この分野はちょっと難しいです。
がんばって。
ソーシャルワーク3機能 by ベーム
ベームはソーシャルワークの機能として、以下の3つを提唱しています。
・損なわれた能力の回復
・個人的資源と社会的資源の確保
・社会的機能障害の予防
※論文「ソーシャルワークの性格」より
ベームは、論文「ソーシャルワークの性格」の中で社会全体に対するソーシャルワークの責任について述べています。
ソーシャルワークの責任は、その社会で支配的な価値とあらゆる点で一致するような一組の価値をソーシャルワークに賦与することを意味するものではないと述べています。
ソーシャルワーク実践の共通基盤3要素 by バートレット
バートレットはソーシャルワーク実践の共通基盤として、以下の3要素を挙げています。
ケースワーク、グループワーク、コミュニティワークの共通基盤を見出そうとするジェネラリストソーシャルワークにおいては、この共通基盤という認識が重要です。
・価値
・知識
・介入(調整活動)
※著書「社会福祉実践の共通基盤」(1970年)より
バートレットは、ソーシャルワーク実践における本質的な要素は、価値、知識、介入(調整活動)の総体から構成され、価値と知識が優先されるべきであると述べています。
ただし3者のバランスが重要とも言っています。
ソーシャルワーク固有の3価値前提 by ブトゥリム
・人間尊重
・人間の社会性
・変化の可能性
※「ソーシャルワークとは何か」より
ブトゥリムは、「ソーシャルワークとは何か」において三つの価値前提として「人間尊重」「人間の社会性」「変化の可能性」を挙げています。
ただし、これらの3つの価値前提はソーシャルワーク独自のものではないよ。
「倫理=人間関係及びその交互作用に価値が適用されたもの」by レヴィ
倫理も選択されたものであるが、倫理は人間関係における行動に直接影響を及ぼす点に特色があると述べています。
「社会福社の基本的な諸価値は単一の哲学から導き出されたものではない」 by コーズ
※「ソーシャルワークの根源」より
過去問
第23回 問題88
ソーシャルワークの価値に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 バートレット(Bartlett,H.)は、調整活動のレパートリーに応じて価値や知識が異なることから、方法が価値や知識より優位にあると述べている。
2 ブトゥリム(Butrym,Z.)は、ソーシャルワーク固有の価値前提として、「人間尊重」「人間の社会性」「教育の可能性」を挙げている。
3 コーズ(Kohs,S.)は、価値の根源を求めていく中で、ソーシャルワークの基本的な諸価値は単一の哲学から導き出されたものであると結論づけている。
4 レヴィ(Levy,C.)は、倫理を人間関係及びその交互作用に価値が適用されたものと規定し、人間関係における行動に直接影響を及ぼす点に特色があると述べている。
5 ベーム(Boehm,W.)は、ソーシャルワークが社会的責任を負うことから、ソーシャルワークの価値はその社会における支配的な価値に一致すると述べている。
1 バートレット(Bartlett,H.)は、調整活動のレパートリーに応じて価値や知識が異なることから、方法が価値や知識より優位にあると述べている。
間違いです。バートレットはソーシャルワーク実践の共通基盤3要素として「価値」「知識」「介入」を提唱し、知識と価値が優先されるべきとしています。
2 ブトゥリム(Butrym,Z.)は、ソーシャルワーク固有の価値前提として、「人間尊重」「人間の社会性」「教育の可能性」を挙げている。
間違いです。ブトゥリムはソーシャルワーク固有の価値前提として「人間尊重」「人間の社会性」「変化の可能性」を提唱しています。「教育の可能性」ではありません。
3 コーズ(Kohs,S.)は、価値の根源を求めていく中で、ソーシャルワークの基本的な諸価値は単一の哲学から導き出されたものであると結論づけている。
間違いです。ソーシャルワークの基本的な諸価値は単一の哲学から導き出されたものではないと結論づけています。
4 レヴィ(Levy,C.)は、倫理を人間関係及びその交互作用に価値が適用されたものと規定し、人間関係における行動に直接影響を及ぼす点に特色があると述べている。
これが正解です。
5 ベーム(Boehm,W.)は、ソーシャルワークが社会的責任を負うことから、ソーシャルワークの価値はその社会における支配的な価値に一致すると述べている。
間違いです。その社会で支配的な価値とあらゆる点で一致するような一組の価値をソーシャルワークに賦与することを意味するものではないと述べています。
第16回 問題6
社会福祉援助における価値に関する次の記述のうち、誤っているものを一つ選びなさい。
1 コーズ(Kohs,S.)は、『ソーシャルワークの根源』において、価値の根源を求めていく中で、社会福社の基本的な諸価値は、単一の哲学から導き出されたものではないと述べている。
2 バートレット(Bartlett,H.)は、『社会福祉実践の共通基盤』において、ソーシャルワーク実践における本質的な要素は、価値、知識及び調整活動の総体から構成され、知識と価値が優先されるべきであると述べている。
3 パールマン(Perlman,H.)は、『ソーシャルワークとは何か』において、三つの価値前提として「人間尊重」「人間の社会性」「変化の可能性」を挙げ、これらは、ソーシャルワークにのみ固有の価値であって、他の援助方法に対するソーシャルワークの独自性を示していると述べている。
4 レヴィ(Levy,C.)は、『ソーシャルワーク倫理の指針』において、人間関係と人間交互作用に価値が適用されたものが倫理であると規定し、倫理も選択されたものであるが、人間関係における行動に直接影響を及ぼす点に特色があると述べている。
5 ベーム(Boehm,W.)は、『ケースワークの基礎』の中の論文「ソーシャル・ワークの性格」において、社会全体に対するソーシャルワークの責任について述べているが、それは、その社会で支配的な価値とあらゆる点で一致するような一組の価値を、ソーシャルワークに賦与することを意味するものではないと述べている。
昔の問題は、間違っているものを選択させていたのですね。なので間違い選択肢を見つけられれば正解できてしまうので、難しそうな問題でも正解できてしまいます。さらにこの問題は前の問題とそっくりです。
1 コーズ(Kohs,S.)は、『ソーシャルワークの根源』において、価値の根源を求めていく中で、社会福社の基本的な諸価値は、単一の哲学から導き出されたものではないと述べている。
正しいです。
2 バートレット(Bartlett,H.)は、『社会福祉実践の共通基盤』において、ソーシャルワーク実践における本質的な要素は、価値、知識及び調整活動の総体から構成され、知識と価値が優先されるべきであると述べている。
正しいです。
3 パールマン(Perlman,H.)は、『ソーシャルワークとは何か』において、三つの価値前提として「人間尊重」「人間の社会性」「変化の可能性」を挙げ、これらは、ソーシャルワークにのみ固有の価値であって、他の援助方法に対するソーシャルワークの独自性を示していると述べている。
間違いです。パールマンではなくブトゥリムです。ただしブトゥリムはこれら3価値前提がソーシャルワーク固有で独自のものだとは言っていません。
4 レヴィ(Levy,C.)は、『ソーシャルワーク倫理の指針』において、人間関係と人間交互作用に価値が適用されたものが倫理であると規定し、倫理も選択されたものであるが、人間関係における行動に直接影響を及ぼす点に特色があると述べている。
正しいです。
5 ベーム(Boehm,W.)は、『ケースワークの基礎』の中の論文「ソーシャル・ワークの性格」において、社会全体に対するソーシャルワークの責任について述べているが、それは、その社会で支配的な価値とあらゆる点で一致するような一組の価値を、ソーシャルワークに賦与することを意味するものではないと述べている。
正しいです。
第25回 問題93
ブトゥリム(Butym,Z.)が示したソーシャルワークの3つの価値前提(「人間尊重」「人間の社会性」「人間の変化の可能性」)に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 この3つの価値前提は、それら自体がソーシャルワークの実践から生まれたソーシャルワークに独自かつ固有の価値であり、不可欠なものである。
2 この3つの価値前提は、相互に等しい道徳的価値である。
3 「人間尊重」は、個別的自由と普遍的自由との統合を図る人倫概念を示したヘーゲル学派の哲学による考え方を基盤とする。
4 「人間の社会性」は、人間がそれぞれにその独自性の貫徹のために他者に依存する存在であることを示す。
5 「人間の変化の可能性」は、環境の変化と人間の変化及び成長との因果関係に基づく決定論的な人生観に依拠する。
この問題はわからなくてOKです。
1 この3つの価値前提は、それら自体がソーシャルワークの実践から生まれたソーシャルワークに独自かつ固有の価値であり、不可欠なものである。
誤りです。独自かつ固有のものではありません。
2 この3つの価値前提は、相互に等しい道徳的価値である。
誤りです。このようなことはブトゥリムは言っていません。
3 「人間尊重」は、個別的自由と普遍的自由との統合を図る人倫概念を示したヘーゲル学派の哲学による考え方を基盤とする。
誤りです。これはヘーゲル学派ではなくカント学派です。
4 「人間の社会性」は、人間がそれぞれにその独自性の貫徹のために他者に依存する存在であることを示す。
これが正解です。
5 「人間の変化の可能性」は、環境の変化と人間の変化及び成長との因果関係に基づく決定論的な人生観に依拠する。
誤りです。
第32回 問題93
ソーシャルワーク実践理論を発展させた人物に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 ベーム(Boehm, W.)は、人間と環境の相互作用を基本視点とした生態学的アプローチを展開した。
2 ジャーメイン(Germain, C.)は、ソーシャルワークを本質的な観点から検討し、ソーシャルワークの活動を三つの機能に分類して定義化を試みた。
3 シュワルツ(Schwartz, W.)は、個人と社会の関係は共生的な相互依存関係であるとし、ソーシャルワーカーの媒介機能を重視する相互作用モデルを展開した。
4 ゴールドシュタイン(Goldstein, H.)は、価値の体系、知識の体系および多様な介入方法の3要素に基づくソーシャルワーク実践の共通基盤を提唱した。
5 バートレット(Bartlett, H.)は、システム理論を指向した一元的アプローチを展開し、後に認知的-人間性尊重アプローチを展開した。
1 ベーム(Boehm, W.)は、人間と環境の相互作用を基本視点とした生態学的アプローチを展開した。
間違いです。生態学的アプローチ(エコロジカルアプローチ)を展開したのはジャーメインです。
2 ジャーメイン(Germain, C.)は、ソーシャルワークを本質的な観点から検討し、ソーシャルワークの活動を三つの機能に分類して定義化を試みた。
間違いです。ソーシャルワークの3つの機能を提唱したのはベームです。
3 シュワルツ(Schwartz, W.)は、個人と社会の関係は共生的な相互依存関係であるとし、ソーシャルワーカーの媒介機能を重視する相互作用モデルを展開した。
これが正解です。グループワークの3モデルででてきます。
4 ゴールドシュタイン(Goldstein, H.)は、価値の体系、知識の体系および多様な介入方法の3要素に基づくソーシャルワーク実践の共通基盤を提唱した。
間違いです。ソーシャルワーク実践の共通基盤3要素を提唱したのはバートレットです。
5 バートレット(Bartlett, H.)は、システム理論を指向した一元的アプローチを展開し、後に認知的-人間性尊重アプローチを展開した。
間違いです。一元的アプローチ(ユニタリーアプローチ)を展開したのはゴールドシュタインです。
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次は、ノーマライゼーションについて。
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