ソーシャルワーカーの活躍の場は、福祉の現場だけではありません。
医療や教育の現場でも必要とされています。
スクールソーシャルワーカーと医療ソーシャルワーカーについて見ていきます。
スクールソーシャルワーカー
スクールソーシャルワーカーになるには?
②精神保健福祉士
③臨床心理士
④公認心理師
⑤上記の資格はないが、福祉や教育分野の専門的な知識やスキル、実績がある
①社会福祉士・②精神保健福祉士→日本ソーシャルワーク教育学校連盟が認定するスクールソーシャルワーク教育課程を修了→スクールソーシャルワーカー
③臨床心理士・④公認心理士→国が指定した保健福祉系の大学院の進学・卒業→スクールソーシャルワーカー
スクールソーシャルワーカーの6割は社会福祉士資格を持っていますので、社会福祉士資格を持つことがスクールソーシャルワーカーになる近道ではありますが、資格を持っていなくても⑤の条件でなることもできます。
スクールソーシャルワーカーの多くは非常勤で、ダブルワーカー、トリプルワーカーも少なくないよ。
職務内容
①問題を抱える児童生徒が置かれた環境への働き掛け
②関係機関等とのネットワークの構築、連携・調整
③学校内におけるチーム体制の構築、支援
④保護者、教職員等に対する支援・相談・情報提供
⑤教職員等への研修活動 等
参考:文部科学省『スクールソーシャルワーカー活用事業』
現役のスクールソーシャルワーカーが僕のYouTubeライブに出てくれたよ。
医療ソーシャルワーカー
職務内容
・退院援助
・社会復帰援助
・受診・受療援助
・経済的問題の解決、調整援助
・地域活動
参考:厚労省『医療ソーシャルワーカー業務指針』
現役医療ソーシャルワーカーが僕のライブに出てくれたよ。
このライブでは、医療ソーシャルワーカーが国家資格化されず、精神医療分野だけ国家資格化された理由を説明しているよ。
過去問
第36回 問題96
事例を読んで、X小学校に配置されているAスクールソーシャルワーカー(社会福祉士)が、Bさんの意思を尊重することに対する倫理的ジレンマとして、適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
Aは、2学期に入ったある日、暗い顔をしているBさん(小学5年生)に声をかけた。Bさんは、初めは何も語らなかったが、一部の同級生からいじめを受けていることを少しずつ話し出した。そして、「今話していることが知られたら、ますますいじめられるようになり、学校にいづらくなる。いじめられていることは、自分が我慢すればよいので、他の人には言わないで欲しい」と思いつめたような表情で話した。
1 クライエントの保護に関する責任
2 別の小学校に配置されているスクールソーシャルワーカーに報告する責任
3 学校に報告する責任
4 保護者会に報告する責任
5 いじめている子の保護者に対する責任
選択肢1と3が正解です。
第36回 問題115
事例を読んで、Aスクールソーシャルワーカー(社会福祉士)の解決志向アプローチに基づく問いかけとして、適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
Bさん(高校1年生)は、父親、弟(小学4年生)、妹(小学1年生)の4人家族である。父親は長距離トラックの運転手で、Bさんは長女として家事と弟妹の世話を引き受けている。ある日、Aスクールソーシャルワーカーに、「家族のためにやれることをやるのは当然だし、喜んでもらえるのもうれしい。でも毎日勉強とバイトと家事で精一杯。これ以上はもう無理かも・・・」とつぶやいた。AはこれまでのBさんの頑張りをねぎらいながら、以下の問いかけをした。
1 「もし奇跡が起こって何もかもうまくいくとしたら、どうなると思いますか?」
2 「最悪な状況を0、何もかも解決したのが10なら、今は何点になりますか?」
3 「Bさんが「もう無理かも」と思ったのは、どのようなときですか?」
4 「Bさんが想像する、最悪の事態はどのようなものでしょうか?」
5 「今、Bさんが抱える状況の根本の原因は何だと思いますか?」
1 「もし奇跡が起こって何もかもうまくいくとしたら、どうなると思いますか?」
正しいです。解決志向アプローチのミラクルクエスチョンです。
2 「最悪な状況を0、何もかも解決したのが10なら、今は何点になりますか?」
正しいです。解決志向アプローチのスケーリングクエスチョンです。
3 「Bさんが「もう無理かも」と思ったのは、どのようなときですか?」
誤りです。
4 「Bさんが想像する、最悪の事態はどのようなものでしょうか?」
誤りです。
5 「今、Bさんが抱える状況の根本の原因は何だと思いますか?」
誤りです。
第34回 問題136
事例を読んで、Bスクールソーシャルワーカー(社会福祉士)によるこの時点での対応として、適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
Bスクールソーシャルワーカーは、C君(小学6年生)の学級担任のD教師から相談を受けた。C君は、母親が病気で動けないため、母親の手伝いや2歳の妹の世話をしており、学校を休むことが多いという。Bスクールソーシャルワーカーが登校してきたC君と二人で話すと、父親は仕事が忙しく、家族と過ごす時間が少ないこと、C君は父親から、家庭内のことは誰にも話さないようにと言われていることが分かった。C君は、「学校には来たいけれど、母や妹のことが心配だ」と話した。
1 C君に、このまま家族の犠牲になっていては、将来に影響すると話す。
2 保護者に対し、学校を休みがちで心配だと伝え、家庭訪問を打診する。
3 関係機関によるケース会議が必要であることを校長に報告する。
4 乳児家庭全戸訪問事業として家庭訪問を行う。
5 妹を一時保護する。
選択肢2と3が正解です。
第33回 問題93
国が規定する近年の相談事業に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 地域で生活する障害者のために、「地域生活定着促進事業」が創設され、地域生活定着支援センターにおいて相談支援業務が行われるようになった。
2 「スクールソーシャルワーカー活用事業」において、社会福祉士や精神保健福祉士等がその選考対象に明記されるようになった。
3 地域包括支援センターでは、社会福祉士等によって「自立相談支援事業」が行われるようになった。
4 矯正施設退所者のために、「地域生活支援事業」が創設され、市町村における必須事業として相談支援事業が行われるようになった。
5 生活困窮者自立支援制度が施行され、その中核的事業として「総合相談支援業務」が行われるようになった。
選択肢2が正解です。文部科学省のスクールソーシャルワーカー活用事業においてスクールソーシャルワーカーの選考は、「社会福祉士や精神保健福祉士、こども家庭ソーシャルワーカー等の福祉に関する専門的な資格を有する者から、実施主体が選考し、スクールソーシャルワーカーとして認めた者とする。」とされています。
第27回 問題76
生活保護を受給している一人暮らしで、軽度の知的障害のある入院患者Kさん(30歳、男性)について、今後の治療法と治療機関の選択をするため、医師とKさんによる話し合いが医療ソーシャルワーカー同席の下で行われた。話し合いの内容が複雑なため、Kさんが自分の希望を明確に医師に伝えることが難しいと予想した医療ソーシャルワーカーは、あらかじめKさんと話し合った結果に基づきKさんの状況とニーズについて、Kさんに代わって話し合いの場で医師に伝えた。
次のうち、こうした医療ソーシャルワーカーの行為を表す用語として、正しいものを1つ選びなさい。1 アカウンタビリティ2 セカンドオピニオン3 リスクマネジメント4 アドボカシー5 インフォームドコンセント
選択肢4が正解です。
次の記事
次は、ソーシャルワーカーの仕事であるネットワーキングについて。
コメント