【ソーシャルワークの記録】逐語体、叙述体、要約体、説明体

ソーシャルワークの記録方式として、まず「逐語体」、「叙述体」、「要約体」、「説明体」の4種類を押さえましょう。

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記録方式

逐語体

逐語体は、発話どおりにそのまま記述した記録です。

録音したテープの内容をそのまま記述するテープ起こし(文字起こし)もこれです。

話した内容を加工せず逐一そのまま記録するわけです。

カリスマくん
カリスマくん

逐語体は逐一記録!

叙述体

叙述体は、客観的な事実を時系列で記述した記録です。

叙述体には以下の2種類あります。

圧縮叙述体:時系列で項目ごとに簡潔に示す
過程叙述体:時系列でワーカーとクライエントの相互作用の詳細を記す

どちらも時系列に記述しますが、圧縮叙述体は文字通り「圧縮」して要点だけ書きます。

過程叙述体はやりとりの過程の詳細を記述します。

要約体

要約体は、要点を整理した記録です。

カリスマくん
カリスマくん

逐語体は発言そのままの記録、要約体は要点のみの記録なのでセットで覚えよう。

説明体

説明体は、単なる客観的事実だけでなく、記録者の説明や解釈を交えて記録します。

カリスマくん
カリスマくん

叙述体は客観的事実のみだったけど、説明体は記録者の説明や解釈を加えるので、叙述体と説明体はセットで覚えてね。

問題志向型記録(SOAP方式)

クライエントの「問題」に沿って支援を展開する過程を問題志向型システム(POS:Problem Oriented System)」といい、この問題志向型システムに基づく記録にはSOAP方式の記録があります。

SOAP方式は以下の4点の頭文字をとっています。 

つまり、クライエントが抱えるそれぞれの問題について以下の4点を記述していく記録方式です。

S:Subjective(主観的情報、利用者や家族の主観で話した内容など)
O:Objective(客観的情報、援助者の目で見たり聞いたりした事実)
A:Assessment(得られた客観的事実に対する援助者の評価や分析)
P:Plan(上記に基づいた計画の作成)

3つのシート

フェイスシート

フェイスシートは、クライエントの基礎情報(年齢、性別、職業、家族構成など)を記載したシートです。

プランニングシート

プランニングシートは、支援計画を記載したシートです。

エバリュエーションシート

エバリュエーションシートは、支援の評価を記載したシートです。

カリスマくん
カリスマくん

相談援助過程でエバリュエーションは「事後評価」だったね。

過去問

第28回 問題117 

記録の形式と文体に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 エバリュエーションシートにはソーシャルワーカーとクライエントとの相互作用が時系列に記録される。 
2 フェイスシートにはアセスメント結果、目標、計画が一覧で示される。 
3 問題志向型記録では、問題ごとにS(主観的情報)、O(客観的情報)、A(アセスメント)、P(計画)の項目に沿って記述する。 
4 逐語体は、会話の一語一句を聞き取ってその要点をまとめて箇条書きにしたものである。 
5 説明体は、事実についてのクライエントによる説明や解釈を記述するものである。 

1 エバリュエーションシートにはソーシャルワーカーとクライエントとの相互作用が時系列に記録される。 
エバリュエーションシートは支援の評価を記録するシートです。 

2 フェイスシートにはアセスメント結果、目標、計画が一覧で示される。 
フェイスシートはクライエントの基礎情報(年齢、性別、職業、家族構成など)が書かれたシートです。 

3 問題志向型記録では、問題ごとにS(主観的情報)、O(客観的情報)、A(アセスメント)、P(計画)の項目に沿って記述する。 
これが正解です。 

4 逐語体は、会話の一語一句を聞き取ってその要点をまとめて箇条書きにしたものである。 
逐語体は要点をまとめるのではなく逐一そのまま記録する方式です。 

5 説明体は、事実についてのクライエントによる説明や解釈を記述するものである。 
クライエントによる説明ではなくソーシャルワーカーによる説明を記述するのが説明体です。 

第31回 問題116

ソーシャルワークの記録に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。 
1 ソーシャルワーカーの判断や主観的な解釈を含めず、客観的な事実を記述する。 
2 説明体は、事実についてのクライエントによる説明や解釈を記述するものである。 
3 実践の根拠と証拠を示し、援助の評価にも活用される。 
4 SOAP方式で記録する場合、Aはソーシャルワーカーが行う今後の援助計画のことである。 
5 クライエントに不利益となるような情報を記載しないようにする。 

1 ソーシャルワーカーの判断や主観的な解釈を含めず、客観的な事実を記述する。 
一見正しそうですが、間違いです。説明体の記録方式ではワーカーの主観的な解釈が含まれます。 

2 説明体は、事実についてのクライエントによる説明や解釈を記述するものである。 
クライエントの説明ではなく、ワーカーの説明です。 

3 実践の根拠と証拠を示し、援助の評価にも活用される。 
これが正解です。 

4 SOAP方式で記録する場合、Aはソーシャルワーカーが行う今後の援助計画のことである。 
Aはアセスメントのことです。Pがプラン(今後の援助計画)のことです。 

5 クライエントに不利益となるような情報を記載しないようにする。 
そんなことはありません。 

第29回 問題118

相談援助の記録方法に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。 
1 逐語体は、あらかじめ設定している援助過程の項目ごとに時系列で援助過程を簡潔に示すものである。 
2 叙述体は、事実やその解釈、見解の要点を整理して示すものである。 
3 要約体は、ソーシャルワーカーとクライエントの相互作用について時間経過に沿って詳細に示すものである。 
4 ジェノグラムは、数世代にわたる血族・姻族関係、ライフイベントなどを図式化するものである。 
5 エコマップは、グループメンバー間のつながり、構造、関係のパターンを図式化するものである。 

1 逐語体は、あらかじめ設定している援助過程の項目ごとに時系列で援助過程を簡潔に示すものである。 
これは圧縮叙述体です。 

2 叙述体は、事実やその解釈、見解の要点を整理して示すものである。 
これは要約体です。 

3 要約体は、ソーシャルワーカーとクライエントの相互作用について時間経過に沿って詳細に示すものである。
これは過程叙述体です。 

4 ジェノグラムは、数世代にわたる血族・姻族関係、ライフイベントなどを図式化するものである。 
これが正解です。 ジェノグラムは家系図でした。

5 エコマップは、グループメンバー間のつながり、構造、関係のパターンを図式化するものである。 
これはソシオグラムです。

第35回 問題115

事例は、Y地域包括支援センターのE社会福祉士によるFさん(74歳、男性)への支援記録の一部である。次のうち、用いられている文体として、最も適切なものを1つ選びなさい。
【事例】
最近、Fさんからの電話連絡が頻回に続き、電話越しに混乱し、慌てている状況があるため、Fさん宅を訪問。財布をなくしたと探しているので一緒に探したが見付からない。また、部屋が片付けられないのでイライラしている様子。片付けの手伝いをボランティアに頼むことができることを伝えると了承した。後日片付けの日程の件で訪問。Fさんは片付けのことは忘れており、混乱し、怒り出してしまった。Fさんの言動や生活状況から認知症の進行も考えられるため、関係機関の見守りと早急なケース会議の開催を提案。
1 要約体
2 逐語体
3 過程叙述体
4 圧縮叙述体
5 説明体

 選択肢4が正解です。

第32回 問題117

ソーシャルワークの記録に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 プランニングシートには、利用者がサービスを利用してどのような生活をしたのかについて記述する。 
2 時間の経過に沿ってソーシャルワーク過程において起こる事実を記録する形式を説明体という。 
3 逐語録では、話し言葉の記録にソーシャルワーカーの説明や解釈を加えて記述する。 
4 的確に情報を伝達することを求められるため、文字情報で統一する。 
5 グループインタビューの記録係は、参加者の非言語的反応を含めて記録する。 

1 プランニングシートには、利用者がサービスを利用してどのような生活をしたのかについて記述する。 
プランニングなので未来のプランを書くわけで、どのような生活をしたのかという過去のことを記述するのはおかしいです。 

2 時間の経過に沿ってソーシャルワーク過程において起こる事実を記録する形式を説明体という。 
これは叙述体の説明ですので間違いです。 

3 逐語録では、話し言葉の記録にソーシャルワーカーの説明や解釈を加えて記述する。 
逐語録は、話し言葉そのままの記録ですので間違いです。これは説明体の内容です。 

4 的確に情報を伝達することを求められるため、文字情報で統一する。 
文字情報だけでなく、図や写真、音声なども重要な情報です。 

5 グループインタビューの記録係は、参加者の非言語的反応を含めて記録する。 
これが正解です。 

第33回 問題115

ソーシャルワークの記録に関する次の記述のうち、逐語体の説明として、最も適切なものを1つ選びなさい。 
1 クライエントの基本的属性に関する事項を整理して記述する。 
2 経過記録などに用いられ、ソーシャルワーク過程の事実経過を簡潔に記述する。 
3 出来事の主題に関連して重要度の高いものを整理し、要点をまとめて記述する。 
4 出来事に対するソーシャルワーカーの解釈や見解を記述する。 
5 ソーシャルワーカーとクライエントの会話における発言をありのままに再現して記述する。 

1 クライエントの基本的属性に関する事項を整理して記述する。 
これはフェイスシートのことでしょうか? 

2 経過記録などに用いられ、ソーシャルワーク過程の事実経過を簡潔に記述する。 
これは叙述体です。 

3 出来事の主題に関連して重要度の高いものを整理し、要点をまとめて記述する。 
これは要約体です。 

4 出来事に対するソーシャルワーカーの解釈や見解を記述する。 
これは説明体です。 

5 ソーシャルワーカーとクライエントの会話における発言をありのままに再現して記述する。 
これが逐語体で、正解です。 

第35回 問題114

ソーシャルワークの記録に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 フェイスシートには、全体の振り返りや目標達成の評価を記述する。
2 アセスメントシートには、目標を設定し具体的な解決策を記述する。
3 プロセスシートには、目標に対する援助過程を時系列に記述する。
4 プランニングシートには、クライエントの基本的属性を項目ごとにまとめて記述する。
5 クロージングシートには、クライエントの主訴、解決したいことを記述する。

選択肢3が正解です。

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