共同募金は赤い羽根のあれです。
共同募金は、第二次世界大戦後の1947(昭和22)年に「国民たすけあい運動」として始まりました。
第1回目の共同募金運動では約6億円もの寄付金が集まったらしいです。
現在の貨幣価値にすると1200億円に相当するということで、戦後すぐのこの時期にすごいことだと思います。
全国ではありませんが、1921年に長崎県社会事業協会が地域的に共同募金をしたのが初です。
共同募金の概要
根拠法:社会福祉法
共同募金に関しては2000年に制定された社会福祉法に規定されています。
事業種別:第一種社会福祉事業
共同募金は第一種社会福祉事業です。
第一種社会福祉事業は、特別養護老人ホームなどの入所施設や児童相談所など、社会的弱者の生活に関わる重要な事業が該当しますが、この共同募金だけ異色です。
第二種社会福祉事業っぽいのですが、第一種です。

共同募金が「第一種」社会福祉事業だってことは国家試験に頻出だよ!
実施主体:社会福祉法人共同募金会
社会福祉法では「共同募金事業を行うことを目的として設立される社会福祉法人を共同募金会と称する」とあり、共同募金会以外には共同募金を実施することができません。
実施方法
47都道府県に共同募金会が設置され、都道府県単位で実施されます。
期間は厚生労働大臣が定めますが、例年10月1日から翌年3月31日までの6か月間で、全国一斉に行われます。募金の7割は個人による募金です。
募金の配分
募金の配分はあらかじめ都道府県社会福祉協議会の意見を聞き、共同募金会内部の配分委員会の承認で配分されます。
2000年~「社会福祉事業又は更生保護事業を経営する者の過半数に配分」が廃止され、「社会福祉を目的とする事業を経営する者以外の者に配分してはならない」とされています。
ボランティア活動、障がい者の共同作業所の車両整備や社会福祉施設の改修などなど、さまざまな民間の団体に配分されています。
国や地方公共団体に配分されることはありません。
過去問
第29回 問題42
社会福祉法に定める共同募金に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 共同募金は、市町村の区域を単位として募集される。
2 共同募金を行う事業は、第二種社会福祉事業である。
3 共同募金会以外の者は、共同募金事業を行うことが禁止されている。
4 共同募金は、社会福祉を目的とする事業を経営する者以外にも配分される。
5 国は、寄付金の配分について関与できる。
1 共同募金は、市町村の区域を単位として募集される。
共同募金会が都道府県単位で設置されているので、共同募金は都道府県単位で実施されます。
2 共同募金を行う事業は、第二種社会福祉事業である。
第一種社会福祉事業です。
3 共同募金会以外の者は、共同募金事業を行うことが禁止されている。
正しいです。そのとおりです。
4 共同募金は、社会福祉を目的とする事業を経営する者以外にも配分される。
共同募金は社会福祉を目的とする事業を経営する者以外に配分してはなりません。
5 国は、寄付金の配分について関与できる。
国や地方公共団体は寄付金の配分について干渉できません。
第35回 問題38
社会福祉法に規定される共同募金に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 災害に備えるため準備金を積み立て、他の共同募金会に拠出することができる。
2 共同募金を行うには、あらかじめ都道府県の承認を得て、その目標額を定める。
3 共同募金を行う事業は第二種社会福祉事業である。
4 市町村を区域として行われる寄付金の募集である。
5 募金方法別実績で最も割合が高いのは街頭募金である。
1 災害に備えるため準備金を積み立て、他の共同募金会に拠出することができる。
これが正解です。
2 共同募金を行うには、あらかじめ都道府県の承認を得て、その目標額を定める。
誤りです。都道府県ではなく配分委員会の承認で目標額を定めます。
3 共同募金を行う事業は第二種社会福祉事業である。
誤りです。第一種社会福祉事業です。
4 市町村を区域として行われる寄付金の募集である。
誤りです。都道府県を区域として行われます。
5 募金方法別実績で最も割合が高いのは街頭募金である。
誤りです。最も多いのはボランティアが各家庭を訪問する「戸別募金」で、次いで「法人募金」が多くなっており、「街頭募金」は少ないです。
次の記事
これで社会福祉法の内容は全て終了です。次の記事で社会福祉法のまとめをします。

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