記憶は大きく分類すると長期記憶と短期記憶があります。
短期記憶
短期記憶は文字通り短期間、短時間だけの記憶で、テストの直前に数分だけ覚えるために記憶に留めたりというのも短期記憶です。
感覚記憶
視覚や聴覚などによる感覚の記憶です。
その場ですぐに忘れてしまう短期記憶です。
作動記憶(ワーキングメモリ)
頭の中で暗算をするなど、一時的な情報処理のために短期的に覚える記憶です。
長期記憶
一方で記憶といえば我々が一般的に思い浮かべるのは長期記憶です。
長期記憶には3種類ありますので例とともに覚えておきましょう。
意味記憶
これは「固有名詞」や「知識」のことです。
家族やモノの名前、言葉の意味などのいわゆる知識です。
エピソード記憶
これは過去のエピソードの記憶(経験)です。
昨日は何を食べたとか、学生の頃はどんな勉強をしていたとか。
自然災害などの社会的出来事もそうです。
手続き記憶
これは手続きの記憶ですので、車の運転の仕方とかパソコンの使い方とか。
技能を身に着けることは手続き記憶を定着させることと言えます。
展望的記憶
一般的に記憶と言えば過去のことを覚えていることなんですが、展望的記憶というのは未来の記憶のことをいいます。
「一週間後に友人と会う」とか、「3カ月後に試験がある」とか、将来の予定や約束に関する記憶のことです。
知能の分類
結晶性知能と流動性知能の違いを理解しましょう。
結晶性知能
専門的な知識や料理などの日常の習慣、長年にわたる趣味に関する知識などのことです。
流動性知能
新しい場面への適応に必要な能力のことです。
独創的なアイデアとか問題解決能力にもつながります。
結晶性知能と流動性知能の概念は超高齢社会の日本において重要です。
と言うのは、結晶性知能は過去の経験の積み重ねが土台となっているため加齢によって衰えにくい知能であり、流動性知能は加齢による低下が顕著に見られるという特徴があるからです。
認知症の方でも結晶性知能は保っているという例がよくあります。
過去問
第31回 問題10
記憶に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 手続き記憶とは、覚えた数個の数字を逆唱するときに用いられる記憶である。
2 感覚記憶とは、自転車に乗ったり楽器を演奏したりするときの技能に関する記憶である。
3 展望的記憶とは、「いつ」、「どこで」、「何をしたか」というような、個人の経験に関する記憶である。
4 エピソード記憶とは、「明日の3時に友人と会う」というような、将来の予定や約束に関する記憶である。
5 意味記憶とは、「日本の都道府県の数は47である」というような、一般的な知識に関する記憶である。
1 手続き記憶とは、覚えた数個の数字を逆唱するときに用いられる記憶である。
間違いです。
覚えた数個の数字を逆唱するときに用いられるのは作動記憶(ワーキングメモリ)です。
2 感覚記憶とは、自転車に乗ったり楽器を演奏したりするときの技能に関する記憶である。
間違いです。
技能の記憶は手続き記憶です。
3 展望的記憶とは、「いつ」、「どこで」、「何をしたか」というような、個人の経験に関する記憶である。
展望的記憶とは未来の予定の記憶です。
個人の経験に関する記憶はエピソード記憶です。
4 エピソード記憶とは、「明日の3時に友人と会う」というような、将来の予定や約束に関する記憶である。
これは展望的記憶の例です。
5 意味記憶とは、「日本の都道府県の数は47である」というような、一般的な知識に関する記憶である。
これが正解です。
第29回 問題11
記憶に関する次の記述のうち、エピソード記憶の例として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 愛知県の県庁所在地は、名古屋市である。
2 幼少期に修得したピアノの曲を、大人になっても弾くことができる。
3 昨晩、近くのファーストフード店でハンバーグカレーを食べた。
4 「3-2-5-4-1」という5個の数字を聞き、「3-2-5-4-1」と反復する。
5 「12×21」という数字の掛け算を暗算で行う。
1 愛知県の県庁所在地は、名古屋市である。
これは意味記憶です。
意味記憶=知識です。
2 幼少期に修得したピアノの曲を、大人になっても弾くことができる。
これは手続き記憶です。
手続き記憶=技能です。
3 昨晩、近くのファーストフード店でハンバーグカレーを食べた。
これが正解です。
4 「3-2-5-4-1」という5個の数字を聞き、「3-2-5-4-1」と反復する。
これは数唱と呼ばれる聴覚的短期記憶を確かめる手法です。
5 「12×21」という数字の掛け算を暗算で行う。
これは作動記憶です。
情報処理のための短期的な記憶です。

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