この社会は移り変わっていきます。軍事社会から産業社会へ、工業社会から脱工業社会へ、ゲマインシャフトからゲゼルシャフトへ、このような社会変動の理論を見ていきましょう。
社会変動の理論
ゲマインシャフト→ゲゼルシャフト by テンニース
テンニース(Tonnies,F.)は、社会は歴史的にゲマインシャフトからゲゼルシャフトへ移行すると主張しました。
ゲゼルシャフト:大都市や国など、利害や打算などの「選択意思」に基づいて形成される、企業や大都市、国家などの人為的な集団
軍事型社会→産業型社会 by スペンサー
スペンサー(Spencer, H.)は、社会の発展に伴い、軍事型社会から産業型社会へ移行すると主張しました。
工業社会→脱工業社会 by ベル
ベル(Bell,D.)は、産業化の進展に伴って、工業社会から脱工業社会(脱工業化社会)が到来すると主張しました。脱工業社会では、財貨の生産を中心とする経済からサービスを中心とする経済へ移行し、専門職や技術職が優位になります。
近代→現代(リスク社会) by ベック
ベック(Beck, U.)は著書『リスク社会』の中で、産業社会の発展に伴う環境破壊等によって人々の生活や社会が脅かされ、何らかの対処が迫られている現代をリスク社会という概念で表現しました。
昔は、人間が人間に与えてきた苦悩、困窮、暴力の対象が「他者」に限定されていたが、現代ではその壁がなくなっていると主張しています。

つまり昔は、他者=ユダヤ人、黒人、女性など特定の人々が困窮や暴力の対象になってたけど、現代はそのようなリスクが他者に限定されなくなっているってこと。チェルノブイリ原発事故を例に、リスクが全ての人に及んでいることを主張しているよ。
機械的連帯→有機的連帯 by デュルケム
デュルケム(Durkheim,E.)は著書『社会分業論』の中で、近代化に伴い社会的分業が進展し、機械的連帯(類似した人々が結びつく)から有機的連帯(異質な個人が相互依存的に結びつく)に移行するとしました。
過去問
第35回 問題16
社会変動の理論に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ルーマン(Luhmann, N.)は、社会の発展に伴い、軍事型社会から産業型社会へ移行すると主張した。
2 テンニース(Tonnies, F.)は、自然的な本質意志に基づくゲマインシャフトから人為的な選択意志に基づくゲゼルシャフトへ移行すると主張した。
3 デュルケム(Durkheim, E.)は、産業化の進展に伴い、工業社会の次の発展段階として脱工業社会が到来すると主張した。
4 スペンサー(Spencer, H.)は、近代社会では適応、目標達成、統合、潜在的パターン維持の四つの機能に対応した下位システムが分出すると主張した。
5 パーソンズ(Parsons, T.)は、同質的な個人が並列する機械的連帯から、異質な個人の分業による有機的な連帯へと変化していくと主張した。
1 ルーマン(Luhmann, N.)は、社会の発展に伴い、軍事型社会から産業型社会へ移行すると主張した。
誤りです。これはスペンサーの内容です。
2 テンニース(Tonnies, F.)は、自然的な本質意志に基づくゲマインシャフトから人為的な選択意志に基づくゲゼルシャフトへ移行すると主張した。
これが正解です。
3 デュルケム(Durkheim, E.)は、産業化の進展に伴い、工業社会の次の発展段階として脱工業社会が到来すると主張した。
誤りです。これはベルの内容です。
4 スペンサー(Spencer, H.)は、近代社会では適応、目標達成、統合、潜在的パターン維持の四つの機能に対応した下位システムが分出すると主張した。
誤りです。これはパーソンズの内容です。
5 パーソンズ(Parsons, T.)は、同質的な個人が並列する機械的連帯から、異質な個人の分業による有機的な連帯へと変化していくと主張した。
誤りです。これはデュルケムの内容です。
第34回 問題17
次のうち、ベック(Beck, U.)が提唱した、産業社会の発展に伴う環境破壊等によって人々の生活や社会が脅かされ、何らかの対処が迫られている社会を示す概念として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 脱工業化社会
2 情報社会
3 ゲゼルシャフト
4 大衆社会
5 リスク社会
選択肢5が正解です。選択肢1について、産業化の進展に伴って工業社会から脱工業社会(脱工業化社会)が到来するというベルの主張も覚えておきましょう。
次の記事
次は、再び登場マックス・ウェーバーの支配類型についてです。


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