【社会調査(量的調査)】イエステンデンシーって何?

社会調査は量的調査と質的調査に分けられます。

ここでは量的調査について、その内容を見ていきましょう。

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標本調査と全数調査

量的調査は、たくさんの人にアンケートなどを実施して統計的な評価結果から仮説を証明して因果関係を明らかにするものです。基本的には調査したい人全員に対して行うのではなく、一部の「標本」を抽出して統計処理して全体を類推します。

例えば、全国で糖尿病の人が何人いるかを調査したい場合、全員に調査することは労力やコストの面からも現実的ではありません。

国民全員から何百人とか何千人とかを抽出して、その結果から国民全体という母集団を統計的に類推するのです。

集団全員に対して行う全数調査はあまり行われませんが、全数調査の一例として国勢調査が挙げられます。

国勢調査は国民全員に対して5年に1回実施されます。西暦の末尾が0の年は大規模調査、末尾が5の年は簡易調査が行われ、2015年の簡易調査からはインターネット調査も行われています。

全数調査は「悉皆(しっかい)調査」とも呼ばれることも覚えておきましょう。

無作為抽出法と有意抽出法

全数調査では全員に対して調査すればよいのですが、標本調査では標本を選ばなければなりません。

どのような方法で抽出するかで2通りあります。
無作為に抽出してランダムに選ばれるようにする無作為抽出法と、抽出する際に何か特定の意図を介入させる有意抽出法です。
母集団の代表性を確保するためには、当然、無作為抽出の方が優れていますが、時間や労力がかかるという欠点があります。
一方で有意抽出法では母集団の代表性が確保されにくいですが、時間や労力は少なくて済みます。

無作為抽出法(確率標本抽出)

無作為抽出法はその名の通り無作為に標本から抽出する方法ですが、いくつか種類があります。

単純無作為抽出法

単純無作為抽出法は、通し番号を付与して乱数表等で標本を抽出する方法で、完全にランダムなので母集団を推定する精度は高いですが、母集団が大きくなると作業時間が長くなるデメリットがあります。

系統抽出法(等間隔抽出法)

系統抽出法は抽出を始めるスタート番号のみ乱数表で決定し、残りは等間隔に抽出します。

自動的に抽出されていくので作業時間は短縮できますが、リストがもし一定周期で何らかの規則性に沿って配列されていたりしたら偏って抽出されてしまう恐れがあります。

層化抽出法

あらかじめ分かっている母集団の特性に基づいて母集団を層化し、母集団の構成比率と等しくなるように各層から抽出する標本の数を割当て、無作為に抽出する方法で、抽出精度が高くなります。

例えば、ある母集団の男女比が3:1と分かっていた場合、男性と女性の母集団に分けて、男性の方は女性の3倍の標本を抽出すれば、より抽出がランダムになります。

層化抽出
カリスマくん
カリスマくん

母集団の推定に最も有効なのは単純無作為抽出だという理解で、ほぼ間違っていませんが、あらかじめわかっている母集団の情報をうまく利用すれば、層化抽出の方が単純無作為抽出より母集団に近いサンプルを取り出せるよ。

多段抽出法

母集団から直接標本を抽出するのではなく、母集団をいくつかの標本の集り (クラスター) に分けてそのクラスター単位で抽出し、次にそのクラスターの中からさらにクラスターを作って抽出します。
このように段階に分けて抽出する方法を多段抽出法といいます。

例えば全国規模で多段抽出を行う場合、全国の自治体から無作為に(例えば)100の自治体を抽出したとします。
さらにその自治体の中から(例えば)10の地域を絞り込みます。
さらにその選ばれた地域の中から(例えば)10人ずつ抽出します。
これで100×10×10=10000人のサンプルが抽出できたことになります。
いきなり全国から10000人のサンプルを抽出するのは、無作為に行うのが非常に難しく、全ての人に通し番号をつけて乱数表から選択するなどは非常に手間がかかりますので、多段抽出を用いれば標本抽出が楽ですし、居住地がある程度固まっているので調査自体も楽です。
ただし絞り込み方法を誤ると母集団の代表性を確保できませんので注意が必要です。

有意抽出法(非確率標本抽出)

有意抽出法は、さきほどの無作為抽出の逆で、なんらかの条件に基づいて抽出されます。
抽出が容易になるメリットはありますが、抽出される標本は母集団を代表するものにはなりません。
なので予備調査やおよその動向を探る際に用いられます。

機縁法

調査に協力してくれる人を、人を介して探す方法です。
人から人へ、その関係者に偏った抽出なので有意抽出法です。

雪だるま法(スノーボールサンプリング)

ある回答者から知人を紹介してもらい雪だるま式にサンプル数を増やしていく方法です。
これも機縁法と同じで、有意抽出です。
これだと標本の抽出は芋づる式で容易ですが、ある人の知人に偏ってしまい母集団の代表性の確保が、無作為抽出に比べて劣りますよね。

まとめ

全数調査と標本調査
系統抽出、層化抽出、多段抽出

標本誤差と測定誤差

標本誤差とは標本抽出を行う時に、全数調査をしない限りは100%母集団を表す結果にならないために生じる誤差のことです。

たくさんサンプルを抽出して全数調査に近づけていけば標本誤差は小さくなっていきます。

測定誤差は測定時に入り込んでくる誤差で、全数調査をしても必ず発生します。

標本を多くして母集団に近づけていくと標本誤差は小さくなっていきますが、不適切な尺度の使用、質問の意味の取り違え、虚偽の回答など標本抽出に起因しない非標本誤差(測定誤差)が一定割合で入ってきます。

つまり全数調査をすれば標本誤差は無くなりますが、測定誤差はなくなりません。

誤差の種類全数調査標本調査
測定誤差
標本誤差

横断調査と縦断調査

横断調査は、ある一時点でデータを収集するのに対して、縦断調査は時系列でデータを収集します。
縦というのは時間軸のことなのですね。
ある集団に対して、1カ月毎に数回の調査をするとか、ですね。
縦断調査はその対象によって以下の3種類に分けられます。

パネル調査:同一人物
コーホート調査:同一の集団
トレンド調査:同一の属性

いずれも縦断調査なので時間経過で複数回調査します。

質問紙の作成

量的調査を行うには、調査票(質問紙)を配布しなければなりません。
質問紙の作成方法には注意点があります。

ダブルバーレル質問

2つ以上の内容を同時に聞く質問をダブルバーレル質問といい、ダメな質問例です。
例えば、「あなたは生活習慣病予防のために運動や食事制限をしていますか」という質問では、「運動をしているか」、「食事制限をしているか」という2つの質問が混ざっていて答えることができません。

キャリーオーバー効果

前の質問が後の質問に影響を与える効果をキャリーオーバー効果と言います。
このキャリーオーバー効果を考えて質問の内容や順番を考えなければなりません。
宝くじの当選金のキャリーオーバーと同じで、「持ち越す」という意味ですね。
例えば、一日の食べる量を質問した後に、体形についての質問をすると、実際の体形について書けばよいのに、食べる量から類推される体形寄りになってしまうとか、ですね。

イエステンデンシー

人は「はい」か「いいえ」かで答えられる質問には、「はい」で答えやすいという傾向のことです。
テンデンシーとは「傾向」という意味ですね。
これを避けるために、例えば「賛成ですか」という質問には「はい」「いいえ」で答えられてしまうので、「賛成ですか、反対ですか」という質問にするなど工夫が必要です。

調査形態

調査形態にはさまざまあり、訪問調査や集合調査などのように実際に会って調査する形、郵送や電話やインターネットなどで調査する形などがあります。
回答の正確性、回収率、プライバシーの問題など、それぞれのメリットとデメリットを考慮してどのような形で調査するか選択します。

郵送調査法

郵送で調査票と返送用封筒を送付する調査方法です。

郵送回収調査法

郵送で調査票を送り、調査員が訪問して調査票を回収する方法です。
調査員が訪問するので、郵送調査法より回収率は高いですが、労力がかかります。

配票調査法(留置調査法)

調査員が自宅などを訪問して調査票を配付し、調査員が再度訪問して調査票を回収する方法です。
国勢調査はこの方法で行われており、国勢調査員が各家庭を訪問して調査票を届けます。
郵送調査と比較して、回答の正確性や回収率は上がりますが、労力や時間がかかり、さらに対面なのでプライバシーが守られにくいという欠点があります。

集合調査法

一定の場所に集合している調査対象者に調査票を配付して調査員が説明してその場で回答してもらう方法です。
例えば集会所などに集合してもらって集まった人に調査する場合などですが、この場合は集会所に集合できる人に限られますので、標本に偏りができてしまいます。回収率は高いです。

電話調査法

電話による調査方法です。
訪問調査などに比べて調査する労力や手間は少ないですが、回収率は下がります。

インターネット調査法

インターネットによる調査です。
インターネットを使っている人にしか調査できないというデメリットがあります。

まとめ

社会調査の手法まとめ

自記式(自計式)と他記式(他計式)

調査票に記入する方法として、調査対象者自身が記入する自記式と、調査対象者から聞き取った内容を調査員が記入する他記式があります。

他記式の方が労力やコストがかかりますし、そもそも訪問調査などでしかできませんが、より正確な回答を得るには他記式です。

カリスマくん
カリスマくん

国家試験では自計式、他計式という表記になってることがあるので注意。

まとめ

普通、アンケートなどをする場合は、本来であれば全員にアンケートをしたいのですが、それでは時間も費用もかかるので標本を抽出して全体を推測する標本調査を行うわけです。

標本調査は全体から一部を取り出すので、いかに全体を推定できる「母集団を代表する標本」を抽出できるかがカギです。

それはつまり、単純無作為に標本を抽出する「単純無作為抽出」が母集団を推定する上では最高で、層化抽出のようにあらかじめわかっている母集団の情報を利用する層化抽出を除けば、これに勝る抽出法はありません。

でも無作為に抽出するというのは思いのほか難しく、誰かの意図が入ってしまうとランダムにならないので、1回1回の抽出に乱数表を用いたり、とても時間も費用もかかります。

なので同じ無作為ではあっても系統抽出などで時間を節約しますが、ランダムに選ぶという意味では単純無作為抽出法には及びません。

系統抽出は番号をつけて3の倍数だけとか一定の規則性で抽出する方法ですが、もし母集団に周期性があれば標本が偏ってしまいます。つまり無作為ではあっても単純無作為ではないのです。

そしてより効率的に標本を集められる機縁法やスノーボールサンプリングなどの有意抽出法があります。

対象者の知人や友人を紹介してもらって標本を集めていくので、必ず偏りが生じます。それでも効率的に標本を集められるのでそちらを優先するわけです。

上で書いた無作為な抽出法は「確率抽出法」、作為的な抽出法は「非確率抽出法」と呼ばれることも覚えておいてください。

過去問

第29回 問題86

量的調査における標本抽出に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 単純無作為抽出法は、母集団の規模にかかわらず作業時間が節約できる効率的な抽出法である。
2 系統抽出法では、抽出台帳に何らかの規則性がある場合、標本に偏りが生じる危険がある。
3 標本抽出では、男女別や年齢別の割合など、あらかじめ分かっている母集団の特性を利用してはならない。
4 用いる尺度の問題から測定上の誤差が生じることを標本誤差という。
5 機縁法は確率標本抽出の一種である。

1 単純無作為抽出法は、母集団の規模にかかわらず作業時間が節約できる効率的な抽出法である。
単純無作為抽出法は、その都度乱数表などを用いて無作為に抽出する必要があるので、時間がかかります。

2 系統抽出法では、抽出台帳に何らかの規則性がある場合、標本に偏りが生じる危険がある。
これが正解です。

3 標本抽出では、男女別や年齢別の割合など、あらかじめ分かっている母集団の特性を利用してはならない。
間違いです。
標本抽出では、あらかじめ分かっている母集団の特性を利用することがあります。
層化抽出法などがその例です。

4 用いる尺度の問題から測定上の誤差が生じることを標本誤差という。
用いる尺度が不適切なために生じる誤差は、非標本誤差ですので間違いです。

5 機縁法は確率標本抽出の一種である。
間違いです。
機縁法は、調査者の縁故関係から調査テーマに即した対象者を抽出する非確率標本抽出の1つです。

第35回 問題86

標本調査に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 標本調査では、非標本誤差は生じない。
2 標本抽出には、性別や年齢といった母集団の特性を基準にする抽出法がある。
3 標準誤差は、質問の意味の取り違え、回答忘れなど、回答者に起因する。
4 系統抽出法では、抽出台帳に規則性がない場合、標本に偏りが生じる。
5 確率抽出法では、標本誤差は生じない。

1 標本調査では、非標本誤差は生じない。
誤りです。標本調査では非標本誤差と標本誤差が生じます。

2 標本抽出には、性別や年齢といった母集団の特性を基準にする抽出法がある。
正しいです。層化抽出法があります。

3 標準誤差は、質問の意味の取り違え、回答忘れなど、回答者に起因する。
誤りです。標準誤差は、標本平均の値が母平均に対してどの程度ばらついているかを表すものなので、設問内容のような非標本誤差に起因するものではありません。

4 系統抽出法では、抽出台帳に規則性がない場合、標本に偏りが生じる。
誤りです。系統抽出法では抽出台帳に規則性がある場合に標本に偏りが生じます。

5 確率抽出法では、標本誤差は生じない。
誤りです。確率抽出法では、標本誤差が生じます。

公認心理師 第5回 問83

全対象者に一連の番号を付け、スタート番号を乱数によって決め、その後、必要な標本の大きさから求められた間隔で研究対象者を抽出する方法として、最も適切なものを1つ選べ。
① 系統抽出法
② 集落抽出法
③ 層化抽出法
④ 多段抽出法
⑤ 単純無作為抽出法

選択肢①が正解です。

第32回 問題86

調査対象者の抽出に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 標本抽出方法の確率抽出と非確率抽出では、非確率抽出の方が母集団に対する代表性が高い方法である。
2 適切に抽出された標本調査であれば、標本誤差は生じない。
3 調査対象者の多段抽出は、単純無作為抽出に比べて母集団の特性を推定する精度が高い。
4 系統抽出法は、抽出台帳に一定の規則性がある場合には、抽出した標本に偏りを生じることはない。
5 スノーボール・サンプリングは、非確率抽出法の一つである。

1 標本抽出方法の確率抽出と非確率抽出では、非確率抽出の方が母集団に対する代表性が高い方法である。
間違いです。
母集団に対する代表制が高いのは確率抽出(無作為抽出)です。
確率的に抽出する確率抽出でないと母集団の代表性が担保されません。

2 適切に抽出された標本調査であれば、標本誤差は生じない。
間違いです。
標本抽出を行うときに生じる誤差が標本誤差です。

3 調査対象者の多段抽出は、単純無作為抽出に比べて母集団の特性を推定する精度が高い。
間違いです。
母集団の特性を推定する精度という点だけで言えば、単純無作為抽出に勝る抽出法はありません。

4 系統抽出法は、抽出台帳に一定の規則性がある場合には、抽出した標本に偏りを生じることはない。
間違いです。
台帳などの規則性があると、抽出した標本に偏りが生じることがあります。

5 スノーボール・サンプリングは、非確率抽出法の一つである。
これが正解です。
ある回答者から知人を紹介してもらい雪だるま式にサンプル数を増やしていく方法がスノーボールサンプリングで、非確率標本抽出です。

第30回 問題86

全数調査と標本調査に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 標本調査の場合、測定誤差は生じない。
2 無作為抽出による標本調査の場合、母集団の性質について統計的に推測できる。
3 標本調査の場合、標本誤差は生じない。
4 全数調査の場合、測定誤差は生じない。
5 全数調査の場合、母集団から一部を取り出し、取り出した全員を対象に調査する。

1 標本調査の場合、測定誤差は生じない。
測定誤差は測定時に入ってくる誤差なので、標本調査でも全数調査でも必ず生じます。

2 無作為抽出による標本調査の場合、母集団の性質について統計的に推測できる。
その通り、これが正解です。
ちなみに、無作為抽出ではなく有意抽出の場合は、母集団の性質について統計的に推測はできません。

3 標本調査の場合、標本誤差は生じない。
標本調査では標本誤差が生じます。
つまり母集団から一部を取り出して標本とするので、母集団を100%再現できないからです。

4 全数調査の場合、測定誤差は生じない。
全数調査でも測定誤差が生じます。

5 全数調査の場合、母集団から一部を取り出し、取り出した全員を対象に調査する。
母集団から一部を取り出すのは標本調査ですので間違いです。

第30回 問題87

横断調査と縦断調査に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 トレンド調査とは、同一対象者を継時的に追跡することを通じて、調査対象者の変化を知ろうとする調査法である。
2 同じ調査票を用いて、4月にR市、5月にS市で調査を行えば、縦断調査といえる。
3 パネル調査では、調査の回数を重ねるにつれてサンプル数が増加する。
4 横断調査は、ある一時点での特定の市で実施する市民意識調査は含まれない。
5 横断調査では、因果関係を特定するに当たり制約が伴う。

1 トレンド調査とは、同一対象者を継時的に追跡することを通じて、調査対象者の変化を知ろうとする調査法である。
これはパネル調査の説明なので間違いです。
トレンド調査は同一人物ではなく、同一属性が対象です。
例えば「京都在住の人」とかですね。

2 同じ調査票を用いて、4月にR市、5月にS市で調査を行えば、縦断調査といえる。
これは間違いです。
同じ調査票を用いても、R市とS市で対象が異なっているので縦断調査になりません。

3 パネル調査では、調査の回数を重ねるにつれてサンプル数が増加する。
パネル調査は同一対象者に対して時間経過毎に調査をしますが、初回に調査した人全員が2回目以降に調査させてくれるわけではありませんので、サンプル数は減少していきます。

4 横断調査は、ある一時点での特定の市で実施する市民意識調査は含まれない。
横断調査は、ある一時点での特定の市で実施する市民意識調査も含まれます。
「ある一時点」がキーワードです。

5 横断調査では、因果関係を特定するに当たり制約が伴う。
これが正解です。
ある一時点の調査で2つの事柄に因果関係が見られても、どちらが原因でどちらが結果なのか、時系列で調査しないとわかりません。

第29回 問題87

社会調査における調査票を用いた方法に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1 郵送調査は、回答者が十分に時間をかけて回答することができるため、質問項目数の上限がないというメリットがある。
2 集合調査は、特定の団体が集まる会合の場で実施できるため、代表性のある標本を確保しやすいというメリットがある。
3 電話調査は、近年、固定電話に加え、携帯電話を持つ人が増えてきたため、回収率が高いというメリットがある。
4 留置調査は、調査票を配布したその場で回答がなされないため、他の方法に比べて回収率が低いというデメリットがある。
5 インターネット調査は、インターネット上で調査対象者を公募する場合、代表性の偏りが生じるというデメリットがある。

1 郵送調査は、回答者が十分に時間をかけて回答することができるため、質問項目数の上限がないというメリットがある。
間違いです。
質問数が多いと記入漏れや回収率の低下が見られるので、質問数には一定の制限が求められます。

2 集合調査は、特定の団体が集まる会合の場で実施できるため、代表性のある標本を確保しやすいというメリットがある。
間違いです。
集団の構成員全員が会合に出席していれば問題ありませんが、出席率が低い場合は「積極的な人」に集団が偏ってしまい、標本の代表性が確保しにくいです。

3 電話調査は、近年、固定電話に加え、携帯電話を持つ人が増えてきたため、回収率が高いというメリットがある。
携帯電話では、知らない番号からの着信には出ないような人も多いので、回収率が高いとは言えません。

4 留置調査は、調査票を配布したその場で回答がなされないため、他の方法に比べて回収率が低いというデメリットがある。
間違いです。
留置調査は、回収までに時間的な余裕があるので、正確な回答が得られやすく、さらに回収率も高いというメリットがあります。

5 インターネット調査は、インターネット上で調査対象者を公募する場合、代表性の偏りが生じるというデメリットがある。
その通りです。
インターネット調査は、インターネットを使用している人に限定されるため代表性の偏りが生じます。

第30回 問題88

質問紙調査の方法に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 郵送調査法は、返送時に氏名を記入する必要があるため、匿名性を確保するのが難しい。
2 訪問面接調査法は、プライバシーに関わる質問をするのに適している。
3 複雑で難しい質問には、自記式で質問紙に記入する方法が適している。
4 留置調査法は、他記式なので、記入漏れや記入ミスを抑制できる。
5 調査対象者本人の回答であるかを確認するには、他記式による記入が望ましい。

1 郵送調査法は、返送時に氏名を記入する必要があるため、匿名性を確保するのが難しい。
郵送調査法は氏名を記入する必要はありません。

2 訪問面接調査法は、プライバシーに関わる質問をするのに適している。
訪問面接調査では調査員が訪問して対面で質問するのでプライバシーに関わる質問には適していません。

3 複雑で難しい質問には、自記式で質問紙に記入する方法が適している。
複雑で難しい質問には、自記式ではなく他記式が適しています。
自分で書く自記式は、複雑な質問では意図した内容を書けない人が多いからです。

4 留置調査法は、他記式なので、記入漏れや記入ミスを抑制できる。
留置調査法は自記式なので間違いです。

5 調査対象者本人の回答であるかを確認するには、他記式による記入が望ましい。
正しいです。
他記式は調査員が対象者に聞き取って回答する方法で、その時に回答者が本人かどうかを確認できます。
自記式だと本当に本人が回答したか知る術はありません。

第31回 問題85

質問紙を用いた調査に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 調査対象者から口頭で聞き取った内容を、調査員が記入する方法を自記式という。
2 プライバシーに関する質問は、自記式の方が他記式よりも望ましい。
3 自記式の方が他記式よりも、誤記入が起こりにくい。
4 他記式の方が自記式よりも、調査対象者以外の人が本人の代わりに回答する可能性が高い。
5 調査対象者が調査員に口頭で答えた後に、調査対象者が調査票に記入する方法を他記式という。

1 調査対象者から口頭で聞き取った内容を、調査員が記入する方法を自記式という。
これは他記式の説明ですので間違いです。

2 プライバシーに関する質問は、自記式の方が他記式よりも望ましい。
その通りです。

3 自記式の方が他記式よりも、誤記入が起こりにくい。
自分で書く自記式の方が誤記入が起こりそうと思ってしまいがちですが、調査員が書く他記式の方が誤記入は起こりにくいです。当然です。

4 他記式の方が自記式よりも、調査対象者以外の人が本人の代わりに回答する可能性が高い。
他記式は調査員が本人を前に記入するわけですから、こちらの方が本人である可能性は高いです。
自記式は本人以外の人が回答していてもわかりませんから。

5 調査対象者が調査員に口頭で答えた後に、調査対象者が調査票に記入する方法を他記式という。
調査対象者ではなく調査員が調査票に記入するのが他記式です。

第30回 問題89

質問紙の作成に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 「糖尿病予防のために食事や運動に気を付けていますか」というように、複数の事柄は一つの質問文で尋ねる方が望ましい。
2 前の質問の回答が次の質問の回答に影響を与えることを促すような質問の順番にすることが望ましい。
3 「家事は一般的に夫婦で平等に分担すべきですか」という質問文では、回答者が自分の家庭でそうすべきだと考えているかどうかは分からない。
4 意識調査の質問では、回答を明確にするために「どちらともいえない」という選択肢を設けてはならない。
5 調査票のレイアウトや色を工夫することは、回答をゆがめることになるので行うべきではない。

1 「糖尿病予防のために食事や運動に気を付けていますか」というように、複数の事柄は一つの質問文で尋ねる方が望ましい。
このようなダブルバーレル質問は適切ではありません。

2 前の質問の回答が次の質問の回答に影響を与えることを促すような質問の順番にすることが望ましい。
これはキャリーオーバー効果のことですが、適切ではありません。

3 「家事は一般的に夫婦で平等に分担すべきですか」という質問文では、回答者が自分の家庭でそうすべきだと考えているかどうかは分からない。
その通りです。
このような質問は一般的な傾向を尋ねるもので、回答者自身のことを尋ねていません。

4 意識調査の質問では、回答を明確にするために「どちらともいえない」という選択肢を設けてはならない。
そんなことはありません。

5 調査票のレイアウトや色を工夫することは、回答をゆがめることになるので行うべきではない。
そんなことはありません。

第32回 問題88

質問紙の作成に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
1 ダブルバーレルは、質問の中に三つ以上の論点を含めないようにする作成方法である。
2 リッカート尺度は、「当てはまる」「どちらともいえない」「当てはまらない」などというように多段階で程度を測定する選択肢で回答を求めるものである。
3 キャリーオーバー効果は、前に回答したことが、後に続く質問の回答へ効果的な影響を与えるので、積極的に用いるのが望ましい。
4 質問紙の作成においては、全て〇や数字で回答するようにし、文字の記述を求める自由回答の欄を設けてはいけない。
5 フェイスシートは、回答者の年齢、学歴、家族構成などの属性を回答する欄である。

1 ダブルバーレルは、質問の中に三つ以上の論点を含めないようにする作成方法である。
間違いです。
ダブルバーレルは質問の中に二つ以上の論点を含むものです。

2 リッカート尺度は、「当てはまる」「どちらともいえない」「当てはまらない」などというように多段階で程度を測定する選択肢で回答を求めるものである。
正しいです。
リッカート尺度については別記事で詳しく書いています。

3 キャリーオーバー効果は、前に回答したことが、後に続く質問の回答へ効果的な影響を与えるので、積極的に用いるのが望ましい。
キャリーオーバー効果は、前の質問が後の質問に影響を与えてしまう効果のことなので、そうならないように質問の順序などを考えなければなりません。

4 質問紙の作成においては、全て〇や数字で回答するようにし、文字の記述を求める自由回答の欄を設けてはいけない。
そんなことはありません。

5 フェイスシートは、回答者の年齢、学歴、家族構成などの属性を回答する欄である。
正しいです。フェイスシートにはクライエントの基礎情報が記載されています。

第33回 問題88 

質問紙の作成に当たっての留意点に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 一つの質問文で複数の事項を問うことは、複数の回答が同時に得られるので、質問紙の作成において望ましいと考えられている。
2 パーソナルな質問とは社会一般的な意見について尋ねる質問であり、インパーソナルな質問とは調査対象者自身の意識や行動について尋ねる質問である。
3 質問文を作成するときには、調査対象者に関心を持ってもらうために、一般的に固定的なイメージを持つステレオタイプな用語を使う必要がある。
4 社会的に望ましい結果を得るために、誘導的な質問をすることは質問紙の作成として適切である。
5 前の質問文の内容が次の質問文の回答に影響を与えないように、注意を払う必要がある。

1 一つの質問文で複数の事項を問うことは、複数の回答が同時に得られるので、質問紙の作成において望ましいと考えられている。
間違いです。これは「ダブルバーレル質問」という好ましくない質問です。

2 パーソナルな質問とは社会一般的な意見について尋ねる質問であり、インパーソナルな質問とは調査対象者自身の意識や行動について尋ねる質問である。
間違いです。パーソナルとインパーソナルが逆です。

3 質問文を作成するときには、調査対象者に関心を持ってもらうために、一般的に固定的なイメージを持つステレオタイプな用語を使う必要がある。
間違いです。ステレオタイプな用語では関心を持ってもらえません。

4 社会的に望ましい結果を得るために、誘導的な質問をすることは質問紙の作成として適切である。
間違いです。質問文で誘導してはいけません。

5 前の質問文の内容が次の質問文の回答に影響を与えないように、注意を払う必要がある。
これが正解です。このような「キャリーオーバー効果」を注意しながら質問文を作成する必要があります。

次の記事

次は、量的データの分析方法についてです。

【社会調査(量的調査)】量的データの分析
社会調査における量的調査では、その結果を統計的に処理して分析を行わなければなりません。その手法について学びましょう。度数分布表例えば、アンケートで選択肢1を選んだのが15人いたとすれば、15を度数といい、それぞれの選択肢の...

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