自分で定める。
3 保護観察処分少年の保護観察期間は、保護処分決定の日から、原則として18歳に達するまでの期間である。
4 保護観察の良好措置として、仮釈放者には仮解除の措置がある。
5 保護観察の不良措置として、少年院仮退院者には退院の措置がある。
1 保護観察は、保護観察対象者の居住地を管轄する保護観察所が行う。
これが正解です。
2 保護観察の対象者は、自らの改善更生に必要な特別遵守事項を自分で定める。
特別遵守事項を定めるのは、保護観察処分少年なら(家庭裁判所の意見を聴いて)保護観察所の長が定めます。
少年院仮退院者及び仮釈放者の場合は(保護観察所の長の申し出に基づき)地方更生保護委員会が定めます。
保護観察付一部猶予者の場合は地方更生保護委員会が定めます。
3 保護観察処分少年の保護観察期間は、保護処分決定の日から、原則として18歳に達するまでの期間である。
間違いです。保護観察処分少年の保護観察期間は、原則としてその少年が20歳に達するまでの期間(その期間が2年に満たない場合は2年)となっています。
4 保護観察の良好措置として、仮釈放者には仮解除の措置がある。
間違いです。仮釈放者に対する良好措置は「不定期刑の終了」です。
ちなみに保護観察処分少年に対する良好措置は「その解除及び一時解除」、少年院仮退院者に対する良好措置は「少年院の退院」、保護観察付執行猶予者に対する良好措置は「保護観察の仮解除」となっています。
5 保護観察の不良措置として、少年院仮退院者には退院の措置がある。
少年院仮退院者に対する不良措置は「少年院への戻し収容」です。
ちなみに保護観察処分少年に対する不良措置は「警告及び施設送致申請・家庭裁判所への通告」、仮釈放者に対する不良措置は「保護観察の停止、仮釈放の取消し」、保護観察付執行猶予者に対する不良措置は「仮解除の取消し・執行猶予の取消しの申し出」となっています。
私は選択肢2と3を消去して、選択肢1を選びました。
ということで、この問題は「②学習したから選択肢が絞れる問題(良問)」で、私は正解できました。
問題148
更生緊急保護に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 対象となる者からの申出がない場合は職権で行うことができる。
2 対象となる者に仮釈放中の者を含む。
3 対象となる者が刑事上の手続き又は保護処分による身体の拘束を解かれた後2年を超えない範囲内において行われる。
4 刑事施設の長又は検察官がその必要があると認めたときに限って行われる。
5 更生保護事業を営む者に委託して行うことができる。
1 対象となる者からの申出がない場合は職権で行うことができる。
更生緊急保護は、本人による保護の申出があった場合に行われますので、間違いです。
2 対象となる者に仮釈放中の者を含む。
更生緊急保護は、刑務所満期出所者や起訴猶予者などが対象です。仮釈放中の者は保護観察の対象ですので間違いです。
3 対象となる者が刑事上の手続き又は保護処分による身体の拘束を解かれた後2年を超えない範囲内において行われる。
間違いです。更生緊急保護は6か月を超えない範囲で行われます。ただし、特に必要があると認められるときはさらに6か月を超えない範囲内で更生緊急保護が行われます。
4 刑事施設の長又は検察官がその必要があると認めたときに限って行われる。
間違いです。「限って」というのが明らかに怪しいですが、正しくは「本人の申出に基づいて、保護観察所の長が実施の判断」をします。
5 更生保護事業を営む者に委託して行うことができる。
これが正解です。更生保護施設や自立準備ホームなどに宿泊場所の提供を委託するなどです。
私は選択肢1を選んでしまいました。
全くの不勉強です。
更生緊急保護は「本人の申出」が前提です。
ということで、この問題は「①学習したから解ける問題(最良問)」でしたが、私は不正解でした。
問題149
保護司に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 保護司の職務に、犯罪予防を図るための啓発及び宣伝の活動は含まれない。
2 保護司には給与は支給されないが、職務に要した費用は実費弁償の形で支給される。
3 保護司は、検察官の指揮監督を受けて職務に当たる。
4 保護司は、保護観察対象者の居住先を訪問することは禁じられている。
5 保護司は、「平成30年版犯罪白書」(法務省)によると、40~49歳までの年齢層が最も多く、過半数を超えている。
1 保護司の職務に、犯罪予防を図るための啓発及び宣伝の活動は含まれない。
間違いです。犯罪予防の啓発や宣伝は保護司の重要な仕事です。
2 保護司には給与は支給されないが、職務に要した費用は実費弁償の形で支給される。
これが正解です。
3 保護司は、検察官の指揮監督を受けて職務に当たる。
間違いです。保護司は「地方更生保護委員会又は保護観察所の長の指揮監督を受けて」職務に当たります。
4 保護司は、保護観察対象者の居住先を訪問することは禁じられている。
間違いです。保護司が訪問支援を行うことは普通です。
5 保護司は、「平成30年版犯罪白書」(法務省)によると、40~49歳までの年齢層が最も多く、過半数を超えている。
間違いです。60~69歳までの年齢層が最も多く、次いで70歳以上になっています。
保護司の定数は保護司法で全国5万2500人と定められていますが、2013年以降5万人を下回っています。
私は選択肢1と3を消去して、選択肢2を選べました。
ということで、この問題は「①学習したから解ける問題(最良問)」で、私は正解でした。
問題150
事例を読んで、Z保護観察所が行うDさんの生活環境の調整に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
[事例]
U矯正施設に収容されたDさん(55歳、男性)は、施設からの釈放後に家族のもとで生活することを希望している。Z保護観察所に対し、U矯正施設からその旨の通知があった。
1 Dさんの生活環境の調整は、Dさんの仮釈放決定後に開始する。
2 Dさんの希望に関係なく、まずU矯正施設の所在地域にある更生保護施設への帰住を調整する。
3 Dさんの生活環境の調整を、保護司と協力して行うことは認められていない。
4 Dさんの生活環境の調整の方法として、Dさんの家族その他の関係人を訪問して協力を求めることがある。
5 Dさんの釈放後の就業先を確保することは、Dさんの生活環境の調整を行う事項に含まれない。
1 Dさんの生活環境の調整は、Dさんの仮釈放決定後に開始する。
間違いです。仮釈放決定前に生活環境の調整をあらかじめ行っておきます。
2 Dさんの希望に関係なく、まずU矯正施設の所在地域にある更生保護施設への帰住を調整する。
間違いです。生活環境の調整は、「本人の希望や家族、その他関係者などの協力などを踏まえて、帰住先を調整する」こととされていますので、本人の希望に関係なく調整してはいけません。
3 Dさんの生活環境の調整を、保護司と協力して行うことは認められていない。
間違いです。生活環境の調整は保護観察官や保護司と協力して行います。
4 Dさんの生活環境の調整の方法として、Dさんの家族その他の関係人を訪問して協力を求めることがある。
これが正解です。
5 Dさんの釈放後の就業先を確保することは、Dさんの生活環境の調整を行う事項に含まれない。
間違いです。釈放後の就業先の確保は生活環境の調整に含まれます。
私は選択肢4が正解っぽいなーという感覚だけで正解しました。
選択肢4が間違っているはずはないなと、普通は思えますね。
ということで、この問題は「②学習したから選択肢が絞れる問題(良問)」で、私は正解できました。
まとめ
種類 | 問題数 |
---|---|
①学習したから解ける問題(最良問) | 2 |
②学習したから選択肢が絞れる問題(良問) | 2 |
③学習しなくても解ける問題(易問) | 0 |
④学習しても解けない問題(難問) | 0 |
私の点数:3点/4点満点
良問ぞろいの難易度が標準的な問題が多かったです。
総まとめ
種類 | 私の正解数 | 問題数 |
---|---|---|
①学習したから解ける問題(最良問) | 60 | 70 |
②学習したから選択肢が絞れる問題(良問) | 27 | 33 |
③学習しなくても解ける問題(易問) | 27 | 30 |
④学習しても解けない問題(難問) | 3 | 17 |
①と②を合わせた良問は計103問、そのうち私は87点とれています。
ボーダーラインが90点程度の試験で、100問以上良問があれば試験としては許容できると思います。
社会福祉士国家試験はしっかり学習するに値する試験、この結果から言えると思います。
ただ、想像以上に③易問が多く(30問も!)、これらは全問正解しておきたいです。私は3問落しましたが。
①最良問+②良問の得点率が合否を決めるわけですが、私は85%程度、合格妥当なラインだと思います。
確実に正解だと確信できた問題は90問程度、それでも実際は合格安全圏の117点でした。
結局、学習効果が表れるのは、自信を持って回答して正解できた問題だけでなく、選択肢を2~3つまで絞れた問題、それらが点数を積み上げていくのです。
2つ選択する問題は全問正解でした。
つまり2つ選択するという問題文を見落とさなければ得点するのは難しくないということで、見落とさないようしっかり注意しなくてはなりません。
試験中、ページをめくるたびに2つ選択する問題かどうかを注意し続けるのは実はなかなか難しいです。
問題を解くことに集中していると、どうしても忘れがちになってしまいますが、でも、こういった部分を取りこぼさないことが合格に繋がってきます。
問題を作る立場になればわかりますが、間違い選択肢を作るのは想像以上に難しいです。だから数字が入った選択肢は数字を変えるだけで確実に容易に間違い選択肢を作れるので間違いになりやすいし、2問選択問題も間違い選択肢を作るのが難しいから出てきたのだと思われます。
コメント
たいへん役に立つ記事をありがとうございます!
問題62の選択肢1の解説について、念のため。医療観察制度の対象者の「無罪等が確定した人」というのは、起訴されて無罪等の判決が確定した人なので、「起訴された者はそもそも対象外」ということではないです。
おっしゃるとおり、おかしな文章になっておりました。
「無罪等が確定した人」は起訴された人でした。
訂正させていただきました。
ご指摘、本当にありがとうございましたm(__)m
いつも勉強させてもらっています。
問題79の選択肢4ですが、「自由選択主義」と「審査請求前置主義」を問いてると思いました。
ご指摘、誠にありがとうございます。
審査請求していなくても処分の取消しの訴えを提起出来るのが原則で、これを「自由選択主義」といいます。
ただし、個別の法律で「審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消の訴えを提起することができない」と定められているときには、審査請求を経ないでいきなり取消訴訟を提起することはできません。これが「審査請求前置主義」ですね。
審査請求前置主義を生半可に覚えていると、選択肢4が正しく見えますが、原則は「自由選択主義」です。
ハム様のご指摘を踏まえて、解答を訂正させていただきました。
ありがとうございましたm(__)m