相談援助過程は、インターベンションやインテーク、スクリーニングなど単語の意味を知っていれば得点になる問題が多いのでしっかり覚えましょう。
相談援助の流れ
相談援助過程は以下のように流れていきます。
②インテーク(受理面接)
③アセスメント(事前評価)
④プランニング(個別援助計画の立案、作成)
⑤インターベンション(介入)
⑥モニタリング(経過観察)
⑦エバリュエーション(再アセスメント、事後評価)
⑧ターミネーション(終結)
⑨フォローアップ、アフターフォロー(終結後の支援)
①アウトリーチ
アウトリーチというのは英語で「手を伸ばすこと」です。
福祉サービスを必要としている人に手を伸ばして、必要な福祉サービスを受けられるようにすることです。
例えば、自宅を訪問する訪問支援、SNSなどインターネットを通じて接触することもアウトリーチだよ。
②インテーク(エンゲージメント)
アウトリーチで手を指し伸ばしたら次は入り口のインテーク(受理面接)です。
クライエントの主訴を把握し、そもそも支援対象なのか判断します。
これをスクリーニングといいます。
スクリーニングで支援対象であると判断されれば、エンゲージメント(契約)によって相談援助プロセスに沿って、以下のアセスメントへと進んでいきます。
しかし、支援対象ではないと判断されれば、クライエントの支援に適した他機関を紹介します。
これをリファーラルといいます。
リファーラルは、推薦、紹介、委託といった意味だね。
③アセスメント
ここではクライエントの情報を集め、事前評価を行います。
どのような障害を持っているか、家族や取り巻く環境はどうか、経済状況はどうか等の情報から、評価していきます。
アセスメントには様々なツールが用いられますので以下の記事も参照してください。
④プランニング
アセスメントで評価ができたら、次はプランニングとして支援計画を立てていきます。
障害福祉分野では個別支援計画の作成が義務付けられていますね。
⑤インターベンション
ここではじめて支援が開始されます。
インターベンションは介入という意味です。
⑥モニタリング
モニタリングはインターベンション中に行われ、実際の支援がうまくいっているかを振り返ります。
モニタリングによって個別支援計画を改定したりして軌道修正していきます。
⑦エバリュエーション
エバリュエーションは事後評価という意味です。
プランニングからインターベンション、モニタリングの一連の支援が終了して、事後評価を行います。
アセスメントは事前評価、エバリュエーションは事後評価だよ。
⑧ターミネーション
ターミネーションは終結という意味です。
支援の終わりです。
アーノルドシュワルツェネッガーが演じていた「ターミネーター」という映画がああったけど、これは「終わらせる者」という意味だね。
⑨フォローアップ
支援終了後のアフターフォローのことです。
まとめ
カタカナ語の意味さえわかれば難しくないと思いますが、間違いやすいのはインターベンションくらいでしょうか。
基本的には①から順番に実施されますが、モニタリングに関してはインターベンション(介入)中に実施されることに注意です。
さらに、アウトリーチ以前の段階として、支援が必要かどうかを判断する「スクリーニング」が行われることも覚えておきましょう。
専門用語
ラポール
フランス語の「橋をかける」という意味から、「心と心が繋がっている状態」「相手と親密な関係を築くこと」「信頼関係を構築すること」を意味します
アタッチメント
「愛着」「くっつく」という意味で、愛着障害のことをアタッチメント障害といったりします。親子間の愛着や、クライエントが支援者に依存している状態を表す用語です。
転移、逆転移
クライエントが支援者に対して向ける感情や考えを精神分析では転移と言います。
逆に支援者がクライエントに向ける感情を逆転移と言います
パターナリズム
強い立場にある者が、弱い立場にある者の利益のためだとして、本人の意志は問わずに介入・干渉・支援することです。
父権主義や温情主義などとも言われますが、父親が子どもに対して良かれと思って子供の意見を聞かずに物事を決めること、医者が患者の意見を聞かずに治療方法を決めたり、というのもパターナリズムの一例です。
パターナリズムの対義語はマターナリズムで、相手の同意を得て寄り添いつつ決めていくことだね。パターナリズムは英語のパターンとは何の関係もないからね。
過去問
第32回 問題103
相談援助の過程に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 プランニングとは、人と環境の相互作用の枠組みで情報収集及び分析を行う段階である。
2 エバリュエーションとは、ソーシャルワーカーとクライエントが出会い、信頼関係を構築する段階である。
3 コーピングとは、実施されているサービスが適切に提供されているか事実確認を行う段階である。
4 インテークとは、支援の成果を評価し、その状況によっては終結へと進む段階である。
5 インターベンションとは、援助計画に沿って支援を実施していく段階である。
1 プランニングとは、人と環境の相互作用の枠組みで情報収集及び分析を行う段階である。
これはアセスメントの内容です。
2 エバリュエーションとは、ソーシャルワーカーとクライエントが出会い、信頼関係を構築する段階である。
これはインテークの内容です。
3 コーピングとは、実施されているサービスが適切に提供されているか事実確認を行う段階である。
コーピングはストレスへの対処のことなので違います。
4 インテークとは、支援の成果を評価し、その状況によっては終結へと進む段階である。
インテークは入り口の受理面接の段階ですので違います。
5 インターベンションとは、援助計画に沿って支援を実施していく段階である。
これが正解です。
第30回 問題104
相談援助の過程におけるインテーク段階に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 クライエントの主訴を把握し、ソーシャルワーカーが所属する機関の機能について説明する。
2 クライエントの支援計画の策定のために、具体的なサービスを検討する。
3 クライエントの生活全般にわたり支援の効果を評価し、支援経過を確認する。
4 クライエントとその環境全般にわたる多様な情報を収集し、支援計画を作成する。
5 クライエントと共に支援の成果について話し合い、今後の生活目標を設定する。
正解は選択肢1です。
第29回 問題105
ソーシャルワークの援助過程におけるモニタリングに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 プランニングの前に実施される。
2 インターベンションが行われている間に実施される。
3 契約の前に実施される。
4 インテークの途中で実施される。
5 援助終結後に実施される。
正解は選択肢2です。
第31回 問題110
アウトリーチに関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
1 支援を求めて相談室を訪れるクライエントを対象とする。
2 相談援助過程の援助開始時だけではなく、援助が始まった後も有効である。
3 慈善組織協会(COS)の友愛訪問員活動に起源を持つ。
4 所属機関のバックアップを必要としない対応方法である。
5 地域住民とのつながりの構築は不要である。
選択肢2、選択肢3が正しいです。
第35回 問題109
ソ ーシャルワークにおけるアウトリーチに関する次の記述のうち、最も適 切なものを1つ選びなさい。
1 相談機関を訪れたクライエントが対象になる。
2 援助の労力が少なく効率的な活動である。
3 自ら援助を求めない人への関わりとして有効である。
4 住民への関わりや広報を必要としない活動である。
5 援助開始前に行われ、援助開始後においては行われない。
選択肢3が正解です。
第35回 問題101
相談援助の過程におけるプランニングに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 アセスメントと相談援助の実施をつなぐ作業である。
2 短期目標は、将来的なビジョンを示すものとして設定する。
3 家族の要望に積極的に応えるような計画を立てる。
4 生活状況などについて情報収集し、サービス受給要件を満たしているかを確認することである。
5 クライエントの課題解決能力を超えた課題に挑戦するよう策定する。
選択肢1が正解です。
第35回 問題102
相談援助の過程におけるモニタリングに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 文書や電話ではなく、クライエントとの対面で行うものである。
2 モニタリングの内容を記録に残すよりも、情報収集に集中することを重視する。
3 モニタリングの対象には、クライエントやその家族とともに、サービス提供者等の支援者も含まれる。
4 クライエントの主観的変化よりも、生活状況等の客観的変化の把握を重視する。
5 モニタリングは、 インテークの途中で実施される。
選択肢3が正解です。
第29回 問題110
地域包括支援センターのD社会福祉士は、民生委員からEさん(75歳、女性)のことで相談を受けた。Eさんは、何とか自立して一人暮らしをしていたが、ここ数日、Eさんの姿が見えないと隣人が民生委員に知らせてきた。そこで、D社会福祉士は民生委員と共にEさん宅を訪れると、Eさんに会うことができた。
次のうち、D社会福祉士がこの場面で最初に行うこととして、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 アセスメント
2 プランニング
3 スクリーニング
4 モニタリング
5 コンサルテーション
まだ支援に値するか分からないので、スクリーニングの段階です。
選択肢3が正解です。
第32回 問題117
ソーシャルワークにおける援助関係に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ラポールとは、被援助者に代わって援助者が意思決定することを表す。
2 パートナーシップとは、援助者と被援助者が共に課題に取り組む関係性を表す。
3 逆転移とは、被援助者が自己の感情を援助者に向けることを表す。
4 パターナリズムとは、援助者と被援助者間の情動的な絆を表す。
5 アタッチメントとは、被援助者が援助者から自立している状態を表す。
1 ラポールとは、被援助者に代わって援助者が意思決定することを表す。
間違いです。
ラポールとは、信頼関係を構築することです。
2 パートナーシップとは、援助者と被援助者が共に課題に取り組む関係性を表す。
これが正解です。
3 逆転移とは、被援助者が自己の感情を援助者に向けることを表す。
逆転移は援助者が被援助者に自己の感情を向けることです。
普通は被援助者が援助者に自己の感情を向けるのが自然なので、その「逆」です。
4 パターナリズムとは、援助者と被援助者間の情動的な絆を表す。
パターナリズムとは、強い立場にある者が、弱い立場にある者の利益のためだとして、本人の意志は問わずに介入・干渉・支援することです。
5 アタッチメントとは、被援助者が援助者から自立している状態を表す。
アタッチメントはくっついている状態のことなので、自立している状態とは真逆です。
精神保健福祉士 第21回 問題42
次のうち、相談援助のインテーク段階において、相談機関が対応可能かどうかを判断する方法として、適切なものを1つ選びなさい。
1 コーディネーション
2 エンゲージメント
3 スクリーニング
4 モニタリング
5 リファーラル
選択肢3が正解です。インテーク段階でスクリーニングを行い、支援対象でなければリファーラルです。
精神保健福祉士 第22回 問題42
次の記述のうち、リファーラルの説明として、適切なものを1つ選びなさい。
1 患者の支援に役立つ疾病や障害の状況を調べる。
2 患者やその環境又はその両者に対して働き掛ける。
3 患者の支援に関する実施状況について見直す。
4 患者との対等な関係に基づき課題解決に向けて取り組む。
5 患者の希望する支援に対してサービス提供機関へつなぐ。
1 患者の支援に役立つ疾病や障害の状況を調べる。
これはアセスメントです。
2 患者やその環境又はその両者に対して働き掛ける。
これはインターベンションです。
3 患者の支援に関する実施状況について見直す。
これはモニタリングです。
4 患者との対等な関係に基づき課題解決に向けて取り組む。
これは支援者としての基本姿勢です。
5 患者の希望する支援に対してサービス提供機関へつなぐ。
これが正解、リファーラルです。
第35回 問題104
ソーシャルワークにおける援助関係に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
1 転移とは、ソーシャルワーカーが、クライエントに対して抱く情緒的反応全般をいう。
2 統制された情緒的関与とは、ソーシャルワーカーが、自らの感情を自覚し、適切にコントロールしてクライエントに関わることをいう。
3 同一化とは、ソーシャルワーカーが、クライエントの言動や態度などに対して、 自らの価値観に基づく判断を避けることをいう。
4 エゴグラムとは、ソーシャルワーカーが、地域住民同士の関係について、その相互作用 を図式化して示すツールをいう。
5 パターナリズムとは、ソーシャルワーカーが、クライエントの意思に関わりなく、本人の利益のために、本人に代わって判断することをいう。
1 転移とは、ソーシャルワーカーが、クライエントに対して抱く情緒的反応全般をいう。
誤りです。これは逆転移です。
2 統制された情緒的関与とは、ソーシャルワーカーが、自らの感情を自覚し、適切にコントロールしてクライエントに関わることをいう。
正しいです。
3 同一化とは、ソーシャルワーカーが、クライエントの言動や態度などに対して、 自らの価値観に基づく判断を避けることをいう。
誤りです。同一化とは、自分にない優れた能力や名声を持つ他者を真似て自分を近づけることで自分自身の価値を高めたり、劣等感やコンプレックスから逃れようとするものです。
4 エゴグラムとは、ソーシャルワーカーが、地域住民同士の関係について、その相互作用 を図式化して示すツールをいう。
誤りです。これはエコマップです。エゴグラムはアメリカの心理学者エリック・バーン博士が創始した交流分析という人間関係の心理学理論に基づいて作られた性格診断テストです。
5 パターナリズムとは、ソーシャルワーカーが、クライエントの意思に関わりなく、本人の利益のために、本人に代わって判断することをいう。
正しいです。
次の記事
次は、アウトリーチについて詳しく学びます。
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