よくいただくお悩みとして以下のようなものがあります。
「勉強してもすぐ忘れてしまいます。」
「覚えることが多すぎて・・・」
「知識が定着しません。」
そうなんです。人間はそういう生き物なんです。
悲しい記憶、辛い経験も、忘れる能力があるから生きていけるんです。
でも、忘れたくない受験勉強ではどうすればよいのでしょう。
1つのコツを伝授します。
エビングハウスの忘却曲線
「人間は覚えたことの7割を、翌日には忘れている」
これは、ドイツの心理学者エビングハウスによる実験結果です。
彼によると、以下のように覚えてから急激に忘れていって、その後は緩やかに忘れていくという傾向があるようです。
1か月経つと2割くらいしか覚えていないんだね。
記憶の種類
皆さんが受験勉強で必要な暗記は「意味記憶」です。
意味記憶は長期記憶の中の宣言的記憶(顕在記憶)に分類され、加齢の影響を受けにくいのが、意味記憶と手続き記憶でした。
だから50代、60代、70代の受験生も若い受験生に負けないよ!
記憶の定着方法
それでは、どうすれば記憶は定着するのか、答えは1つ「睡眠」です。
6時間以上の睡眠をとることで、記憶は定着します。
人の睡眠は、入眠後にレム睡眠とノンレム睡眠を90分周期で繰り返します。
レム睡眠は浅い眠り、ノンレム睡眠は深い眠りだったね。
この睡眠中に、人間の脳から老廃物がでて、脳の周りの髄液に排泄され、脳は蘇ります。
睡眠中に脳はおしっこをするみたいな感じだね。つまりしっかり睡眠をとらないと、脳がトイレにいけないからすっきりせず、記憶が定着しないんだ。
脳は日中に老廃物は出しません。なぜなら日中は覚醒していないと活動できないからです。
この「しっかり」とした睡眠をとることで記憶が定着するのです。
睡眠は毎日のことですから、この積み重ねが大きな差になります。
しっかりとした睡眠をとる3つのコツ
・寝る3時間前までに夕食を済ませる
・夕食には甘いモノを食べない
夕食に甘いモノを食べてしまうと、悪夢を見ることが多くて熟睡できないんだ。
睡眠状態を知る方法
最近ではスマートウォッチで睡眠の状態を計測できるものがあります。
私が使用しているスマートウォッチは、入眠すると自動的に睡眠状態を計測してくれるので、寝る前にスイッチオンとか必要ありません。
以下のように入眠中のレム睡眠、ノンレム睡眠、血中酸素濃度、心拍数、呼吸数、皮膚温度が自動的に計測されます。さらにはスマホと連動させると、いびきも記録できます。
左下図の濃い青色の深い眠り(深いノンレム睡眠)の時間が短いと、翌日頭がボーっとするんだ。だから寝る前にスマホを見ないとか夕食に気を付ける習慣が大事!
夕食を腹八分目にした日と、寝る前に板チョコ1枚食べた日の睡眠を比較すると一目瞭然です。板チョコ1枚食べた後の睡眠は、悪夢にうなされて深い眠りがありません。
過去問
公認心理師 第1回(追試)問50
加齢の影響を受けにくい記憶として、適切なものを2つ選べ。
① 意味記憶
② 手続記憶
③ 展望記憶
④ エピソード記憶
⑤ ワーキングメモリ
選択肢①と②が正解です。
介護福祉士 第33回 問107
睡眠に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1 レム睡眠のときに夢を見る。
2 レム睡眠から入眠は始まる。
3 ノンレム睡眠では筋緊張が消失する。
4 ノンレム睡眠では速い眼球運動がみられる。
5 高齢者ではレム睡眠の時間が増加する。
1 レム睡眠のときに夢を見る。
正しいです。
2 レム睡眠から入眠は始まる。
誤りです。入眠直後はノンレム睡眠から始まります。
3 ノンレム睡眠では筋緊張が消失する。
誤りです。筋緊張が消失するのはレム睡眠で、ノンレム睡眠では筋緊張は保持されます。
4 ノンレム睡眠では速い眼球運動がみられる。
誤りです。早い眼球運動が見られるのはレム睡眠です。
5 高齢者ではレム睡眠の時間が増加する。
誤りです。高齢者は加齢に伴ってメラトニンの分泌が減少するため、浅い段階のノンレム睡眠の時間が増加し、深い段階のノンレム睡眠とレム睡眠が減少します。
次の記事
記憶の記事に戻ってね。
コメント