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カリスマ渾身の一冊

【プログラム評価】ドナベディアンモデル

近年、福祉業界ではますます「支援の質」が求められるようになってきました。医療業界ではドナベディアンモデルという、質を評価するモデルが用いられ、それが福祉にも採用されるようになってきました。

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プログラム評価

プログラム評価とは、社会課題の解決などを目的とした取組み(プログラム)の有効性や成果を、社会調査の手法を用いて体系的に評価することです。

評価の次元は、投入(input)、過程(process)、産出(output)、成果(outcome)、効率性(efficiency)の5つです。

プログラム評価
プログラム評価内容
⑥ニーズ評価プログラム対象者のニーズを評価
⑦セオリー評価目的と活動の論理整合性を評価
⑧プロセス評価事前に計画された内容どおりに実施されたかを評価
⑨アウトカム/インパクト評価アウトプットがアウトカムにもたらした効果を評価
⑩効率性評価費用対効果を評価

効率性評価やインパクト評価は成果を評価する総括的評価に含まれ、ニーズ評価やセオリー評価やプロセス評価は過程を評価する形成的評価に含まれます。

プログラム評価

ドナベディアン・モデル

ドナベディアンモデルは、医療の質を「ストラクチャー(構造)」「プロセス(過程)」「アウトカム(結果)」という3つの要素から評価するモデルです。

1980年にアメリカのドナベディアン(Avedis Donabedian)が提唱しました。

カリスマくん
カリスマくん

現在は医療だけでなく、福祉などの分野でも用いられるよ。

ストラクチャー(構造)

ストラクチャーとは、医療を提供する際に「どういった状態で提供されたのか」という前提条件のことです。

例えば、設備や環境はどうであったか、医師1人で患者何人を診ていたか等、物的資源、人的資源、組織体制なども含まれます。

プロセス(過程)

プロセスとは、診断や治療、リハビリなど「医療がどのように提供されたか」という過程のことです。

アウトカム(結果)

アウトカムとは、「結果としてどうなったのか」ということです。

さいごに

近年の福祉は「質の評価」に重点が置かれ、それによって診療報酬や介護報酬の報酬単価が変わる仕組みになってきています。

サービスを提供する事業所が利用者に選ばれて生き残るためには、質を追求していかなくてはなりません。

カリスマくん
カリスマくん

「障害児の学童」と呼ばれる「放課後等デイサービス」では、株式会社の大量参入以降、質の悪いサービスが提供される事業所が増えたことが問題になってたね。

過去問

第34回 問題41

事例を読んで、N市社会福祉協議会の職員であるC社会福祉士が企画したプログラム評価の設計に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
N
市社会福祉協議会は、当該年度の事業目標に「認知症の人に優しいまちづくり」を掲げ、その活動プログラムの一つとして認知症の人やその家族が、地域住民、専門職と相互に情報を共有し、お互いを理解し合うことを目指して、誰もが参加でき、集う場である「認知症カフェ」の取組を推進してきた。そこで、C社会福祉士は、プログラム評価の枠組みに基づいて認知症カフェの有効性を体系的に検証することにした。
1 認知症カフェに参加した地域住民が、認知症に対する理解を高めたかについて検証するため、ニーズ評価を実施する。
2 認知症カフェの取組に支出された補助金が、十分な成果を上げたかについて検証するため、セオリー評価を実施する。
3 認知症カフェが、事前に計画された内容どおりに実施されたかを検証するため、プロセス評価を実施する。
4 認知症カフェに参加する認知症の人とその家族が、認知症カフェに求めていることを検証するため、アウトカム評価を実施する。
5 認知症カフェが、目的を達成するプログラムとして適切に設計されていたかを検証するため、効率性評価を実施する。

1 認知症カフェに参加した地域住民が、認知症に対する理解を高めたかについて検証するため、ニーズ評価を実施する。
誤りです。これはニーズ評価ではなく、アウトカム評価が適しています。

2 認知症カフェの取組に支出された補助金が、十分な成果を上げたかについて検証するため、セオリー評価を実施する。
誤りです。これはセオリー評価ではなく、効率性評価が適しています。

3 認知症カフェが、事前に計画された内容どおりに実施されたかを検証するため、プロセス評価を実施する。
これが正解です。これがプロセス評価です。

4 認知症カフェに参加する認知症の人とその家族が、認知症カフェに求めていることを検証するため、アウトカム評価を実施する。
誤りです。これはアウトカム評価ではなく、ニーズ評価が適しています。

5 認知症カフェが、目的を達成するプログラムとして適切に設計されていたかを検証するため、効率性評価を実施する。
誤りです。これは効率性評価ではなく、セオリー評価が適しています。

第31回 問題123

ドナベディアンによるヘルスケアの質を評価するための3つのアプローチの1つである「構造(ストラクチャー)」の要素に該当するものとして、正しいものを2つ選びなさい。
1 設備、備品などの物的資源
2 リハビリテーションや予防活動
3 健康状態や健康行動等における改善
4 専門職者などの人的資源
5 診断、処方などの医療行為

1 設備、備品などの物的資源
正しいです。ストラクチャの要素です。

2 リハビリテーションや予防活動
これはプロセスの要素です。

3 健康状態や健康行動等における改善
これはアウトカムの要素です。

4 専門職者などの人的資源
正しいです。ストラクチャの要素です。

5 診断、処方などの医療行為
これはプロセスの要素です。

第32回 問題41

事例を読んで、N市社会福祉協議会の福祉活動専門員(社会福祉士)が行ったアウトカム評価として、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
N市では、近年ひきこもりに関する相談が増加する一方、具体的な支援活動が市内に不足していることが課題となっていた。
そのため、ひきこもりの人やその家族に対する支援活動の拡大を目的として、N市社会福祉協議会が行政の補助金を得て、計6回の講義・見学等からなるひきこもりサポーターの養成研修を企画・実施することになった。
初めての取組であることから、行政からプログラム評価の枠組みを用いて、研修のアウトカム評価を行うことが求められた。

1 ひきこもりに関する理解度を測る調査票を作成し、養成研修受講前の受講者の理解度を計測する。
2 養成研修終了後に、支援活動に取り組み始めた受講者の人数とその活動内容を把握する。
3 養成研修の実施回数及び内容が、当初企画したとおりに実施されているかを確認する。
4 養成研修終了後に、N市の市民を対象としたアンケート調査により、ひきこもりに関する市民の意識を把握する。
5 養成研修終了後に、N市内でひきこもり状態から就業に至った人数を把握し、就業による経済効果と補助金額との差を計測する。

1 ひきこもりに関する理解度を測る調査票を作成し、養成研修受講前の受講者の理解度を計測する。
誤りです。受講前の理解度を計測しても、アウトカム(結果)評価にはなりません。

2 養成研修終了後に、支援活動に取り組み始めた受講者の人数とその活動内容を把握する。
これが正解です。受講によってどのような結果(変化)が得られたのかがわかります。

3 養成研修の実施回数及び内容が、当初企画したとおりに実施されているかを確認する。
誤りです。これはプロセス評価です。

4 養成研修終了後に、N市の市民を対象としたアンケート調査により、ひきこもりに関する市民の意識を把握する。
誤りです。養成研修受講者ではなく市民の意識を調査してもアウトカム評価にはなりません。

5 養成研修終了後に、N市内でひきこもり状態から就業に至った人数を把握し、就業による経済効果と補助金額との差を計測する。
誤りです。これは効率性評価です。

第30回 問題29

福祉サービスのプログラム評価の方法に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 サービスを提供する群と提供しない群に分けて比較する評価は行われない。
2 評価者は、評価指標の策定に当たり、利害関係者と協議してはならない。
3 評価の次元は、投入、過程、産出、成果、効率性である。
4 プログラムの効率性は、産出された物やサービスの量のことである。
5 科学的な評価研究の結果を、実際のプログラム運営管理に活用してはならない。

1 サービスを提供する群と提供しない群に分けて比較する評価は行われない。
誤りです。このような評価手法として集団比較実験計画法などがあります。

2 評価者は、評価指標の策定に当たり、利害関係者と協議してはならない。
誤りです。そのようなことはありません。

3 評価の次元は、投入、過程、産出、成果、効率性である。
これが正解です。

4 プログラムの効率性は、産出された物やサービスの量のことである。
誤りです。これはプログラムの効率性ではなく産出性の説明です。

5 科学的な評価研究の結果を、実際のプログラム運営管理に活用してはならない。
誤りです。そのようなことはありません。

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