「苦情申立」と「不服申立」、国保連は何者か?

苦情申立と不服申立 日本の医療福祉
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福祉サービスを受ける中で、事業者に対して苦情を言いたいときがあると思います。

また、福祉サービスを受けるに当たって要介護認定や障害支援区分認定、生活保護の受給などの行政処分について不服があることもあるでしょう。

そんなときにどこにどのように申し立てればよいのか、見ていきましょう。

サービスへの不満は「苦情申立て」、行政処分への不満は「不服申立」です。

  苦情申立 不服申立
  国保連 運営適正化委員会 介護保険審査会 都道府県
設置者 国民健康保険の保険者
(市町村と国保組合)
都道府県
社会福祉協議会
都道府県 都道府県
対象 サービス
(介護保険)
サービス
(福祉全般)
行政処分
(介護保険)
行政処分
(福祉全般)
対応 助言・指導 解決に向けた斡旋 審議・採決 審議・採決

苦情申立

福祉サービスを受けながら、その事業者に苦情を言いたいときは、その事業所には必ず苦情受付窓口が設置されており、「苦情受付担当者」「苦情解決責任者」「第三者委員」の3者が配置されています。

苦情があればまずは苦情受付担当者に伝えて、申立者と事業所間で解決を目指します。

それでも解決できない場合は、外部の申立先である「運営適正化委員会」に申し立てます。

社会福祉法では福祉サービスの苦情申立機関として「運営適正化委員会」が都道府県社会福祉協議会に設置されており、「福祉サービスの苦情受付と解決のための斡旋を行う」とされています。

また、介護保険サービスに関する苦情については、「国民健康保険団体連合会(国保連)」があります。

ここは介護保険に限った苦情受付であることと、助言や指導の権限を持っているということです。

つまり、運営適正化委員会では苦情解決のために苦情申立者と事業者の間に入って「あっせん」を行うのに対して、国保連は助言や指導をする権限があります。

国民健康保険団体連合会(国保連)とは

国民健康保険の保険者が共同して、都道府県単位で設置される法人です。

名称だけ見ると国民健康保険に関する業務だけをやっていそうですが、診療報酬の審査支払い業務を行っている関係で、介護保険や障害福祉サービスの報酬の審査支払い業務も行っています。

<国保連の主な業務>
・診療報酬の請求に関する審査支払い業務
・介護報酬の請求に関する審査支払い業務
・障害児者サービスに係る介護給付費や障害児入所給付費等の支払い業務

介護報酬の審査支払業務は市町村からの委託で行っています。
介護保険関係の業務を詳しく見てみると、

<介護保険関係業務>
・審査支払
介護保険の保険給付に関わる審査、支払(市町村からの委託)
・事業者への助言や指導
介護保険サービスの質の向上に関する調査およびサービス事業者に対する助言指導
・介護保険サービス事業及び施設運営
介護保険サービス事業および介護保険施設の運営
・その他
介護保険事業の円滑な運営に資する事業

国保連も運営適正化委員会も「苦情申立」を受け付けますが、国保連は「助言・指導」ができる強い権限がある一方で、運営適正化委員会は「解決に向けた斡旋」という弱い権限しかありません。

「解決に向けた斡旋」とは間に入って仲介するということです。

苦情申立のまとめ

福祉サービス全般の苦情については「運営適正化委員会」へ。

ただし運営適正化委員会は苦情解決のための「あっせん」はできても「指導」の権限はありません。

介護保険サービスの苦情については「国保連」へ。

国保連は事業者への助言や指導を行います。

不服申立

要介護認定や障害支援区分、生活保護の支給決定などなどの行政処分に不服があるときはどうすればよいのでしょう。

裁判所に訴える!

いえいえ、いきなり裁判はできません。

まずは「審査請求」を行うことになります。

例えば介護給付費等にかかる処分に不服がある障害児者の保護者は都道府県知事に審査請求できます。

本来処分を行った市町村長に対して異議申し立てをすることになっていますが、支給決定に係る処分は障害者等の権利利益を守る為に都道府県知事に対して行えます。

障害福祉サービス支給に関する審査請求先は都道府県知事で、都道府県に設置されている「障害者介護給付費等不服審査会」は任意設置なので、介護保険審査会のように必置ではありませんので。

介護保険関係の不服申立(審査請求)は都道府県に設置されている「介護保険審査会」です。

要介護認定や介護給付、介護保険料に関して不服がある時にここに申し立てます。

市町村に設置されている「介護認定審査会」は要介護認定を行うところで、名称が似ていてややこしいですね。


不服申立のまとめ

不服申立は審査請求という形が原則です。
まずは都道府県に対して審査請求し、それでも不満があるなら裁判に訴える事ができます。
審査請求せずに裁判を起こすことはできません。

・介護保険サービスの支給や要介護認定に不服がある時の審査請求先は「介護保険審査会」
・障害福祉サービスの支給や区分認定に不服がある時の審査請求先は「都道府県知事」
・国民健康保険の審査請求先は都道府県に設置の「国民健康保険審査会」
・生活保護の審査請求先は都道府県知事で、さらに再審査請求先は「厚生労働大臣」

生活保護は最後のセーフティーネットなので手厚いですね。

生活保護事務のような法定受託事務で市町村長の行った行政処分に不服があるときは都道府県知事に審査請求できます。

  苦情申立 不服申立
  国保連 運営適正化委員会 介護保険審査会 都道府県
設置者 国民健康保険の保険者
(市町村と国保組合)
都道府県社会福祉協議会 都道府県 都道府県
対象 サービス
(介護保険)
サービス
(福祉全般)
行政処分
(介護保険)
行政処分
(福祉全般)
対応 助言・指導 解決に向けた斡旋 審議・採決 審議・採決

過去問

第22回 問題72

事例を読んで、Jさんの対応に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
[事例]Jさんは、要介護1の認定を受け、現在、介護保険事業者の通所介護を週2回利用している。だがJさんは、この要介護認定に不満を感じており、また、実際に受けているサービス内容も、契約内容と違うことに不満を感じている。
1 Jさんは、介護保険審査会に置かれている専門調査員に事業者のサービス内容について調査を求めることができる。
2 Jさんは、国民健康保険団体連合会に苦情を申し立てた上で、苦情の解決に向けて「あっせん」を行うことを同連合会に対して求めることができる。
3 さんは、契約どおりのサービスの履行を求めて、事業者を監督する行政庁に行政不服審査法に基づく不服申立てを行うことができる。
4 Jさんは、要介護認定の結果について介護保険審査会に審査請求をすることができる。
5 Jさんは、行政上の不服申立てを経ることなく要介護認定の取消しを求めて行政訴訟を提起することができる。

1 Jさんは、介護保険審査会に置かれている専門調査員に事業者のサービス内容について調査を求めることができる。
介護保険サービスに不満があれば「国保連」に苦情申立を行いますので間違いです。

2 Jさんは、国民健康保険団体連合会に苦情を申し立てた上で、苦情の解決に向けて「あっせん」を行うことを同連合会に対して求めることができる。
国保連が行うのは「あっせん」ではなく「指導・助言」なので間違いです。
「あっせん」を行うのは運営適正化委員会でした。

3  Jさんは、契約どおりのサービスの履行を求めて、事業者を監督する行政庁に行政不服審査法に基づく不服申立てを行うことができる。
サービスへの苦情は不服申立ではなく、苦情申立であって、国保連に対して行いますので間違いです。

4 Jさんは、要介護認定の結果について介護保険審査会に審査請求をすることができる。
これは正しいです。
要介護認定などの行政処分には「介護保険審査会」に審査請求し、「不服申立」を行います。

5 Jさんは、行政上の不服申立てを経ることなく要介護認定の取消しを求めて行政訴訟を提起することができる。
訴訟は不服申立を経てからでないとできませんので間違いです。

第29回 問題132

介護保険法における国民健康保険団体連合会の役割に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 要介護度ごとに定められる区分支給限度基準額を決定する。
2 利用者からの苦情を受けて、サービス事業者に対する必要な指導及び助言を行う。
3 事業者・施設の利用料金、職員研修の実績などに関する介護サービス情報の公表を行う。
4 第一号被保険者の保険料の特別徴収を行い、それを各市町村に納入する。
5 介護保険審査会を設置し、市町村の処分に対する不服申立ての審理・裁決を行う。

1 要介護度ごとに定められる区分支給限度基準額を決定する。
違います。国保連ごときにこんな権限はありません。
区分支給基準限度額は厚生労働大臣が定めます。

2 利用者からの苦情を受けて、サービス事業者に対する必要な指導及び助言を行う。
これが正解です。

3 事業者・施設の利用料金、職員研修の実績などに関する介護サービス情報の公表を行う。
これは都道府県知事の仕事です。
都道府県知事は指定する情報公表センターに情報公表事務を行わせることができます。

4 第一号被保険者の保険料の特別徴収を行い、それを各市町村に納入する。
第一号の特別徴収は18万円以上の年金受給者に天引きで市町村に納付するので国保連の役割ではありません。

5 介護保険審査会を設置し、市町村の処分に対する不服申立ての審理・裁決を行う。
介護保険審査会を設置するのは「都道府県」です。

第30回 問題133

介護保険法における国民健康保険団体連合会の役割に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 第二号被保険者から要介護認定の申請があった場合、認定調査を行う。
2 市町村から委託を受けて、各種介護サービス費の請求に関する審査・支払いを行う。
3 適正な業務管理体制を整備していない介護サービス事業者に対し、是正勧告・命令を行う。
4 介護支援専門員の試験及び研修、登録に関する業務を行う。
5 第一号被保険者の保険料を、政令で定める基準に従い条例で定めるところにより算定された保険料率で算定する。

1 第二号被保険者から要介護認定の申請があった場合、認定調査を行う。
要介護認定は市町村が設置する「介護認定審査会」の仕事です。

2 市町村から委託を受けて、各種介護サービス費の請求に関する審査・支払いを行う。
これが正解です。

3 適正な業務管理体制を整備していない介護サービス事業者に対し、是正勧告・命令を行う。
ここまでの権限はありません。
是正勧告や命令は国や都道府県、市町村の役割です。

4 介護支援専門員の試験及び研修、登録に関する業務を行う。
介護支援専門員の研修や登録は都道府県知事が行います。

5 第一号被保険者の保険料を、政令で定める基準に従い条例で定めるところにより算定された保険料率で算定する。
第一号被保険者の保険料は各自治体で介護保険料を算定し通知します。

「民生委員」は「児童委員」を兼ねる
民生委員は1917年に岡山県で始まった済世顧問制度、1918年に大阪府で始まった方面委員制度を起源としています。1929年に制定された救護法では「方面委員」と呼ばれ、重要な任務を担っていました。その後、方面委員令で全国に普...

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