<出版のお知らせ>

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受験生に大人気の福祉年表付き、この1冊に福祉の全てが詰まっています。

カリスマ渾身の一冊

【認知症施策】認知症サポーターとキャラバンメイト

高齢化社会の中で、認知症患者は急速に増え続けています。

そのための対策として、認知症サポーターキャラバンが全国的に展開されています。

認知症患者への治療として、バリデーション療法、認知症ケアマッピング、ユマニチュードなどの単語の意味も覚えておきましょう。

意味を知っているだけで点数になります。

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歴史

認知症施策の歴史を見ていきましょう。

2012年 認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)

オレンジプランは以下の7本の柱で構成されています。

  1. 標準的な認知症ケアパスの作成・普及
  2. 早期診断・早期対応
  3. 地域での生活を支える医療サービスの構築
  4. 地域での生活を支える介護サービスの構築
  5. 地域での日常生活・家族の支援の強化
  6. 若年性認知症施策の強化
  7. 医療・介護サービスを担う人材の育成

認知症ケアパスは、市町村ごとに認知症発症予防から人生の最終段階まで、認知症の容態に応じ、相談先や、いつ、どこで、どのような医療・介護サービスを受ければいいのか、これらの流れをあらかじめ標準的に示したものです。

2015年 認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)

新オレンジプランは以下の7本の柱で構成されています。

・「認知症の理解を深めるための普及・啓発の促進」
・「認知症の容態に応じた適宜・適切な医療・介護等の提供」
・若年性認知症施策の強化
・認知症の人の介護者への支援
・認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進
認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーション、介護モデルなどの研究開発及びその成果の普及の推進
・認知症の人やその家族の視点の重視

2019年 認知症施策推進大綱

2019年の認知症施策推進大綱では、以下の5つの柱に沿って施策を推進するとされています。

1.普及啓発・本人発信支援
2.予防
3.医療・ケア・介護サービス・介護者への支援
4.認知症バリアフリーの推進・若年性認知症の人への支援・社会参加支援
5.研究開発・産業促進・国際展開
カリスマくん
カリスマくん

下ででてくる認知症サポーターは、この普及啓発・本人発信支援の中ででてくるよ。

2023年 認知症基本法

認知症基本法は、正式名称「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」で、2023年6月に成立し、2024年1月1日に施行されました。

ポイントは以下のとおりです。

・この法律において「認知症」とは、アルツハイマー病その他の神経変性疾患、脳血管疾患その他の疾患により日常生活に支障が生じる程度にまで認知機能が低下した状態として政令で定める状態をいう
・認知症の日は9月21日とし、認知症月間は9月1日~9月30日までとする。
・政府は、認知症施策推進基本計画を定めなければならない
・都道府県は、都道府県認知症施策推進計画を策定するよう努めなければならない
・市町村は、市町村認知症施策推進計画を策定するよう努めなければならない
・認知症施策を総合的かつ計画的に推進するため、内閣に、認知症施策推進本部を置く

認知症を支援する人たち

認知症サポーター

厚生労働省のHPによると、認知症サポーターについて以下のように書かれています。

認知症に対する正しい知識と理解を持ち、地域で認知症の人やその家族に対してできる範囲で手助けする「認知症サポーター」を全国で養成し、認知症高齢者等にやさしい地域づくりに取り組んでいます。
とくに認知症サポーターにはなにかをとくべつにやってもらうものではありません。
認知症を正しく理解してもらい、認知症の人や家族を温かく見守る応援者になってもらいます。
そのうえで、自分のできる範囲で活動できればいいのです。
たとえば、友人や家族にその知識を伝える、認知症になった人や家族の気持ちを理解するよう努める、隣人あるいは商店・交通機関等、まちで働く人として、できる範囲で手助けをする、など活動内容は人それぞれです。
また、サポーターのなかから地域のリーダーとして、まちづくりの担い手が育つことも期待されます。
なお、認知症サポーターには認知症を支援する「目印」として、ブレスレット(オレンジリング)をつけてもらいます。
この「オレンジリング」が連繋の「印」になるようなまちを目指します。

ということで、認知症サポーターは認知症に対する正しい知識と理解を持ったボランティアだということです。
認知症サポーター養成講座を受講すれば誰でもなることができて、オレンジリングがもらえると書いてありましたね。

カリスマくん
カリスマくん

オレンジは認知症を表す色だよ。オレンジプランは認知症施策の計画だったね。

特定非営利活動法人地域ケア政策ネットワークのHPを見ると、認知症サポーターは全国に1000万人以上、なんと国民の10人に1人が認知症サポーターということです。

つまり、国は認知症に対する正しい知識に認識を持った人を増やしたいので、このような制度を作ったわけです。

だから認知症サポーターは特別な資格ではなく、養成講座を受講すれば誰でもなれて、どんどん増え続けて現在は1000万人を超えています。

認知症サポーター養成講師はキャラバンメイトといいますので合わせて覚えておきましょう。
キャラバンメイトは全国に10万人以上います。

介護サービス相談員

介護保険制度の地域支援事業には、介護サービス相談員等派遣事業という任意事業があります。この事業では、介護サービス相談員が介護保険サービスを提供する施設・事業所や食事提供サービス等を提供する住宅型有料老人ホームや安否確認・生活相談サービスを提供するサービス付き高齢者向け住宅を訪ね、利用者の話を聞き、相談に応じます。

介護サービス相談員は、都道府県や公益団体などが実施する専門研修を受講することで市町村に登録されます。

認知症地域支援推進員

認知症地域支援推進員は、地域包括支援センターや市町村本庁などに配置され、認知症の医療や介護の専門的知識および経験を有する医師、保健師、看護師、社会福祉士、精神保健福祉士などが担います。

医療や介護等の支援ネットワーク構築、認知症対応力向上のための支援、相談支援、認知症の人や家族への相談支援を行います。

カリスマくん
カリスマくん

認知症サポーターのようなボランティアと違って、認知症地域支援推進員は給料の支払われる仕事だよ。

若年性認知症支援コーディネーター

若年性認知症コーディネーターは、都道府県ごとに設置された若年性認知症に関する相談窓口に配置され、若年性認知症の人の自立支援に関わる関係者のネットワークの調整役として働きます。

認知症関連の事業

認知症地域支援・ケア向上事業

市町村ごとに実施されます。

認知症地域支援推進員を配置し、認知症対応力向上のための支援や相談、ネットワーク構築することが目的です。

認知症地域支援推進員の企画により認知症カフェを開催し、認知症の人や家族、専門職や地域住民との交流や情報交換を行う事業です。

認知症初期集中支援推進事業

この事業では早期の認知症鑑別診断を行い速やかに適切な医療や介護が受けられる体制を構築できるよう認知症初期集中支援チームを設置します。

認知症初期集中支援チームは認知症サポート医と医療系+介護系の計3名で構成されます。集中支援ですので、概ね6か月以内という期間が定められています。

認知症初期集中支援チームと認知症地域支援推進員

認知症疾患医療センター運営事業

認知症疾患医療センターの実施主体は都道府県と指定都市で、都道府県知事や指定都市市長が指定します。

認知症の鑑別診断や地域での認知症医療を提供する拠点となる活動を行う事業です。

日常生活自立支援事業

認知機能の低下した人の福祉サービス利用援助や消費契約、行政手続き等の支援を行う事業です。

日常生活自立支援事業を担う専門員は、原則として高齢者や障害者等に対する援助経験を有する社会福祉士や精神保健福祉士等で、一定の研修を受けた者がなれます。

カリスマくん
カリスマくん

日常生活自立支援事業と成年後見制度は、認知症や知的障害のある人のための権利擁護のための両輪だったね。

認知症の支援ツール

DCM(Dementia Care Mapping)

DCM(認知症ケアマッピング)は、パーソンセンタードケアの理念に基づいてケアの質を改善するために開発されたアセスメントツールです。

評価者(マッパー)が認知症の人の行動や状態を観察して記録し、その情報をケアスタッフと話し合いケアの質の改善を図ります。
認知症の人を1人の人として尊重し、その人の視点や立場に立って理解しながらケアを行うものです。

バリデーション療法

バリデーション療法は、認知症の人との言語、非言語療法によるコミュニケーションの方法です。
普通の暮らしから高齢になり見当識障害になった高齢者のための理論です。

ユマニチュード

ユマニチュードは、見る・話しかける・触れる・立つの4本柱を基礎とした150を超えるコミュニケーション技術です。

認知症高齢者が自分は大切にされていると感じることができ、攻撃的な行動、言動、介護への抵抗が抑制されます。

①まず見る(水平に相手の目を見る)
②次に話す(低めのトーンでゆっくりと抑揚をつけて)
③触れる(肩や手にそっと)
④自身で立つ(本人が1日を通して20分立てることが目標)

このようなケア技法によって「あなたは大切な存在です」と相手に伝えるのです。

カリスマくん
カリスマくん

ユマニチュードはフランス語で「人間らしさ」を意味するよ。

過去問

第30回 問題36

認知症の人や家族の支援に関わる専門職とボランティアに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 認知症サポーターは、地域包括支援センターから委嘱されて活動する。
2 日常生活自立支援事業における専門員は、原則として社会福祉士、精神保健福祉士等であって、一定の研修を受けた者である。
3 認知症地域支援推進員は、都道府県に配置され市町村の医療・介護等の支援ネットワーク構築の支援等を行う。
4 認知症ケア専門士は、認知症ケアに対する学識と技能及び倫理観を備えた専門の国家資格である。
5 介護相談員は、登録を行った後、介護相談員であることを証する文書が都道府県から交付される。

1 認知症サポーターは、地域包括支援センターから委嘱されて活動する。
間違いです。
認知症サポーター養成講座を受講した人がなれます。

2 日常生活自立支援事業における専門員は、原則として社会福祉士、精神保健福祉士等であって、一定の研修を受けた者である。
これが正解です。

3 認知症地域支援推進員は、都道府県に配置され市町村の医療・介護等の支援ネットワーク構築の支援等を行う。
間違いです。
認知症地域支援推進員は、都道府県ではなく市町村に配置されます。地域包括支援センターや市町村本庁などに配置され、認知症の医療や介護の専門的知識および経験を有する医師、保健師、看護師、社会福祉士、精神保健福祉士などが担います。

4 認知症ケア専門士は、認知症ケアに対する学識と技能及び倫理観を備えた専門の国家資格である。
認知症ケア専門士は国家資格ではなく、日本認知症ケア学会が認定する資格です。
認知症介護従事者の自己研鑽などが目的です。

5 介護相談員は、登録を行った後、介護相談員であることを証する文書が都道府県から交付される。
介護相談員であることを証する文書を交付するのは都道府県ではなく市町村です。介護相談員は「介護サービス相談員」と名称変更されています。

第29回 問題133

「認知症サポーターキャラバン」に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 認知症サポーターを養成する事業は、介護保険法において地域支援事業の一つとして法定化されている。
2 認知症サポーター養成講座を受講するためには、保健医療・福祉分野で高齢者支援に関する実務経験を有することが要件となっている。
3 認知症サポーターとキャラバン・メイトの総数は、平成27年12月現在、全国で約100万人である。
4 認知症サポーターには、地域包括支援センターに協力する努力義務が課せられている。
5 キャラバン・メイトは認知症サポーター養成講座の企画・立案及び実施を行う。

1 認知症サポーターを養成する事業は、介護保険法において地域支援事業の一つとして法定化されている。
間違いです。
介護保険法で法定化されているものではありません。

2 認知症サポーター養成講座を受講するためには、保健医療・福祉分野で高齢者支援に関する実務経験を有することが要件となっている。
認知症サポーター養成講座を受講するにあたって、特別な要件はありません。
ボランティアですから、とにかくたくさんの一般の人に受講してもらって、認知症に対する正しい知識を持ってもらうためのものなので、そんな条件ありません。

3 認知症サポーターとキャラバン・メイトの総数は、平成27年12月現在、全国で約100万人である。
間違いです。
認知症サポーターだけで1000万人を超えています。

4 認知症サポーターには、地域包括支援センターに協力する努力義務が課せられている。
認知症サポーターはボランティアですから、そんな努力義務はありません。

5 キャラバン・メイトは認知症サポーター養成講座の企画・立案及び実施を行う。
これが正解です。

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