構音障害と失語症の違い

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構音障害

構音障害は、文字どおり「音を構成する能力の障害」で、喉や口で言語音を作る筋肉が麻痺したり機能低下することで起こります。

言葉を正常にはっきり発音する能力が失われる、いわゆる「ろれつが回らない状態」のことです。

「話す」「聞く」「読む」「書く」のうち「話す」機能のみの障害ですね。

失語症

失語症は、脳血管障害等が主な原因で、高次脳機能障害の一種です。

言語概念そのものが障害されていますので、「話す」「聞く」「読む」「書く」のうち、多かれ少なかれ全てに影響があります。

失語症は構音障害のように、単に音を構成することの困難さだけではないので、構音障害の方に有効なコミュニケーションボード(50音表)は、失語症の方には向いていません。

運動性失語

運動性失語は、人の言葉や文字は理解できますが、言いたい事が言葉にならない失語症です。

思考を言語に変換する左前頭葉の「運動性言語野(ブローカー野)」の障害によって生じるので、ブローカー失語とも呼ばれます。

ブローカ野が運動中枢に近いため、右片麻痺や口腔顔面の運動障害などを伴うことが多いです。

ブローカー野は前頭葉の「左側」にあります。なのでブローカー野が損傷すると運動性失語に加えて「右」片麻痺になりやすいです。ほとんどの人は左脳が言語を司っており、ブローカー野やウェルニッケ野が左側にありますが、ごく少数ですが右側にある人もいます。

構音障害は発声機能の障害、運動性失語は発声機能が正常でも言葉が出てこない障害なので、混同しないようにしてください。運動性失語には、話す不安を軽減した絵カードや写真など視覚化されたコミュニケーションが有効です。

感覚性失語

感覚性失語症は、言葉に対する理解が乏しく、会話が成立しません。

なので、ジェスチャーやボディランゲージによるコミュニケーションが有効です。

左側頭葉の「感覚性言語野(ウェルニッケ野)」の障害によって生じるので、ウェルニッケ失語とも呼ばれます。

全失語

運動性失語も感覚性失語も脳の損傷によって起こりますが、その損傷が脳の広範囲に及んでいると運動性失語と感覚性失語が同時に起こることもあり、これを全失語といいます。

全失語は、「話す」「聞く」「読む」「書く」の全てが重度に障害され、言葉が全く話せない状態です。

健忘性失語(失名詞失語)

健忘性失語は軽度の失語症で、普通に話を理解したり会話することもできますが、モノの名前がすんなりと出てこないので、回りくどい言い方になったります。

失語症のリハビリ

失語症の原因のほとんどは、脳卒中の後遺症です。

最初は認知症と誤解されたりしますが、早期からリハビリに取り組むことが重要です。

失語症のリハビリには言語聴覚士が活躍します。

まずは、「聞く」「話す」「書く」「読む」といった能力を正確に判定し、どのタイプの失語症なのか、その症状に合ったリハビリに取り組んでいきます。

過去問

第25回 問題6

Aさん(70歳)は、ある日、急に意識障害を生じて倒れ、救急病院に入院した。
数日後、意識は回復したが、右側の片麻痺が後遺症として残った。
右利きなので、日常生活に多くの不便を生じることになった。
更に、発語が乏しくなり、「あーうー」程度の言葉を発するのみとなった。
発語しようとするときは、懸命でもどかしい表情になり、言いたいことがあるようにみえる。
言葉の了解はよいようで、他者の指示に従って行動することができる。
例えば、眼鏡を渡して、「これを使ってみてください」と指示すれば、眼鏡をかけることができる。
咽喉の動きはよく嚥下困難はない。
舌の動きはよい。
次のうち、Aさんの症状として最も適切なものを1つ選びなさい。
1 全失語
2 感覚性 (ウェルニッケ) 失語
3 運動性 (ブローカ) 失語
4 構音障害
5 健忘性失語

Aさんの症状として、言葉の理解はできても発語が難しいという点、さらには右片麻痺があるという点、これらのことから選択肢3の運動性失語だと考えられます。

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