雇用保険と労災保険

雇用保険と労災保険 日本の社会保障
スポンサーリンク

雇用保険と労災保険を合わせて「労働保険」と呼びます。

雇用保険と労災保険は事例問題で出題されやすいので整理してしっかり理解することが重要です。

保険者

雇用保険も労災保険も保険者は「政府」です。

被保険者

雇用保険の被保険者は被用者ですが、短時間労働者(週20時間未満)などは含まれません。

それに対して労災保険は非正規雇用の人もパートやアルバイトの人も、不法就労している人も、全ての被用者を加入させなければなりません。

費用負担

雇用保険の失業等給付は、国が1/4、残りは労使折半です。

雇用保険二事業は全額事業主負担になります。

一方で労災保険は全額事業主負担になります。

事業内容

雇用保険

雇用保険といえば失業したときにもらえる失業給付(基本手当)を思い浮かべる人が多いかと思いますが、それ以外にも様々な給付があります。

育児で休業した時にもらえる「育児休業給付」や介護休業の時にもらえる「介護休業給付」も雇用保険による給付です。

社会福祉士国家試験取得のための養成校に通う費用の助成は「教育訓練給付」という雇用保険による給付です。

詳しく見てみると雇用保険には大きく分けて2種類の事業があります。

「失業等給付等」と「雇用保険二事業」です。

雇用保険と労災保険

失業等給付等は「失業等給付」と「育児休業給付」に分けられます。

「失業等給付等」=「失業等給付」+「育児休業給付」

失業等給付等って「等」が2回もでてきて変な名前だな

雇用保険のメインは下の「失業等給付」で以下の4つの給付で構成。

<失業等給付>
就職者給付:失業したときにもらえる失業手当
雇用継続給付:介護休業給付など
教育訓練給付:資格取得のための通学日などの助成
就職促進給付:失業手当受給中に就職が決まった場合の手当

もう1つ「雇用保険二事業」というのがありますが、これは「雇用安定事業」と「能力開発事業」になります。

こんな事業があるんだなぁ程度でいいと思います。

労災保険

業務災害給付、通勤災害給付、二次健康診断給付(再検査など)の3種類あります。

<業務災害給付>
・療養補償給付
・休業補償給付
・障害補償給付
・介護補償給付
・傷病補償給付
<通勤災害給付>
・療養給付
・休業給付
・障害給付
・介護給付
・傷病給付

このように、勤務中や通勤中にケガをしたり障害を負ったり、それが原因で休業したり介護状態になったりしたときに支給される給付があるのが分かると思います。

「〇〇補償給付」というのが勤務中の災害、「〇〇給付」というのが通勤中の災害に対する給付です。

休業補償について

仕事を休んだ時の休業補償は、業務災害給付、育児休業給付、介護休業給付、傷病手当金、出産手当金などなど様々あり、それぞれ労災保険や雇用保険、医療保険などから拠出されますので区別して覚えなければなりません。

表にまとめてみます。

給付等 保険制度 条件 期間 金額
求職者給付 雇用保険 失業 条件による 条件による
休業補償給付 労災保険 業務中の災害 給与なし4日目から1年半 給与の80%
傷病手当金 医療保険 業務外のケガ等 給与なし4日目から1年半 給与の2/3
出産手当金 医療保険 出産による休業 出産前42日~出産後56日 給与の2/3
育児休業給付 雇用保険 育児による休業 1歳まで(条件で2歳まで) 給与の2/3
介護休業給付 雇用保険 介護による休業

2週間以上常時介護が必要な家族に対して通算93日以内(3回まで分割可)

給与の2/3

失業の場合は、「求職者給付」、いわゆる失業手当(基本手当)があります。

休業の場合は、その理由によって様々な給付や手当がありますので、整理して覚えましょう。

業務上のケガ等で休業する場合は労災保険の「休業補償給付」があり、他の給付と比べて最も給付額も高いです。

業務外でのケガや病気で休んだ場合は、医療保険の「傷病手当金」が受給でき、給与の2/3程度です。

業務災害給付と比べて業務外の理由で休んでいるので、支給額は低くなっています。

出産や育児で休業する場合も、「出産手当金」「育児休業給付」があり、傷病手当金と同レベルの給付額になっています。

同じく介護で休業する場合の「介護休業給付」も同レベルの給付額です。

給与の6割が最低ラインとなっているので全ての給付でそれ以上にはなっていますが、業務災害給付の80%には及びません。

また、傷病手当金と出産手当金は「医療保険」からの拠出であることに注意してください。

育児休業給付の期間は基本的に子供が1歳に達するまでですが、夫婦ともに育児休業を取る場合は1歳2か月まで、さらに保育園に希望しても入れないなどの条件を満たすと最長2歳までもらえます。

育児休業を2歳まで取得するために、入れる見込みのない保育園に応募して「保育園に入れなかった証明書」だけもらう人がいるらしいですね。

介護離職を減らすために国はチカラを入れていますが、実態はどうなのでしょう。

介護休業の取得率は、男3.5%、女2.9%と男性の方が多く、45~49歳が最も介護休業を取得しています。実際に介護をしている年齢は55~59歳が最も多くなっています。
一方で家族の介護による離職は男性より女性の方が多くなっています。

介護休業の取得は男性の方が多いですが、介護離職は女性の方が多いことに注意してください。

その他

・雇用保険の失業給付を受給できない人対象に「求職者支援法」があり、無料の職業訓練を受けられたり、職業訓練受講給付金を受給できたりします。

・労災保険は国家公務員には適用されません、別の法律(国家公務員災害補償法)があります。

過去問

第29回 問題51

雇用保険制度に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 保険者は、都道府県である。
2 基本手当は、自己の都合により退職した場合には受給できない。
3 教育訓練給付は、被保険者でなくなった者は受給できない。
4 雇用継続給付には、高年齢雇用継続給付、育児休業給付及び介護休業給付がある。
5 雇用保険の保険料は、全額事業主が負担する。

1 保険者は、都道府県である。

保険者は「政府」です。

2 基本手当は、自己の都合により退職した場合には受給できない。

自己都合退職でももらえます。

金額は減りますが。

3 教育訓練給付は、被保険者でなくなった者は受給できない。

失業中などで被保険者でなくなった人にこそ、教育訓練給付が必要ですよね。

なので間違いです。

4 雇用継続給付には、高年齢雇用継続給付、育児休業給付及び介護休業給付がある。

当時はこれが正解でしたが、現在では育児休業給付が分離されたので間違いになります。

つまり上で書いた「失業等給付等」=「失業等給付」+「育児休業給付」となり、もともと「失業等給付」に組み込まれていた「育児休業給付」が分離されました。

5 雇用保険の保険料は、全額事業主が負担する。

雇用保険の保険料は失業等給付は労使折半でしたね。

労災保険は全額事業主負担です。

第29回 問題54

事例を読んで、Dさんの保険給付に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
[事例]
健康保険の被保険者であるDさんは、勤務先の業務がない日に自転車の運転を誤って電柱に衝突し、骨折したため病院に入院し、翌日から会社を休んだ。
1 Dさんには労働者災害補償保険から休業補償給付が支給される。
2 Dさんの骨折の治療には自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)が適用される。
3 Dさんには、雇用保険から基本手当が支給される。
4 Dさんが協会けんぽ(全国健康保険協会管掌健康保険)の被保険者である場合、健康保険の傷病手当金は、受給できない。
5 Dさんが二日間入院して退院し、その翌日から休業せずに勤務を続けた場合、健康保険の傷病手当金は支給されない。

1 Dさんには労働者災害補償保険から休業補償給付が支給される。

労働者災害補償保険とは労災保険のこと。

業務外のケガなどには労災保険は適用されません。

2 Dさんの骨折の治療には自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)が適用される。

単独事故による自損事故なので自賠責保険は適用されません。

3 Dさんには、雇用保険から基本手当が支給される。

雇用保険の基本手当は失業した時にもらえるものですので間違いです。

4 Dさんが協会けんぽ(全国健康保険協会管掌健康保険)の被保険者である場合、健康保険の傷病手当金は、受給できない。

業務外のケガなので医療保険に加入していれば傷病手当金を受給できます。

5 Dさんが二日間入院して退院し、その翌日から休業せずに勤務を続けた場合、健康保険の傷病手当金は支給されない。

これが正解です。

傷病手当金は4日目から支給されますので、2日で退院して復帰した場合は支給されません。

第30回 問題53

事例を読んで、労働者災害補償保険(以下、「労災保険」という。)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
[事例]
Aさんは正社員として建設会社に就職した。正社員は他に7名いて、アルバイトとして学生のBさんが雇われている。Aさんは業務上の事由により右足を骨折してしまった。
1 この会社は、正社員が10名以下なので労災保険は適用されない。
2 Bさんは、学生なので労災保険の適用対象にならない。
3 骨折した事故が労災認定された場合、療養の給付について、Aさんに自己負担はない。
4 骨折した事故が労災認定された場合、Aさんが治療のため会社を休み、賃金が得られなくなった初日から休業補償給付を受けることができる。
5 会社が労災保険の保険料を滞納していた場合、Aさんは、労災保険の給付を受けることができない。

1 この会社は、正社員が10名以下なので労災保険は適用されない。

こんな規定はありません。

基本的に労災保険はどんな場合でも雇われている人に適用されるという認識で良いと思います。

2 Bさんは、学生なので労災保険の適用対象にならない。

学生でも労災保険の対象です。

3 骨折した事故が労災認定された場合、療養の給付について、Aさんに自己負担はない。

これが正解です。

自己負担はありません。

4 骨折した事故が労災認定された場合、Aさんが治療のため会社を休み、賃金が得られなくなった初日から休業補償給付を受けることができる。

初日からではなく4日目からです。

5 会社が労災保険の保険料を滞納していた場合、Aさんは、労災保険の給付を受けることができない。

会社が滞納していても労災保険の給付を受けられます。

Aさんに非はありませんから。

第31回 問題54

事例を読んで、健康保険などに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
[事例]
会社員のFさん(35歳、男性)は、健康保険の被保険者であり、妻のGさん(33歳)と同居している。GさんはFさんの加入する健康保険の被扶養者である。ある休日、FさんはGさんを同乗させ、自家用車を運転して行楽に出掛ける途中、誤ってガードレールに衝突する自損事故を起こし、二人ともケガをしたので、治療のため病院に行った。
1 事故はFさんの過失によるものなので、健康保険は適用されず、FさんとGさんは治療費を全額負担しなければならない。
2 事故はFさんの過失によるものなので、Fさんには健康保険が適用されないが、Gさんには治療費について健康保険の給付が行われる。
3 ケガのため、翌日から連続して会社を休み、その間、給与の支払がなかった場合、Fさんは休業4日目から傷病手当金を受けられる。
4 Gさんがパートで働いており、仕事を休む場合、Gさんは傷病手当金を受けられる。
5 Fさんのケガは、労働者災害補償保険の療養補償給付の対象となる。

1 事故はFさんの過失によるものなので、健康保険は適用されず、FさんとGさんは治療費を全額負担しなければならない。

健康保険は通院した時に医療費の自己負担額が1~3割になるもので、通院理由は関係ありませんよね。

なので間違いです。

2 事故はFさんの過失によるものなので、Fさんには健康保険が適用されないが、Gさんには治療費について健康保険の給付が行われる。

これも選択肢1と同様間違いですね。

3 ケガのため、翌日から連続して会社を休み、その間、給与の支払がなかった場合、Fさんは休業4日目から傷病手当金を受けられる。

これが正解です。

4 Gさんがパートで働いており、仕事を休む場合、Gさんは傷病手当金を受けられる。

傷病手当金は被扶養者には適用されません。

なので間違いです。

5 Fさんのケガは、労働者災害補償保険の療養補償給付の対象となる。

業務上のケガではないので労災保険の対象ではありません。

第31回 問題29

「育児・介護休業法」において定められた介護休業制度に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 介護休業を取得することができる対象家族には、配偶者と子は含まれない。
2 期間を定めて雇用される者は、雇用の期間にかかわらず介護休業を取得することができない。
3 介護休業は、2週間以上の常時介護を必要とする状態にある家族を介護するためのものである。
4 一人の対象家族についての介護休業の申出の回数には、制限がない。
5 一人の対象家族についての介護休業の合計は、150日までである。

1 介護休業を取得することができる対象家族には、配偶者と子は含まれない。

配偶者と子は含まれます。

2 期間を定めて雇用される者は、雇用の期間にかかわらず介護休業を取得することができない。

期間を定めて雇用される者でも一定の要件を満たせば介護休業を取得できます。

3 介護休業は、2週間以上の常時介護を必要とする状態にある家族を介護するためのものである。

これが正解です。

4 一人の対象家族についての介護休業の申出の回数には、制限がない。

申出の回数は3回までと制限があります。

5 一人の対象家族についての介護休業の合計は、150日までである。

150日ではなく93日です。

数字は入れ替えるだけで間違い選択肢をつくりやすいので正解になりにくいです。

第29回 問題78

日本国憲法における社会権を具体化する立法の外国人への適用に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 労働基準法は、就労目的での在留資格を有していない外国人労働者に適用されることはない。
2 労働者災害補償保険法は、就労目的での在留資格を有していない外国人労働者に適用されることはない。
3 生活保護法は、就労目的での在留資格で在留する外国人に適用されることはない。
4 国民年金法は、永住外国人に適用されることはない。
5 国民健康保険法は、永住外国人に適用されることはない。
(注)「永住外国人」とは、特別永住者及び法務大臣による許可を得た永住資格者(一般永住者)のことである。

1 労働基準法は、就労目的での在留資格を有していない外国人労働者に適用されることはない。

適用されます。

2 労働者災害補償保険法は、就労目的での在留資格を有していない外国人労働者に適用されることはない。

労災保険はどんな労働者にも適用されるのでしたね。

在留資格のない不法就労の外国人でも。

3 生活保護法は、就労目的での在留資格で在留する外国人に適用されることはない。

永住や定住等の在留資格を有する外国人は、人道上、国際道義上保護しているが、就労目的での外国人は適用されません。

なので正解です。

4 国民年金法は、永住外国人に適用されることはない。

永住外国人は国民年金に加入しなければなりませんので、間違いです。

5 国民健康保険法は、永住外国人に適用されることはない。

永住外国人は国民健康保険に加入しなければなりません。

第32回 問題51

会社に勤めている人が仕事を休業した場合などの社会保障制度上の取扱いに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 健康保険の被保険者が病気やケガのために会社を休んだときは、標準報酬月額の2分の1に相当する額が傷病手当金として支給される。
2 厚生年金の被保険者に病気やケガが発生してから、その症状が固定することなく1年を経過し、一定の障害の状態にある場合は、障害厚生年金を受給できる。
3 育児休業を取得する場合に支給される育児休業給付金は、子どもが3歳になるまでを限度とする。
4 労働者が業務災害による療養のため休業し、賃金を受けられない日が4日以上続く場合は、労働者災害補償保険による休業補償給付を受けられる。
5 育児休業期間中の厚生年金保険料は、被保険者分のみ免除される。

1 健康保険の被保険者が病気やケガのために会社を休んだときは、標準報酬月額の2分の1に相当する額が傷病手当金として支給される。
2分の1ではなく3分の2です。
基本的に休業補償は、介護休業でも育児休業でも傷病手当金でも最低6割が補償されます。
2分の1では少なくて生活できません。

2 厚生年金の被保険者に病気やケガが発生してから、その症状が固定することなく1年を経過し、一定の障害の状態にある場合は、障害厚生年金を受給できる。
症状が固定していないと障害年金を受給できません。

3 育児休業を取得する場合に支給される育児休業給付金は、子どもが3歳になるまでを限度とする。
最長でも2歳までが限度です。

4 労働者が業務災害による療養のため休業し、賃金を受けられない日が4日以上続く場合は、労働者災害補償保険による休業補償給付を受けられる。
これが正解です。

5 育児休業期間中の厚生年金保険料は、被保険者分のみ免除される。
事業主分も免除されます。

「社会保障制度の歴史」日本は健康保険法から
世界の社会保障制度の変遷世界初の社会保険制度はドイツのビスマルクが作りました。1883年 疾病保険法@ドイツ1884年 災害保険@ドイツ1889年 養老及び廃疾保険@ドイツこのころの日本では「恤救規...

コメント

タイトルとURLをコピーしました