【社会的行為】ウェーバー、ハーバーマス、パーソンズ、ゴッフマン、ブルデュー

ここではまず、「行動」と「行為」の違いについて理解し、ウェーバーの提唱した4つの「社会的行為」について学びましょう。

余裕があれば、ハーバーマス、パーソンズ、ゴッフマン、ブルデューについても知っておきましょう。

ちょっと難しいですが、読んでみてください。

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行動と行為

「行動」と「行為」は同じような語感で使いますが、以下のように定義され明確に異なる意味を持ちます。

「行動」:観察可能な振る舞い部分
「行為」:主観的な意味を含ませている人間の行動

ウェーバーは、行為について「単数あるいは複数の行為者が主観的な意味を含ませている限りの人間行動」と定義しました。

社会学では、他者から観察可能な振舞い部分のみを取り出して言及する場合は「行動」という語句を用い、内的な動機づけや精神活動を含む場合は「行為」と呼びます。

そして、他人の行動との関連における行為を「社会的行為」と呼んでいます。

社会的行為 by ウェーバー

M.ウェーバーは、社会は個人の社会的行為の結果であるとして4種類の社会的行為を提言しました。

・感情的行為
・伝統的行為
・価値合理的行為
・目的合理的行為

感情的行為

感情的行為は、行為対象に対して直接の感情や気分によって行われる振る舞いのことです。

怒って人を殴るとか、かな。

伝統的行為

伝統的行為は、日常的に身についた習慣による行為、日常の習慣化した行為です。

朝起きて歯を磨くとか、かな。

価値合理的行為

価値合理的行為は、倫理的、宗教的な価値観に沿った行為です。

ある行動の価値そのものへの、結果を度外視した意識的な「信仰」とか「倫理」によって方向づく行為です。

イスラム教の人が豚肉を食べないとか、かな。

目的合理的行為

目的合理的行為は、目的に対して合理的な手段を選択した行為です。

買い物に行って同じようなものであれば安い方を買うとか、目的地まで行くのに最短ルートで行くとか、合理的判断が伴う行為です。

理解社会学

上で見てきたように、ウェーバーの提唱した4種類の社会的行為は、その行為の動機や意図で分類されています。

ウェーバーは社会的行為の動機や意図を理解することで、行為の過程や結果を説明できると考えました。

この考え方をウェーバー自身が「理解社会学」と呼んでいます。

社会的行為 by ハーバーマス

J.ハーバーマスは、社会的行為の中でも対人行為として以下の2つを押さえておいてください。

戦略的行為

戦略的行為は、効率性を求める管理的行為で、自己の利益を最大化するための戦略性が重視されます。

ウェーバーの目的合理的行為に近いです。

コミュニケーション的行為

コミュニケーション的行為は、言語を媒介として自己と他者との相互了解や合意形成を目指して行われる相互行為です。

ハーバーマスで重要なのは、このコミュニケーション的行為です。

ハーバーマスは、現代の日常生活の中ではシステム化が進み戦略的行為が増大していきコミュニケーション的行為が希薄になる事を問題視しました。

この状態を生活世界の植民地化と呼んでいます。

主意主義的行為論 by パーソンズ

T.パーソンズは行為や行為の結果について、客観的要因だけでなく行為者の意思という主観的要因を重視する理論的アプローチを行いました。

これを主意主義的行為論といいます。

演劇的行為論 by ゴッフマン

E.ゴッフマンはドラマツルギーという概念を提唱し、周囲の人から期待される役割を演じる立ち振る舞いを演劇の演技に見立てました。

周囲の人間に対して期待される役割を演じる事をパフォーマンス、演じている本人をパフォーマー、周囲の人間をオーディエンスと呼んでいます。

役割期待」を思い出してください。

【役割理論】役割期待と役割距離、みんな役割を演じて生きている(byゴッフマン)
人は皆、役割を演じて生きています。会社では従業員という役割、家庭では父親という役割。「役割距離」という概念を知れば生き方が変わるかもしれません。

ドラマツルギーはまさにこの役割期待に沿った行動を演技に見立てたものです。

例えば、母親が子どもに「良い子」であるという役割期待があったとして、子どもはその役割期待に沿った行動をとった時、子どもがパフォーマー(演技者)、その周囲の人間がオーディエンス(観客)になるわけです。

このようなパフォーマンスやオーディエンスの関係はあらゆる場面で見られ、相互行為が行われています。

ハビトゥス論 by ブルデュー

ハビトゥスとは「個人の経験の蓄積から生まれる、知覚・思考・行為を生み出す性向のシステム」のことです。

P.ブルデューは、そもそも目的や手段が自然発生するわけではなく、過去の経験の蓄積から生まれると考えました。

つまり人は経験の蓄積によって日常生活の認知、評価、行為をしているというわけです。

この「日常生活の認知、評価、行為」をプラクティス(慣習的行為)と呼んでいます。

このプラクティスは、知覚・思考・行為を生み出す性向という観点でウェーバーの伝統的行為の発展形であると言えます。

プラクティスを方向付ける性向のシステムをハビトゥスというわけですね。

過去問

第29回 問題19

社会理論における行為に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 行為とは、行為者自身にとってどのような意味を持つかとは無関係に、他者から観察可能な振る舞いを意味する。
2 伝統的行為とは、行為対象に対して直接の感情や気分によって行われる振る舞いを意味する。
3 価値合理的行為とは、過去の経験に基づき諸個人の内に身についた知覚・思考・実践行動を生み出す性向を意味する。
4 コミュニケーション的行為とは、他者の選択を計算に入れながら、あるいは他者の選択に影響を与えることによって、自己の目的の実現を目指すものを意味する。
5 行為の意図せざる結果とは、ある意図によって行われた行為自体が、思わぬ影響をもたらすことを意味する。

1 行為とは、行為者自身にとってどのような意味を持つかとは無関係に、他者から観察可能な振る舞いを意味する。
これは「行動」の説明ですので間違いです。

2 伝統的行為とは、行為対象に対して直接の感情や気分によって行われる振る舞いを意味する。
これはウェーバーの「感情的行為」の説明ですので間違いです。

3 価値合理的行為とは、過去の経験に基づき諸個人の内に身についた知覚・思考・実践行動を生み出す性向を意味する。
これはブルデューの「ハビトゥス論」の説明ですので間違いです。

4 コミュニケーション的行為とは、他者の選択を計算に入れながら、あるいは他者の選択に影響を与えることによって、自己の目的の実現を目指すものを意味する。
これはハーバーマスの「戦略的行為」の説明ですので間違いです。

5 行為の意図せざる結果とは、ある意図によって行われた行為自体が、思わぬ影響をもたらすことを意味する。
これが正解です。
行為の意図せざる結果とは、ある行為の集積が想定外の結果を社会に招き寄せることを指摘した概念です。例えば、ウェーバーはプロテスタントの禁欲的信仰生活という行為が、「意図せざる結果」として資本主義を生み出したと論じました。

第32回 問題19

次のうち、パーソンズ(Parsons,T.)の社会的行為論として、正しいものを1つ選びなさい。
1 コミュニケーション的行為論
2 交換理論
3 集合行動論
4 象徴的相互作用論
5 主意主義的行為理論

これは選択肢5が正解ですね。
コミュニケーション的行為論はハーバーマスです。

第31回 問題20

社会的行為の主観的意味を理解することを通し、その過程及び結果を説明しようとする考え方を示す用語として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 合理的選択理論
2 主意主義的行為
3 理解社会学
4 コミュニケーション的行為
5 社会システム論

1 合理的選択理論
合理的選択理論は、人間を最小のコストで最大の利得を得ようとする合理的な存在と捉える理論です。

2 主意主義的行為
主意主義的行為は、パーソンズが提唱した「行為は行為者の主体的な選択プロセスである」とする理論です。

3 理解社会学
これが正解です。ウェーバーが提唱しています。

4 コミュニケーション的行為
これはハーバーマスが提唱した人と人とのコミュニケーションによる行為です。

5 社会システム論
社会システム論は、社会を1つのシステムとして捉える理論で、パーソンズが提唱しています。

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次は、「ウェーバーの3つの支配類型」を学びます。

M.ウェーバーの支配類型と官僚制
マックス・ウェーバーが提唱した支配類型について学びましょう。ウェーバーについては、3つの支配類型に加えて4つの社会的行為も重要です。ウェーバーの支配類型伝統的支配伝統的支配は、昔からの伝統による信仰に基づく...

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