住まいは最も重要な福祉の基盤です。住所がないと福祉の恩恵を受けにくく、まずは住まいの確保から始まります。
居住支援関連の法律
住宅セーフティネット法
住宅セーフティネット法は、正式名称「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」となっています。

賃貸住宅の供給に関する法律だから、住宅の購入に関する規定はないよ。
2007年に制定され、民間の空き家等が増加してきたことを背景に、それらを活用して住居を必要としている人たちに届けようと、2017年に改正され以下の3点が柱となっています。
・登録住宅の改修や入居者への経済的な支援
・住宅確保要配慮者に対する居住支援
住宅確保要配慮者に対する居住支援では、国および地方公共団体に必要な施策を講ずる努力義務、地方公共団体に住宅確保要配慮者居住支援協議会を設置する努力義務、民間賃貸住宅を賃貸する事業者はその施策に協力する努力義務が課せられています。
住宅確保要配慮者居住支援協議会は、住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅等への円滑な入居の促進を図るため、地方公共団体や関係業者、居住支援団体等が連携し、住宅確保要配慮者及び民間賃貸住宅の賃貸人の双方に対し、住宅情報の提供等の支援を実施します。
また、住宅セーフティネット法では、都道府県知事に対して「住宅確保要配慮者居住支援法人」の指定も規定しています。住宅確保要配慮者居住支援法人は、住宅確保情報提供や相談援助、家賃債務の保証などを行います。住宅確保要配慮者居住支援協議会は自治体に設置されることが多いですが、社会福祉協議会や宅建協会、そして、この居住支援法人に設置されることもあります。
生活困窮者自立支援法
生活困窮者自立支援制度は専門科目で学びますが、ここでは居住支援関連の事業として、必須事業の住居確保給付金と任意事業の居住支援事業を見ていきます。制度の各事業は福祉事務所設置自治体(都道府県と市、福祉事務所を設置している町村)が実施します。
住居確保給付金
住居確保給付金は、離職や廃業などの理由で経済的に困窮した人に対して、就職活動を支えるため家賃費用を有期で給付したり、家計改善のための転居費用を給付したりします。
居住支援事業
居住支援事業では、住居喪失者に対し一定期間衣食住等の日常生活に必要な支援を行うシェルター事業と、シェルター等利用者や居住に困難を抱える者に対し一定期間訪問による見守りや生活支援を行う地域居住支援事業で構成されています。

もともとは一時生活支援事業というシェルター事業だけだったけど、今は居住支援事業になったんだよ。
公営住宅法
公営住宅法では、地方公共団体が住宅に困窮している人に対して公営住宅の供給を行わなければならない旨が定められています。公営住宅の供給を行う地方公共団体は、病気などの特別な事情がある場合に家賃を減免することができます。
高齢者住まい法
高齢者住まい法(高齢者の居住の安定確保に関する法律)では、終身建物賃貸借制度が規定されており、通常の賃貸借と異なり、賃借人の死亡時に契約が終了する1代限りの賃貸借契約を結ぶことができる制度です。
| 普通建物賃貸借 | 終身建物賃貸借 | |
|---|---|---|
| 対象賃借人 | 全て | 60歳以上(①単身者、②配偶者または60歳以上の親族と同居) |
| 期間 | 期間の定めなし、または当事者間で定めた期間 | 賃借人が死亡するまで |
| 相続 | あり | 原則なし |

高齢者住まい法はサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)が規定されてる法律だね。
被災者生活再建支援法
被災者生活再建支援法では、自然災害で生活基盤に著しい被害を受けた者に対して、都道府県が拠出した基金を活用して被災者生活再建支援金を支給します。
シルバーハウジング
シルバーハウジングは、高齢者等の生活特性に配慮したバリアフリー化された公営住宅等と、生活援助員(ライフサポートアドバイザー)による日常生活支援サービスの提供を併せて行う、高齢者世帯(または障害者世帯)向けの公的賃貸住宅の供給事業です。地方公共団体、都市再生機構、住宅供給公社が住宅を供給しています。
過去問
第36回 問題31
居住支援に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 住宅確保要配慮者居住支援協議会は、住宅確保要配慮者に対して家賃の貸付けを行っている。
2 住居確保給付金は、収入が一定水準を下回る被用者に限定して、家賃を支給するものである。
3 シルバーハウジングにおけるライフサポートアドバイザーは、身体介護を行うために配置されている。
4 「住宅セーフティネット法」は、住宅確保要配慮者が住宅を購入するための費用負担についても定めている。
5 地方公共団体は、公営住宅法に基づき、住宅に困窮する低額所得者を対象とする公営住宅を供給している。
(注) 「住宅セーフティネット法」とは、「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」のことである。
1 住宅確保要配慮者居住支援協議会は、住宅確保要配慮者に対して家賃の貸付けを行っている。
誤りです。住宅確保要配慮者居住支援協議会では、家賃の貸付けは行っておらず、住宅確保要配慮者への情報提供などを行っています。
2 住居確保給付金は、収入が一定水準を下回る被用者に限定して、家賃を支給するものである。
誤りです。住居確保給付金の対象は被用者に限定されず、離職や廃業、またはそれに近い状況の場合に、家賃を原則3か月まで支給するものです。
3 シルバーハウジングにおけるライフサポートアドバイザーは、身体介護を行うために配置されている。
誤りです。シルバーハウジングにおけるライフサポートアドバイザーは、日常の生活指導、安否確認、緊急時の連絡などを行い、身体介護は行いません。
4 「住宅セーフティネット法」は、住宅確保要配慮者が住宅を購入するための費用負担についても定めている。
誤りです。住宅セーフティネット法の正式名称は「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進」とあるように、賃貸住宅の供給に関して規定されています。
5 地方公共団体は、公営住宅法に基づき、住宅に困窮する低額所得者を対象とする公営住宅を供給している。
これが正解です。
第33回 問題135
高齢者の住まいに関する法制度についての次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 住宅確保要配慮者に対して居住支援に取り組む法人(居住支援法人)は、その申請により、都道府県知事から指定されることとなっている。
2 サービス付き高齢者向け住宅は、入居者に対し、介護保険制度における居宅介護サービス若しくは地域密着型サービスの提供が義務づけられている。
3 シルバーハウジングにおいては生活支援コーディネーターが配置され、必要に応じて入居者の相談や一時的な身体介護を行うこととなっている。
4 終身建物賃貸借制度は、賃借人が死亡することによって賃貸借契約が終了する借家契約であり、75歳以上の高齢者が対象とされている。
5 市町村は、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する計画(市町村賃貸住宅供給促進計画)の作成を義務づけられている。
1 住宅確保要配慮者に対して居住支援に取り組む法人(居住支援法人)は、その申請により、都道府県知事から指定されることとなっている。
これが正解です。
2 サービス付き高齢者向け住宅は、入居者に対し、介護保険制度における居宅介護サービス若しくは地域密着型サービスの提供が義務づけられている。
誤りです。サービス付き高齢者向け住宅では、居宅介護サービス若しくは地域密着型サービスの提供は義務づけられておらず、状況把握サービスや生活相談サービス等が提供されます。
3 シルバーハウジングにおいては生活支援コーディネーターが配置され、必要に応じて入居者の相談や一時的な身体介護を行うこととなっている。
誤りです。シルバーハウジングに配置されるのは生活支援コーディネーターではなく、ライフサポートアドバイザーです。
4 終身建物賃貸借制度は、賃借人が死亡することによって賃貸借契約が終了する借家契約であり、75歳以上の高齢者が対象とされている。
誤りです。終身建物賃貸借制度は高齢者住まい法に規定され、賃借人が死亡することによって賃貸借契約が終了する借家契約で、その対象は60歳以上で独居あるいは同居人が配偶者もしくは60歳以上の親族である者が対象です。
5 市町村は、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する計画(市町村賃貸住宅供給促進計画)の作成を義務づけられている。
誤りです。これは義務ではなく任意です。
第33回 問題30
日本における住宅政策や居住支援に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 「住宅セーフティネット法」では、民間賃貸住宅を賃貸する事業者に対し、住宅確保要配慮者の円滑な入居の促進のための施策に協力するよう努めなければならないとされている。
2 公営住宅の入居基準では、自治体が収入(所得)制限を付してはならないとされている。
3 住生活基本法では、国及び都道府県は住宅建設計画を策定することとされている。
4 住宅困窮者が、居住の権利を求めて管理されていない空き家を占拠することは、違法ではないとされている。
5 日本が批准した「国際人権規約(社会権規約)」にいう「相当な生活水準の権利」では、住居は対象外とされている。
1 「住宅セーフティネット法」では、民間賃貸住宅を賃貸する事業者に対し、住宅確保要配慮者の円滑な入居の促進のための施策に協力するよう努めなければならないとされている。
これが正解です。
2 公営住宅の入居基準では、自治体が収入(所得)制限を付してはならないとされている。
誤りです。このような規定はありません。
3 住生活基本法では、国及び都道府県は住宅建設計画を策定することとされている。
誤りです。住宅建設計画ではなく住生活基本計画です。
4 住宅困窮者が、居住の権利を求めて管理されていない空き家を占拠することは、違法ではないとされている。
誤りです。住居侵入罪などに当たる可能性があります。
5 日本が批准した「国際人権規約(社会権規約)」にいう「相当な生活水準の権利」では、住居は対象外とされている。
誤りです。国際人権規約では、相当な生活水準の権利として、食料、衣類、住居が含まれます。
第34回 問題34
住宅の維持・確保に困難を抱える人への支援のための施策に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 生活困窮者住居確保給付金は、収入が減少した理由のいかんを問わず、住宅の家賃を支払うことが困難になった者に対し、家賃相当額を支給するものである。
2 公営住宅の供給を行う地方公共団体は、公営住宅の入居者に特別の事情がある場合において必要があると認めるときは、家賃を減免することができる。
3 住宅確保要配慮者居住支援協議会は、賃貸住宅に入居する者の収入が一定の基準を下回った場合、賃貸人に対して家賃徴収の猶予を命令することができる。
4 生活福祉資金貸付制度の不動産担保型生活資金は、経済的に困窮した65歳未満の者に対し、居住する不動産を担保に生活資金の貸付けを行うものである。
5 被災者生活再建支援金は、自然災害により生活基盤に被害を受けた者のうち、一定の所得以下の者に対し、生活再建のための費用の貸付けを行うものである。
1 生活困窮者住居確保給付金は、収入が減少した理由のいかんを問わず、住宅の家賃を支払うことが困難になった者に対し、家賃相当額を支給するものである。
誤りです。生活困窮者住居確保給付金は、離職や廃業などの理由が問われます。
2 公営住宅の供給を行う地方公共団体は、公営住宅の入居者に特別の事情がある場合において必要があると認めるときは、家賃を減免することができる。
これが正解です。公営住宅法に規定されています。
3 住宅確保要配慮者居住支援協議会は、賃貸住宅に入居する者の収入が一定の基準を下回った場合、賃貸人に対して家賃徴収の猶予を命令することができる。
誤りです。住宅確保要配慮者居住支援協議会にこのような権限はありません。
4 生活福祉資金貸付制度の不動産担保型生活資金は、経済的に困窮した65歳未満の者に対し、居住する不動産を担保に生活資金の貸付けを行うものである。
誤りです。不動産担保型生活資金の対象は、世帯の構成員が原則として65歳以上の経済的に困窮した者です。
5 被災者生活再建支援金は、自然災害により生活基盤に被害を受けた者のうち、一定の所得以下の者に対し、生活再建のための費用の貸付けを行うものである。
誤りです。被災者生活再建支援金は貸付けではなく支給されるものです。
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次からは、「権利擁護と意思決定支援」として認知症高齢者や障害者の意思決定を支援する仕組みを見ていきます。



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