ドナベディアン・モデルとは
医療の質を「ストラクチャー(構造)」「プロセス(過程)」「アウトカム(結果)」という3つの要素から評価するモデルです。
1980年にアメリカのドナベディアン(Avedis Donabedian)が提唱しました。
現在は医療だけでなく、福祉などの分野でも用いられるよ。
ストラクチャー(構造)
ストラクチャーとは、医療を提供する際に「どういった状態で提供されたのか」という前提条件のことです。
例えば、設備や環境はどうであったか、医師1人で患者何人を診ていたか等、物的資源、人的資源、組織体制なども含まれます。
プロセス(過程)
プロセスとは、診断や治療、リハビリなど「医療がどのように提供されたか」という過程のことです。
アウトカム(結果)
アウトカムとは、「結果としてどうなったのか」ということです。
さいごに
近年の福祉は「質の評価」に重点が置かれ、それによって診療報酬や介護報酬の報酬単価が変わる仕組みになってきています。
サービスを提供する事業所が利用者に選ばれて生き残るためには、質を追求していかなくてはなりません。
「障害児の学童」と呼ばれる「放課後等デイサービス」では、株式会社の大量参入以降、質の悪いサービスが提供される事業所が増えたことが問題になってたね。
過去問
第31回 問題123
ドナベディアンによるヘルスケアの質を評価するための3つのアプローチの1つである「構造(ストラクチャー)」の要素に該当するものとして、正しいものを2つ選びなさい。
1 設備、備品などの物的資源
2 リハビリテーションや予防活動
3 健康状態や健康行動等における改善
4 専門職者などの人的資源
5 診断、処方などの医療行為
1 設備、備品などの物的資源
正しいです。ストラクチャの要素です。
2 リハビリテーションや予防活動
これはプロセスの要素です。
3 健康状態や健康行動等における改善
これはアウトカムの要素です。
4 専門職者などの人的資源
正しいです。ストラクチャの要素です。
5 診断、処方などの医療行為
これはプロセスの要素です。
第32回 問題41
事例を読んで、N市社会福祉協議会の福祉活動専門員(社会福祉士)が行ったアウトカム評価として、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
N市では、近年ひきこもりに関する相談が増加する一方、具体的な支援活動が市内に不足していることが課題となっていた。
そのため、ひきこもりの人やその家族に対する支援活動の拡大を目的として、N市社会福祉協議会が行政の補助金を得て、計6回の講義・見学等からなるひきこもりサポーターの養成研修を企画・実施することになった。
初めての取組であることから、行政からプログラム評価の枠組みを用いて、研修のアウトカム評価を行うことが求められた。1 ひきこもりに関する理解度を測る調査票を作成し、養成研修受講前の受講者の理解度を計測する。
2 養成研修終了後に、支援活動に取り組み始めた受講者の人数とその活動内容を把握する。
3 養成研修の実施回数及び内容が、当初企画したとおりに実施されているかを確認する。
4 養成研修終了後に、N市の市民を対象としたアンケート調査により、ひきこもりに関する市民の意識を把握する。
5 養成研修終了後に、N市内でひきこもり状態から就業に至った人数を把握し、就業による経済効果と補助金額との差を計測する。
1 ひきこもりに関する理解度を測る調査票を作成し、養成研修受講前の受講者の理解度を計測する。
間違いです。受講前の理解度を計測しても、アウトカム(結果)評価にはなりません。
2 養成研修終了後に、支援活動に取り組み始めた受講者の人数とその活動内容を把握する。
これが正解です。受講によってどのような結果(変化)が得られたのかがわかります。
3 養成研修の実施回数及び内容が、当初企画したとおりに実施されているかを確認する。
間違いです。これはアウトカム評価とは関係ありません。
4 養成研修終了後に、N市の市民を対象としたアンケート調査により、ひきこもりに関する市民の意識を把握する。
間違いです。養成研修受講者ではなく市民の意識を調査してもアウトカム評価にはなりません。
5 養成研修終了後に、N市内でひきこもり状態から就業に至った人数を把握し、就業による経済効果と補助金額との差を計測する。
間違いです。これは間接的すぎてアウトカム評価とは言えません。
次の記事
次は、ソーシャルワークの効果測定について。
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