診療報酬の決まり方
日本には国民皆保険制度があり、全ての国民が医療にかかった場合に一定割合の医療費が国から支給されます。
病院や診療所などの医療機関は、診療すると患者から支払われる医療費に加えて国から診療報酬を受け取ることができ、以下のルールで決められています。
決めるのはだれ?
診療報酬は、厚生労働大臣の諮問機関である中央社会保険医療協議会(中医協)に諮問して、厚生労働大臣が決定します。

中医協はあくまでも諮問機関であって、診療報酬を決めるのは厚生労働大臣です。
改定の頻度は?
2年毎に改定されます。
1994年から西暦偶数年に改定されています。
ただし過去には消費税率引き上げ等に対応して不定期に改定が行われたこともありました。
介護報酬の改定は3年毎なので6年に1度同時改定になりますが、2018年がその年でした。
なので医療計画の改定もこの年に合わせて6年毎となり、さまざまな計画や報酬などを同時改定したのが2018年でした。それ以降は6年毎に同時改定が訪れます。

生活保護基準は5年ごと、診療報酬は2年ごと、介護報酬は3年ごとの改定です。
全国で同じ額なの?
1点10円で全国一律です。
ぴったり10円です。
介護報酬は1点ほぼ10円ですが、ぴったり10円ではありません(地域によって10.57円とか10.13円とか異なります)。
診療報酬は、国民皆保険制度ができたとき、1点1銭で始まりました。
その後、物価の上昇とともに1点2銭、3銭・・・と上がっていき、あるところで1点10円に決められました。
このとき、ぴったり10円にすることを反対した人もいました。
なぜなら「ぴったり」だと、その後据え置かれるのではないかと懸念したからです。
実際その通りになり、何十年以上も10円のまま変わっていません。
本来もっと高くないと採算が合わないので赤字の病院が多いようです。
ということで、診療報酬は1点ぴったり10円ということを覚えておきましょう。

これまでも、診療報酬に地域差をつけることは議論されてきました。
出来高払いと包括払い
我々が日本で医療を受けた時、受けた医療サービスの内容によって医療費が積み上げられて計算されるものと、包括的に医療費が決まっているものがあります。
どのような診療が出来高払いで、どのような診療が包括払いなのか、覚えてください。
・外来診療
・急性期医療
外来診療は出来高払いです。
当然ですよね
受けた医療サービスを積み上げて医療費が決まります。
・療養型入院
・急性期医療のDPC制度の入院など
診療報酬支払機関
健康保険、共済組合、船員保険は「社会保険診療報酬支払基金」です。
国民健康保険、後期高齢者医療制度は「国民健康保険団体連合会(国保連)」です。
評価療養と選定療養
いわゆる「保険が効かない」医療は、評価療養と選定療養に分かれます。
・先進医療
・治験にかかる治療
・医療機器の保険適用外使用
・歯科の金合金
・差額ベッド
・180日以上の入院
・予約診療
・時間外診療
・大病院の初診再診

選定医療は贅沢を選定する医療ですね。
過去問
第31回 問題73
診療報酬に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 診療報酬の点数は、通常2年に一度改定される。
2 診療報酬の改定率は、中央社会保険医療協議会が決定する。
3 DPC/PDPSは、分類ごとに月ごとの入院費用を定めている。
4 診療報酬点数には、医科、歯科、看護報酬が設けられている。
5 外来診療報酬については、1日当たり包括払い制度がとられている。
1 診療報酬の点数は、通常2年に一度改定される。
正しいです。
2 診療報酬の改定率は、中央社会保険医療協議会が決定する。
間違いです。
診療報酬の改定率は中央社会保険医療協議会の議論を踏まえて、決めるのは厚生労働大臣です。
3 DPC/PDPSは、分類ごとに月ごとの入院費用を定めている。
DPC/PDPSは診断郡分類別包括支払制度で、治療内容に関わらず「一日当たり」の金額が定められています。
「月ごと」ではありませんので間違いです。
4 診療報酬点数には、医科、歯科、看護報酬が設けられている。
診療報酬点数表は「医科」「歯科」「調剤」に分けられており、「看護報酬」はありません。
5 外来診療報酬については、1日当たり包括払い制度がとられている。
外来診療の診療報酬は出来高払い制度です。
次の記事
次は、国家試験に頻出の国民医療費です。

コメント