【動機づけ理論】ハーズバーグ、ブルーム、デシ、マグレガー、マクレランド

ここまでで、マズローの欲求階層説、オペラント条件づけなどの人間が行動する動機を扱ってきました。

さらにここからは「動機づけ理論」を深めていきます。

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「動機付け・衛生理論」by ハーズバーグ

ハーズバーグは、仕事に満足を与える要因として、「動機付け要因」と「衛生要因」を挙げています。

動機付け要因:仕事の達成感、承認や責任などの仕事に積極的な満足を与える要因
衛生要因:作業条件、給料、福利厚生、人間関係などの仕事への不満足を解消する要因

このように、ハーズバーグは仕事への「満足を与える要因」と、「不満足を与える要因」を分けて考えました。

「期待理論」by ブルーム

どのくらい頑張ればどのような結果が得られるのか、そしてそれはどのくらいの価値があるものなのかを明らかにするものです。

どのような努力したら目標を達成できるかを示すことが動機づけを高めると考えます。

「期待理論」という名称から想像されるのは、「上司が部下に期待をすることで部下の動機付けになる」というものですが、全く違います。この誤解しやすさによってブルームの期待理論は国家試験に出題されやすいです。

「内発的動機付け理論」by デシ

内発的動機づけ:内面に沸き起こった興味・関心・意欲による動機づけ
外発的動機づけ:金銭や食べ物、名誉などの外的報酬による動機づけ

デシは、人はお金などの外部報酬(外発的動機づけ)がなくても内からの欲求に駆られて行動し、課題それ自体に喜びや満足をもって取り組むものだと考えました。なので金銭的な報酬などの外発的動機づけを多用してしまうと、仕事そのものから得られる内発的動機づけが失われる可能性がある(アンダーマイニング効果)と考えます。

興味を持って勉強をしていても、お小遣いをもらえるようになったら、興味が薄れるかも・・・

外発的動機づけは、スキナーの「オペラント条件づけ」ですね。

「X理論・Y理論」by マグレガー

X理論:人は怠け者なので、アメとムチをうまく使って動機づけを高めることが必要
Y理論:マズローの理論に従って人には自己実現欲求があるので、そこに向かって努力していく存在

例えば、Y理論では従業員のやる気がないのは従業員本人の問題ではなく、やる気を引き出すことができなかった上司に問題があると捉えます。

X理論は性悪説、Y理論は性善説って感じだね。

「欲求理論」by マクレランド

マクレランドは、4種類の欲求(動機)を想定しました。

達成欲求(達成動機)を持つ人:成功の報酬よりも、自身がそれを成し遂げたいという欲求から努力をする。適度なリスクのある仕事を好む。
権力欲求(権力動機)を持つ人:他者にインパクトを与え、影響力を行使してコントロールしたい。責任を与えられることを楽しむ。
親和欲求(親和動機)を持つ人:他者との交友関係を作り上げることについて極めて積極的。
回避欲求(回避動機)を持つ人:失敗や困難な状況を回避したい。

「目標設定理論」by ロック

ロックの目標設定理論では、具体的な目標を設定することが動機づけを高めると考えます。

モチベーションの内容理論と過程理論

モチベーションの内容理論は、何によってモチベーションが発生するかを説明する理論、一方でモチベーションの過程理論は、どのようにモチベーションが形成され変化し、人が動かされていくのかというモチベーションのプロセスを説明する理論です。

上で見てきた各理論は、以下のように分けられます。

モチベーションの内容理論:マズロー、ハーズバーグ、マクレガー、マクレランド、デシ
モチベーションの過程理論:ブルーム
モチベーションの過程理論には、ブルームの「期待理論」だけでなく、下の表にあるような「公正理論」などもあります。
モチベーションの内容理論と過程理論

まとめ

たくさんの動機づけ理論を見てきましたが、これらは1950年代に広く研究が行われ、マズローの「欲求階層説」、マクレガーの「X理論・Y理論」、ハーズバーグの「動機づけ・衛生理論」の3つを古典的理論として、この3つを元にマクレランドの「欲求理論」、ロックの「目標設定理論」、ブルームの「期待理論」などが発展してきました。

初期の理論は、「人は何によって動機づけられるのか」という「モチベーションの内容理論」であったのに対して、近年の理論は「人はどのように動機づけられるのか」という「モチベーションの過程理論」が主流です。

以下の表にはモチベーションの内容理論をまとめています。

動機づけを行う「何か」は、それぞれの理論で重複していることが見て取れます。

当然ですが、モチベーションの過程理論はプロセスが動機になるので、表には含むことができません。

ブルームの「期待理論」だけ「モチベーションの過程理論」だから、仲間はずれ!

マズローマクレランドハーズバーグマグレガーデシ
自己実現の欲求達成欲求動機づけ要因Y理論内発的動機づけ
自尊と承認の欲求権力欲求X理論外発的動機づけ
所属と愛の欲求親和欲求衛生要因
安全と安定の欲求回避欲求
生理的欲求

過去問

第23回 問題113 

ミクロ組織論の領域におけるモチベーションに関する次の記述のうち、正しいものを一つ選びなさい。
1 モチベーションの内容理論とは、個人が不満を回避する要因の関連性に焦点を当てるものである。
2 モチベーションの過程理論とは、モチベーション要因の階層構造に焦点を当てるものである。
3 ブルーム(Vroom,Ⅴ.)らによる期待理論はモチベーションの内容理論の一つであり、ハーズバーグ(Herzberg,F.)の動機付け・衛生理論(2要因理論)はモチベーションの過程理論の一つである。
4 ハーズバーグ(Herzberg,F.)の動機付け・衛生理論(2要因理論)によれば、仕事の達成や承認、責任などは、職務不満足に関係する衛生要因である。
5 デシ(Deci,E.)の内発的動機付け理論によれば、金銭という外発的報酬を高めることは、作業や仕事などそれ自体から得られる内発的動機付けを低下させる可能性がある。

1 モチベーションの内容理論とは、個人が不満を回避する要因の関連性に焦点を当てるものである。
間違いです。モチベーションの内容理論ではなく、ハーズバーグの動機付け・衛生理論です。

2 モチベーションの過程理論とは、モチベーション要因の階層構造に焦点を当てるものである。
間違いです。これはモチベーションの過程理論ではなく、マズローの欲求階層説です。

3 ブルーム(Vroom,Ⅴ.)らによる期待理論はモチベーションの内容理論の一つであり、ハーズバーグ(Herzberg,F.)の動機付け・衛生理論(2要因理論)はモチベーションの過程理論の一つである。
間違いです。ブルームらによる期待理論は「モチベーションの過程理論」であり、ハーズバーグの動機付け・衛生理論は「モチベーションの内容理論」です。

4 ハーズバーグ(Herzberg,F.)の動機付け・衛生理論(2要因理論)によれば、仕事の達成や承認、責任などは、職務不満足に関係する衛生要因である。
間違いです。これは衛生要因ではなく「動機付け要因」です。

5 デシ(Deci,E.)の内発的動機付け理論によれば、金銭という外発的報酬を高めることは、作業や仕事などそれ自体から得られる内発的動機付けを低下させる可能性がある。
これが正解です。これをアンダーマイニング効果といいます。

第28回 問題121

動機づけに関する理論についての次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 マグレガー(McGregor,D.)のY理論では、従業員の働く意欲が低いのは、組織の管理者側に原因があるとされる。
2 ハーズバーグ(Herzberg,F.)の動機づけ理論では、労働条件への不満を改善することで、職務に対する満足感を高められるとされる。
3 マクレランド(McClelland,D.)の欲求理論では、権力欲求を持つ人に対しては適度なリスクのある仕事を与えることが、高い業績につながるとされる。
4 ブルーム(Vroom,V.)の期待理論では、管理者が従業員に対して大きな期待をしていることを示すことが、従業員の動機づけを高めるとされる。
5 ロック(Lock,E.)の目標設定理論では、「頑張れ」や「前よりも上回る成績を」といった情動的刺激を与えることで、高い意欲を生み出すとされる。

1 マグレガー(McGregor,D.)のY理論では、従業員の働く意欲が低いのは、組織の管理者側に原因があるとされる。
これが正解です。Y理論は従業員の性善説ですので、本来従業員はしっかり働くと考えるので、労働意欲が低い場合は管理者側に原因があると考えます。

2 ハーズバーグ(Herzberg,F.)の動機づけ理論では、労働条件への不満を改善することで、職務に対する満足感を高められるとされる。
間違いです。動機づけ理論では労働条件などの衛生要因を改善しても不満足感が解消されるだけです。満足感を高められるのは「動機づけ要因」である達成感や承認、責任などが改善された場合です。

3 マクレランド(McClelland,D.)の欲求理論では、権力欲求を持つ人に対しては適度なリスクのある仕事を与えることが、高い業績につながるとされる。
間違いです。適度なリスクを好むのは「達成動機」を持つ人です。

4 ブルーム(Vroom,V.)の期待理論では、管理者が従業員に対して大きな期待をしていることを示すことが、従業員の動機づけを高めるとされる。
間違いです。期待理論では、どのくらい頑張ればどのような結果が得られるのかを示すことが従業員の動機づけを高めるとされています。

5 ロック(Lock,E.)の目標設定理論では、「頑張れ」や「前よりも上回る成績を」といった情動的刺激を与えることで、高い意欲を生み出すとされる。
間違いです。ロックの目標設定理論では、その名の通り、目標を設定することが高い意欲を生み出すとされています。

第33回 問題122 

動機づけに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ブルーム(Vroom,V.)によれば、上司が部下に対して大きな期待を抱くと、部下の動機づけが高まる。
2 ハーズバーグ(Herzberg,F.)によれば、仕事への満足感につながる要因と仕事への不満足につながる要因とは異なる。
3 マクレガー(McGregor,D.)によれば、X理論では部下は仕事を当然のこととして自律的に目標達成しようとし、責任を率先して引き受ける。
4 デシ(Deci,E.)は,内発的動機によってではなく、むしろ金銭的報酬などの外的報酬によって人は動機づけられるとした。
5 マクレランド(McClelland,D.)は、人間が給与への欲求のために働いていることを示す期待理論を展開した。

なんと、先ほどの問題とほぼ同じ内容で出題されています。

1 ブルーム(Vroom,V.)によれば、上司が部下に対して大きな期待を抱くと、部下の動機づけが高まる。
間違いです。ブルームの期待理論では、どのような努力したら目標を達成できるかを示すことが動機づけを高めると考えます。
期待理論という名称に惑わされてはいけません。

2 ハーズバーグ(Herzberg,F.)によれば、仕事への満足感につながる要因と仕事への不満足につながる要因とは異なる。
これが正解です。ハーズバーグによれば、仕事への満足感につながる動機づけ要因と、仕事への不満足につながる衛生要因を区別しました。

3 マクレガー(McGregor,D.)によれば、X理論では部下は仕事を当然のこととして自律的に目標達成しようとし、責任を率先して引き受ける。
間違いです。X理論は性悪説です。Y理論の説明になっています。

4 デシ(Deci,E.)は,内発的動機によってではなく、むしろ金銭的報酬などの外的報酬によって人は動機づけられるとした。
間違いです。デシは金銭的報酬などの外発的動機づけがなくても、内発的動機づけで行動できると考えました。

5 マクレランド(McClelland,D.)は、人間が給与への欲求のために働いていることを示す期待理論を展開した。
間違いです。マクレランドは欲求理論です。期待理論はブルームです。

第31回 問題8

次の記述のうち、内発的動機づけによる行動として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 観衆から拍手を受けることが楽しくて、駅前での演奏活動を毎週続けた。
2 おこづかいをもらえることが嬉しくて、玄関の掃除を毎日行った。
3 出席するたびにシールをもらえることが楽しくて、ラジオ体操に毎朝通った。
4 絵を描くことが楽しくて、時間を忘れて取り組んだ。
5 成功すれば課長に昇進できると言われ、熱心に仕事に取り組んだ。

1 観衆から拍手を受けることが楽しくて、駅前での演奏活動を毎週続けた。
これは観衆からの拍手という外部からの報酬なので外発的動機づけです。

2 おこづかいをもらえることが嬉しくて、玄関の掃除を毎日行った。
これはおこづかいをもらうという外部からの報酬なので外発的動機づけです。

3 出席するたびにシールをもらえることが楽しくて、ラジオ体操に毎朝通った。
これはシールをもらうという外部からの報酬なので外発的動機づけです。

4 絵を描くことが楽しくて、時間を忘れて取り組んだ。
これが正解です。
自分自身の内部からの動機づけです。

5 成功すれば課長に昇進できると言われ、熱心に仕事に取り組んだ。
課長に昇進という外部からの報酬なので外発的動機づけです。

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