【民法】扶養義務、親権、相続、遺言、成年後見制度

民法で規定されている扶養義務、親権、相続、遺言について学びましょう。

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扶養義務

扶養義務について覚えなければならない内容は以下の3点です。

・直系血族と兄弟姉妹は互いに扶養する義務あり
・三親等内の親族は家庭裁判所が認めた場合に扶養義務を負う
・四親等に扶養義務はない

四親等はいとこ等が該当しますが、いとこ同士は扶養義務はないということになります。

1親等から4親等

親権

親権については以下の3点を押さえておきましょう。

・両親が共同で親権を行えるのは婚姻中のみ
・離婚した場合は、親権は父親か母親かどちらか一方
・非嫡出子の親権は、認知するしないにかかわらず母親

つまり、婚姻中は両親それぞれが親権を持ちますが、離婚するとどちらか一方しか親権を持つことはできません。

その時、非嫡出子(法律上の婚姻関係がない男女の間に生まれた子ども)の場合は、母親が親権を持ちます。

相続

相続の優先順位は、①配偶者、②直系卑属、③直系尊属、④兄弟姉妹となっています。
直系卑属というのは子や孫のように自分より下の世代の直通する親族、直系尊属は、父母や祖父母のように自分より上の世代の直通する親族のことです。

配偶者のみ 全額
配偶者と直系卑属 1:1
配偶者と直系尊属 2:1
配偶者と兄弟姉妹 3:1
相続の優先順位

相続する割合は上記の通りですが、遺言書などでそれが崩れる場合があります。ただし兄弟姉妹以外の相続人には相続財産の一定割合を取得できる権利(遺留分)があり、例えば、配偶者と子がいる場合は、それぞれ1/4ずつが遺留分になります。

遺言

遺言は15歳以上であれば遺すことができます。

遺言には普通方式遺言と特別方式遺言という2種類の方式があります。

普通方式遺言は厳格な方式が定められている遺言、特別方式遺言は病気や事故で死が差し迫っていたり、伝染病で隔離されている場合に利用する遺言で以下の2種類あります。

<特別方式遺言>
・危急時遺言
・隔絶遺言

遺言は、遺言者の真意を確実に実現させる必要があるため、普通方式遺言では厳格な方式が定められていて、その方式に従わない遺言はすべて無効です。

遺言者の遺志をしっかりと実現する必要があるので当然です。

なので例えば録音や録画は遺言としての法的効力がなく、以下の3種類の方式のみが遺言になります。

<普通証書遺言>
・自筆証書遺言
・秘密証書遺言
・公正証書遺言

自筆証書遺言

遺言者が紙に手書きして日付と氏名を署名、捺印する遺言です。
自筆証書遺言はその遺言書を発見した者が家庭裁判所に持参し、その遺言書を検認してもらわなければなりません。

ということは発見者が自分に不利なことが書いてあると思ったら隠したり書き換えたりするかもしれませんね。

秘密証書遺言

遺言者が、遺言の内容を記載した書面(自書でなくてもOK)に署名捺印して封をし、さらに遺言書に押印した印章と同じ印章で封印して公証人及び証人2人にその封書を提出し、自己の遺言書であると筆者の氏名・住所を申述し、公証人がその封紙上に日付及び遺言者の申述を記載した後、遺言者及び証人2人と共にその封紙に署名捺印することで作成できます。

自筆証書遺言と違って、間違いなく本人のものであることが明確にできますが、公証人は遺言書の中身を確認できないので、内容に不備があったら無効になってしまう可能性はあります。

また、秘密証書遺言は、自筆証書遺言と同じように、この遺言書を発見した者が、家庭裁判所に届け出て、検認手続を受けなければなりません。

公証人は、裁判官や検察官等の法律の専門家です。

公正証書遺言

公正証書遺言は、遺言者が公証人の前で遺言の内容を伝え、それを公証人が文章にまとめて作成します。

遺言者の署名も公証人が代筆することができますので、遺言者が自書できない場合などにも利用できます。

原本が公証人役場に保管されるので、遺言書が破棄されたり隠匿や改ざんの心配もありません。

自筆証書遺言や秘密証書遺言と違って、公正証書遺言は公証人が記述して公証人役場に保管されるので、無効になる心配はほぼありません。ただし費用は15万円ほどかかります。

遺言のまとめ

3種類の遺言の形をまとめます。

 自筆証書遺言秘密証書遺言公正証書遺言
家庭裁判所の検認不要
自書不要不要
必要人員公証人+証人2名公証人+証人2名
無効になる可能性

成年後見制度と民法

成年後見制度の歴史

1999年に民法が改正され、成年後見制度が規定されましたが、それ以前には禁治産制度と準禁治産制度がありました。

禁治産制度:心神喪失者に対して家庭裁判所が禁治産の宣告をして本人に後見人をつけます。
家庭裁判所によって選任された後見人は、禁治産者が行う法律行為について包括的な代理権と取消権を有し、それらの権限を用いて禁治産者の財産管理等を行います。
準禁治産制度:心神耗弱者または浪費者を保護するために、家庭裁判所が準禁治産の宣告をして、本人に保佐人をつけます。
保佐人は、準禁治産者が行う法律行為について一定の同意権と取消権を有します。


禁治産という名称が差別的な印象を与え、さらに禁治産者であることが戸籍に記載されるなど、制度を利用しにくいという問題があったため1999年に民法が改正され以下のように名称が変わりました。

<1999民法改正>
禁治産→「後見」
準禁治産→「保佐」
「補助」が新設

また同時に、任意後見制度が新しく創設されました。
このような経緯からわかるように、法定後見(補助、保佐、後見)の根拠法は「民法」です。
一方で、任意後見の根拠法は「任意後見契約法」となっています。

成年後見制度と遺言

成年被後見人が遺言を残せるかどうかという疑問については、「条件付きで可能」というのが答えです。

そもそも成年被後見人は常に判断能力を欠く状態ですから遺言書の作成はできないのですが、一時的に回復したような場合に、医師2名以上の立ち合いがあること等の条件の元で遺言書を作成することができます。

成年後見人は身分行為についての代理権は付与されませんので、遺言書の作成はできません。

被保佐人や被補助人も成年被後見人と同じように、遺言能力があれば遺言書の作成ができます。

遺言については成年後見人の取消権はなく、保佐人や補助人の同意も不要であることも併せて覚えておきましょう。

過去問

第30回 問題80

事例を読んで、次の親族関係における民法上の扶養に関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。
[事例]L(80歳)には長男(55歳)と次男(50歳)がいるが、配偶者と死別し、現在は独居である。長男は妻と子(25歳)の三人で自己所有の一戸建住居で暮らし、次男は妻と重症心身障害のある子(15歳)の三人でアパートに暮らしている。最近Lは、認知症が進行し、介護の必要性も増し、介護サービス利用料などの負担が増えて経済的にも困窮してきた。
1 長男と次男がLの扶養の順序について協議できない場合には、家庭裁判所がこれを定める。
2 長男及び次男には、扶養義務の一環として、Lの成年後見制度利用のための審判請求を行う義務がある。
3 長男の自宅に空き部屋がある場合には、長男はLを引き取って扶養する義務がある。
4 次男が生活に困窮した場合、Lは、長男に対する扶養請求権を次男に譲渡することができる。
5 長男の子と次男の子以外の者が全て死亡したときは、長男の子は次男の子を扶養する義務を負う。

1 長男と次男がLの扶養の順序について協議できない場合には、家庭裁判所がこれを定める。
これが正解です。

2 長男及び次男には、扶養義務の一環として、Lの成年後見制度利用のための審判請求を行う義務がある。
そんな義務ありません。

3 長男の自宅に空き部屋がある場合には、長男はLを引き取って扶養する義務がある。
そんなおかしな条件付き義務はありません。

4 次男が生活に困窮した場合、Lは、長男に対する扶養請求権を次男に譲渡することができる。
親の扶養義務はあくまで話し合いで決めます。
扶養請求権は譲渡したりするものではありません。

5 長男の子と次男の子以外の者が全て死亡したときは、長男の子は次男の子を扶養する義務を負う。
長男の子と次男の子はいとこ同士(四親等)なので、扶養義務はありません。

第33回 問題79

遺言に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 公正証書遺言は、家庭裁判所の検認を必要とする。
間違いです。公正証書遺言は家庭裁判所の検認が必要ない遺言です。
2 聴覚・言語機能障害により遺言の趣旨を公証人に口授することができない場合は、公正証書遺言を作成することができない。
3 法定相続人の遺留分を侵害する内容の遺言は、その全部について無効となる。
4 前の遺言が後の遺言と抵触している場合、その抵触する部分について、後の遺言で前の遺言を撤回したものとはみなされない。
5 被保佐人が遺言を作成するには、保佐人の同意は不要である。

1 公正証書遺言は、家庭裁判所の検認を必要とする。
間違いです。公正証書遺言は家庭裁判所の検認を必要としません。

2 聴覚・言語機能障害により遺言の趣旨を公証人に口授することができない場合は、公正証書遺言を作成することができない。
間違いです。聴覚・言語機能障がい者は、通訳人の通訳による申述・自書によってこれに変えることができます。

3 法定相続人の遺留分を侵害する内容の遺言は、その全部について無効となる。
遺留分というのは、例えば配偶者であれば仮に遺言書で遺産が相続されない旨の内容になっていたとしても、1/4は保証されるように保証されています。
このような遺留分を侵害する内容の遺言は、その全部が無効になるわけではなく、侵害された側が遺留分侵害請求を行うことで権利を守ることができます。

4 前の遺言が後の遺言と抵触している場合、その抵触する部分について、後の遺言で前の遺言を撤回したものとはみなされない。
間違いです。抵触している部分について、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなされます。

5 被保佐人が遺言を作成するには、保佐人の同意は不要である。
これが正解です。遺言については、成年後見人の取消権はなく、保佐人・補助人の同意も不要です。

次の記事

これで日本国内の内容は終了です。

最後にこれまでの内容を年数でまとめます。

「年数」でまとめる福祉
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