男女雇用機会均等法
男女雇用機会均等法では、性別を理由とする差別の禁止だけでなく、「間接差別」も禁止されています。
性別を理由とする差別の禁止
第5条 事業主は、労働者の募集及び採用について、その性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならない。
第6条 事業主は、次に掲げる事項について、労働者の性別を理由として、差別的取扱いをしてはならない。
一 労働者の配置(業務の配分及び権限の付与を含む。)、昇進、降格及び教育訓練
二 住宅資金の貸付けその他これに準ずる福利厚生の措置であつて厚生労働省令で定めるもの
三 労働者の職種及び雇用形態の変更
四 退職の勧奨、定年及び解雇並びに労働契約の更新
間接差別の禁止
第7条 事業主は、募集及び採用並びに前条各号に掲げる事項に関する措置であつて労働者の性別以外の事由を要件とするもののうち、措置の要件を満たす男性及び女性の比率その他の事情を勘案して実質的に性別を理由とする差別となるおそれがある措置として厚生労働省令で定めるものについては、当該措置の対象となる業務の性質に照らして当該措置の実施が当該業務の遂行上特に必要である場合、事業の運営の状況に照らして当該措置の実施が雇用管理上特に必要である場合その他の合理的な理由がある場合でなければ、これを講じてはならない。
間接差別とは、
① 性別以外の事由を要件とする措置であって、
② 他の性の構成員と比較して、一方の性の構成員に相当程度の不利益を与えるものを、
③ 合理的な理由がないときに講ずること
をいいます。
例えば、職員採用に当たって身長・体重・体力要件を選考基準にすると、結果的に女性が採用されにくくなりますので、業務に必要な合理的理由がないと間接差別になります。
セクシャルハラスメントに対する雇用管理上の措置義務
第11条 事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
令和7年版 男女共同参画白書
1999年の男女共同参画社会基本法の制定以来、配偶者暴力防止法、女性活躍推進法、男女共同参画推進法が整備され、現在では女性の就業者数は増加し、結婚・出産期に一旦低下し育児が落ち着いた時期に再び上昇する「M字カーブ」の問題は解消に向かいつつありますが、出産を契機に女性が非正規雇用化する「L字カーブ」や男女間賃金格差の問題が残っています。
就業率
就業率は、近年男女ともに上昇傾向にあります。2024年の就業率は、15~64歳の女性は74.1%、25~44歳の女性は81.9%、15~64歳の男性は84.5%となっています。

正規雇用比率
女性の年齢階級別正規雇用比率は25~29歳の60.3%をピークに低下しています(L字カーブ)。

共働き世帯数と専業主婦世帯数の推移
2024年時点で、共働き世帯数は専業主婦世帯数の3倍以上となっています。

専業主婦が減ってるな~

妻の就業時間別共働き等世帯数の推移
この40年で、専業主婦世帯は減少傾向、妻がパートの共働き世帯は増加傾向にあります。妻がフルタイムの共働き世帯はこの40年で大きな変化はありませんが、近年は増加傾向にあります。

男女間の賃金格差
男女間賃金格差を国際比較すると、男性のフルタイム労働者の賃金の中央値を100とした場合の女性のフルタイム労働者の賃金の中央値は、OECD諸国の平均値が88.7に対して、日本は78.0であり、男女間賃金格差は国際的にみて大きいことがわかります。さらに韓国は日本以上に大きいです。

令和4年版男女共同参画白書
結婚・離婚・再婚件数の年次推移
全婚姻件数に占める再婚件数の割合は、2020年で26.4%となっています。

相対的貧困率
2018年では、ひとり親世帯の多くは貧困線(等価可処分所得の中央値の半分、2018年は127万円)近くに分布しており、「大人が一人」の世帯員の相対的貧困率(貧困線に満たない割合)は48.1%と、全体の15.4%を大きく上回っています。

過去問
第37回 問題27
次のうち、日本において、法令に照らして「間接差別」となる事例として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 男女同数の職場にもかかわらず、法人内の管理職がほとんど男性のため、次の昇任人事では女性職員を優先して管理職に登用することにした。
2 職場内で複数の職員が集まって、同僚の職員Aの私生活を噂し、それを聞いた職員Bが不快に思った。
3 広域にわたり展開する施設・事業所がなく、新規展開の計画がないにもかかわらず、転居を伴う転勤を要件として職員を募集し、男性だけを採用した。
4 車いすを利用する障害者が、正当な理由がないにもかかわらず公共交通機関の利用を拒否された。
5 特定の民族や国籍の人々に対し、その民族や国籍のみを理由として、地域社会からの排除を煽動する言動がなされた。
1 男女同数の職場にもかかわらず、法人内の管理職がほとんど男性のため、次の昇任人事では女性職員を優先して管理職に登用することにした。
誤りです。このような男女間格差の是正はポジティブアクションと呼ばれます。
2 職場内で複数の職員が集まって、同僚の職員Aの私生活を噂し、それを聞いた職員Bが不快に思った。
誤りです。間接差別に該当しません。
3 広域にわたり展開する施設・事業所がなく、新規展開の計画がないにもかかわらず、転居を伴う転勤を要件として職員を募集し、男性だけを採用した。
これが正解です。「広域にわたり展開する施設・事業所がなく、新規展開の計画がない」という合理的理由がない状態で転居を伴う転勤を要件として職員を募集すると、結果的に男性が採用されやすくなり、女性への間接差別になります。
4 車いすを利用する障害者が、正当な理由がないにもかかわらず公共交通機関の利用を拒否された。
誤りです。これは障害者差別解消法における合理的配慮の提供義務違反です。
5 特定の民族や国籍の人々に対し、その民族や国籍のみを理由として、地域社会からの排除を煽動する言動がなされた。
誤りです。これはヘイトスピーチ解消法における不当な差別的言動になります。
第35回 問題31
男女雇用機会均等政策に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 常時雇用する労働者数が101人以上の事業主は、女性の活躍に関する一般事業主行動計画を策定することが望ましいとされている。
2 セクシュアルハラスメントを防止するために、事業主には雇用管理上の措置義務が課されている。
3 総合職の労働者を募集・採用する場合は、理由のいかんを問わず、全国転勤を要件とすることは差し支えないとされている。
4 育児休業を取得できるのは、期間の定めのない労働契約を結んだフルタイム勤務の労働者に限られている。
5 女性労働者が出産した場合、その配偶者である男性労働者は育児休業を取得することが義務づけられている。
1 常時雇用する労働者数が101人以上の事業主は、女性の活躍に関する一般事業主行動計画を策定することが望ましいとされている。
誤りです。常時雇用する労働者数が101人以上の事業主は、一般事業主行動計画を策定しなければなりません。一般事業主行動計画は、次世代育成支援対策推進法と女性活躍推進法によるものの2種類あり、「女性の活躍に関する一般事業主行動計画」は女性活躍推進法によるもので、どちらも常時雇用する労働者数が101人以上の事業主に策定義務があります。
2 セクシュアルハラスメントを防止するために、事業主には雇用管理上の措置義務が課されている。
これが正解です。男女雇用機会均等法に定められています。
3 総合職の労働者を募集・採用する場合は、理由のいかんを問わず、全国転勤を要件とすることは差し支えないとされている。
誤りです。このような内容は、男女雇用機会均等法で間接差別として禁止されています。
4 育児休業を取得できるのは、期間の定めのない労働契約を結んだフルタイム勤務の労働者に限られている。
誤りです。育児休業を取得できるのは日々雇用以外の労働者ですので、有期契約労働者も対象です。ただし、子が1歳半になる日までに労働契約が満了することが明らかでないことが条件です。
5 女性労働者が出産した場合、その配偶者である男性労働者は育児休業を取得することが義務づけられている。
誤りです。男性も女性も育児休業の取得は義務ではありません。
第38回 問題20
内閣府「令和7年版 男女共同参画白書」における女性の就業に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 2024年(令和6年)時点で、20歳代後半から30歳代前半の女性の就業率は約50%である。
2 2024年(令和6年)時点で、妻が64歳以下の世帯では、「男性雇用者と無業の妻から成る世帯」と「雇用者の共働き世帯」の数はほぼ等しい。
3 妻が64歳以下の雇用者の共働き世帯では、1985年(昭和60年)から2024年(令和6年)の間に、妻が週35時間以上就業する世帯の数が約2倍に増加している。
4 2023年(令和5年)時点の「男女間賃金格差」の国際比較をみると、日本と韓国は経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均値と比べて男女間の賃金格差が大きい。
5 2024年(令和6年)時点で、女性の年齢階級別正規雇用比率をグラフに示すと、30歳代前半でピークを迎えた後は低下を続けている。
(注) 「男女間賃金格差」とは、フルタイム労働者について男性賃金の中央値を100とした場合の女性賃金の中央値の水準を割合表示した数値のことである。
1 2024年(令和6年)時点で、20歳代後半から30歳代前半の女性の就業率は約50%である。
誤りです。25~44歳の女性の就業率は81.9%となっています。
2 2024年(令和6年)時点で、妻が64歳以下の世帯では、「男性雇用者と無業の妻から成る世帯」と「雇用者の共働き世帯」の数はほぼ等しい。
誤りです。2024年時点で、共働き世帯数は専業主婦世帯数の3倍以上となっています。
3 妻が64歳以下の雇用者の共働き世帯では、1985年(昭和60年)から2024年(令和6年)の間に、妻が週35時間以上就業する世帯の数が約2倍に増加している。
誤りです。妻が週35時間以上就業する世帯の数は、この40年で大きな変化はありません。
4 2023年(令和5年)時点の「男女間賃金格差」の国際比較をみると、日本と韓国は経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均値と比べて男女間の賃金格差が大きい。
これが正解です。
5 2024年(令和6年)時点で、女性の年齢階級別正規雇用比率をグラフに示すと、30歳代前半でピークを迎えた後は低下を続けている。
誤りです。女性の年齢階級別正規雇用比率は25~29歳の60.3%をピークに低下しています。
第35回 問題17
「令和4年版男女共同参画白書」(内閣府)に示された近年の家族の動向に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 2020年(令和2年)において、全婚姻件数における再婚件数の割合は40%を超えている。
2 家事、育児における配偶者間の負担割合について、「配偶者と半分ずつ分担したい」(外部サービスを利用しながら分担するを含む)と希望する18~39歳の男性の割合は、70%を超えている。
3 20代の男性、女性ともに50%以上が、「配偶者はいないが恋人はいる」と回答している。
4 2021年(令和3年)において、妻が25~34歳の「夫婦と子供から成る世帯」のうち、妻が専業主婦である世帯の割合は、50%を超えている。
5 子供がいる現役世帯のうち、「大人が一人」の世帯の世帯員の2018年(平成30年)における相対的貧困率は、30%を下回っている。
1 2020年(令和2年)において、全婚姻件数における再婚件数の割合は40%を超えている。
誤りです。再婚件数の割合は26.4%となっています。
2 家事、育児における配偶者間の負担割合について、「配偶者と半分ずつ分担したい」(外部サービスを利用しながら分担するを含む)と希望する18~39歳の男性の割合は、70%を超えている。
これが正解です。
3 20代の男性、女性ともに50%以上が、「配偶者はいないが恋人はいる」と回答している。
誤りです。20代男性で19.1%、20代女性で27.3%です。
4 2021年(令和3年)において、妻が25~34歳の「夫婦と子供から成る世帯」のうち、妻が専業主婦である世帯の割合は、50%を超えている。
誤りです。妻が25~34歳の「夫婦と子供から成る世帯」のうち、妻が専業主婦である世帯の割合は33.8%となっています。
5 子供がいる現役世帯のうち、「大人が一人」の世帯の世帯員の2018年(平成30年)における相対的貧困率は、30%を下回っている。
誤りです。ひとり親世帯の相対的貧困率は48.1%となっています。
第36回 問題136
子ども・家庭の生活実態に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 「令和4年版男女共同参画白書」(内閣府)によると、子供がいる世帯の妻の就業状態は、パートタイム労働よりフルタイム労働の割合が高くなっている。
2 「令和4年版犯罪白書」(法務省)によると、少年の刑法犯等検挙人員は令和3年には戦後最大となった。
3 「令和3年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」(文部科学省)によると、いじめの認知(発生)件数は、令和2年度に比べ減少した。
4 「令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果の概要」(厚生労働省)によると、母子家庭の世帯の平均年間収入は、同年の国民生活基礎調査による児童のいる世帯の平均所得の約8割である。
5 「令和3年度ヤングケアラーの実態に関する調査研究」の小学校調査によると、「ヤングケアラーと思われる子どもの状況」(複数回答)では、「家族の通訳をしている(日本語や手話など)」に比べて、「家族の代わりに、幼いきょうだいの世話をしている」が多い。
(注) 「令和3年度ヤングケアラーの実態に関する調査研究」とは、株式会社日本総合研究所が、令和3年度子ども・子育て支援推進調査研究事業(厚生労働省)として実施したものである。
1 「令和4年版男女共同参画白書」(内閣府)によると、子供がいる世帯の妻の就業状態は、パートタイム労働よりフルタイム労働の割合が高くなっている。
誤りです。フルタイム労働よりパートタイム労働の方が多くなっています。
2 「令和4年版犯罪白書」(法務省)によると、少年の刑法犯等検挙人員は令和3年には戦後最大となった。
誤りです。少年の刑法犯等検挙人員は減少傾向にあり、令和3年には戦後最少になりました。
3 「令和3年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」(文部科学省)によると、いじめの認知(発生)件数は、令和2年度に比べ減少した。
誤りです。増加しています。
4 「令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果の概要」(厚生労働省)によると、母子家庭の世帯の平均年間収入は、同年の国民生活基礎調査による児童のいる世帯の平均所得の約8割である。
誤りです。母子家庭の世帯の平均年間収入は、同年の国民生活基礎調査による児童のいる世帯の平均所得の半分にも満たない金額です。
5 「令和3年度ヤングケアラーの実態に関する調査研究」の小学校調査によると、「ヤングケアラーと思われる子どもの状況」(複数回答)では、「家族の通訳をしている(日本語や手話など)」に比べて、「家族の代わりに、幼いきょうだいの世話をしている」が多い。
これが正解です。「家族の代わりに、幼いきょうだいの世話をしている」が約8割を占めています。
次の記事
次は、ライフサイクルやライフコースなどの人生用語について。



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