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カリスマ渾身の一冊

【福祉事務所】社会福祉主事は補助機関

福祉事務所は、正確には「福祉に関する事務所」といい、社会福祉法に規定されています。

いったい何をやっているところなのでしょう。

福祉事務所は生活保護関連の業務ばかりのイメージがありますが、実際は違います。

都道府県福祉事務所は福祉三法、市町村福祉事務所は福祉六法を所管しています。

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福祉事務所の概要

成立ち

1949年 戦後GHQの支配下にあった日本で、GHQは以下の内容を日本政府に求めます。

・福祉行政の確立
・社会福祉における公的活動と民間活動を区別
・その他4項目

その民間活動としてできたのが全国社会福祉協議会です。

そして1951年に制定された社会福祉事業法(現:社会福祉法)の中で、福祉行政の確立のために規定されたのが福祉事務所で、同時に社会福祉主事が誕生します。

カリスマくん
カリスマくん

社会福祉事業法は社会福祉法の前身だったね。社会福祉事業法が制定された当時から福祉事務所は規定されていたよ。

管轄(福祉三法と福祉六法)

福祉事務所は生活保護関連の業務ばかりやっているというイメージがありますが、実際は老人、障害、児童など多岐にわたっています。

福祉事務所は社会福祉法第14条で規定されており以下の業務を行っています。

<市町村の福祉事務所>
・生活保護法
・児童福祉法
・母子及び父子並びに寡婦福祉法
・身体障害者福祉法
・知的障害者福祉法
・老人福祉法
<都道府県の福祉事務所>
・生活保護法
・児童福祉法
・母子及び父子並びに寡婦福祉法

上記の通り、市町村福祉事務所は福祉六法、都道府県福祉事務所は福祉三法を所管しています。

1990年福祉八法改正で老人と身体障害者の措置事務が都道府県から町村へ移譲されました。

さらに2003年知的障害者の施設入所措置事務等が都道府県から町村へ移譲されたことで、都道府県の所管は従来の福祉六法から福祉三法(生活保護法、児童福祉法、母子及び寡婦福祉法)になっています。

障害者や高齢者の入所措置事務は市町村へ移譲されましたが、児童の入所措置は都道府県に残ったままです。

カリスマくん
カリスマくん

児童の入所措置は親と同居するという権利を奪うことになるので、市町村には荷が重い仕事なんだね。

福祉三法や福祉六法などの単語は戦後の福祉関係法が整備される過程でも用いられており、当時の定義とは異なります。

詳細は以下の表で確認してください。

法律 福祉三法 福祉六法 福祉八法 現 福祉八法 都道府県福祉事務所(福祉三法) 市町村福祉事務所(福祉六法)
1946 旧生活保護法 (〇)          
1947 児童福祉法 〇 〇 〇 〇 〇 〇
1949 身体障害者福祉法 〇 〇 〇 〇   〇
1950 生活保護法 〇 〇   〇 〇 〇
1951 社会福祉事業法     〇      
1960 精神薄弱者福祉法   〇 〇      
1963 老人福祉法   〇 〇 〇   〇
1964 母子福祉法   〇 〇 〇 〇 〇
1982 老人保健法     〇      
1984 社会福祉医療事業団法     〇      
1999 知的障害者福祉法       〇   〇
2000 社会福祉法       〇    
2008 高齢者医療確保法       〇    

設置者

都道府県と市に設置義務があり、町村は任意です。

市の福祉事務所は市長の指揮監督を受けます。

全国900町村のうち福祉事務所を設置しているのは50程度、2000年以前は2町村のみでした。

ただし福祉事務所を設置していない町村でも社会福祉主事を置くことができます。

また福祉事務所を設置していない町村でも急迫した理由により要保護者を保護しなければなりません。

職員配置

福祉事務所に配置される所長および所員は以下の4種類で、所員の定数は条例で定められます。ただし、現業を行う所員の数は、各事務所につき非保護世帯数によって標準数が定められています。

職員通称役割
所長都道府県知事又は市町村長(特別区の区長を含む。)の指揮監督を受けて、所務を掌理する。
指導監督を行う所員
(社会福祉主事)
査察指導員所の長の指揮監督を受けて、現業事務の指導監督を司る。
現業を行う所員
(社会福祉主事)
現業員所の長の指揮監督を受けて、援護、育成又は更生の措置を要する者等の家庭を訪問し、又は訪問しないで、これらの者に面接し、本人の資産、環境等を調査し、保護その他の措置の必要性の有無及びその種類を判断し、本人に対し生活指導を行う等の事務を司る。
事務を行う所員所の長の指揮監督を受けて、所の庶務を司る。

社会福祉主事:事務の執行に関する「補助機関」であり、20歳以上でなければなりません。

上記のほか、身体障害者福祉司や知的障害者福祉司などが配置されることもあります。

カリスマくん
カリスマくん

旧生活保護法では民生委員が「補助機関」だったけど、現生活保護法では民生委員は「協力機関」になり、代わりに社会福祉主事が「補助機関」になったよ。補助機関は生活保護の受給の判断などができるけど、協力機関にはその権限はないよ。

社会福祉主事

福祉事務所運営のカギを握っている社会福祉主事は、どうやったらなれるのでしょう。

そもそも国家資格なのか、民間資格なのか、そもそもこれは資格なのかという疑問が湧いてきます。

社会福祉主事は「任用資格」です。

任用資格とは、公務員としてその業務に就くことで名乗ることができる資格です。

つまり社会福祉主事任用資格を持っていても、福祉事務所の現業員として任用されないと「社会福祉主事」を名乗ることはできません。

社会福祉主事任用資格を取得するには、以下の5つのいずれかを満たせばOKです。

・大学等で指定科目を履修して卒業する
・所定の学校の通信課程を修了する
・指定養成機関を修了する
・都道府県等講習会を受講する
・社会福祉士もしくは精神保健福祉士の資格がある

ということで、社会福祉士国家資格を取得すれば社会福祉主事の任用資格となり、福祉事務所に任用された段階で社会福祉主事となります。

過去問

第31回 問題67

社会福祉法に定める福祉に関する事務所(福祉事務所)の組織と業務に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 福祉事務所の指導監督を行う所員及び現業を行う所員は、都道府県知事又は市町村長の事務の執行に協力する機関である。
2 現業を行う所員は、援護、育成又は更生の措置を要する者の家庭を訪問するなどして、生活指導を行う事務をつかさどる。
3 厚生労働大臣の定める試験に合格しなければ、社会福祉主事になることができない。
4 福祉事務所の長は、福祉事務所の指導監督を行う所員の経験を5年以上有した者でなければならない。
5 福祉事務所の指導監督を行う所員及び現業を行う所員は、社会福祉主事でなくてもよい。

1 福祉事務所の指導監督を行う所員及び現業を行う所員は、都道府県知事又は市町村長の事務の執行に協力する機関である。
「現業を行う職員(ケースワーカー)」=社会福祉主事で、協力機関ではなく「補助機関」です。

2 現業を行う所員は、援護、育成又は更生の措置を要する者の家庭を訪問するなどして、生活指導を行う事務をつかさどる。
これが正解です。

3 厚生労働大臣の定める試験に合格しなければ、社会福祉主事になることができない。
社会福祉主事は任用資格なので、例えば社会福祉士の資格を持っている人が福祉事務所に任用されれば「社会福祉主事」になります。つまり試験などはありません。

4 福祉事務所の長は、福祉事務所の指導監督を行う所員の経験を5年以上有した者でなければならない。
そんなことはありません。

5 福祉事務所の指導監督を行う所員及び現業を行う所員は、社会福祉主事でなくてもよい。
福祉事務所の指導監督を行う所員及び現業を行う所員は、社会福祉主事でなければなりません。

第32回 問題67

福祉事務所の組織及び設置に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 福祉事務所の現業を行う所員(現業員)の定数については、生活保護法で定めている。
2 市が設置する福祉事務所の社会福祉主事は、生活保護法の施行について、市長の事務の執行を補助する。
3 福祉事務所の指導監督を行う所員(査察指導員)、現業を行う所員(現業員)、事務を行う所員はいずれも社会福祉主事でなければならない。
4 福祉事務所の長は、厚生労働大臣の指揮監督を受けて、所務を掌理する。
5 福祉事務所に置かれている社会福祉主事は、25歳以上の者でなければならない。

1 福祉事務所の現業を行う所員(現業員)の定数については、生活保護法で定めている。
生活保護法ではなく、社会福祉法に職員配置の標準が定められています。

2 市が設置する福祉事務所の社会福祉主事は、生活保護法の施行について、市長の事務の執行を補助する。
これが正解です。
社会福祉主事は生活保護業務の「補助機関」でした。

3 福祉事務所の指導監督を行う所員(査察指導員)、現業を行う所員(現業員)、事務を行う所員はいずれも社会福祉主事でなければならない。
指導監督を行う所員と現業を行う所員は社会福祉主事でなければなりませんが、事務を行う所員は社会福祉主事である必要はありません。

4 福祉事務所の長は、厚生労働大臣の指揮監督を受けて、所務を掌理する。
福祉事務所設置自治体の長の指揮監督を受けます。
厚生労働大臣なわけありません。

5 福祉事務所に置かれている社会福祉主事は、25歳以上の者でなければならない。
社会福祉主事は20歳以上でなければなりません。

第33回 問題68

福祉事務所の組織及び運営に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 都道府県及び市(特別区を含む)は、条例で、福祉事務所を設置しなければならない。
2 都道府県知事は、生活保護法に定める職権の一部を、社会福祉主事に委任することができる。
3 生活保護の現業を行う所員(現業員)は、保護を決定し実施することができる。
4 福祉事務所の指導監督を行う所員(査察指導員)及び現業を行う所員(現業員)は、生活保護法
外の業務に従事することは禁止されている。
5 福祉事務所の長は、高度な判断が求められるため社会福祉士でなければならない。

1 都道府県及び市(特別区を含む)は、条例で、福祉事務所を設置しなければならない。
これが正解です。

2 都道府県知事は、生活保護法に定める職権の一部を、社会福祉主事に委任することができる。
誤りです。社会福祉主事ではなく「その管理に属する行政庁」に委任することができます。

3 生活保護の現業を行う所員(現業員)は、保護を決定し実施することができる。
誤りです。現業員は事務の執行を補助する役割で、保護を決定し実施するのは福祉事務所を設置する自治体の長です。

4 福祉事務所の指導監督を行う所員(査察指導員)及び現業を行う所員(現業員)は、生活保護法外の業務に従事することは禁止されている。
誤りです。査察指導員と現業員は、職務の遂行に支障がない場合に、他の社会福祉又は保健医療に関する事務を行うことができます。

5 福祉事務所の長は、高度な判断が求められるため社会福祉士でなければならない。
このような規定はありません。

第30回 問題66

福祉事務所を設置していない町村の役割・機能に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 町村は社会福祉主事を置くことができる。
2 町村は、生活保護法における保護の変更の申請を受け取ったときは、保護の変更を決定すること
ができる。
3 保護の実施機関は、町村に対し被保護者への保護金品の交付を求めることはできない。
4 町村は、被保護者に対し必要な指導又は指示をすることができる。
5 保護の開始の申請は、町村を経由して行うことができない。

選択肢1が正解です。選択肢2と4については、福祉事務所を設置していない町村は保護の実施機関
ではないため、このような権限はありません。

第37回 問題26

社会福祉法に定められた福祉に関する事務所(福祉事務所)についての次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 市町村は福祉事務所を設置しなければならない。
2 現業を行う所員については、社会福祉主事を充てるよう努めなければならない。
3 現業を行う所員の数については、事務所ごとに標準数が定められている。
4 指導監督を行う所員は、社会福祉士でなければならない。
5 都道府県が設置する福祉事務所は、老人福祉法に定める福祉の措置に関する事務を行わなければならない。

1 市町村は福祉事務所を設置しなければならない。
誤りです。福祉事務所に設置義務があるのは都道府県と市です。町村は任意です。

2 現業を行う所員については、社会福祉主事を充てるよう努めなければならない。
誤りです。これは努力義務ではなく義務です。

3 現業を行う所員の数については、事務所ごとに標準数が定められている。
正しいです。社会福祉法第16条に規定されています。

4 指導監督を行う所員は、社会福祉士でなければならない。
誤りです。指導監督を行う所員は、社会福祉主事でなければなりません。

5 都道府県が設置する福祉事務所は、老人福祉法に定める福祉の措置に関する事務を行わなければならない。
誤りです。都道府県福祉事務所は福祉三法(生活保護法、児童福祉法、母子及び父子並びに寡婦福祉法)を所管していますので、老人福祉法は対象外です。

次の記事

次は福祉計画について学びます。社会福祉法に規定されているのは地域福祉計画ですが、それ以外にもたくさんありますのでまとめて覚えましょう。

「福祉計画」の覚え方
福祉計画は覚えにくいですが、高齢関係2本、障害関係3本、児童関係2本、その他とまとめて、それぞれの計画の関係性を学んでいけば記憶に残ります。

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