ソーシャルアクション

ソーシャルワークの直接援助技術としてはケースワークやグループワークが良く知られていますが、間接援助技術の1つにソーシャルアクションがあります。

ソーシャルワーク
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ソーシャルアクションの起源

ソーシャルアクションの源流は、19世紀後半のアメリカにおける社会改良運動、ジェーン・アダムス(Addams,J.)によるセツルメント運動にあります。

カリスマくん
カリスマくん

アリス・ペティ・アダムスも日本のセツルメントの先駆けだったね。

日本では、戦前の方面委員による救護法制定がソーシャルアクションの良い例です。

ソーシャルアクションとは

ソーシャルアクションは、クライエントや地域住民ニーズに応えて地域の組織化(コミュニティオーガニゼーション)を図り、世論を喚起しながら、既存の制度や仕組みの改善・拡充・創設などを目指して、行政機関等に働きかける組織的な活動で、アドボカシーとしての機能もあります。

ソーシャルアクション、アドボカシー、コミュニティオーガニゼーション

過去問

第28回 問題113

ソーシャルアクションに関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1 目的には、社会参加の促進は含まれない。
2 対象には、個人は含まれない。
3 内容には、ソーシャルアドミニストレーションが含まれる。
4 展開過程には、学習会や調査などによる問題と要求の明確化が含まれる。
5 形態には、自らの課題を克服し、要求を実現する組織化は含まれない。

1 目的には、社会参加の促進は含まれない。
そんなことはありません。

2 対象には、個人は含まれない。
そんなことはありません。

3 内容には、ソーシャルアドミニストレーションが含まれる。
誤りです。ソーシャルアクションとソーシャルアドミニストレーションは別物です。ソーシャルアドミニストレーション(社会福祉運営管理とは、福祉が効率的に行われるよう組織の見直しや運営管理をする方法です。

4 展開過程には、学習会や調査などによる問題と要求の明確化が含まれる。
これが正解です。

5 形態には、自らの課題を克服し、要求を実現する組織化は含まれない。
そんなことはありません。

第29回 問題34

ソーシャルアクションに関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
1 欧米におけるソーシャルアクションの源流は、1960年代のアメリカの福祉権活動とされている。
2 戦前の方面委員による救護法制定・実施の運動は、ソーシャルアクションの事例とされる。
3 ソーシャルアクションは、コミュニティオーガニゼーションと密接にかかわるソーシャルワークの方法である。
4 ソーシャルアクションは当事者の活動に限られ、福祉専門職は関わらないとされる。
5 ソーシャルアクションの展開過程には、住民の理解の促進及び世論形成は含まれない。

1 欧米におけるソーシャルアクションの源流は、1960年代のアメリカの福祉権活動とされている。
誤りです。ソーシャルアクションの源流はもっと昔、19世紀後半のアメリカにおける社会改良運動、アダムスによるセツルメント運動などです。

2 戦前の方面委員による救護法制定・実施の運動は、ソーシャルアクションの事例とされる。
正しいです。日本のソーシャルアクションの事例です。

3 ソーシャルアクションは、コミュニティオーガニゼーションと密接にかかわるソーシャルワークの方法である。
正しいです。コミュニティオーガニゼーションはこちら。

4 ソーシャルアクションは当事者の活動に限られ、福祉専門職は関わらないとされる。
そんなことはありません。

5 ソーシャルアクションの展開過程には、住民の理解の促進及び世論形成は含まれない。
そんなことはありません。

第33回 問題117

事例を読んで、P市社会福祉協議会のKソーシャルワーカー(社会福祉士)によるソーシャルアクションの実践として、適切なものを2つ選びなさい。
〔事例〕
Kソーシャルワーカーは、以前から面識のあったLさん(32歳)から相談を受けた。
Lさんの同性のパートナーであるMさん(35歳)が、残業が続くつらい日々の中、職場で倒れて病院に救急搬送され、緊急手術を受けた。Lさんは、すぐに病院に駆けつけ面会しようとしたが、病院からは、「家族ではないため面会はできない」と伝えられた。「自分たちの関係が社会的に認められず、何かあったときに助け合うこともできない」とLさんは涙ながらに訴えた。Kソーシャルワーカーは上司と相談し、LGBTへの偏見や差別を解消し、地域住民の理解を深めるために、支援を行うことにした。
1 地域住民の反発を避け、円滑に医療を受けることを優先し、まずは病院の規則のとおりにするようアドバイスをする。
2 LGBTを支援する団体と連携し、同じような経験をした人の意見交換の場をつくる。
3 病院内の退院支援に向けたカンファレンスに参加し、Mさんの今後の地域生活で必要な医療的ケアについて検討する。
4 Mさんの職場に対し、長時間労働が常態化する職場環境の改善を求めて交渉する。
5 他市の「同性パートナーシップ証明」発行の取組について、地域住民を対象とした学習会を開催する。

選択肢2と5が正解です。これがソーシャルアクションです。

次の記事

次は、アドボカシーやソーシャルアクションと密接に関わっている「コミュニティオーガニゼーション」です。

【コミュニティワーク】コミュニティオーガニゼーションって何?
ソーシャルワークの三大技術・ケースワーク・グループワーク・コミュニティワークの中で、コミュニティワークの源流になっているのがコミュニティオーガニゼーションです。コミュニティワークやその原点であるコミュニティオーガニゼーショ...

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