<出版のお知らせ>

カリスマ渾身の一冊、ついに完成!
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カリスマ渾身の一冊

【介護】片麻痺は脱健着患の原則

「麻痺」は、ICFでは「心身機能・身体構造」に分類されましたね。ここでは、体に麻痺のある人への介助方法を学習しましょう。

カリスマくん
カリスマくん

現在の新カリキュラムではほとんど出題されなくなったので、飛ばしてもいいよ。

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介護

介護は重労働だと思われがちですが、ボディメカニクスの基本原則を理解し介護に応用することで、最小限の力で身体介助ができるようになり、介助する側とされる側双方の身体的負担を軽減できます。以下のボディメカニクスの原則は押さえておきましょう。

<ボディメカニクスの基本原則>
・支持基底面積を広くする
・重心の位置を低くする
・垂直移動より水平移動
・重心を近づける
・てこの原理を使う
・身体を小さくまとめる
・大きな筋肉を使う
・押すより引く

体重を支えるために必要な床面積を支持基底面といい、これを広くすることで介助する際の安定感が確保できます。足を揃えて直立したときより肩幅くらいに両脚を開いた姿勢の方が安定するのはこのためです。さらに重心の位置を低くすることで安定感が増します。

また、移動の際には重力に逆らった垂直移動より、水平移動を意識すると負担が減ります。

介助者は利用者と身体をできるだけ密着させて重心を近づけると、より小さい力で介助できます。

てこの原理で支点・力点・作用点を意識すると小さな力でも安定した介助ができます。

利用者の身体を小さくまとめることも、介助者の負担を軽減します。

全身の筋肉を使うことを意識することも重要です。例えば腰だけで持ち上げるのではなく、腰・脚・背中といった全身の大きな筋肉を一緒に使うことで、身体の一部分への負担を減らすことができます。

押す動作よりも引く動作のほうが必要な力が小さくなります。

4種類の麻痺の形

麻痺とは運動神経や感覚神経の障害で、以下の4種類の形があります。

単麻痺:末梢神経の部分的な損傷による部分的な麻痺
片麻痺:右脳が損傷する左片麻痺、左脳が損傷すると右片麻痺
対麻痺:腰髄損傷などによる両下肢の麻痺
四肢麻痺:頸髄損傷などによる損傷部位より下の下肢と上肢の麻痺
麻痺

片麻痺

右半身や左半身が麻痺している状態を片麻痺といいます。
片麻痺で杖歩行をする人の介助はどのようにすればよいのでしょうか。
場面ごとに見ていきましょう。

歩行介助

杖歩行の人の歩行介助では、介助者は杖を持っていない側の後ろに立つのが基本です。

平地を歩行する時

「杖→患側→健側」の順で足を出します。
杖と健側を続けて出すと、患側が取り残されてしまいますのでダメです。

階段を登る時

「杖→健側→患側」の順で足を出します。
健側で踏ん張って患側を引っ張り上げないといけませんから。

階段を降りる時

「杖→患側→健側」の順で足を出します。
登る時と逆ですね。
杖のあと健側を出してしまうと体を支えられません。

2点歩行

「杖+患→健側」の順で足を出します。

衣類着脱

健側から脱いで患側から着る脱健着患」が原則です。
上着を脱がせるときは、麻痺のない側から脱がせます
そうすると脱いだ方の手で麻痺のある側も自分で脱ぐことができます。
着るときは麻痺のある側から袖を通します。

食事介助

患側にクッションを入れ、健側から介助します。
患側から介助されると、食べ物が運ばれる軌道が分かりにくかったりしますから。

口腔内患側に食物残渣がないか確認することも必要です。

過去問

第31回 問題128

右片麻痺者が杖歩行(三動作歩行)をする場合の杖と足を動かす順番に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 平地を歩くときは、杖→左足→右足の順である。
2 段差を越すときは、左足→杖→右足の順である。
3 段差を上るときは、杖→左足→右足の順である。
4 階段を降りるときは、杖→左足→右足の順である。
5 坂道を上るときは、左足→杖→右足の順である。

1 平地を歩くときは、杖→左足→右足の順である。
杖と健側を続けて出すと、患側が取り残されてしまいますのでダメです。
杖→右足→左足の順が正しいです。

2 段差を越すときは、左足→杖→右足の順である。
平地を歩くときと同じで、杖→右足→左足の順が正しいです。

3 段差を上るときは、杖→左足→右足の順である。
これが正解です。
階段を上る時は、健側で患側を引っ張り上げないといけないので、杖→健側→患側の順です。

4 階段を降りるときは、杖→左足→右足の順である。
杖→右足→左足が正しいです。

5 坂道を上るときは、左足→杖→右足の順である。
杖→右足→左足が正しいです。

第30回 問題128

次の記述のうち、対麻痺の状態に当たるものとして、正しいものを1つ選びなさい。
1 左右どちらかの上肢と下肢に麻痺がある状態
2 右上肢と左下肢に麻痺がある状態
3 左上肢に麻痺がある状態
4 両下肢に麻痺がある状態
5 四肢全体に麻痺がある状態

これは選択肢4が正解です。

第30回 問題129

右片麻痺で嚥下機能が低下した状態にある人に対する食事介護の在り方として、適切なものを2つ選びなさい。
1 食形態はきざみ食が適している。
2 食前に嚥下体操を行う。
3 食事の時は、左側にクッションを入れ座位姿勢が保てるようにする。
4 右側から食事介助をする。
5 口腔内の右側に食物残渣がないか確認する。

1 食形態はきざみ食が適している。
刻み食は咀嚼機能が低下した人には良いのですが、嚥下機能が低下した人には喉に詰める恐れがあるので適していません。
嚥下機能が低下した人には、とろみ食やペースト状の食事が適しています。

2 食前に嚥下体操を行う。
正しいです。
嚥下体操は嚥下に必要な筋肉をほぐし唾液の分泌も促すので誤嚥防止につながります。

3 食事の時は、左側にクッションを入れ座位姿勢が保てるようにする。
クッションは健側ではなく麻痺側なので間違いです。

4 右側から食事介助をする。
右片麻痺の人には左側から食事介助をします。

5 口腔内の右側に食物残渣がないか確認する。
正しいです。

第32回 問題130

片麻痺者の要介護者に対する介護の方法に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1 上着を脱がせるときは、麻痺のある側から脱がせ、着るときは麻痺のない側から袖を通す。
2 車いすからベッドへ移譲介助する場合、ベッドに対して要介護者の患側に車いすを置く。
3 移動介助におけるボディメカニクス活用として、介助者の支持基底面を狭くとる。
4 食事時の座位姿勢として、頸部は体幹に対して後屈の姿勢とする。
5 杖歩行の介助を行う場合、介助者は杖を持っていない側の後ろに立つ。

1 上着を脱がせるときは、麻痺のある側から脱がせ、着るときは麻痺のない側から袖を通す。
間違いです。
「脱健着患」が原則です。

2 車いすからベッドへ移譲介助する場合、ベッドに対して要介護者の患側に車いすを置く。
間違いです。
要介護者の健側に車椅子を置きます。
車椅子を持ったりしますから。

3 移動介助におけるボディメカニクス活用として、介助者の支持基底面を狭くとる。
間違いです。
移動介助では介助者の支持基底面を広くとることが必要です。

4 食事時の座位姿勢として、頸部は体幹に対して後屈の姿勢とする。
間違いです。
食事の時に頸部が後屈してしまうと、喉に食べ物を詰めて誤嚥しやすくなってしまいます。
片麻痺の人に限らず、食事の時は少し前傾で頸部は前屈が良いです。

5 杖歩行の介助を行う場合、介助者は杖を持っていない側の後ろに立つ。
これが正解です。

第36回 問題129

移動の介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。
1 片麻痺がある人が杖歩行を行う場合、杖は麻痺側に持つ。
2 左片麻痺者が階段を上る時は、杖の次に左足を上げる。
3 視覚障害者の歩行介助を行う場合、介助者は視覚障害者の後方を歩く。
4 片麻痺がある人のベッドから車いすへの移乗では、車いすを要介護者の健側に置く。
5 車いすで大きな段差を下るときは、前向きで降りる。

1 片麻痺がある人が杖歩行を行う場合、杖は麻痺側に持つ。
誤りです。杖は健側に持ちます。

2 左片麻痺者が階段を上る時は、杖の次に左足を上げる。
誤りです。杖→健側→患側の順番です。

3 視覚障害者の歩行介助を行う場合、介助者は視覚障害者の後方を歩く。
誤りです。前方を歩きます。

4 片麻痺がある人のベッドから車いすへの移乗では、車いすを要介護者の健側に置く。
これが正解です。

5 車いすで大きな段差を下るときは、前向きで降りる。
誤りです。後ろ向きで降ります。

第35回 問題128

次の記述のうち、ボディメカニクスの基本原理に関する介護場面への応用として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ベッド上で利用者の臀部を上げる際に、自分の肘を支点にして、てこの原理を使った。
2 ベッドから車いすへの移乗介助の際に、利用者の身体を小さくまとめてしまわないように意識した。
3 車いすからベッドへの移乗介助の際に、できるだけ自分の重心を利用者から離した。
4 ベッド上で利用者の体位変換や枕方向への移動を行う際に、利用者の身体をできるだけ垂直方向に持ち上げて移動させた。
5 ポータブルトイレからベッドへの移乗介助の際に、自分の両足をそろえ、直立姿勢をとった。

1 ベッド上で利用者の臀部を上げる際に、自分の肘を支点にして、てこの原理を使った。
これが正解です。てこの原理を応用することはボディメカニクスの基本です。

2 ベッドから車いすへの移乗介助の際に、利用者の身体を小さくまとめてしまわないように意識した。
誤りです。利用者の身体を小さくまとめることが基本です。

3 車いすからベッドへの移乗介助の際に、できるだけ自分の重心を利用者から離した。
誤りです。介護者の身体と利用者の身体を近づけることで互いの重心が接近し、比較的小さな力で介護できます。

4 ベッド上で利用者の体位変換や枕方向への移動を行う際に、利用者の身体をできるだけ垂直方向に持ち上げて移動させた。
誤りです。重力に逆らう垂直移動ではなく水平移動が基本です。

5 ポータブルトイレからベッドへの移乗介助の際に、自分の両足をそろえ、直立姿勢をとった。
誤りです。両足を開いて支持基底面積を広げ、自分の重心を低くすることが基本です。

次の記事

よくここまでがんばってこられましたね。

次で個別記事は最後になります。

終末期の保険医療について見ていきましょう。

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