【介護保険制度】介護給付、予防給付、地域支援事業

介護保険制度の変遷
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介護保険制度の変遷

2000年に施行された介護保険法は、それまで老人福祉法で運営していた高齢者福祉を、超高齢化にともなって経済的貧困に陥っている高齢者だけでなく、一般の高齢者を社会保険制度の中で支援していく仕組みです。

介護保険法の制定により、それまでは老人福祉法の中の「措置」によって行政主導でサービスが提供されていましたが、高齢者自身が利用したいサービスを選ぶ「契約制度」へ移行されました。

介護保険法における福祉サービスは高齢者の介護に関するものです。

老人福祉法には介護に関するサービスはないので、例えば老人福祉法で規定される養護老人ホームは「環境及び経済的理由」が入所の条件ですが、介護が必要になると介護保険法で規定される介護老人福祉施設への入所になります。

1997年に成立した介護保険法は、2000年に施行され、その後改正を繰り返してきました。2005年の改正では、地域包括支援センターや地域密着型サービスが創設され、地域包括ケアシステムという言葉も初めて使われました。その後の2011年改正で、「自治体が地域包括ケアシステム推進の義務を担う」と明記され、システム構築が義務化されています。2015年改正では、地域ケア会議の推進や総合事業が創設されています。

高齢者の分類

介護保険制度では高齢者を以下の3つに分類しています。

・一般高齢者
・特定高齢者
・要支援、要介護

一般高齢者は要介護状態等になる可能性の低い一般の高齢者、特定高齢者は要支援や要介護状態になる可能性の高い高齢者、そして要支援や要介護状態の高齢者です。

介護保険制度には介護予防事業がありますが、その対象は一般高齢者と特定高齢者です。

利用の流れ

①利用者が要介護認定を受ける

利用者はまず市町村の窓口に申請して、要介護認定を受けなければなりません。

介護の必要性を「要支援1~2」または「要介護1~5」に数値化して認定されます。

②ケアプランを作成する

下で紹介している「居宅介護支援」「介護予防支援」などのサービスでケアプランを作成してもらいます。

③ケアプランに沿ったサービスの提供事業者を選択する

介護保険制度は措置制度ではなく契約制度ですので、自分で事業者を選択できるんです。

④サービス提供事業者と利用契約を交わし、サービスを受ける

利用契約書や重要事項説明書で利用契約を交わします。

⑤サービス提供事業者が介護報酬の請求を行う

サービスを提供した事業者は、国保連に対して介護報酬の請求を行います。

国保連は市町村に変わって介護報酬の審査支払業務を行っています。

介護保険サービス

1.介護給付(要介護1~5)
 ・居宅介護サービス
 ・居宅介護支援
 ・施設サービス(特養、老健など)
・地域密着型サービス
2.予防給付(要支援1~2)
 ・介護予防サービス
  ・介護予防支援
 ・地域密着型サービス
3.地域支援事業(要支援1~2、その他)
(1)介護予防・日常生活支援総合事業
 ・介護予防・生活支援サービス事業
 ・一般介護予防事業
(2)包括的支援事業
 ・地域包括支援センター事業  
 ・在宅医療・介護連携推進事業
 ・認知症総合支援事業
 ・生活支援体制整備事業
(3)任意事業
 ・介護給付費適正化事業
 ・家族介護支援事業
 ・介護相談員派遣事業

介護保険サービス

介護給付

居宅介護サービス&居宅介護支援

「居宅介護サービス」は、ホームヘルプ、デイサービス、ショートステイなど、「居宅介護支援」はケアマネがケアプランを作成するサービスです。

介護保険サービスの事業所指定は、基本的に都道府県が行いますが、ケアプランを作成する「居宅介護支援」は市町村が指定します。

施設サービス

介護を必要とする高齢者の施設は3種類あります。

・介護老人福祉施設(特養)
・介護老人保健施設(老健)
・介護医療院

特別養護老人ホームは老人福祉法で規定されていますが、介護保険法では特養を「介護老人福祉施設」といいます。

特養を介護保険法で規定する介護老人福祉施設として都道府県が指定することで介護保険施設となります。

つまり特養は老人福祉法で規定される特別養護老人ホームとして市町村の措置によって入所するケースと、介護保険法で規定する介護老人福祉施設として契約で入所するケースがあるのです。

1963年に老人福祉法が制定されてから、現在でも特養は措置です。

カリスマくん
カリスマくん

1990年の福祉八法改正で老人福祉法の措置権限は都道府県から市町村へ移譲されたね。

地域密着型介護サービス

介護給付には地域密着型サービスがあります。これは要介護度の高い高齢者や認知症高齢者などが、住み慣れた地域で生活できるようにする目的で創設されました。

小規模多機能型居宅介護、地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)などがあります。介護保険法における事業者指定は基本的に都道府県が行いますが、地域密着型サービスは地域の実情に詳しい市町村が指定します。

2.予防給付

予防給付は、介護給付と違って入所サービスはなく、訪問介護や通所介護などの通所型のサービスが主になります。

介護予防サービス&介護予防支援

「介護予防サービス」は、先ほどの居宅介護サービスと同じく、訪問、通所、短期入所とあり、「介護予防支援」はケアプランを作成するサービスです。

介護保険サービスの事業所指定は、基本的に都道府県が行いますが、ケアプランを作成する「介護予防支援」は市町村が指定します。

地域密着型介護予防サービス

介護給付と同じく地域密着型サービスがあります。

地域密着型サービスは地域の実情に詳しい市町村が指定します。

ここまでの介護給付と予防給付をまとめてみると、

 介護給付予防給付事業所指定
メインサービス居宅介護サービス介護予防サービス都道府県・政令市・中核市
施設サービス介護老人福祉施設等なし都道府県・政令市・中核市
ケアプラン作成居宅介護支援介護予防支援市町村
地域密着型地域密着型介護サービス地域密着型介護予防サービス市町村

3.地域支援事業

地域支援事業は「介護予防・日常生活支援総合事業」「包括的支援事業」「任意事業」の3つに分かれますが、この中でも「包括的支援事業」は主として地域包括支援センターが実施する業務としてよく出題されます。

介護予防・日常生活支援総合事業

総合事業には大きく分けて「介護予防・生活支援サービス事業」と「一般介護予防事業」があります。

「介護予防・生活支援サービス事業」は、要支援者の訪問介護と通所介護(デイサービス)です。

「一般介護予防事業」は、市区町村が住民の互助や民間サービスと連携し、高齢者の生活機能の改善や生きがい作りを重視した介護予防に役立つ事業のことです。

包括的支援事業

包括的支援事業は地域包括支援センターが実施する「地域包括支援センター事業」、高齢者が退院するときに医療と介護の連携調整を行う「在宅医療・介護連携推進事業」、認知症初期集中支援チームで最長6カ月集中支援する「認知症総合支援事業」、生活支援コーディネーターと協議体を設置する「生活支援体制整備事業」があり、それぞれ大まかな事業内容を知っておいてください。

とくに「地域包括支援センター事業」には以下の5種類ありますので知っておきましょう。

〇介護予防ケアマネジメント業務
〇総合相談支援業務
〇権利擁護業務
〇ケアマネジメント支援業務
〇地域ケア会議の充実

間違いやすいのは、ケアマネジメント支援業務です。

これは高齢者ではなくケアマネージャーへの支援です。

また地域ケア会議については2015年から努力義務になっており、地域包括支援センター (または市町村)が設置します。

地域ケア会議では地域の様々な専門職が集まって地域の課題を話し合ったり、個別のケースについてのケアプランを話し合ったりします。

任意事業

任意事業も時々出題されますが、特に「介護相談員派遣事業」の介護相談員はボランティアなので、高齢者と専門機関の橋渡し程度の役割しか担えないことを覚えておいてください。

・介護給付費適正化事業
・家族介護支援事業
・介護相談員派遣事業

運営費について

介護保険制度の財源

上図にあるように、介護保険の財源は事業によって負担割合が2種類あるので覚えておきましょう。

介護給付と予防給付、地域支援事業の一部は、保険料1/2、国1/4、都道府県1/8、市町村1/8でわかりやすいのですが、それ以外の事業については保険料負担割合が減って、公費負担割合が増えます。

要介護認定について

要介護認定は市町村が設置する「介護認定審査会」が二次判定を行います。

カリスマくん
カリスマくん

障害支援区分認定も市町村だね。

こういった専門的判定は普通は都道府県が行うのですが、介護保険サービスも障害福祉サービスも主体は市町村なので、このようになっています。

介護認定審査会と名称の似ている「介護保険審査会」は、不服申立てをする都道府県の機関です。

名称が似ていてややこしいですが頻出ですので覚えてください。

事業者指定とサービス支給決定

介護保険制度は市町村が保険者なので基本的には「サービスの支給決定」は市町村が行います。

一方で「事業者の指定」については基本的に都道府県が行います。

これは障害福祉でも同じです。

カリスマくん
カリスマくん

このあたりは「都道府県と市町村の役割」で取り上げるのでご心配なく。

だたし例外があって以下の3事業は市町村が指定を行います。

カリスマくん
カリスマくん

居宅介護支援や介護予防支援はケアプランを作成するサービスだよ。障害福祉でもサービス等利用計画を作成する計画相談支援は市町村が指定するよ。

事業所の指定は6年ごとに更新が必要で、指定取消から5年経過しないと新たに指定を受けられません。

介護保険関連の機関

機関設置目的など
財政安定化基金都道府県介護保険制度の財政安定化
介護認定審査会市町村要介護認定
介護保険審査会都道府県要介護認定などの不服申立て

要介護認定は市町村が行うので、その不服申し立ては「都道府県」が設置する介護保険審査会に行います。介護保険審査会は、被保険者を代表する委員(3人)、市町村を代表する委員(3人)、公益を代表する委員(3人以上で政令で定める基準に従い条例で定める員数)で構成されます。

その他

障害者支援施設入所者は、当分の間、介護保険の被保険者としていません。

理由は施設が介護に相当するサービスを提供しており、介護保険サービスを受ける可能性が低いからです。

カリスマくん
カリスマくん

介護保険法に規定されている介護保険事業計画は「福祉計画」でまとめて取り上げるよ。

過去問

第31回 問題130

介護保険制度に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 被保険者は、都道府県に対して、当該被保険者に係る被保険者証の交付を求めることができる。
2 要介護認定は、その申請のあった日にさかのぼってその効力を生ずる。
3 介護給付を受けようとする被保険者は、要介護者に該当すること及びその該当する要介護状態区分について、主治の医師の認定を受けなければならない。
4 要介護認定は、要介護状態区分に応じて市町村の条例で定める期間内に限り、その効力を有する。
5 市町村は、政令で定めるところにより一般会計において、介護給付及び予防給付に要する費用の額の100分の25に相当する額を負担する。

1 被保険者は、都道府県に対して、当該被保険者に係る被保険者証の交付を求めることができる。
間違いです。
介護保険を担っているのは基本的に市町村ですので被保険者証の交付も市町村です。
要介護認定をする介護認定審査会も市町村に設置されているのでした。

2 要介護認定は、その申請のあった日にさかのぼってその効力を生ずる。
これが正解です。
申請して保険給付の対象になれば要介護認定の通知を受けた日以前であってもサービスを利用できます。

3 介護給付を受けようとする被保険者は、要介護者に該当すること及びその該当する要介護状態区分について、主治の医師の認定を受けなければならない。
介護認定は医師ではなく「介護認定審査会」が行いますので間違いです。

4 要介護認定は、要介護状態区分に応じて市町村の条例で定める期間内に限り、その効力を有する。
誤りです。要介護認定は、市町村の条例で定める期間ではなく、厚生労働省令で定める期間内に限り、その効力を有します。

5 市町村は、政令で定めるところにより一般会計において、介護給付及び予防給付に要する費用の額の100分の25に相当する額を負担する。
介護給付と予防給付に要する費用は、公費と保険料で半分ずつ負担します。
このうち公費における市町村の負担割合は100分の12.5です。

「一般会計」に疑問を持たれた方は、よく勉強されています。介護保険は特別会計では?と思われましたね。でも一般会計で正しいです。

介護保険法第百二十四条には以下のように書かれています。「市町村は、政令で定めるところにより、その一般会計において、介護給付及び予防給付に要する費用の額の百分の十二・五に相当する額を負担する。」
どういうことかというと、介護保険は全額特別会計で賄われていますが、そのお金は一般会計から回されます。つまり一般会計から特別会計にお金を移すことで費用を負担しており、もともとは一般会計だということです。ややこしいですが、法律の文言がそのようになっていますので、無理やり理解するしかありません。

第29回 問題131

介護保険制度の地域支援事業における包括的支援事業に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 総合相談支援業務では、日常生活自立支援事業や成年後見制度といった権利擁護を目的とするサービスや制度を利用するための支援などが行われる。
2 包括的・継続的ケアマネジメント支援業務では、地域内の要介護者などやその家族に対し、日常的な介護予防に関する個別指導や相談などが実施される。
3 在宅医療・介護連携推進事業では、高齢者などが医療機関を退院する際、必要に応じ、医療関係者と介護関係者の連携の調整や相互の紹介などが行われる。
4 生活支援体制整備事業では、生活支援コーディネーターと生活支援サービスの提供主体による情報共有・連携強化の場として、地域ケア会議が設置される。
5 認知症総合支援事業では、民生委員や地域内のボランティアによる認知症初期集中支援チームが設置される。

1 総合相談支援業務では、日常生活自立支援事業や成年後見制度といった権利擁護を目的とするサービスや制度を利用するための支援などが行われる。
説明内容は包括的支援事業の中の「権利擁護業務」の内容ですので間違いです。

2 包括的・継続的ケアマネジメント支援業務では、地域内の要介護者などやその家族に対し、日常的な介護予防に関する個別指導や相談などが実施される。
包括的・継続的ケアマネジメント支援業務は要介護者などのためではなく、ケアマネージャー(介護支援専門員)を支援するための業務です。
なので間違いです。

3 在宅医療・介護連携推進事業では、高齢者などが医療機関を退院する際、必要に応じ、医療関係者と介護関係者の連携の調整や相互の紹介などが行われる。
これが正解です。
在宅医療・介護連携推進事業は「地域包括ケアシステム」の要です。

4 生活支援体制整備事業では、生活支援コーディネーターと生活支援サービスの提供主体による情報共有・連携強化の場として、地域ケア会議が設置される。
生活支援体制整備事業で設置されるのは地域ケア会議ではなく「協議体」です。

5 認知症総合支援事業では、民生委員や地域内のボランティアによる認知症初期集中支援チームが設置される。
認知症初期集中支援チームは、保健師や看護師、社会福祉士などの専門職2名と専門医1名の3名で構成されます。ボランティアが入る余地はありません。

第31回 問題131

介護支援専門員の役割に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
1 利用者が介護保険施設への入所を希望する場合には、介護保険施設へ紹介を行うものとされている。
2 指定居宅介護支援の提供に関する記録を整備し、終結した日から5年間保存することが厚生労働省令で定められている。
3 少なくとも一月に1回、サービス担当者会議を開催しなければならない。
4 介護保険サービス以外のサービス等を含む居宅サービス計画を作成することができる。
5 訪問看護等の医療サービスが必要と自ら判断した場合には、利用者の同意を得ずに主治の医師の意見を求めることができる。

1 利用者が介護保険施設への入所を希望する場合には、介護保険施設へ紹介を行うものとされている。
正しいです。

2 指定居宅介護支援の提供に関する記録を整備し、終結した日から5年間保存することが厚生労働省令で定められている。
記録の保存期間は2年間ですので間違いです。
数字を含む選択肢は間違いになりやすいです。
間違い選択肢を作りやすいので。

3 少なくとも一月に1回、サービス担当者会議を開催しなければならない。
開催頻度についての規定はないので間違いです。

4 介護保険サービス以外のサービス等を含む居宅サービス計画を作成することができる。
正しいです。

5 訪問看護等の医療サービスが必要と自ら判断した場合には、利用者の同意を得ずに主治の医師の意見を求めることができる。
「利用者の同意を得ずに」の部分が取って付けたように感じますね。
間違いです。

第31回 問題132

介護相談員に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 介護相談員派遣等事業の実施主体は、都道府県である。
2 介護相談員派遣等事業は、苦情に至る事態を防止すること及び利用者の日常的な不平・不満又は疑問に対応して改善の途を探ることを目指すものである。
3 介護相談員の登録は、保健・医療・福祉分野の実務経験者であって、その資格を得るための試験に合格した者について行われる。
4 介護相談員派遣等事業は、介護保険制度における地域支援事業として実施が義務付けられている。
5 介護相談員が必要と判断した場合、相談者の同意がなくても、その相談者に関する情報を市町村等に提供することができる。

1 介護相談員派遣等事業の実施主体は、都道府県である。
介護相談員派遣事業は「地域支援事業」の1事業です。
ですので実施主体は市町村ですので間違いです。

2 介護相談員派遣等事業は、苦情に至る事態を防止すること及び利用者の日常的な不平・不満又は疑問に対応して改善の途を探ることを目指すものである。
これが正解です。

3 介護相談員の登録は、保健・医療・福祉分野の実務経験者であって、その資格を得るための試験に合格した者について行われる。
介護相談員の登録には研修が必要ですが、試験はありません。

4 介護相談員派遣等事業は、介護保険制度における地域支援事業として実施が義務付けられている。
地域支援事業の任意事業ですので実施義務はありません。

5 介護相談員が必要と判断した場合、相談者の同意がなくても、その相談者に関する情報を市町村等に提供することができる。
「相談者の同意がなくても」とありますが、この選択肢も敢えて作った感がありますよね。
間違いです。

第31回 問題133

地域包括支援センターに関する介護保険法の規定についての次の記述のうち、正しいものを2つ選びなさい。
1 市町村は地域包括支援センターを設置しなければならない。
2 地域包括支援センターの設置者は、包括的支援事業に関して、都道府県が条例で定める基準を遵守しなければならない。
3 地域包括支援センターの設置者若しくはその職員又はこれらの職にあった者は、正当な理由なしに、その業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
4 都道府県は、定期的に、地域包括支援センターにおける事業の実施状況について、評価を行わなければならない。
5 地域包括支援センターの設置者は、自ら実施する事業の質の評価を行うことにより、その事業の質の向上に努めなければならない。

1 市町村は地域包括支援センターを設置しなければならない。
地域包括支援センターは厳密に市町村単位ではありません。
複数の市町村が協力して1つ設置している場合もあります。

2 地域包括支援センターの設置者は、包括的支援事業に関して、都道府県が条例で定める基準を遵守しなければならない。
都道府県ではなく市町村です。

3 地域包括支援センターの設置者若しくはその職員又はこれらの職にあった者は、正当な理由なしに、その業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
正しいです。

4 都道府県は、定期的に、地域包括支援センターにおける事業の実施状況について、評価を行わなければならない。
そんな規定はありません。

5 地域包括支援センターの設置者は、自ら実施する事業の質の評価を行うことにより、その事業の質の向上に努めなければならない。
努力義務ではなく義務です。ということでこの問題は正しい選択肢を2つ選べないため不適切問題になりました。

当初、選択肢 3 と 5 を正答としていたが、選択肢 5 については、介護保険法第 115条の46第4項において、「地域包括支援センターの設置者は、自らその実施する事業の質の評価を行うことその他必要な措置を講ずることにより、その実施する事業の質の向上を図らなければならない。」と規定されているため、誤りである。したがって、問題 133 は「正しいものを 2 つ」選ぶことができないため、「正答なし」とする。

第31回 問題134

老人福祉法に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 社会福祉法人は、厚生労働大臣の認可を受けて、養護老人ホーム又は特別養護老人ホームを設置することができる。
2 有料老人ホームの設置者は、あらかじめその施設を設置しようとする地域の市町村長に法定の事項を届けなければならない。
3 民生委員は、老人福祉法の施行について、市町村長、福祉事務所長又は社会福祉主事の指示に従わなければならない。
4 都道府県は、老人福祉施設を設置することができる。
5 国は、教養講座、レクリエーションその他広く老人が自主的かつ積極的に参加できる事業の実施に努めなければならない。

1 社会福祉法人は、厚生労働大臣の認可を受けて、養護老人ホーム又は特別養護老人ホームを設置することができる。
厚生労働大臣ではなく、都道府県の認可です。

2 有料老人ホームの設置者は、あらかじめその施設を設置しようとする地域の市町村長に法定の事項を届けなければならない。
市町村長ではなく、都道府県知事です。

3 民生委員は、老人福祉法の施行について、市町村長、福祉事務所長又は社会福祉主事の指示に従わなければならない。
指示に従うのではなく、事務の執行に「協力」します。

4 都道府県は、老人福祉施設を設置することができる。
正しいです。
老人福祉施設とは、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、老人デイサービスセンター、老人短期入所施設、軽費老人ホーム、老人福祉センター、老人介護支援センターです。

5 国は、教養講座、レクリエーションその他広く老人が自主的かつ積極的に参加できる事業の実施に努めなければならない。
説明内容は国ではなく地方公共団体の役割です。

第30回 問題132

介護保険法における指定居宅サービス事業者(地域密着型サービスを除く)の指定に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 指定居宅サービス事業者は、市町村長が指定を行う。
2 事業者は、市町村長から3年ごとに指定の更新を受けなければならない。
3 市町村長は、事業者からの廃業の届出があったときは、公示しなければならない。
4 都道府県知事は、居宅介護サービス費の請求に関する不正があったとき、指定を取り消すことができる。
5 事業の取消しを受けた事業者は、その取消しの日から起算して3年を経過すれば指定を受けることができる。

1 指定居宅サービス事業者は、市町村長が指定を行う。
間違いです。都道府県が指定します。
指定居宅サービス事業者⇒都道府県が指定
指定居宅介護支援事業者⇒市町村が指定
違いをしっかり区別してください。

2 事業者は、市町村長から3年ごとに指定の更新を受けなければならない。
3年毎ではなく6年毎ですので間違いです。
数字を含む選択肢は間違いであることが多いです。

3 市町村長は、事業者からの廃業の届出があったときは、公示しなければならない。
これは市町村長ではなく都道府県です。
都道府県が指定するので、廃業の公示も都道府県が行います。

4 都道府県知事は、居宅介護サービス費の請求に関する不正があったとき、指定を取り消すことができる。
正しいです。

5 事業の取消しを受けた事業者は、その取消しの日から起算して3年を経過すれば指定を受けることができる。
またまた数字選択肢です。
3年ではなく5年です。

第30回 問題134

指定居宅介護支援事業所の介護支援専門員の役割に関する次の記述のうち、正しいものを2つ選びなさい。
1 居宅サービス計画を作成した際に、当該居宅サービス計画を利用者及び担当者に交付しなければならない。
2 居宅サービス計画原案の内容について、文書でサービス担当者から同意を得なければならない。
3 実施状況の把握(モニタリング)に当たり、月に2回以上、利用者に訪問面接をしなければならない。
4 居宅サービス計画には、介護給付等対象サービス以外の、地域の住民による自発的な活動によるサービスを含めてはならない。
5 利用者が訪問看護、通所リハビリテーション等の医療サービスを希望している場合、利用者の同意を得て主治医等の意見を求めなければならない。

1 居宅サービス計画を作成した際に、当該居宅サービス計画を利用者及び担当者に交付しなければならない。
正しいです。

2 居宅サービス計画原案の内容について、文書でサービス担当者から同意を得なければならない。
「文書での同意」は必要ありません。

3 実施状況の把握(モニタリング)に当たり、月に2回以上、利用者に訪問面接をしなければならない。
またまた数字を含む選択肢です。
月2回以上ではなく、月1回以上です。
障害福祉サービスのモニタリングは6カ月に1回以上なので、それと比べると月1回以上はとてもたいへんです。

4 居宅サービス計画には、介護給付等対象サービス以外の、地域の住民による自発的な活動によるサービスを含めてはならない。
インフォーマルなサービスも含めていいので間違いです。

5 利用者が訪問看護、通所リハビリテーション等の医療サービスを希望している場合、利用者の同意を得て主治医等の意見を求めなければならない。
正しいです。

第31回 問題41

高齢者保健福祉の領域における地域包括ケアの推進に関して、地域福祉と関連する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
1 介護保険法の改正(2014年(平成26年))で、市町村に地域ケア会議が必置の機関として法定化された。
2 生活支援体制整備事業に規定された地域福祉コーディネーターが市町村に配置され、協議体づくりが進められている。
3 介護予防・日常生活支援総合事業では、ボランティア、NPO、民間企業、協同組合などの多様な主体がサービスを提供することが想定されている。
4 在宅医療・介護連携推進事業には、地域住民への普及啓発が含まれる。
5 介護保険法では、要介護認定に関わる主治医の意見に認知症初期集中支援チームの、地域での活用に関する記載が義務づけられた。

1 介護保険法の改正(2014年(平成26年))で、市町村に地域ケア会議が必置の機関として法定化された。
2014年に「地域ケア会議」が法的に位置づけられましたが、必置ではなく努力義務になっています。

2 生活支援体制整備事業に規定された地域福祉コーディネーターが市町村に配置され、協議体づくりが進められている。
生活支援体制整備事業に規定されているのは「生活支援コーディネーター」なので間違いです。

3 介護予防・日常生活支援総合事業では、ボランティア、NPO、民間企業、協同組合などの多様な主体がサービスを提供することが想定されている。
正しいです。

4 在宅医療・介護連携推進事業には、地域住民への普及啓発が含まれる。
正しいです。

5 介護保険法では、要介護認定に関わる主治医の意見に認知症初期集中支援チームの、地域での活用に関する記載が義務づけられた。
こんな規定はありません。

第31回 問題129

認知症総合支援事業に基づく認知症初期集中支援チームに関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 包括的、集中的な支援をおおむね2年とする。
2 介護サービスが中断している者も対象である。
3 早期入院の初期対応体制をとる。
4 初回訪問は医療系職員が2名以上で行う。
5 チーム員に認知症サポーター1名が含まれる。

1 包括的、集中的な支援をおおむね2年とする。
またまた数字を含む選択肢です。
2年ではなく最長で6カ月です。
初期集中なのに2年では長すぎます。

2 介護サービスが中断している者も対象である。
正しいです。

3 早期入院の初期対応体制をとる。
早期入院の初期対応体制をとることではなく、自立生活に向けたサポートを行います。

4 初回訪問は医療系職員が2名以上で行う。
初回訪問は原則として医療系職員と介護系職員それぞれ1名以上の計2名以上で行います。

5 チーム員に認知症サポーター1名が含まれる。
認知症サポーターはボランティアですので、このチームは専門職で構成される事を考えると、入る余地はありません。

第29回 問題37

介護保険制度と地域福祉に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 「生活支援コーディネーター」(地域支え合い推進員)は、専門職として社会福祉協議会に配置されなければならない。
2 包括的支援事業の中には、地域包括支援センター以外の主体にも委託できるものがある。
3 地方公共団体は、被保険者が住み慣れた地域で自立生活を営めるよう、その求めに応じて居住先を確保しなければならない。
4 「新しい総合事業」(介護予防・生活支援サービス事業)は、単一の主体が独占的にサービスを提供することが想定されている。
5 市町村が地域ケア会議を開催する際は、当該地域の住民を参加させなければならない。

1 「生活支援コーディネーター」(地域支え合い推進員)は、専門職として社会福祉協議会に配置されなければならない。
生活支援コーディネーターは、社会福祉協議会に配置されなければならないことはありません。様々な機関に配置されています。

2 包括的支援事業の中には、地域包括支援センター以外の主体にも委託できるものがある。
正しいです。
包括的支援事業のうち、地域包括支援センターの運営に関わる事業は全て一括して実施する必要がありますが、社会保障充実分の4事業は、地域包括支援センター以外に委託することができます。

3 地方公共団体は、被保険者が住み慣れた地域で自立生活を営めるよう、その求めに応じて居住先を確保しなければならない。
居住先の確保することまでは義務付けられていません。

4 「新しい総合事業」(介護予防・生活支援サービス事業)は、単一の主体が独占的にサービスを提供することが想定されている。
「単一の主体が独占的に」ということはありません。

5 市町村が地域ケア会議を開催する際は、当該地域の住民を参加させなければならない。
地域ケア会議は、介護支援専門員、保健医療の専門職、民生委員やその他の関係者などですが、地域住民を参加させなければならないという規定はありません。

第29回 問題129

介護保険法に定める福祉用具貸与の種目として、正しいものを2つ選びなさい。
1 認知症老人徘徊感知機器
2 入浴用椅子
3 腰掛便座
4 簡易浴槽
5 自動排泄処理装置

基本的に排泄関係と入浴関係は貸与ではなく購入しなければなりません。
使い回しができないので。
ですので選択肢2,3,4は間違いです。

自動排泄処理装置は尿や便が自動的に吸引されるもので、構造上尿や便の経路となる部分を分割でき、本体部分は福祉用具貸与の対象になっていますので選択肢5は正解です。

残った選択肢1も正解です。

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次は、介護保険法に規定されている地域包括ケアシステムについて。

【地域包括ケアシステム】自助、互助、共助、公助
ここでは、介護保険法の変遷の中で出てきた「地域包括ケアシステム」について見ていきましょう。介護保険法の変遷1997年 介護保険法成立2000年 介護保険法施行2005年 地域包括支援センター創設2006年 地域支援事業スター...

コメント

  1. 匿名 より:

    はじめまして、今年の4月から社会福祉士の通信を開始し始めました。私は元々歯科衛生士です。介護保険制度が始まり、平成13年よりケアマネジャーとして勤務しておりました。
    長らくホスピス平成の在宅看取りを推進していた有床診療所で勤めていましたが、経営者からのパワハラがあり、精神的には限界を超え一旦は医療業界を離れました、別の仕事をしてはみたものの流行り年齢的に新しい仕事を一から覚えるには柔軟性がなく、またやはり相談支援業務に関わった仕事以外になかなかやりがいや、喜びを感じられない自分に気づきました。
     ご縁があり現在医療療養型病院で相談員として勤務しております。今年50歳を迎える事になり、最後の思い出づくりのために社会福祉士を目指す事に致しました。
    どのように勉強していけばよいのか、課題の問題を解くにもかなりの時間がかかり落ち込んでおりました。勉強方法を模索する中で、先生のホームページにたどり着きました。なかなか馴染めなかった福祉の歴史、制度など全体像をつかむ事に辛さを感じていましたので、本当に素敵な勉強方法をご紹介して下さっており、感動です。数学や化学は苦手ですが、本当に範囲も広く今後の業務無駄な知識はないと思えるようになり受験に向け頑張れる気持ちになりました。本当にありがとうございました。
     少し質問があるのですが、このコラムはいったいいくつのありますか?印刷して小冊子にして勉強させてもらおうと思っているのですが、一覧が分かるものがあれば大変参考になるのですが。教えて頂けましたら嬉しいです。

    • カリスマ社会福祉士カリスマ社会福祉士 より:

      ありがとうございます。
      貴重なコメントをいただき、サイト運営者としてとても励みになりました。
      私よりはるかに実務経験長いですね。頭が下がります。

      ご質問についてですが、実はこのサイトはまだ8割程度の記事しかアップしていません。
      特に「人体と健康」についての記事はまだまだこれから増やします。
      新着記事欄を見ていただければ、時々更新されているのが分かると思います。
      ツイッターでも新しい記事を投稿した時はできるだけつぶやくつもりです。

      現在80記事程ありますが、最終的には100記事くらいになると思います。
      全ての記事の一覧を確認するには、サイドバーの一番下にある「サイトマップ」をクリックしていただければ見ることができます。
      もし小冊子を作られるのならある程度完成してからがいいと思いますが、一度投稿した記事でも過去問を後からさらに追記したりもしていますので、どのタイミングで印刷するかは難しいところです。
      夏頃までにはほぼ必要な記事は全てアップしますので、それ以降でしょうか。
      だいたい国家試験3カ月前の11月ごろから100記事全てを流し読みしていただければ、そして、それまでに流し読みできるレベルに下読みしておいていただければ、一応合格は間違いないと思います。
      それでも不安で、知識を補強したいという方向けに、動画配信とオンライン講義も予定しています。
      コロナの影響で対面講座はたぶん中止せざるを得ないと思います。

      これから暑くなりますが、お体に気をつけて。
      仕事をしながらの勉強は本当にたいへんだと思いますが、がんばってください!

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