「社会保障制度の歴史」日本は健康保険法から

社会保障制度の歴史 日本の社会保障
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  1. 世界の社会保障制度の変遷
    1. 1883年 疾病保険法@ドイツ
    2. 1884年 災害保険@ドイツ
    3. 1889年 養老及び廃疾保険@ドイツ
    4. 1911年 国民保健法@イギリス
    5. 1935年 社会保障法@アメリカ
    6. 1942年 ILO「社会保障への道」
    7. 1945年 ラロック・プラン@フランス
    8. 1960年代@アメリカ
  2. 日本の社会保障制度の変遷
    1. 江戸時代~
      1. 頼母子講(タノモシコウ)
      2. 1791年 七分積金制度 
      3. 五保の制
      4. 戸令
    2. 戦前~
      1. 1922年 健康保険法制定
      2. 1927年 健康保険法施行
      3. 1931年 労働者災害扶助法制定
      4. 1938年 国民健康保険法成立施行
      5. 1939年 船員保険法
      6. 1941年 労働者年金保険法(厚生年金の前身)
      7. 1944年 厚生年金保険法(名称変更)
    3. 戦後~
      1. 1946年 日本国憲法制定
      2. 1947年 労働者災害補償保険法、労働基準法、職業安定法
      3. 1947年 失業保険法
    4. 50年代~
      1. 1950年「社会保障制度に関する勧告」
      2. 1958年 国民健康保険法改正 
      3. 1959年 国民年金法制定
    5. 60年代~
      1. 1961年 国民年金法施行
      2. 1962年「社会保障制度審議会勧告」
      3. 1973年 雇用保険法
      4. 1973年 「福祉元年」
    6. 80年代~
      1. 1982年 老人保健法
      2. 1985年 年金制度改正
      3. 1989年 年金制度改正
    7. 90年代~
      1. 1994年 年金制度改正
      2. 1995年「社会保障体制の再構築に関する勧告~安心して暮らせる21世紀の社会保障を目指して~」
      3. 1997年 健康保険法改正
    8. 00年代~
      1. 2000年 介護保険法制定、年金制度改正
      2. 2000年 ドイツと日本で日本初の社会保障協定
      3. 2004年 年金制度改正
      4. 2007年 年金制度改正
      5. 2007年 日本年金機構法
      6. 2008年 後期高齢者医療制度
      7. 2012年 老齢基礎年金受給資格期間を25年→10年へ
  3. 過去問
    1. 第29回 問題49
    2. 第30回 問題52
    3. 第31回 問題53
    4. 第29回 問題34

世界の社会保障制度の変遷

世界初の社会保険制度はドイツのビスマルクが作りました。

1883年 疾病保険法@ドイツ

1884年 災害保険@ドイツ

1889年 養老及び廃疾保険@ドイツ

このころの日本では「恤救規則」が制定されて救貧政策やっていた時期ですから、相当遅れています。日本で最初の社会保険制度である「健康保険法」は1922年ですので。

1911年 国民保健法@イギリス

イギリスで制定された国民保健法は当時、「健康保険」と「失業保険」を合わせたような法律で、失業保険としては世界初でした。

1935年 社会保障法@アメリカ

世界恐慌の最中にルーズベルト大統領の下で制定されました。

世界恐慌の対応で完全雇用を目指してニューディール政策を実施しましたが、それでも救えない人に対してこの社会保障法で連邦政府が老齢保険、州政府が失業保険と公的扶助で支えました。

1942年 ILO「社会保障への道」

社会保障とは「社会が適切な組織を通じてその構成員が晒されている一定の危機に対して与える保障である」と定義。

この年にはイギリスでベヴァリッジ報告が発表されています。

1945年 ラロック・プラン@フランス

ラロックによる社会保障プランが発表され、被用者中心の制度から全国民のための普遍的は社会保障制度への拡充が図られました。

1960年代@アメリカ

暗殺されたケネディの次の大統領ジョンソンが「貧困戦争」と名付けてフードスタンプ制度(低所得者向け食糧購入補助制度)やヘッドスタート制度(就学前教育)、メディケア、メディケイド等・・・

日本の社会保障制度の変遷

江戸時代~

日本で初めての社会保障制度は1922年の健康保険法ですが、古くは江戸時代から社会保障の萌芽が見られます。

頼母子講(タノモシコウ)

何人か集まってそれぞれがお金を出し合って一人に与える、次には別の一人に与える・・・

このような共済的、金融的機能のある経済的救済を目的とした組織のことです。

1791年 七分積金制度 

江戸や大阪中心の都市の救済のため、松平定信が寛政改革の際に江戸町方に命じた積立制度。

町費の7割を積立て、凶荒時の救済や孤児や貧民の救済を行いました。

五保の制

近隣の五戸を一組として、納税や治安維持に協力しあうなど、共助の機能を持った農耕と貢納のための組織です。

戸令

疾病、障害、高齢者、経済的困窮者など救済の対象を細かく分け、まずは親族間による相互扶助で、それでも難しい場合は近隣地域社会が救済することが求められた制度。

田植えなどの農作業で、一時的に大勢の人手が必要な農繁期に協力し合い、別の日には別の人を皆で助けるという仕組み。

戦前~

1922年 健康保険法制定

日本で初めての社会保障制度はこの健康保険でした。

被用者の強制保険として開始され、主に低賃金労働者が対象でした。

しかし1923年の関東大震災により健康保険法施行が延期に。

1927年 健康保険法施行

業務上の災害も適用対象で現在の労災保険のようなものです。

1931年 労働者災害扶助法制定

労災保険の前身です。戦後1947年に労災保険になります。

1938年 国民健康保険法成立施行

国民の大半だった農民を対象、自営業者も。

しかし市町村の任意事業のため低所得者の多い自治体では設置されず、加入も任意でした。

1939年 船員保険法

1941年 労働者年金保険法(厚生年金の前身)

完全積立方式でスタートしました(現在の厚生年金保険は賦課方式です)。

1944年 厚生年金保険法(名称変更)

対象を事務職員や女子労働者へ拡大。

厚生年金保険は終戦前にできてたんだねー

戦後~

1946年 日本国憲法制定

日本国憲法には社会保障という言葉が初めて使用されました。

戦後の社会保障は生活保護中心で、社会保険は実質的に機能せずでした。

1947年 労働者災害補償保険法、労働基準法、職業安定法

日本国憲法の労働の権利を保障するためにできました。

労働者災害補償保険法は1973年の改正で通勤途上の災害も対象になります。

1947年 失業保険法

大戦後の失業者対策です。

この法律は1975年に雇用保険法になり失業保険とは別に雇用保険三事業(現雇用保険二事業)が設けられます。

50年代~

1950年「社会保障制度に関する勧告」

生活保障の責任主体は国家であり、その制度の維持運用に必要な社会的義務は国民

社会保障とは①社会保険②国家扶助(生活保護)③社会福祉④公衆衛生および医療(さらに現在は⑤老人保健)

1958年 国民健康保険法改正 

市町村に設置義務、かつ強制加入の制度へ。

1959年 国民年金法制定

大半を占めていた農民や自営業者等にも年金制度を、ということで制定され、1961年に施行されます。

60年代~

高度経済成長により国民の生活水準が上がることにより、皆保険・皆年金制度が求められてきます。

1961年 国民年金法施行

これにより「国民皆保険・皆年金制度」が出来上がります。

当時は国民の多くは農民でしたから、皆保険によって農村の医療過疎に対応し、皆年金で後継ぎのいない農家の高齢化対策になりました。

1962年「社会保障制度審議会勧告」

一般所得者層には社会保険、低所得者層には社会福祉、貧困階層には公的扶助(生活保護)をそれぞれ対応させるとしました。

社会保険:一般所得者層
社会福祉:低所得者層
公的扶助:貧困階層

社会保障制度を構成する社会保険、国家扶助、公衆衛生、医療等の各制度間および社会保障制度全般を通じての総合調整を図るとともに各制度間の不均衡の是正を最重要政策課題としました。

1973年 雇用保険法

オイルショックで大量解雇を回避するために失業保険法が雇用保険法になりました。

1973年 「福祉元年」

・老人医療費無料化
・高額療養費制度導入
・年金の物価スライド制導入

80年代~

オイルショックによる高度経済成長の終焉と高齢化が顕著に。

1982年 老人保健法

高度経済成長が終わりを迎え、急増する高齢者の医療費が財政を圧迫するようになってきたため、老人医療費無料化を廃止しました。

この法律は2008年に「高齢者の医療の確保に関する法律」になり、後期高齢者医療制度が出来上がります。

1985年 年金制度改正

オイルショックや高齢化の加速により、社会保障をスリム化する必要がでてきました。

このときに国民年金制度が基礎年金制度として再編成され、厚生年金と共済年金は報酬比例の上乗せ制度となりました。

・基礎年金制度の導入によって年金制度を一元化(国庫から保険料財源への転換) 
・給付水準適正化(抑制)、32年から40年満額

1961年に国民皆年金制度ができてから、基礎年金制度ができたのはこのときなんだね。

1989年 年金制度改正

・完全物価スライド制導入
・学生の国民年金強制加入
・国民年金基金の創設

90年代~

1994年 年金制度改正

・特別支給の老齢厚生年金(定額部分)の支給開始年齢の段階的引き上げ
・育児休業中の保険料免除

1995年「社会保障体制の再構築に関する勧告~安心して暮らせる21世紀の社会保障を目指して~」

措置制度の見直しを提起し、介護保険制度の創設を強く示唆。

これまでの要保護者に対する生存権保障が最低限の措置にとどまってきたことを指摘しました。

1997年 健康保険法改正

00年代~

2000年 介護保険法制定、年金制度改正

・特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢引き上げ(65歳まで段階的に)
・学生納付特例制度導入
・育児休業中の事業主負担分の厚生年金保険料免除

2000年 ドイツと日本で日本初の社会保障協定

公的年金制度に関する協定で、この社会保障協定を結んでいる国同士では、年金制度の中で支払った保険料を国同士で持ち運べるようになります。

2004年 年金制度改正

・マクロ経済スライド導入
・国民年金保険料、厚生年金保険料引き上げ
・基礎年金の国庫負担を1/3から1/2へ(2009年~)
・年金額改定方式の見直し
・育児休業中の保険料免除期間の延長(3歳まで)
・離婚時の夫婦の厚生年金分割

2007年 年金制度改正

・老齢厚生年金の繰り下げ支給制度
・国民年金保険料引き上げ

2007年 日本年金機構法

社会保険庁に変わって日本年金機構が発足しました。

2008年 後期高齢者医療制度

老人保健法が「高齢者の医療の確保に関する法律」に変わり、後期高齢者医療制度ができました。

2012年 老齢基礎年金受給資格期間を25年→10年へ

過去問

第29回 問題49

日本の社会保障の歴史的展開に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 被用者を対象とした社会保険制度として、まず健康保険法が施行され、その後、厚生年金保険法が施行された。
2 最初に実施された公的医療保険制度は、国民健康保険である。
3 後期高齢者医療制度は、介護保険制度と同時に創設された。
4 国民皆年金は、基礎年金制度の導入によって実現した。
5 第二次世界大戦後、社会福祉の制度は、身体障害者福祉法、児童福祉法、生活保護法の順に施行された。

1 被用者を対象とした社会保険制度として、まず健康保険法が施行され、その後、厚生年金保険法が施行された。
そのとおりです。

2 最初に実施された公的医療保険制度は、国民健康保険である。
国民健康保険ではなく「健康保険」です。

3 後期高齢者医療制度は、介護保険制度と同時に創設された。
介護保険制度は2000年、後期高齢者医療制度は2008年なので違います。

4 国民皆年金は、基礎年金制度の導入によって実現した。
1961年に国民皆年金制度が実現しましたが、1986年の年金制度改革によって国民年金制度が全ての国民に共通の基礎年金制度として再編成され、厚生年金や共済年金は基礎年金の上乗せ部分と位置付けられました。

5 第二次世界大戦後、社会福祉の制度は、身体障害者福祉法、児童福祉法、生活保護法の順に施行された。
生活保護法→児童福祉法→身体障害者福祉法の順です。
傷痍軍人の優遇政策でGHQとモメタので身体障害者福祉法は遅れて施行されました。

第30回 問題52

公的年金制度の改革に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 社会保障制度が本格的に整備されるようになった第二次世界大戦後、厚生年金保険制度が創設された。
2 国民年金法が1959年(昭和34年)に制定され、自営業者等にも公的年金制度を適用することにより、国民皆年金体制が実現することになった。
3 オイルショックに伴う急激なインフレに対処するため、1973年(昭和48年)改正により、厚生年金の給付水準を一定期間固定することとした。
4 持続可能な制度にする観点から、2004年(平成16年)改正により、老齢厚生年金の支給開始年齢を段階的に65歳から67歳に引き上げた。
5 将来の無年金者の発生を抑える観点から、2012年(平成24年)改正により、老齢基礎年金の受給資格期間を25年から30年に延長した。

1 社会保障制度が本格的に整備されるようになった第二次世界大戦後、厚生年金保険制度が創設された。
厚生年金の前身である労働者年金保険制度ができたのが1941年。
その後1944年に厚生年金保険に改名されました。なので大戦後ではありません。

2 国民年金法が1959年(昭和34年)に制定され、自営業者等にも公的年金制度を適用することにより、国民皆年金体制が実現することになった。
1959年に国民年金法が制定され、1961年に全面施行され、これによって国民皆年金が実現しました。
これが正解です。

3 オイルショックに伴う急激なインフレに対処するため、1973年(昭和48年)改正により、厚生年金の給付水準を一定期間固定することとした。
1973年は福祉元年でした。
この時の年金制度改正では標準年金の給付水準が5万円に引き上げられ、賃金スライドや物価スライドが導入されています。
厚生年金の給付水準を一定期間固定することは行われていません。

4 持続可能な制度にする観点から、2004年(平成16年)改正により、老齢厚生年金の支給開始年齢を段階的に65歳から67歳に引き上げた。
2004年の年金制度改正では、基礎年金の国庫負担割合の引き上げ(1/3→1/2)、保険料上限固定、マクロ経済スライドの導入などが行われました。
支給開始年齢の引き上げは行われていません。

5 将来の無年金者の発生を抑える観点から、2012年(平成24年)改正により、老齢基礎年金の受給資格期間を25年から30年に延長した。
30年に延長ではなく10年に短縮されました。

第31回 問題53

医療保障制度の歴史的展開に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 健康保険法(1922年(大正11年))により、農業従事者や自営業者が適用対象となった。
2 老人福祉法(1963年(昭和38年))により、国民皆保険が実現した。
3 老人保健法(1982年(昭和57年))により、高額療養費制度が創設された。
4 介護保険法(1997年(平成9年))により、老人保健施設が創設された。
5 健康保険法等の改正(2006年(平成18年))による「高齢者医療確保法」により、75歳以上の高齢者が別建ての制度に加入する後期高齢者医療制度が創設された。
(注)「高齢者医療確保法」とは、「高齢者の医療の確保に関する法律」のことである。

1 健康保険法(1922年(大正11年))により、農業従事者や自営業者が適用対象となった。
このときの対象は被用者のみですので間違いです。農業従事者や自営業者が対象になったのは1938年にできた国民健康保険法、1958年の同法改正のときです。

2 老人福祉法(1963年(昭和38年))により、国民皆保険が実現した。
国民皆保険は1961年ですので間違いです。老人福祉法とは関係ありません。

3 老人保健法(1982年(昭和57年))により、高額療養費制度が創設された。
高額療養費制度ができたのは1973年の福祉元年でしたね。

4 介護保険法(1997年(平成9年))により、老人保健施設が創設された。
老人保健施設ができたのは老人保健法が改正された1986年です。

5 健康保険法等の改正(2006年(平成18年))による「高齢者医療確保法」により、75歳以上の高齢者が別建ての制度に加入する後期高齢者医療制度が創設された。
これが正解です。老人保健制度に代わる制度として後期高齢者医療制度ができました。

第29回 問題34

日本における地域福祉の前史に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 頼母子講(タノモシコウ)は、共済的・金融的機能を持ち、経済的救済を目的とした組織のことをいう。
2 七分積金制度は、生活に困窮する者の救済を目的とした儒教的徳治主義を象徴とする天皇の慈恵政策のことをいう。
3 五保の制は、生活に困窮する者がいた場合には、まずは親族間での相互扶助を重視した制度のことをいう。
4 結は、江戸幕府の下で町人の負担する町の経費を節約した額の中から積立てをして、貧民や孤児を救済した制度のことをいう。
5 戸令(コリョウ)は、五戸を一組として、共助の機能を持った農耕と貢納のための組織のことをいう。

1 頼母子講(タノモシコウ)は、共済的・金融的機能を持ち、経済的救済を目的とした組織のことをいう。
これが正解です。

2 七分積金制度は、生活に困窮する者の救済を目的とした儒教的徳治主義を象徴とする天皇の慈恵政策のことをいう。
七分積金制度は江戸の町費の7割を積み立てる制度ですので違います。

3 五保の制は、生活に困窮する者がいた場合には、まずは親族間での相互扶助を重視した制度のことをいう。
これは戸令の説明です。

4 結は、江戸幕府の下で町人の負担する町の経費を節約した額の中から積立てをして、貧民や孤児を救済した制度のことをいう。
これは七分積金制度の説明です。

5 戸令(コリョウ)は、五戸を一組として、共助の機能を持った農耕と貢納のための組織のことをいう。
これは五保の制の説明です。

このタイプの入れ替え問題があることも合わせて知っておいてください。

正解が導きやすくなります。

介護保険制度
高齢者の分類 介護保険制度では高齢者を以下の3つに分類しています。・一般高齢者・特定高齢者・要支援、要介護一般高齢者は要介護状態等になる可能性の低い一般の高齢者、特定高齢者は要支援や要介護状態になる可能性の高い高齢者...

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