ソーシャルワークの4レベルと4システム by ピンカス&ミナハン

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ソーシャルワークの4レベル

ソーシャルワークが介入する4つのレベルを見ていきましょう。

ミクロレベル

ミクロレベルのソーシャルワークは、「個人」や「家族」に対して個別に援助を行う方法です。

メゾレベル

メゾレベルのソーシャルワークは、「集団」や「地域」を対象あるいは媒介として援助を行う方法です。

音楽では「メゾ」フォルテは「やや」強く、でしたね。

エクソレベル

エクソレベルのソーシャルワークは、メゾレベルが指す「地域」より少し広い概念で、対象者が直接属していない間接的に関係する機関(例えば両親の職場や兄弟姉妹の学校など)に介入し、メゾレベルやマクロレベルに影響を与えます。

「エクソ」は「外部の」という意味です。「メゾ」よりちょっと大きな範囲をイメージしましょう。

マクロレベル

マクロレベルのソーシャルワークは、「社会全体」に働きかけ政策や制度の改正に繋げるような介入です。

まとめ

以下の図にまとめます。大小関係と具体的な対象を押さえておきましょう。

ソーシャルワークのレベル

ブロフェンブレナーの5システム

ブロフェンブレナーは、4つの社会システムと1つの時間システムを提唱しています。
上に挙げたソーシャルワークの4レベルとも対応するのでまとめて覚えましょう。

マイクロシステム

マイクロシステムは、ミクロレベルに該当する最も身近な自分の周りの環境です。

自分自身やその家族が関係する環境のことです。

メゾシステム

メゾシステムは、メゾレベルに該当する集団や地域に相当します。

エクソシステム

エクソシステムは、エクソレベルに該当する間接的に関わる環境などです。

マクロシステム

マクロシステムは、マクロレベルに該当する国や社会全体、文化、法律、価値観などの大きなシステムです。

クロノシステム

マイクロシステム、メゾシステム、エクソシステム、マクロシステムは影響を受ける「距離」で分類されましたが、クロノシステムはライフイベントなどの「時間」軸になります。

「クロノ」というのはギリシャ語で「時間」を意味する「クロノス」からきているよ。昔、「クロノトリガー」ってテレビゲームがあったよね。直訳すると「時の引き金」だね。

まとめ

ソーシャルワークの4レベルとブロフェンブレナーの5システム

ピンカス&ミナハンの4システム

ピンカス(A.Pincus)とミナハン(A.Minahan)は、「ワーカー」と「クライアント」と「関係機関」の相互関係と相互作用を体系的に論じ、4つのシステムとして捉えています。

ソーシャルワークを1つのシステムとして捉え、その下位システムとして以下の4システムを提唱しています。

チェンジ・エージェント・システム(ワーカー・システム)

チェンジ・エージェント・システム(ワーカー・システム)とは、ワーカー自身とワーカーが所属する機関のことです。

ソーシャルワーカーが専門職として個人で活動すればミクロレベル、ワーカーが所属する機関や団体を含めて組織単位で協働して活動すればメゾレベル、社会福祉士会などの専門職団体が制度の改革などに取り組もうとするとマクロレベルになります。

「ワーカー・システム」で覚えると意味は分かりやすいのですが、国家試験には「チェンジ・エージェント・システム」で出題されていますので、こちらで覚えてください。

クライエント・システム

クライエント・システムは、問題や課題を抱えるクライエントとその家族のことです。

課題解決の対象となるクライエント個人やその家族だけに焦点をあてればミクロレベル、同様の問題をもつグループやコミュニティとなればメゾレベル、地域を越えたクライエント共通の大きな課題となるとマクロレベルになります。

ミクロレベルではケースワーク、メゾレベルではグループワークやコミュニティワークの技法が用いられますね。

ターゲット・システム

ターゲット・システムは、ソーシャルワーカーとクライエントの課題解決のためにターゲットとなる人々や組織・団体、地域社会、制度・政策などです。

ターゲットとはクライエントのことではないので注意です。
ミクロレベルのターゲットは、クライエントだけではなくクライエントに関係する友人や家族です。

メゾレベルのターゲットは、地域の住民組織や商店、他の専門職が所属する組織や団体などです。

マクロレベルのターゲットは、都道府県レベルの地域社会の変革や改革、あるいは法制度、政策、国民の意識などの変革や改革です。

アクション・システム

アクション・システムは、目標達成のためにソーシャルワーカーと協力していく人々のことで、例えば専門職チームなどはアクション・システムです。

クライエントに対して一緒に働きかけてくれる地域の住民組織、他の専門職やそれらの人が所属する組織などに働きかける場合はメゾレベル、例えば国会議員などに働きかけて協働して法制度を策定・改正したり、課題や問題を社会に訴えかけるデモや反対運動に参加したり、マスコミやSNSなどのソーシャルメディアを通しての働きかけはマクロレベルです。

まとめ

4つのシステムはそれぞれ独立しているのではなくダブっていますので、捉えにくいと思います。

ワーカーが他のワーカーや専門職に働きかける場合は、それがアクション・システムであったり、ターゲット・システムであったり、ワーカーとして一緒に取り組むことになればチェンジ・エージェント・システムになったりします。

ピンカス&ミナハンの4システム

過去問

第27回 問題99

事例を読んで、J相談員が介入したレベルとして、適切なものを1つ選びなさい。
[事例]大学で障害のある学生の修学支援を担当するJ相談員(社会福祉士)は、重度の身体障害のある学生Kさん(18歳、女性)の学内支援を調整している。
Kさんから多目的トイレ内に手すりを増設してほしいという希望が出された。
そこでJ相談員は、所属する部署の上司と相談し、Kさんが属する学部からの要請を依頼するとともに、関係部署と交渉した。
その結果、増設工事についての了承を得ることができた。
1 ミクロレベル
2 メゾレベル
3 サブレベル
4 マクロレベル
5 エクソレベル

事例は、ミクロレベルのような個人でもなく、マクロレベルの社会全体という大きさでもない、その中間のメゾレベルへの介入です。ということで選択肢2が正解です。
サブレベルは補助機関などに働きかけることを意味します。

第32回 問題106

事例を読んで、B社会福祉士が介入しようとしているシステムとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
[事例]P国から2年前に来日したCさんは、現在、難民認定を得て就労可能な在留資格を持って、Q市で暮らしている。
日本語能力は十分ではないが、R市にある会社に就職している。
しかし、自宅付近では孤独な暮らしで、近隣住民との会話ややりとりは全くない。
Cさんは、どうしたら近隣住民と交流を持てるのかと悩み、Q市社会福祉協議会のB社会福祉士に相談した。
B社会福祉士は、Cさんと同じような相談を複数回受けたことがあったため、実態把握の必要性を感じた。
このため、Q市に居住している外国籍住民を対象とした聞き取りを行い、その結果を町内会に報告し、対応を促すこととした。
1 ミクロシステム
2 メゾシステム
3 クロノシステム
4 マクロシステム
5 エクソシステム

事例では、Q市に居住している外国籍住民への聞き取りや町内会への報告など「地域」に対して働きかけているので、選択肢2の「メゾシステム」が正解です。

第31回 問題100

ピンカスらによる「4つの基本的なシステム」の中の、ターゲット・システムとチェンジ・エージェント・システムに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ターゲット・システムは、役割を遂行するソーシャルワーカーを指す。
2 ターゲット・システムは、ソーシャルワーカーが所属している機関を指す。
3 ターゲット・システムは、変革努力の目的達成のためにソーシャルワーカーが影響を及ぼす必要のある人々を指す。
4 チェンジ・エージェント・システムは、契約の下で、ソーシャルワーカーの努力によって利益を受ける人々を指す。
5 チェンジ・エージェント・システムは、目標達成のため、ソーシャルワーカーと協力していく人々を指す。

1 ターゲット・システムは、役割を遂行するソーシャルワーカーを指す。
間違いです。これはチェンジ・エージェント・システムです。

2 ターゲット・システムは、ソーシャルワーカーが所属している機関を指す。
間違いです。これもチェンジ・エージェント・システムです。

3 ターゲット・システムは、変革努力の目的達成のためにソーシャルワーカーが影響を及ぼす必要のある人々を指す。
これが正解です。

4 チェンジ・エージェント・システムは、契約の下で、ソーシャルワーカーの努力によって利益を受ける人々を指す。
間違いです。これはクライエント・システムです。

5 チェンジ・エージェント・システムは、目標達成のため、ソーシャルワーカーと協力していく人々を指す。
間違いです。これはアクションシステムです。

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