【アドボカシー6形態と5機能】ケースアドボカシー&コーズアドボカシー(クラスアドボカシー)

アドボカシーって何?!

ちょっと怖い響きがあって初めて聞くと驚きますよね。

ソーシャルワークの重要な機能の1つがアドボカシーです。

アドボカシーというのは、advocate(主張する、指示する、擁護する)という意味ですので、福祉分野では「代弁」「権利擁護」などの意味で使われます。

意志表出が十分できない認知症高齢者や知的障害者の意思を代弁することなどを通じて、本人の権利を護る行為がアドボカシーです。

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アドボカシー6形態

ケースアドボカシー

ケースアドボカシーは、クライエント一人ひとりの権利を護るための代弁行為です。

カリスマくん
カリスマくん

ケースというのは「個人の」ということだね。集団ではなく。

コ―ズアドボカシー(クラスアドボカシー)

コーズアドボカシーは、クライエントと同じ状況に置かれている人たちの権利を守るために、新しい資源を開発しようとするもので、 集団やコミュニティを対象にした代弁行為です。

ケースアドボカシーはクライエント一人ひとりが対象、コ―ズアドボカシーはクライエントと同じ状況に置かれている人達が対象です。セットで覚えましょう。

カリスマくん
カリスマくん

「コ―ズ(cause)=原因」という意味からは覚えにくいけど、「クラス=集合体」の意味なのでそちらで覚えてね。

ケースアドボカシーとコーズアドボカシーの違いは、ケースワークとグループワークの違いみたいな感じだね。

ピアアドボカシー

ピアアドボカシーは、同じ問題を抱える人が集まり、互いのニードを代弁する行為です。

カリスマくん
カリスマくん

ピア(peer)は、「仲間、同僚」という意味だね。ピアカウンセリングは同じ悩みを持つ人同士でカウンセリングし合うことだよ。

セルフアドボカシー

セルフアドボカシーは、クライエントが自らの権利を主張していくものです。

カリスマくん
カリスマくん

自分自身の権利を自分自身で主張するのはある意味当たり前だけど、アドボカシーは代弁という意味なので、なんか変な気も。

シチズンアドボカシー

シチズンアドボカシーは、当事者を含む市民が主体となって、権利の抑圧を受けている市民を擁護する市民運動のことです。

カリスマくん
カリスマくん

シチズン(citizen)は「市民」という意味だよ。

リーガルアドボカシー

リーガルアドボカシーは、弁護士などがクライエントの権利行使を援助したり、権利を擁護するために働きかけるものです。

カリスマくん
カリスマくん

リーガル(legal)は「法律の」という意味だよ。

アドボカシー5機能

アドボカシーの機能は「代弁」がよく知られていますが、それだけではありません。

介入機能

ソーシャルワーカーの理念と組織・制度の問題を結び付けるために、クライエント集団と地域福祉政策とを結び付ける機能です。

発見機能

クライエントの置かれている環境や状況に対して、問題を見付け出し提起する機能です。

調整(仲介)機能

制度や組織との仲介者・媒介者として個別の問題を扱う機能です。

カリスマくん
カリスマくん

つまり、調整機能はケースアドボカシーだね。

対決機能、代弁機能

制度や組織の壁に対して、クライエントの利益のために代弁する機能です。

変革機能

法律や制度に働きかけて、社会的変革を起こす機能です。

カリスマくん
カリスマくん

下に出てくるソーシャルアクションに近いね。

ソーシャルアクション

ソーシャルアクションは、世論や国・地方自治体、企業、民間団体に働きかける活動です。

ソーシャルアクションには、代弁(アドボカシー)機能と地域組織化(コミュニティオーガニゼーション)機能の2点が求められます。

ソーシャルアクション、アドボカシー、コミュニティオーガニゼーションの3つはそれぞれ密接に関係し合っています。

ソーシャルアクション、アドボカシー、コミュニティオーガニゼーション

過去問

第31回 問題95

アドボカシーに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ソーシャルワーカー自身の利益のために、サービス利用者の権利を擁護することである。
2 サービス利用者の主体的な生活を実現するために、その意志や権利を代弁することである。
3 サービス提供機関が利用者に訴えられた場合に、サービス提供機関の権利を代弁することである。
4 自らの意思を示すことが困難なサービス利用者の権利を、その家族や友人の判断に基づいて擁護することである。
5 サービス利用者の主張と、利害の対立する相手方の主張とを中立的な立場で調整することである。

1 ソーシャルワーカー自身の利益のために、サービス利用者の権利を擁護することである。
ソーシャルワーカー自身の利益のためであってはなりません。
間違いです。

2 サービス利用者の主体的な生活を実現するために、その意志や権利を代弁することである。
これが正解です。

3 サービス提供機関が利用者に訴えられた場合に、サービス提供機関の権利を代弁することである。
間違いです。サービス利用機関の権利を代弁することではありません。

4 自らの意思を示すことが困難なサービス利用者の権利を、その家族や友人の判断に基づいて擁護することである。
その家族や友人の判断に基づいてという部分が間違いです。

5 サービス利用者の主張と、利害の対立する相手方の主張とを中立的な立場で調整することである。
中立的な立場ではなく、サービス利用者の立場で主張することです。

第29回 問題112

社会資源の開発に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ケースアドボカシーとは、クライエントと同じ状況に置かれている人たちの権利を守るために、新しい資源を開発しようとすることである。
2 小地域開発とは、社会福祉の制度やサービスの創設・改善・維持を目指す活動である。
3 ソーシャルアクションとは、地域の問題について、専門家を入れずに住民がグループでの取組を通して問題解決を図れるようにするものである。
4 コーズアドボカシーとは、一人のクライエントの利益と安定した生活をまもるための働きである。
5 社会計画とは、公的な機関や専門職が地域の問題について情報を収集・分析し、合理的な取り組み方を決めて実施することである。

1 ケースアドボカシーとは、クライエントと同じ状況に置かれている人たちの権利を守るために、新しい資源を開発しようとすることである。
これはコ―ズアドボカシーの説明ですので間違いです。
ケースアドボカシーはクライエント一人ひとりの権利を守るものです。

2 小地域開発とは、社会福祉の制度やサービスの創設・改善・維持を目指す活動である。
これはソーシャルアクションの説明なので間違いです。
小地域開発とは、住民の自助や住民同士の助け合いの促進と地域社会にあるさまざまなグループの統合化を目指す活動です。

3 ソーシャルアクションとは、地域の問題について、専門家を入れずに住民がグループでの取組を通して問題解決を図れるようにするものである。
ソーシャルアクションは専門家を交えて行うこともあります。

4 コーズアドボカシーとは、一人のクライエントの利益と安定した生活をまもるための働きである。
これはケースアドボカシーの説明ですので間違いです。

5 社会計画とは、公的な機関や専門職が地域の問題について情報を収集・分析し、合理的な取り組み方を決めて実施することである。
正しいです。社会計画は「公的機関や専門職」による計画です。

社会計画、小地域開発、ソーシャルアクションの3つは、ロスマンの唱えたコミュニティオーガニゼーション3モデルです。次の記事で取り上げます。

第32回 問題94

アドボカシーに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ケースアドボカシーとは、クライエントと同じ状況に置かれている人たちの権利を守るために、新たな制度を開発する活動である。
2 コ―ズアドボカシーとは、クライエントの権利を守るために、法的な手段を用いる活動である。
3 セルフアドボカシーとは、クライエントが自らの権利を主張していく活動である。
4 シチズンアドボカシーとは、同じ課題を抱えるクライエントの代弁や制度の改善・開発を目指す活動である。
5 リーガルアドボカシーとは、一人のクライエントの安定した生活を復権させる活動である。

1 ケースアドボカシーとは、クライエントと同じ状況に置かれている人たちの権利を守るために、新たな制度を開発する活動である。
間違いです。これはコ―ズアドボカシーの説明です。

2 コ―ズアドボカシーとは、クライエントの権利を守るために、法的な手段を用いる活動である。
間違いです。これはリーガルアドボカシーの説明です。

3 セルフアドボカシーとは、クライエントが自らの権利を主張していく活動である。
これが正解です。

4 シチズンアドボカシーとは、同じ課題を抱えるクライエントの代弁や制度の改善・開発を目指す活動である。
間違いです。シチズンアドボカシーは市民の自発的な行為によって、不利益を被る可能性がある人を擁護することです。

5 リーガルアドボカシーとは、一人のクライエントの安定した生活を復権させる活動である。
間違いです。これはケースアドボカシーの説明です。リーガルアドボカシーは弁護士など法的な訓練を受けた人がクライエントの権利行使を援助したり、権利を擁護するために働きかけるものです。

精神保健福祉士 第27回 問題29

権利擁護機能に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 対決の機能とは、当事者の置かれている環境や状況に関する問題発見、問題提起のことである。
2 介入の機能とは、解決困難な課題に対して、変革主体者・弁護的変革者としての役割を果たすことである。
3 発見の機能とは、ソーシャルワークの理念と組織・制度の問題を結びつけるために、クライエント集団が地域福祉政策を活用できるようにすることである。
4 調整の機能とは、利用者とサービス提供者の間で個別に行われるケースアドボカシーのことである。
5 変革の機能とは、制度や組織の厚い壁に対して、専門職としての中立性は保ちながらも当事者の利益のために代弁することである。

1 対決の機能とは、当事者の置かれている環境や状況に関する問題発見、問題提起のことである。
これは発見機能です。

2 介入の機能とは、解決困難な課題に対して、変革主体者・弁護的変革者としての役割を果たすことである。
これは変革機能です。

3 発見の機能とは、ソーシャルワークの理念と組織・制度の問題を結びつけるために、クライエント集団が地域福祉政策を活用できるようにすることである。
これは介入機能です。

4 調整の機能とは、利用者とサービス提供者の間で個別に行われるケースアドボカシーのことである。
これが正解です。

5 変革の機能とは、制度や組織の厚い壁に対して、専門職としての中立性は保ちながらも当事者の利益のために代弁することである。
これは代弁機能です。

精神保健福祉士 第21回 問題28

次の記述のうち、精神保健福祉士が行うアドボカシーにおける介入機能の説明として、適切なものを1つ選びなさい。
1 ソーシャルワーカーの理念と組織・制度の問題を結び付けるために、クライエント集団と地域福祉政策とを結び付ける。
2 日常的なジレンマを抱えながらも、弁護や変革を主体的に推進する。
3 クライエントの置かれている環境や状況に対して、問題を見付け出し提起する。
4 制度や組織との仲介者・媒介者として、個別の問題を扱う。
5 制度や組織の壁に対して、専門職としては中立を保ちながらも、クライエントの利益のために代弁する。

1 ソーシャルワーカーの理念と組織・制度の問題を結び付けるために、クライエント集団と地域福祉政策とを結び付ける。
これが正解、介入機能です。

2 日常的なジレンマを抱えながらも、弁護や変革を主体的に推進する。
これは変革機能です。

3 クライエントの置かれている環境や状況に対して、問題を見付け出し提起する。
これは発見機能です。

4 制度や組織との仲介者・媒介者として、個別の問題を扱う。
これは調整(仲介)機能です。

5 制度や組織の壁に対して、専門職としては中立を保ちながらも、クライエントの利益のために代弁する。
これは対決機能、代弁機能です。

精神保健福祉士 第21回 問題39

次の記述のうち、ソーシャルワークにおける権利擁護の中の代弁機能に当たるものとして、正しいものを 1 つ選びなさい。
1 風呂に入っておらず衛生の保持ができていない子どもがいたため、保護者面談で状況を把握した。
2 購入した商品の不満をうまく伝えられない通院患者から依頼を受けて、消費生活センターに同行した。
3 精神科の入院患者に対し、精神医療審査会の役割と利用の仕方について学習会を開催した。
4 被災者に対する医療費減免に関する制度の存続を求めて、関係自治体に対し話合いを求めた。
5 金銭管理に困難のある精神障害者の家族に対し、日常生活自立支援事業とその窓口を伝えた。

1 風呂に入っておらず衛生の保持ができていない子どもがいたため、保護者面談で状況を把握した。
これは発見機能です。

2 購入した商品の不満をうまく伝えられない通院患者から依頼を受けて、消費生活センターに同行した。
これが正解、代弁機能です。

3 精神科の入院患者に対し、精神医療審査会の役割と利用の仕方について学習会を開催した。
これは情報提供です。

4 被災者に対する医療費減免に関する制度の存続を求めて、関係自治体に対し話合いを求めた。
これは変革機能です。

5 金銭管理に困難のある精神障害者の家族に対し、日常生活自立支援事業とその窓口を伝えた。
これは情報提供です。

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