【心理療法】行動療法、認知行動療法、動作療法

心理療法はたくさんの種類があって、そのどれもが出題される可能性があります。

特に精神分析療法、行動療法、認知行動療法は頻出ですが、それ以外も一通り覚えておきたいです。

精神分析療法、行動療法、認知行動療法
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精神分析療法

精神分析療法は、フロイトにより提唱された人間の無意識の過程を解明する療法です。

カウンセラーとクライエントの人間関係の在り方において「転移状態」を分析することを重視します。

転移:クライエントがカウンセラーに(無意識に)向ける感情や考えのこと
逆転移:カウンセラーがクライエントに(無意識に)向ける感情や考えのこと

転移関係の解釈と洞察によって無意識下に抑圧された葛藤を意識化します。

例えばカウンセラーが自殺未遂者に、無意識に否定的な感情を向けてしまうことがありますが、これは逆転移のなかでも陰性逆転移です。好意を持つなどのプラスの感情は陽性逆転移です。

さらに、精神分析療法では夢分析自由連想法を用います。

夢分析

夢には人の無意識が表れていると捉え、夢を分析することでその人の無意識を意識化する方法です。

自由連想法

自由連想法は、頭に浮かんでくることをそのまま話してもらい、クライエントの自由な連想を自然に引き出す方法です。
こうした手順を繰り返すことでクライエントの意識的無意識的な抑圧を取り去ります。

認知行動療法

認知行動療法は、認知的技法と行動的技法を組み合わせて自動思考(不適切な思考)を修正し行動を変容させる療法です。

様々な場面に出会った時に発生する自動思考を、現実に沿った柔軟なバランスのよい新しい考えに変えていくことでその時々に感じるストレスを和らげます。

考え方を変えていくことでストレス軽減につなげるのです。

ソーシャルスキル・トレーニングSST(Social Skills Training)などが活用されます。

論理療法

認知行動療法の1つ論理療法は、考え方を論理的に変容させていく療法です。

例えば「すべてのひとは愛されなければならない」→「愛されるにこしたことはない」と認知を変えて合理化していきます。

エリスの提唱したABC療法は、同じ出来事(A)でも、捉え方や信念(B)によって結果(C)は変わるとするものです。

認知行動療法と、以下にでてくる行動療法は全く別物です。認知行動療法は自動思考の修正、行動療法は表面に出てくる行動そのものに介入し修正していきます。

行動療法

行動療法は、学習理論などを用いて具体的な行動に対して介入し、修正していきます。

例えば恐怖症に対して徐々に恐怖の対象に近づいてそれに慣れるといった訓練を通じて不適切な反応を修正したり、適切な感情や行動を習得するために褒めたりごほうびなども活用します。

系統的脱感法

上で書いたような、敢えて不安や恐怖に身をさらして克服する療法を「暴露療法」と呼び、その中の1つがウォルピによって考案された系統的脱感法です。

不安階層表を使って段階的に不安を克服していきます。

トークンエコノミー

トークンエコノミーは、強化法を利用し問題行動が修正されれば、トークンと呼ばれる代用貨幣を与え、一定数トークンが貯まると交換可能な物(食べ物、遊具など)と交換することができるという仕組みを用いた療法です。

単純に、約束を守れたからごほうびを与えるみたいなイメージだね。

モデリング療法

モデリング療法では、モデルとなる人の行動を観察、模倣することで問題行動の解決や変容を目指す療法です。

バンデューラーが提唱したモデリング理論が基礎になっています。

動作療法

動作療法は、具体的な動作(肩を上下させる、踏ん張って立つ等)を行う心理療法です。

具体的な動作を通して心身が改善され行動変容を図ります。

行動療法とは違うので注意です。

来談者中心療法

ロジャースによって提唱された来談者中心療法はクライエントをありのまま受容し、傾聴したり共感したり、とにかくクライエントを否定せずとことん寄り添うカウンセリングのような療法です。

音楽療法

音楽療法は、音楽で心身ともにリラックスできる療法です。

音楽は一般にカタルシス効果があるとも言われています。

カタルシスというのは、心の中に溜まっていた感情が解放され、浄化されることです。

家族療法

家族全体をシステムとして捉え(システムズアプローチ)、因果関係を線形的(リニア)でなく、円環的(サーキュラー)な視点で考察します。

家族員は常に相互に影響を与え合っており課題が悪循環を起こしている可能性を推測し、個人の課題解決を家族というシステムからアプローチします。

遊戯療法

遊戯療法は、子どもとカウンセラーなどが玩具を用いて一緒に遊ぶことで感情の浄化を図ります。

箱庭療法

箱庭療法は、玩具と箱を用意して自由に箱庭を作成させることで心理状況や感情を把握する方法です。

心理劇(サイコドラマ)

モレノによって提唱された心理劇(サイコドラマ)は、役割を演じる事によって個人の自発性や創造性を促進し、対人関係を調節します。

回想法

回想法は、過去の出来事を思い出すことによって心理的に安定な状態を取り戻そうという方法のことです。

特に高齢者を対象とする場合が多く、これまでの人生の中で形成された考えに基づいて問題の解決に当たります。

森田療法

森田療法では、不安をあるがまま受け止め、不安があっても目の前の作業に取り組みます。

「不安がある中でできた!」と思えるので自信につながります。

ブリーフセラピー

ブリーフというのは、パンツのことではないよ。「簡潔な、簡単な」という意味だよ。

通常の精神分析療法はかなりの長期に渡りますが、短期間に(ブリーフに)治療目標を達成することを目的に定められた療法です。

原因や背景を追求せずどうすれば解決できるかに焦点を当てます。

解決志向アプローチで用いられています。

自律訓練法

自律訓練法は、シュルツによって体系化されました。

注意を集中して自己暗示をかけることで全身の弛緩状態(リラクゼーション)を作り出し心理的自己統制する一種の自己催眠です。

心身をリラックスさせ、自律神経のバランスを回復させることが目的です。

私もこれを体験したことがありますが、仰向けに寝て、身体の眉間の辺りを意識していくと、眉間がむずがゆくなってきます。
そのようにあるがまま体を感じ、自己催眠をかけていくことでリラックスできます。

エンカウンターグループ

エンカウントは「出会い」の意味です。

エンカウンターグループでは、小集団で参加者が他者の思惑を気にすることのない環境で自己や他者を深く理解するようになり、開放的な人間関係が生じ、これらを通じて対人関係の改善や自己成長を促します。

過去問

第28回 問題14

心理療法に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 自律訓練法は、筋肉を漸進的に弛緩させる方法である。
2 認知行動療法は、転移関係についての解釈と洞察が重要である。
3 家族療法のシステムズ・アプローチでは、家族間の関係性の悪循環を変化させる。
4 来談者中心療法は、夢分析を行い無意識の意識化を促進させる。
5 精神分析療法は、自己認知の変容のために認知再構成法を用いる。

1 自律訓練法は、筋肉を漸進的に弛緩させる方法である。
これは、漸進的筋弛緩法の説明です。
自律訓練法は、心身をリラックスさせ、自律神経のバランスを回復させることが目的です。漸進的筋弛緩法と自律訓練法はどちらもリラクゼーション法の仲間です。

2 認知行動療法は、転移関係についての解釈と洞察が重要である。
間違いです。転移関係といえば精神分析療法です。

3 家族療法のシステムズ・アプローチでは、家族間の関係性の悪循環を変化させる。
これが正解です。家族療法は、家族を1つのシステムとして捉えるシステムズアプローチでした。

4 来談者中心療法は、夢分析を行い無意識の意識化を促進させる。
間違いです。夢分析は精神分析療法です。

5 精神分析療法は、自己認知の変容のために認知再構成法を用いる。
これは認知行動療法の説明ですので間違いです。

第30回 問題14

カウンセリングや心理療法に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 認知行動療法では、クライエントの発言を修正せず全面的に受容することが、クライエントの行動変容を引き起こすと考える。
2 社会生活技能訓練(SST)では、ロールプレイなどの技法を用い、対人関係で必要なスキル習得を図る。
3 ブリーフセラピーでは、即興劇において、クライエントが役割を演じることによって、課題の解決を図る。
4 来談者中心カウンセリングでは、クライエントが事実と違うことを発言した場合、その都度修正しながら話を聞いていく。
5 動機づけ面接では、クライエントの変わりたくないという理由を深く掘り下げていくことが行動変容につながると考える。

1 認知行動療法では、クライエントの発言を修正せず全面的に受容することが、クライエントの行動変容を引き起こすと考える。
これは来談者中心カウンセリングの内容ですので間違いです。
来談者中心カウンセリングはクライエントの発言を一切否定せず、評価したり判断を加えることもなく、ありのまま受け入れる手法です。

2 社会生活技能訓練(SST)では、ロールプレイなどの技法を用い、対人関係で必要なスキル習得を図る。
これが正解です。
SSTは認知行動療法の手法で、ロールプレイなどで対人関係スキルの習得を目指します。

3 ブリーフセラピーでは、即興劇において、クライエントが役割を演じることによって、課題の解決を図る。
即興劇と言えば、心理劇(サイコドラマ)です。

4 来談者中心カウンセリングでは、クライエントが事実と違うことを発言した場合、その都度修正しながら話を聞いていく。
来談者中心療法(来談者中心カウンセリング)では、クライエントの発言を修正せず全て受け入れます。

5 動機づけ面接では、クライエントの変わりたくないという理由を深く掘り下げていくことが行動変容につながると考える。
動機づけ面接では、クライエントの「変わりたい」という理由を掘り下げます。

第31回 問題14

心理療法に関する次の記述のうち、行動療法に基づく技法に該当するものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 クライエントが即興的にドラマを演じ、自発性や創造性を高める。
2 問題が起きなかった例外的な状況に関心を向けることで、クライエントの問題解決能力を向上させる。
3 自由連想法を使用し、クライエントの無意識の葛藤を明らかにする。
4 不安喚起場面に繰り返し曝すことで、クライエントの不安感を低減させる。
5 課題動作を通じ、クライエントの体験様式の変容を図る。

1 クライエントが即興的にドラマを演じ、自発性や創造性を高める。
これは心理劇(サイコドラマ)に関する内容なので間違いです。

2 問題が起きなかった例外的な状況に関心を向けることで、クライエントの問題解決能力を向上させる。
これはブリーフセラピーに関する内容なので間違いです。

3 自由連想法を使用し、クライエントの無意識の葛藤を明らかにする。
自由連想法といえば精神分析療法です。

4 不安喚起場面に繰り返し曝すことで、クライエントの不安感を低減させる。
これが正解です。この内容は行動療法の中でも暴露療法の説明です。不安や恐怖に敢えて曝すことで不安を和らげていく方法です。

5 課題動作を通じ、クライエントの体験様式の変容を図る。
これは動作療法の内容ですので間違いです。

第32回 問題14

心理療法に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 回想法は、高齢者の自動思考を修正することを目的としている。
2 応用行動分析は、個人の無意識に焦点を当てて介入を行っていく。
3 認知行動療法は、クライエントの人生を振り返ることでアイデンティティを再確認していく。
4 森田療法は、不安をあるがままに受け入れられるように支援していく。
5 ブリーフセラピーは、未来よりも過去に焦点を当てて介入を行っていく。

1 回想法は、高齢者の自動思考を修正することを目的としている。
回想法は自動思考の修正ではなく、過去の出来事を思い出すことによって心理的に安定な状態を取り戻そうという方法です。「自動思考の修正」とくれば認知行動療法です。

2 応用行動分析は、個人の無意識に焦点を当てて介入を行っていく。
間違いです。個人の無意識に焦点を当てるのは精神分析療法です。

3 認知行動療法は、クライエントの人生を振り返ることでアイデンティティを再確認していく。
これは回想法の内容なので間違いです。

4 森田療法は、不安をあるがままに受け入れられるように支援していく。
これが正解です。あるがままの受け入れといえば森田療法か来談者中心療法です。

5 ブリーフセラピーは、未来よりも過去に焦点を当てて介入を行っていく。
間違いです。
ブリーフセラピーはブリーフ(簡潔、短期間)な療法ですので、過去を振り返っている暇はありません。

第29回 問題13

系統的脱感法の説明として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 自分や周囲に対して過度に否定的で、挫折感に浸っている不安やうつなどの気分障害のクライエントに対して、考え方や感じ方を肯定的な方向に変化させていく。
2 受動的注意集中状態下で、四肢の重感、四肢の温感、心臓調整、呼吸調整、腹部温感、額部涼感を順に得ることで、心身の状態は緊張から弛緩へ切り替えられる。
3 「すべての人に愛されねばならない」という非合理的な信念を、「すべての人に愛されるにこしたことはない」という合理的な信念に修正していく。
4 観察者はお手本(モデル)となる他者の行動を観察することで、新しい行動を獲得したり、既存の行動パターンを修正する。
5 クライエントは、個別に作成された不安階層表を基に、リラックスした状態下で不安の誘発度の最も低い刺激から徐々に刺激が増やされ、段階的に不安を克服していく。

1 自分や周囲に対して過度に否定的で、挫折感に浸っている不安やうつなどの気分障害のクライエントに対して、考え方や感じ方を肯定的な方向に変化させていく。
これは認知行動療法の内容ですので間違いです。

2 受動的注意集中状態下で、四肢の重感、四肢の温感、心臓調整、呼吸調整、腹部温感、額部涼感を順に得ることで、心身の状態は緊張から弛緩へ切り替えられる。
これは自律訓練法の内容ですので間違いです。

3 「すべての人に愛されねばならない」という非合理的な信念を、「すべての人に愛されるにこしたことはない」という合理的な信念に修正していく。
これは論理療法の内容ですので間違いです。

4 観察者はお手本(モデル)となる他者の行動を観察することで、新しい行動を獲得したり、既存の行動パターンを修正する。
これはモデリング療法の内容ですので間違いです。

5 クライエントは、個別に作成された不安階層表を基に、リラックスした状態下で不安の誘発度の最も低い刺激から徐々に刺激が増やされ、段階的に不安を克服していく。
これが正解です。

第29回 問題14

カウンセラーの発言のうち、来談者中心療法における「受容」の応答例として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 「進路選択の相談であれば、隣町にあるキャリア支援センターに行かれたらどうでしょうか。そこでは就職先の紹介のほかに、相談にも乗ってくれますよ」
2 あなたご自身が体験され苦痛を感じたいくつかの話をお聴きし、私は今あなたが辛い思いをされているのが分かります」
3 自分探しであちこち旅をされていますが、もうそろそろどこかで落ち着かれた方が良いのではないかと私は思います」
4 「あなたはこの町でもっと人と関われば、この町がきっと好きになりますよ。それはそんなに難しいことではありませんよ」
5 「亡くなられたあなたのお母さんがあなたにはいつも優しかったように、私の母親も私には特別優しかったですねぇ。今も涙が出てきそうです」

選択肢2が正解です。
来談者中心療法は、クライエントの発言を否定せず、ありのまま受け入れるカウンセリングです。

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