「地方行財政」民生費を押さえよう

地方行財政 事務財務関係
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地方行財政も国家試験によく出題されています。

国民医療費や社会保障給付費と同じく、この分野も最新データに拘る必要はありません。

地方行財政の詳細は総務省のHPに詳しく掲載されていますので参考にしてください。

国と地方の比較

・収入は地方より国の方が多い
・支出は国より地方の方が多い
まずはこの点を押さえてください。

地方公共団体の収入

・地方税35%
・地方交付税20%
・国庫支出金15%

地方交付税は使い道が決まっていない財源、国庫支出金は使い道が決まっている財源です。

2004年から始まった三位一体改革で財源移譲、国庫支出金を減らし地方交付税を見直しましたね。

地方税の割合が高いと地域格差が出てきますし、国庫支出金が大きいと国が地方を操る中央集権的な状態になってしまいます。

2014年の税制改正で「地方法人税」が創設されています。
法人が支払うべき税金は、「法人税」「法人住民税」「法人事業税」「消費税」「地方消費税」「地方法人特別税」がありますが、さらに地方法人税が加わりました。
地方法人税とは「会社が事業を行うことによって得た所得に対して課税される税金」です。
地方法人税の創設によりこれまで地方自治体に納めていた地方税の一部を国に納税することになります。
つまり、地方法人税は「地方」とついていますが、地方税ではなく国税です。
国から各自治体に配分する地方交付税の財源として、自治体間の税収のばらつきを縮小する目的で、地方法人税は導入されました。

地方法人税と間違えやすい税金に、法人事業税、地方法人特別税がありますので、混同しないようにしてください。法人事業税は、法人が行う事業に課される税金で、法人は事務所や事業所の所在地である都道府県に納税します。
地方法人特別税は、2008年に法人事業税の一部を移管して創設された地方税で納税先は都道府県になります。

地方公共団体の支出

目的別歳出

目的別歳出決算額の構成比

地方公共団体の支出には、総務費や土木費、教育費、警察費、消防費などなど様々あるのですが、最も多いのは民生費(福祉に使うお金)で、全体の25%程度を占めます。

ただし、上のグラフを見て分かるように、市町村の民生費は全体の3割以上を占めダントツの1位になっていますが、都道府県だけで見ると、民生費よりも教育費の方が大きくなっています。都道府県は公立小中学校の教員の人件費が大きいからです。

市町村の民生費は都道府県の約2.5倍もあります。

なぜなら都道府県は福祉三法の所管、市町村は福祉六法の所管で、市町村の方が圧倒的に守備範囲が広いからです。

民生費の目的別内訳

民生費は社会福祉関連の費用ですから、児童や高齢者、障害者などのための費用で、その目的別内訳は以下のようになっています。

児童福祉費が最も大きく、社会福祉費と老人福祉費は僅差ですので年度で入れ替わります。

1位:児童福祉費
2位:社会福祉費or老人福祉費
3位:社会福祉費or老人福祉費
4位:生活保護費

ただし、都道府県と市町村で差があって、市町村の1位は児童福祉費ですが、都道府県の1位は老人福祉費です。

民生費の目的別内訳

とにかく、児童福祉費というのは児童手当など全ての児童が対象になりますので予算が膨らんでしまうので最も高額になってしまいます。

以下のグラフは市町村の民生費の推移です。

10年以上前からずっと児童福祉費が最も高額になっていますね。

市町村の民生費の推移

一方で都道府県のグラフは老人福祉費が多いですね。

都道府県の民生費の推移

民生費の性質別内訳

1位:扶助費
2位:繰出金
3位:補助費等
4位:人件費

地方公共団体の民生費の性質別では「扶助費」が最も多くなっています。

扶助費というのは、生活保護費や児童手当など扶助として支払う費用のことです。
ただし、都道府県だけで見れば「補助費等」が最も高く、市町村だけなら「扶助費」が最も高いです。

民生費の性質別内訳

児童福祉費の7割、社会福祉費の5割、生活保護費の9割が扶助費で占められています。

民生費の補助事業と単独事業

民生費の中には、国から補助を受けて実施する補助事業と、国からの補助を受けず任意で実施する単独事業があります。以下のグラフは市町村の民生費の補助事業と単独事業の内訳ですが、ほとんどが補助事業であることがわかります。

民生費の目的別扶助費(市町村)

以下のグラフは都道府県の民生費のグラフです。こちらも補助事業が多いですね。

民生費の目的別扶助費(都道府県)

性質別歳出

性質別歳出決算額の構成比

上で見たきたように、民生費という福祉に必要な費用だけに着目すると、その内訳は「扶助費」が圧倒的に大きいのですが、民生費以外の教育費や土木費など全ての支出で考えると、最も大きいのは人件費、次いで扶助費となっています。

市町村だけ見ると、扶助費が最大です。

まとめ

<市町村>
目的別1位:民生費(その内訳は児童福祉費が最大)
性質別1位:扶助費
理由:市町村は福祉六法所管、児童手当など児童関係の費用は全ての子供が対象で多額
<都道府県>
目的別1位:教育費
性質別1位:人件費
理由:公立小中学校の教員の人件費が大きい

過去問

第32回 問題44

「平成31年版地方財政白書」(総務省)における民生費に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 地方公共団体の目的別歳出純計決算額のうち、民生費は教育費に次いで多い。
2 都道府県の目的別歳出では、生活保護費の割合が最も高い。
3 都道府県の性質別歳出では、扶助費の割合が最も高い。
4 市町村の目的別歳出では、児童福祉費の割合が最も高い。
5 市町村の性質別歳出では、人件費の割合が最も高い。

1 地方公共団体の目的別歳出純計決算額のうち、民生費は教育費に次いで多い。
違います。
民生費が一番多いです。

2 都道府県の目的別歳出では、生活保護費の割合が最も高い。
違います。
都道府県では老人福祉費が最も高いです。
生活保護費は都道府県でも市町村でも高くありません。

3 都道府県の性質別歳出では、扶助費の割合が最も高い。
間違いです。
基本的には「扶助費」が最も高いのですが、都道府県だけで見ると「補助費等」が最も高いです。

4 市町村の目的別歳出では、児童福祉費の割合が最も高い。
これが正解です。

5 市町村の性質別歳出では、人件費の割合が最も高い。
間違いです。
市町村では「扶助費」が最も高いです。

第28回 問題45

「平成30年版地方財政白書」(総務省)に基づく2016年度(平成28年度)の市町村の民生費に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 目的別歳出のうち、民生費の割合は総務費の割合より少ない。
2 目的別歳出の民生費のうち、老人福祉費の割合は児童福祉費の割合より少ない。
3 目的別歳出の民生費のうち、市町村の歳出額は都道府県の歳出額より少ない。
4 民生費の性質別内訳をみると、扶助費の割合は人件費の割合より少ない。
5 民生費の目的別扶助費の状況をみると、補助事業の割合は単独事業の割合より少ない。

1 目的別歳出のうち、民生費の割合は総務費の割合より少ない。
民生費の割合が最も大きいので間違いです。

2 目的別歳出の民生費のうち、老人福祉費の割合は児童福祉費の割合より少ない。
これが正解です。
民生費のうち、最も割合の大きいのは児童福祉費です。

3 目的別歳出の民生費のうち、市町村の歳出額は都道府県の歳出額より少ない。
間違いです。
市町村の民生費は20兆円、都道府県の民生費は8兆円程度です。
都道府県は福祉三法ですが、市町村は福祉六法を所管していますから。

4 民生費の性質別内訳をみると、扶助費の割合は人件費の割合より少ない。
間違いです。
民生費の性質別内訳では、扶助費が6割を占めます。

5 民生費の目的別扶助費の状況をみると、補助事業の割合は単独事業の割合より少ない。
間違いです。
民生費の補助事業の割合は80%を超えています。

第30回 問題43

「平成29年地方財政の状況」(総務省)が示す2015年度(平成27年度)の地方財政において、次に示す民生費及び特別会計事業の費目のうち、歳出金額が最も多いものを1つ選びなさい。
1 生活保護費
2 児童福祉費
3 老人福祉費
4 介護保険事業費
5 国民健康保険事業費

選択肢のうち民生費は「生活保護費」「児童福祉費」「老人福祉費」の3つです。
特別会計事業費は「介護保険事業費」「国民健康保険事業費」の2つです。
民生費の歳出は「児童福祉費」が最も多く、7兆円程度あります。
なので思わずこれを正解と思ってしまいそうですが、じつはそう簡単ではありません。
特別会計事業費はそれよりはるかに多く、「介護保険事業費」で10兆円、「国民健康保険事業費」では16兆円もあります。
実は、我々が国の予算として100兆円程度と認識しているのは「一般会計」のことで、これより何倍も多い数百兆円規模の「特別会計」という予算が国民にあまり知らされずに存在します。
この点を詳しく知りたい方は以下の記事も読んでみてください。

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ということで正解は選択肢5です

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