【高齢者住まい法】特養、サ高住、有料老人ホーム、わかりにくいよ

住居の確保は最も優先度の高い、福祉の基盤です。

住居がなければ仕事も生活も成り立ちませんから。

住宅に関する法律は、住宅セーフティーネット法と高齢者住まい法の2つが重要です。

ですが、住居については国土交通省の所管のため、福祉を管轄している厚生労働省との間で分かりにくい法体系になっています。

特に高齢者の住まいに関しては。

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住宅セーフティーネット法

正式名称は「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」となっています。

2007年に制定され、民間の空き家等が増加してきたことを背景に、それらを活用して住居を必要としている人たちに届けようと、2017年に改正され以下の3点が柱となっています。

・住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度
・登録住宅の改修や入居者への経済的な支援
・住宅確保要配慮者に対する居住支援
住宅確保要配慮者とは、低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子育て世帯

住宅確保要配慮者に対する居住支援では、「住宅確保要配慮者居住支援協議会」を設置することになっています。

住宅確保要配慮者居住支援協議会は、住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅等への円滑な入居の促進を図るため、地方公共団体や関係業者、居住支援団体等が連携し、住宅確保要配慮者及び民間賃貸住宅の賃貸人の双方に対し、住宅情報の提供等の支援を実施します。

高齢者住まい法

正式名称は「高齢者の居住の安定確保に関する法律」といいます。
高齢者の住まいについては、特別養護老人ホーム(特養)と養護老人ホームの違いは以下の記事でしっかり区別できるようにしておいてください。

特養は「介護が必要な高齢者」、養護老人ホームは「環境上または経済的理由で困窮している高齢者」が対象でした。
もともと1929年に始まった養老院が養護老人ホームの原型で、老人福祉法の制定で養護老人ホームとなり同時に特別養護老人ホームも規定された歴史的経緯も含めて理解しましょう。

「日本の高齢者福祉の歴史」養護老人ホームと特別養護老人ホーム
養護老人ホームと特別養護老人ホームの違いはわかりますか?今では「特別養護老人ホーム」が主流になりましたが、高齢福祉の歴史は「養護老人ホーム」の歴史でもあります。

その他、「高齢者円滑入居賃貸住宅」(高円賃)、「高齢者専用賃貸住宅」(高専賃)、「高齢者向け優良賃貸住宅」(高優賃)などがありましたが、非常に分かりにくく、2011年の高齢者住まい法の改正によって「サービス付き高齢者向け住宅」(サ高住)に一本化されました。

それでも、有料老人ホームや軽費老人ホームなど、まだまだ種類が多くてわかりにくいのが高齢者向け住宅の体系です。

老人ホーム系が規定されている「老人福祉法」や「介護保険法」は厚生労働省の管轄、一方でサ高住などが規定されている「高齢者住まい法」は国土交通省の管轄、この辺りがややこしくしている原因ではないでしょうか。

下の表にあるように、特養や養護老人ホームは介護保険法で規定され、地方公共団体や社会福祉法人が運営して安価に利用できますが、特養などは入所待ちの人が多いです。

一方で、有料老人ホームやサ高住などは営利企業などが経営しているため、特に有料老人ホームは入居一時金などが高額になります。

高級タイプの有料老人ホームでは入居一時金が億単位になるところもあります。

特養は入所待ちが多く入れず、有料老人ホームは高額過ぎる、という高齢者には、サ高住が救世主となります。

サ高住は賃貸が多いので有料老人ホームほどの費用は必要なく、老人ホームと違って自由に外出などもできたり要介護認定を受けていなくても利用できますので利用者の自由度も高いのです。

高齢者の住まい根拠法経営主体入所要件費用
介護老人福祉施設
(特別養護老人ホーム)
介護保険法
(老人福祉法)
地方公共団体
社会福祉法人
要介護3以上安価
介護老人保健施設介護保険法地方公共団体医療法人要介護1以上安価
養護老人ホーム老人福祉法地方公共団体
社会福祉法人
環境的・経済的理由での困窮安価
軽費老人ホーム老人福祉法地方公共団体社会福祉法人自立生活に不安があり援助が受けられない者安価
有料老人ホーム老人福祉法民間企業など老人利用権が高額
サ高住高齢者住まい法民間企業など60歳以上または60歳未満の要介護要支援一般賃貸並

高齢者住まい法で規定される以下の2つを覚えておきましょう。

・国土交通大臣及び厚生労働大臣は、高齢者の居住の安定の確保に関する基本的な方針を定める
・サ高住は登録制

住居確保給付金

生活困窮者自立支援制度の必須事業として、自立相談支援事業と住居確保給付金の2つがありました。
住居確保給付金は生活困窮者に対して家賃が支給されます。

生活困窮者自立支援制度は生活保護制度と並んで、国から3/4という最大の補助がある重要な政策で、その中の必須事業と位置付けられている住居確保給付金。

いかに住居の確保が福祉の基盤であるか、国の認識がわかります。

最後に

住居の確保は最も優先順位の高い、福祉の基盤です。

住居のない人には就労支援も生活支援も成り立ちませんから、まず第一に住居の確保です。

過去問

第30回 問題30

「住宅セーフティネット法」の内容に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 住宅確保要配慮者には、子育て世帯が含まれる。
2 住宅確保要配慮者には、災害の被災者世帯は含まれない。
3 公的賃金住宅の供給の促進は含まれない。
4 低額所得者以外の住宅確保要配慮者への家賃低廉化補助が含まれる。
5 民間の空き家・空き室の活用は含まれない。

1 住宅確保要配慮者には、子育て世帯が含まれる。
正しいです。
住宅確保要配慮者とは「低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子育て世帯」です。

2 住宅確保要配慮者には、災害の被災者世帯は含まれない。
間違いです。災害の被災者世帯も含まれます。

3 公的賃金住宅の供給の促進は含まれない。
間違いです。
「公的賃貸住宅の供給の促進について、国及び地方公共団体は、所得の状況、心身の状況、世帯構成その他の住宅確保要配慮者の住宅の確保について配慮を必要とする事情を勘案し、既存の公的賃貸住宅の有効活用を図りつつ、公的賃貸住宅の適切な供給の促進に関し必要な施策を講ずるよう努めなければならない。」とされています。

4 低額所得者以外の住宅確保要配慮者への家賃低廉化補助が含まれる。
間違いです。
住宅セーフティネット法には家賃債務補償保険契約に係る保険の規定はありますが、低額所得者以外の住宅確保要配慮者に対する家賃廉価補助についての規定はありません。

5 民間の空き家・空き室の活用は含まれない。
間違いです。
この法律の背景には民間の空き家の増加があり、それらの活用を進めることもこの法律の目的です。

第28回 問題30

高齢者の居住の安定確保に関する法律に規定されている事項として、正しいものを1つ選びなさい。
1 高齢者の移動上や施設利用上の利便性や安全性の向上を目的とする。
2 国土交通大臣及び厚生労働大臣は、高齢者の居住の安定の確保に関する基本的な方針を定める。
3 都道府県は、高齢者の賃貸住宅への入居促進のため、居住支援協議会を組織する。
4 都道府県は、自然災害により被災した高齢者に住宅再建のための支援金を支給する。
5 都道府県は、サービス付き高齢者向け住宅の認可を行う。

1 高齢者の移動上や施設利用上の利便性や安全性の向上を目的とする。
間違いです。
これは、、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」の内容です。

2 国土交通大臣及び厚生労働大臣は、高齢者の居住の安定の確保に関する基本的な方針を定める。
これが正解です。

3 都道府県は、高齢者の賃貸住宅への入居促進のため、居住支援協議会を組織する。
間違いです。
居住支援協議会の設置が規定されているのは、「住宅セーフティネット法」です。

4 都道府県は、自然災害により被災した高齢者に住宅再建のための支援金を支給する。
間違いです。
これは「被災者生活再建支援法」の説明です。

5 都道府県は、サービス付き高齢者向け住宅の認可を行う。
間違いです。
サービス付き高齢者向け住宅=「サ高住」は認可されるものではなく「登録」制になっています。

災害対策基本法
概要災害対策基本法は、1959年の伊勢湾台風をきっかけに、1961年に制定されました。第49条「市町村長は、当該市町村に居住する要配慮者のうち、災害が発生し、又は災害が発生するおそれがある場合に自ら避難することが困難な者で...

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