マックス・ウェーバーが提唱した支配類型について学びましょう。
ウェーバーについては、3つの支配類型に加えて4つの社会的行為も重要です。
ウェーバーの支配類型
伝統的支配
伝統的支配は、昔からの伝統による信仰に基づく支配のことです。
伝統的支配の例としては、家父長的支配があります。
これは家柄や身分の強い立場を持った者による支配のことです。
家父長制とは、家長権(家族に対する統率権)が男性である家父長に集中している家族の形態のことだよ。
合法的支配
合法的支配は、正当な手続きにより制定された法に従うことで成立する支配です。
合法的支配の例としては、「官僚制による支配」があります。
以下の3つの特徴のある官僚制に基づく支配です。
①標準化:形式的で恒常的な明文化されたルール
②階層性:権限のヒエラルキーが明確で指揮命令系統を持つ
③没人格性:公平無私な組織構成員がルールに従って行動
官僚制による支配は、官僚制が行き過ぎると、画一的で柔軟さや臨機応変さに欠ける対応だったり、規則を守ること自体が目的になってしまったり、といった状況に陥ります。このような官僚制のマイナス面を「官僚制の逆機能」といいます。
ルールに縛られて動けないとか、だね。
カリスマ的支配
カリスマ的支配は、特定の人物に備わった超人的な資質による支配です。
カリスマとは「神の恩寵」という意味。恩寵(おんちょう)というのは、神の無償の賜物のことなのだ。
過去問
第28回 問題15
ウェーバー(Weber,M.)の支配の諸類型に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 合法的支配とは、ある私的な関係に限って認められたルールに基づく支配体制である。
2 官僚制による支配とは、権力者の恣意的な判断や決定による支配体制である。
3 カリスマ的支配とは、非日常的な資質の持ち主によって成立する支配体制である。
4 家父長制的支配とは、家業を遂行する経営的な能力に基づく支配体制である。
5 伝統的支配とは、過去に制定された法に基づく支配体制である。
1 合法的支配とは、ある私的な関係に限って認められたルールに基づく支配体制である。
合法的支配は、私的な関係に限って認められたルールに基づくのではなく、正当な手続きにより制定された法に従うことで成立する支配です。
2 官僚制による支配とは、権力者の恣意的な判断や決定による支配体制である。
官僚制による支配は、権力者の恣意的な判断による支配体制ではありません。
合理的、合法的な権威による支配です。
3 カリスマ的支配とは、非日常的な資質の持ち主によって成立する支配体制である。
これが正解です。
4 家父長制的支配とは、家業を遂行する経営的な能力に基づく支配体制である。
間違いです。
家父長制的支配とは、男子家長に権力が集中し、資産と家族を支配する形態です。
5 伝統的支配とは、過去に制定された法に基づく支配体制である。
間違いです。
伝統的支配は、過去の法に基づく支配体制ではなく、昔からの伝統による支配のことです。
第32回 問題15
次のうち、ウェーバー(Weber,M.)の合法的支配の説明として、正しいものを1つ選びなさい。
1 伝統や慣習により正当化される支配
2 正当な手続きにより制定された法に従うことで成立する支配
3 支配者のリーダーシップや資質、魅力によって正当化される支配
4 絶対的な権力者が定めた法に基づいて行われる支配
5 少数の卓越した能力を持つ者たちによって行われる支配
1 伝統や慣習により正当化される支配
これは「伝統的支配」の説明ですので間違いです。
2 正当な手続きにより制定された法に従うことで成立する支配
これが正解です。
3 支配者のリーダーシップや資質、魅力によって正当化される支配
これは「カリスマ的支配」の説明ですので間違いです。
4 絶対的な権力者が定めた法に基づいて行われる支配
絶対的な権力者が定めた法では合法的支配ではありません。正当な手続きにより制定された法でなければ合法的支配にはなりません。
5 少数の卓越した能力を持つ者たちによって行われる支配
これもカリスマ的支配の説明でしょうか。
少なくとも、合法的支配の説明ではありません。
ウェーバーの支配類型は3種類なので、選択肢4と5は無理やり作った感が否めませんね。
第26回 問題18
近代官僚制に関する次の記述のうち正しいものを1つ選びなさい。
1 官僚制組織は必ずしも規模が大きいとは限らないので、明文化された規則がない。
2 官僚制組織においては、権限のヒエラルキーが明確であるため、上司と部下とのパーソナルな関係が重視される。
3 官僚制は形式合理性を重視するがゆえに実質合理性を失って、逆機能的になることがある。
4 官僚制は組織目的を効率的に達成するために、職務を専門化することなく、口頭での連絡を重視する。
5 官僚制は職務が平等に配分され、権限の上下関係もない水平的な組織である。
1 官僚制組織は必ずしも規模が大きいとは限らないので、明文化された規則がない。
間違いです。形式的・恒常的な規則が明文化されています。
2 官僚制組織においては、権限のヒエラルキーが明確であるため、上司と部下とのパーソナルな関係が重視される。
間違いです。パーソナルな個人的関係は重視されません。
3 官僚制は形式合理性を重視するがゆえに実質合理性を失って、逆機能的になることがある。
これが正解です。「官僚制の逆機能」です。
4 官僚制は組織目的を効率的に達成するために、職務を専門化することなく、口頭での連絡を重視する。
間違いです。職務を専門化することを重視します。
5 官僚制は職務が平等に配分され、権限の上下関係もない水平的な組織である。
間違いです。ヒエラルキーですから当然上下関係があります。
第35回 問題15
次の記述のうち、ヴェーバー(Werber,M.)の合法的支配における法の位置づけとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 法は、被支配者を従わせ、超人的な支配力の権力を貫徹するための道具である。
2 法は、伝統的に継承されてきた支配体制を正当化するための道具である。
3 法は、支配者の恣意的な判断により定められる。
4 法は、神意や物事の本性によって導き出される。
5 法は、万民が服さなければならないものであり、支配者も例外ではない。
選択肢5が正解です。
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次は、逸脱行動論です。
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