システム理論とは、「人とその人を取り巻く環境を一体的なシステムとしてとらえる」理論。多くのア
プローチに影響を与えたこの理論の基本を、キーワードを基に確認しましょう。
システム理論とは
システムとはいわば一つのまとまりのことで、システムを構成する要素の相互作用で成り立っています。
一般的にシステムは閉鎖システムではなく開放システムで、システム外部との相互作用があります。
ソーシャルワークにおいては、援助対象とそれを取り巻く環境を1つのシステムとしてとらえるシステム理論に基づいて、エコロジカルアプローチ(生態学的アプローチ)やユニタリーアプローチなどが実施されます。
ホメオスタシス
システム理論でいうシステムには、ホメオスタシス(恒常性維持機能)が備わっています。
たとえばシステムの一つである人間の体は、外的・内的環境の変化を受けても、神経やホルモンの働きによって生理状態などが常に一定範囲内に調整されます。

人間の体はウイルスが侵入すれば発熱して免疫力を高めてウイルスに対抗しようとするし、ケガをすれば自然に治癒して恒常性を維持しようとするよね。
サイバネティクス
サイバネティクスは、ノーバート・ウィーナー(Wiener, N.)が提唱した情報と制御の科学で、システムをフィードバック系としてとらえます。一般に、生体のフィードバックシステムは内的なフィードバックと、外環境を介しての外的フィードバックとに分かれます。
たとえば、人間の体で説明すると、内的フィードバックによる調整機能は自律神経系、外的フィードバックによる調整機能は随意神経系や感覚系といえます。

この内的なフィードバックを活用する調整機能こそがホメオスタシスで、このフィードバック機構によって生体恒常性が維持されているんだね。僕たちの体はよくできているね。
このようにシステム理論は、サイバネティクスというフィードバック機構によってホメオスタシスを説明できる理論ですが、これは生態学や情報工学にとどまらず、ソーシャルワークでも用いられる概念になりました。
過去問
第32回 問題98
ソーシャルワークに影響を与えたシステム理論に関する次の説明のうち、最も適切なものを1 つ選びなさい。
1 ホメオスタシスとは、システムが恒常性を保とうとする働きである。
2 システムとは、複数の要素が無機的に関わり合っている集合体である。
3 開放システムの変容の最終状態は、初期条件によって一義的に決定される。
4 外部と情報やエネルギーの交換を行っているのは、閉鎖システムである。
5 サイバネティックスとは、システムが他の干渉を受けずに自己を変化させようとする仕組みである。
1 ホメオスタシスとは、システムが恒常性を保とうとする働きである。
これが正解です。ホメオスタシスは「恒常性維持機能」などと訳され、人体や地球にも備わっています。
2 システムとは、複数の要素が無機的に関わり合っている集合体である。
無機的ではなく、有機的に関わり合っています。
3 開放システムの変容の最終状態は、初期条件によって一義的に決定される。
初期状態によって一義的に決定されるものではありません。
4 外部と情報やエネルギーの交換を行っているのは、閉鎖システムである。
閉鎖システムではなく、開放システムです。
5 サイバネティックスとは、システムが他の干渉を受けずに自己を変化させようとする仕組みであ
る。
サイバネティックスとは、システムが起動したり変動したりする要因はフィードバックによるという
考え方ですので、他の干渉を受けないということはありません。
第28回 問題99
システム理論に基づく相談援助の対象に関する次の記述のうち、正しいものを1 つ選びなさい。
1 クライエント・システムの単位は、小集団に限られる。
2 人と環境との全体的視座から把握される。
3 家族への対応は、援助の全過程で、問題の原因となる構成員に焦点化される。
4 実践者の志向するケースワークなどの特定の方法によって把握される。
5 相談援助の対象としての個人は、システム概念から除外される。
1 クライエント・システムの単位は、小集団に限られる。
誤りです。クライエント・システムはミクロレベルからマクロレベルまで対象とします。小集団に限られません。
2 人と環境との全体的視座から把握される。
これが正解です。
3 家族への対応は、援助の全過程で、問題の原因となる構成員に焦点化される。
誤りです。家族への対応は構成員(クライエント)に焦点化されるのではなく、環境(家族)との相互作用を把
握します。
4 実践者の志向するケースワークなどの特定の方法によって把握される。
誤りです。さまざまなアプローチがありますが、エコロジカルアプローチのようなシステム理論に基づいたもの
だけではありません。実践者の志向する方法では、システム理論に基づかないこともあります。
5 相談援助の対象としての個人は、システム概念から除外される。
誤りです。個人もシステムに含まれ、クライエント・システムの一要素です。
第34回 問題98
システム理論に基づくソーシャルワークの対象の捉え方に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
1 家族の様々な問題を家族成員同士の相互関連性から捉える。
2 個人の考え方やニーズ、能力を固定的に捉える。
3 個人や家族、地域等を相互に影響し合う事象として連続的に捉える。
4 問題解決能力を個人の生得的な力と捉える。
5 生活問題の原因を個人と環境のどちらかに特定する。
1 家族の様々な問題を家族成員同士の相互関連性から捉える。
正しいです。家族を1つのシステムとして捉えます。
2 個人の考え方やニーズ、能力を固定的に捉える。
誤りです。固定的な捉え方はしません。
3 個人や家族、地域等を相互に影響し合う事象として連続的に捉える。
正しいです。
4 問題解決能力を個人の生得的な力と捉える。
誤りです。システム理論では、個人の能力も環境からの影響を受けると捉えます。
5 生活問題の原因を個人と環境のどちらかに特定する。
誤りです。システム理論では、個人と環境の影響を全体として捉えます。
次の記事
次は、ソーシャルワークの3要素と3機能と3価値前提です。
難しいです。


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