【人材育成】OJT、Off-JT、SDS、エルダー制度、メンター制度

人材育成のための様々な形を学び、仕事をする上での研修や自己研鑽についての用語を整理しましょう。

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研修制度

OJT(On The Job Training)

日常の業務の中で行われる教育訓練です。
部下や後輩の性格や人格性は対象としません。

Off-JT(Off The Job Training)

通常の仕事から離れて行われる教育訓練です。
職場外での研修だけでなく職場内の集合研修なども(通常の仕事から離れている場合は)含みます。

SDS(Self Development System )

職員の職場内外での自主的な自己啓発活動を職場が認知し、経済的時間的援助や施設の提供等を行う仕組みです。

エルダー制度(ブラザー・シスター制度)

先輩職員が後輩や新人職員に対して、仕事に関する指導を行う制度です。
実際の業務をしながら研修を行うOJTに似ています。

医療業界では、先輩看護師が後輩看護師を指導するプリセプター制度というのがありますが、これもエルダー制度の一種です。

メンター制度

先輩職員が後輩や新人職員対して、業務に関する指導や生活面・精神面でのサポートを行う制度です。
エルダー制度との違いは、業務に関することだけでなく生活面や精神面など全体的なサポートを行う点です。
指導する先輩職員をメンター、指導される後輩職員をメンティーと呼びます。

専門用語

キャリアアンカー

シャインが提唱した概念で、個人がキャリアを選ぶ際に、犠牲にしたくない軸となる価値観や能力のことです。

カリスマくん
カリスマくん

アンカーというのは錨(いかり)のこと、船の。

キャリアプラトー

「キャリアの停滞」という意味です。特に中年期などの特定の時期でのキャリアの停滞という意味で使われることが多いです。

カリスマくん
カリスマくん

プラトーは「高原」という意味。高原は登る時はしんどいけど、登ってみると平坦だね。つまりキャリアの「停滞」という意味になるわけ。特に中年期までずーと登ってきた人が停滞するという意味で使われるよ。

コーチング

人の自発性を引き出し、自主的な行動を引き出していくためのコミュニケーション法です。

上司と部下が対話を重ねることで部下に目標達成のために必要なスキルや知識を蓄えさせ目標に向けて行動を促すプロセスです。

メンタリング

知識や経験豊かなメンターと未熟なメンティーが交流し、対話や助言によってメンティーのキャリア面や心理面をサポートすることです。

CSR(Corporation Social Responsibility)

企業の社会的責任のことです。従業員や客、株主や環境などあらゆるものに対する社会的責任のことです。

CSV(Creating Shared Value)

「共通価値の創造」と訳されますが、企業の事業活動を通じて社会的な課題を解決し、社会貢献と企業利益を両立しようという考え方です。CSRはその会社で行っている事業には関係のない内容も対象ですが、CSVはその会社の事業活動を通じて社会貢献するという点が異なります。CSRは、例えば電機メーカーが森林保護活動をやったり等、CSVは例えば飲料メーカーがお茶の販売を通じて茶農家の育成をしたり等です。

暗黙知と形式知

暗黙知とは経験などにより蓄えられた知識のことで、形式知とは言語化され客観化された知識のことです。

仕事をする上では、個人の持っている暗黙知を、他人に共有できる形式知にして、職場で水平展開することが重要です。

カリスマくん
カリスマくん

熟練社員が長年の経験から得てきた知識を、文章化したりマニュアル化したりして社内の人間が共有できるようにする、これが「暗黙知の形式知化」だよ。

過去問

第30回 問題125

人材育成や研修に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 経験学習モデルは、能動的実験・具体的経験と内省的観察・抽象的概念化との間の循環を否定している。
2 暗黙知と形式知の、共同化、表出化、連結化、内面化からなる循環的な変換過程は、組織の知識を創発するのに有効である。
3 OJTでは、職員の職務遂行能力は対象外である。
4 OFF-JTは、作業遂行の過程で行う訓練方法のことである。
5 エルダー制度は、新入社員のセルフラーニングを通じた自己啓発の仕組みである。

1 経験学習モデルは、能動的実験・具体的経験と内省的観察・抽象的概念化との間の循環を否定している。
間違いです。
経験学習モデルは、経験→省察→概念化→実践というプロセスを踏み、サイクルを回すことで人は学習するという考え方です。

2 暗黙知と形式知の、共同化、表出化、連結化、内面化からなる循環的な変換過程は、組織の知識を創発するのに有効である。
これが正解です。
形式知は言語化され客観化されたものですが、暗黙知は経験や勘に基づく知識のことです。

3 OJTでは、職員の職務遂行能力は対象外である。
OJTは職務を通じての研修なので間違いです。

4 OFF-JTは、作業遂行の過程で行う訓練方法のことである。
OFF-JTは職場を離れての研修ですので間違いです。

5 エルダー制度は、新入社員のセルフラーニングを通じた自己啓発の仕組みである。
間違いです。
エルダー制度は新入社員が少しでも早く、職場や仕事に慣れる事が出来るよう、先輩社員が指導を行いサポートする制度のことです。

第29回 問題121

次の記述のうち、個人が暗黙的に行ってきた仕事の仕方(暗黙知)を形式知化する方法に当たるものとして、正しいものを1つ選びなさい。
1 OJTを通して、先輩職員の仕事の仕方を模倣する。
2 各担当係が紙媒体で管理していた業務記録を電子データベース化する。
3 熟練の職員が行う仕事の仕方を文章化し、マニュアルを作る。
4 法人の理念と行動規範を毎日唱和し、職員に周知させる。
5 新人教育でマニュアルの読み合わせを徹底し、マニュアルがなくても仕事ができるようにする。

暗黙知は経験や勘に基づく知識のこと、それを形式知化するとは、文字にしたりすることで客観化することです。
ということで、選択肢3が正解です。

第29回 問題125

組織で働く者の労働意欲やキャリア形成に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 ハーズバーグ(Herzberg,F.)は、仕事に積極的な満足を与える要因として、監督技術、作業条件、給与などの衛生要因を重視した。
2 マズロー(Maslow,A.)は、自己実現の欲求が達成されれば、仕事のやる気は低下すると考えた。
3 コーチングとは、上司からの指示・命令により従業員の労働意欲を向上させる方法のことである。
4 キャリアアンカーとは、組織が個人にふさわしいキャリア展開を前もって計画することをいう。
5 メンタリングは、メンティー(メンタリングの受け手)のキャリア形成の促進を目的とする。

1 ハーズバーグ(Herzberg,F.)は、仕事に積極的な満足を与える要因として、監督技術、作業条件、給与などの衛生要因を重視した。
ハーズバーグは人間が働く場合、環境に対する欲求と、仕事そのものに対する欲求の二つがあり、前者を「不満足を与える要因(衛生要因)」、後者を「満足を与える要因(動機づけ要因」と呼びました。
説明文の監督技術、作業条件、給与などは衛生要因であり、いくら不満足要因の解消に努めても満足な状態になりません。

2 マズロー(Maslow,A.)は、自己実現の欲求が達成されれば、仕事のやる気は低下すると考えた。
①生理的欲求、②安全欲求、③所属と愛の欲求、④承認欲求、⑤自己実現の欲求、段階的に①から⑤へとより高次の欲求充足に向かって動機づけがなされ、①から④を充足されると強度や重要性が低下する「欠乏動機」、⑤を充足されても低下しない「成長動機」と呼びました。

3 コーチングとは、上司からの指示・命令により従業員の労働意欲を向上させる方法のことである。
間違いです。
人の自発性を引き出し、自主的な行動を引き出していくためのコミュニケーション法です。

4 キャリアアンカーとは、組織が個人にふさわしいキャリア展開を前もって計画することをいう。
違います。
キャリアアンカーは、キャリアを選択する上で軸となる価値観や能力のことです。

5 メンタリングは、メンティー(メンタリングの受け手)のキャリア形成の促進を目的とする。
正しいです。

第35回 問題123

福祉サービスの経営に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい 。
1 CSR(Corporate Social Responsibility)は、福祉サービス事業者には求められない。
2 ドメイン(事業領域)は、単一の制度や限定された利用者を対象として設定しなければならない。
3 バランス・スコアカード(Balanced Score Card)とは、財務だけでなく、顧客、 業務プロセス、従業員の学習 ・育成といった各視点から企業実績を評価する仕組みである。
4 経営における戦路とは、短期的な観点による目標を設定し、日々の業務を遂行するための方策のことである。
5 CSV(Creating Shared Value)とは、社会的な課題を解決するところから生まれる社会価値を、 事業者の経済価値に優先する考え方である。

1 CSR(Corporate Social Responsibility)は、福祉サービス事業者には求められない。
誤りです。CSRは企業が社会的存在として果たすべき責任ですので、福祉サービス事業者にも求められます。

2 ドメイン(事業領域)は、単一の制度や限定された利用者を対象として設定しなければならない。
そんなことはありません。

3 バランス・スコアカード(Balanced Score Card)とは、財務だけでなく、顧客、 業務プロセス、従業員の学習 ・育成といった各視点から企業実績を評価する仕組みである。
これが正解です。

4 経営における戦路とは、短期的な観点による目標を設定し、日々の業務を遂行するための方策のことである。
短期的な観点による目標ではありません。

5 CSV(Creating Shared Value)とは、社会的な課題を解決するところから生まれる社会価値を、 事業者の経済価値に優先する考え方である。
誤りです。CSVは、企業が社会ニーズや問題に取り組むことで社会的価値を創造し、その結果、経済的な価値も創造されることを意味します。

第35回 問題124

人材の確保や育成に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 360度評価(多面評価)とは、評価者である上司が、職員の能力や業績だけでなく、性格、志向、特技などを多面的に評価する手法を指す。
2 人事考課においては、ある対象を評価する際に、部分的で際立った特性が、全体の評価に及んでしまうハロー効果が起こることがある。
3 OJT(On the Job Training)とは、日常の職務を離れて行う教育訓練方法のことを指す。
4 職員のキャリアや能力の開発を目的に人事異動を実施することは、望ましくないとされている。
5 エルダー制度は、新入職員のセルフラーニングを通じた自己啓発の仕組みである。

1 360度評価(多面評価)とは、評価者である上司が、職員の能力や業績だけでなく、性格、志向、特技などを多面的に評価する手法を指す。
誤りです。360度評価とは、上司、部下、同僚、他部署の社員など複数の従業員が1人の社員を評価する仕組みのことです。

2 人事考課においては、ある対象を評価する際に、部分的で際立った特性が、全体の評価に及んでしまうハロー効果が起こることがある。
正しいです。

3 OJT(On the Job Training)とは、日常の職務を離れて行う教育訓練方法のことを指す。
誤りです。これはOff-JTの内容です。

4 職員のキャリアや能力の開発を目的に人事異動を実施することは、望ましくないとされている。
そんなことはありません。

5 エルダー制度は、新入職員のセルフラーニングを通じた自己啓発の仕組みである。
誤りです。これはSDSの内容です。

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