【社会心理学】「ハロー効果」「ピグマリオン効果」「ゴーレム効果」「バーナム効果」の覚え方

ピグマリオン効果やゴーレム効果、ハロー効果、スリーパー効果などの「〇〇効果」は、意味を知っているだけで点数になります。

しっかり覚えましょう。

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〇〇効果

ピグマリオン効果

別名「ローゼンタール効果」や「教師期待効果」ともいいます。
相手に期待することで相手もその期待に応え、結果的に期待が達成されるという概念です。

さらに、そこから派生して「自分が相手に対してある期待を持つと、自分自身が意識しないうちに当該期待に沿った行動を、自らがとってしまうという行動傾向」のことを意味することもあります。

カリスマくん
カリスマくん

教師が生徒に期待すると生徒はヤル気になってがんばるよね。「教師期待効果」で覚えると意味を忘れないね。そして期待した教師も、その期待に沿った行動をとるという意味も含まれるんだよ。

ピグマリオンの語源は、キプロス王ピグマリオンが自ら彫刻した女神像を愛し続けた結果、人間の女性になったという逸話から来ています。

ゴーレム効果

ゴーレム効果はピグマリオン効果の裏返しです。

期待せず生徒に接すると、その生徒の成績が伸びない、ということです。

スリーパー効果(=居眠り効果)

あまり信頼できない人からの説得でも最初は疑いつつ、時間が経過する(寝かせる)と信じるようになることです。

カリスマくん
カリスマくん

これは思い当たる節があるよね。
最初は疑っていたのに、時間が経過して寝かせられるとなぜか当たり前のこととして受け入れていた経験があるなぁ。

ツァイガルニク効果

達成できたことや成功したことよりも、失敗したことの方がよく覚えているという現象です。
確かにそうだと思います。

カリスマくん
カリスマくん

社会福祉士に合格すれば、おそらく3カ月後には忘れてるよね。不合格だったら3年くらいは覚えているので尾を引くよ。

プラシーボ効果(=偽薬効果)

薬理効果のない薬を「よく効く薬」と偽って患者に与えると本当の薬のように効果が出る現象です。
これも実際にあるようです。

ハロー効果

ハローとは「後光」のことで、目につきやすい顕著な特徴にばかり気を取られてしまい、他の特徴の評価がおろそかになる現象です。

ハロー効果

英語が喋れる人をなんでもできる人と思ってしまったり、しますよね。後ろから射す光で照らされると、神々しくてなんでもできる人のように見えてしまうという感じですね。ハロー効果は上の絵を思い出してください。

カリスマくん
カリスマくん

英語が喋れる人をなんでもできる人と思ってしまったり、するよね。後ろから射す光で照らされると、神々しくてなんでもできる人のように見えてしまうという感じだね。ハロー効果は上の絵を思い出してね。

アナウンスメント効果

選挙予測報道が有権者の投票行動に影響を与えることです。

選挙報道で1位と2位が僅差であることが報じられると、2位の人に投票したくなる人が増えたり、ですね。

ラベリング効果

人や物事にラベルやレッテルが貼られることで、その価値が決めつけられてしまう現象です。

バーナム効果

誰にでも当てはまる曖昧で一般的な説明を、自分に当てはまると捉える現象です。

占いで言われた一般的なことが「当たってる・・・」と思ってしまうことがありますね。

カリスマくん
カリスマくん

バーナム効果は、「南無南無と占う」と覚えてね。

ブーメラン効果

説得すればするほど、説得される側が逆の意見を抱いてしまう現象です。

カリスマくん
カリスマくん

勉強しなさいと言われるほど子供は勉強しなくなるよね。
やればやるほど逆効果になってしまうことだよ。

アンカリング効果

アンカリング(係留)効果は、先行提示された情報(アンカー)によって、後続提示された情報の判断が歪められる現象です。

カリスマくん
カリスマくん

例えば、同じ商品でも定価1,000円が500円になっているときと、初めから500円で売られているときとでは、前者の方がお買い得に思えて買いたくなるよね。

傍観者効果

緊急的な援助を必要とする場面でも、周囲に多くの人がいれば、誰かが助けるだろうと考えて助けようとしないことです。

カリスマくん
カリスマくん

集団理論の集団浅慮を思い出すね。

傍観者効果についての詳細は以下の記事でその心理を学びましょう。

【社会心理学】社会的抑制&傍観者効果&集合的無知
社会的抑制(社会的手抜き)ラタネ(B.Latané)とダーレー(J.M.Darley)は、社会的抑制(社会的手抜き)に関する研究を行っています。社会的抑制は、他者の存在によって行動が抑制されることで、例えば、集団で協同作業を行うと一人あたり

効果まとめ

ここで学んだ〇〇効果は、その大元となる認知心理学のヒューリスティックや認知バイアスも合わせて学ぶと、知識に厚みが出ます。

カリスマくん
カリスマくん

覚えることが多いけど頑張って!

集団の心理学

社会心理学では集団の心理学を扱います。

集団浅慮

集団浅慮は、集団で議論することによって、かえって深く考えずに決定がなされてしまうような現象のことです。

「集団の凝集性」が高いと集団内で意見を一致させようという動機付けが集団浅慮を引き起こします。

つまり集団を構成するメンバー同士が親密であると、反対意見をいう人が少なくなり熟考しなくなることです。

社会的手抜き

社会的手抜きは、単独で作業するよりも集団で作業する方が一人当たりの作業量が低下する現象のことです。

カリスマくん
カリスマくん

会議の参加人数が多いと誰かが発言するだろうと考えて自分は発言しないとか、思い当たるよね。

集団浅慮と似ていますが、これも集団になることによる悪い影響です。

社会的促進と社会的抑制

単純な課題では他者の存在が社会的促進をもたらし、複雑な課題では逆に社会的抑制をもたらします。

つまり集団になると、単純な作業をする場合にはみんなでワイワイと効率よく進められるのに対して、複雑な作業になると集中してやらないといけないので集団になると非効率になってしまいます。

カリスマくん
カリスマくん

確かに単純な農作業などは人が多いとヤル気が出て捗るけど、複雑な作業は人が多いと集中できず作業効率が落ちるよね。

コーシャスシフトとリスキーシフト

コーシャスシフトとは、集団討議などで安全志向の結論が得られやすくなることです。

リスキーシフトとはその逆で、集団討議などで極端な意見や危険志向を増大させ過激になることです。

どちらも経験的によくわかります。

同調

同調は、集団において多数派の意見や期待に合わせて個人の意見や行動が変化することです。

社会的ジレンマ

社会的ジレンマは、集団メンバーの多くが個人的利益を追求した行動をとることで集団全体にとって不利益になることです。個々人は合理的に行動しているように思っていますが、結果的にそうならないというジレンマです。

社会的ジレンマの例を見てみましょう。

共有地の悲劇(コモンズの悲劇)

「共有地の悲劇」とは、資源へのアクセスが不特定の人に平等に開かれているために起こる破綻のことです。

例えば、誰もが利用可能な牧草地は一定数の牛なら生産が持続可能ですが、収容限界を超えると牧草が枯渇して牛が死んでしまいます。

共有地では持続可能性より目先の利益が優先されるため、牧草地が荒廃すると利用者全員が不利益を被るのに、目先の利益に走ってしまう事を共有地の悲劇と呼びます。

囚人のジレンマ

囚人のジレンマとは、ある事件の共犯である2人の容疑者から別々に事情聴取をする時に、容疑者はそれぞれ相手の行動を予測しながら自分の利得が最大になるような行為を選択し、その結果自白に追い込まれるというものです。

例)共犯と思われる2人の囚人を自白させるため、検事はその2人の囚人に次のような司法取引をもちかける。

  • 本来ならお前たちは懲役5年なんだが、もし2人とも黙秘したら証拠不十分として減刑し、2人とも懲役2年だ。
  • もし片方だけが自白したら、そいつはその場で釈放する。この場合黙秘してた方は懲役10年だ。
  • ただし、2人とも自白したら、判決どおり2人とも懲役5年だ。

このとき、2人の囚人はそれぞれ黙秘すべきかそれとも自白すべきか(囚人は別室に隔離されており、相談することはできない状況)。

上記の例を考えたとき、二人とも黙秘することが最良なのですが、そうはいきません。相手がもし自白すれば自分は懲役10年になってしまうことを恐れて自分も自白してしまいます。これが囚人のジレンマです。

専門用語

フリーライダー

フリーライダーとは、いわゆる「ただ乗りする人」のことです。

非協力的だったりコストを負担せず利益を得ようとする人のことです。

選択的誘因

選択的誘因は、非協力的な行動よりも協力的な行動のほうが良いと思わせるように報酬を与えることです。

カリスマくん
カリスマくん

選択的誘因があればフリーライダーは減りそうだね!

過去問

第25回 問題9

心理的効果に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 ピグマリオン効果とは、自分が相手に対してある期待を持つと、自分自身が意識しないうちに当該期待に沿った行動を、自らがとってしまうという行動傾向をいう。
2 スリーパー効果とは、信懸性の高い送り手による説得は説得直後はあまり効果がなく、一定時間経過後の方が効果的な場合があるという行動傾向をいう。
3 ハロー効果とは、対象者がある側面で望ましい特徴をもっていると、その評価を対象者の全体的評価にまで広げてしまうことに不安感を抱く行動傾向をいう。
4 アナウンスメント効果とは、衆人の前で自分が表明したことに拘束され、自分の行動が縛られてしまうことをいう。
5 ブーメラン効果とは、好ましく思っていない相手が自分と同じ意見を主張したときに、相手を仲間のように思い親しげに振舞うようになることをいう。

1 ピグマリオン効果とは、自分が相手に対してある期待を持つと、自分自身が意識しないうちに当該期待に沿った行動を、自らがとってしまうという行動傾向をいう。
ピグマリオン効果は教師期待効果なので、期待するほどその期待に応えようとがんばるという現象です。
するとこの選択肢は間違っているように思うのですが、実は正解です。
ピグマリオン効果では、期待をかけた者も、その期待をかけた対象に「えこひいき」してしまうという意味まで含まれています。一応覚えておきましょう。

2 スリーパー効果とは、信懸性の高い送り手による説得は説得直後はあまり効果がなく、一定時間経過後の方が効果的な場合があるという行動傾向をいう。
間違いです。
信頼性の「高い」ではなく、「低い」ですね。

3 ハロー効果とは、対象者がある側面で望ましい特徴をもっていると、その評価を対象者の全体的評価にまで広げてしまうことに不安感を抱く行動傾向をいう。
間違いです。
不安感を抱くわけではありません。

4 アナウンスメント効果とは、衆人の前で自分が表明したことに拘束され、自分の行動が縛られてしまうことをいう。
間違いです。
アナウンスメント効果は、選挙報道が選挙行動に影響を与えてしまう効果です。

5 ブーメラン効果とは、好ましく思っていない相手が自分と同じ意見を主張したときに、相手を仲間のように思い親しげに振舞うようになることをいう。
ブーメラン効果は、やればやるほど逆効果ということです。

この問題は〇〇効果の寄せ集めのような問題でしたが、よく出題されるのは以下のような、選択肢の中で1つだけ〇〇効果が含まれている形式です。

第30回 問題11

集団における行動に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 社会的ジレンマとは、集団的な討議を行うことによって、より安全志向な結論が得られやすくなることをいう。
2 ピグマリオン効果とは、集団において多数派の意見や期待に合わせて、個人の意見や行動が変化することをいう。
3 傍観者効果とは、緊急的な援助を必要とする場合であっても、周囲に多くの人がいることによって、援助行動が抑制されることをいう。
4 同調とは、他者の存在によって作業の効率が向上することをいう。
5 コ―シャス・シフトとは、集団のメンバーの多くが個人的利益を追求した行動をとることで、集団全体にとって不利益な結果となることをいう。

1 社会的ジレンマとは、集団的な討議を行うことによって、より安全志向な結論が得られやすくなることをいう。
これはコ―シャスシフトの説明なので間違いです。

2 ピグマリオン効果とは、集団において多数派の意見や期待に合わせて、個人の意見や行動が変化することをいう。
これはピグマリオン効果ではなく同調の説明です。
ピグマリオン効果とは別名「教師期待効果」と呼ばれ、教師が生徒に期待することで生徒が努力できるというような効果です。

3 傍観者効果とは、緊急的な援助を必要とする場合であっても、周囲に多くの人がいることによって、援助行動が抑制されることをいう。
これが正解です。

4 同調とは、他者の存在によって作業の効率が向上することをいう。
これは社会的促進の説明なので間違いです。

5 コ―シャス・シフトとは、集団のメンバーの多くが個人的利益を追求した行動をとることで、集団全体にとって不利益な結果となることをいう。
これは社会的ジレンマの説明です。

第31回 問題125

人事管理に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 目標管理制度で部下が目標を設定する際は、チームや組織の目標とは無関係に、部下の個人的な目標を設定するのが原則である。
2 ダイバーシティ・マネジメントにおいては、人材の多様性は組織に様々な価値や利益をもたらすと考えられている。
3 成果主義による人事評価とは、職員の潜在能力に着目して、処遇や昇進などの評価に差をつけることをいう。
4 人事評価におけるハロー効果とは、評価が標準・普通に集中することをいう。
5 職務給とは、組織内の職位と年齢に応じて、職員の給与に格差を設ける給与をいう。

1 目標管理制度で部下が目標を設定する際は、チームや組織の目標とは無関係に、部下の個人的な目標を設定するのが原則である。
チームや組織の目標とは無関係にというのはおかしいです。

2 ダイバーシティ・マネジメントにおいては、人材の多様性は組織に様々な価値や利益をもたらすと考えられている。
「ダイバーシティ」は「多様性」という意味なので覚えておきましょう。
これが正解です。

3 成果主義による人事評価とは、職員の潜在能力に着目して、処遇や昇進などの評価に差をつけることをいう。
成果主義による人事評価とは、職員の潜在能力ではなく、仕事の成果に応じて給与や昇格を決定する人事制度のことです。

4 人事評価におけるハロー効果とは、評価が標準・普通に集中することをいう。
ハロー効果とは、部分的な特性の評価が全体の評価に及び傾向のことで、最初に形成された印象がその後の評価につながるような評価の問題点などをいいます。

5 職務給とは、組織内の職位と年齢に応じて、職員の給与に格差を設ける給与をいう。
説明の内容は年功給であり間違いです。
職務給は能力によるものと職種による給与があります。

第28回 問題20

社会的ジレンマに関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 企業などで生産された財やサービスが貨幣換算されないために、国家のGDPに含まれないことを「外部不経済」という。
2 犯罪容疑者である共犯者が、逮捕されていない主犯者の利益を考えて黙秘する結果、自分が罪をかぶることを「囚人のジレンマ」という。
3 社会にとって有用な資源へのアクセスが特定の人に限られていることを「共有地の悲劇」という。
4 ある財やサービスの対価を払うことなく、利益のみを享受する人のことを「フリーライダー」という。
5 協力的行動の妨害に与える報酬のことを「選択的誘因」という。

1 企業などで生産された財やサービスが貨幣換算されないために、国家のGDPに含まれないことを「外部不経済」という。
間違いです。
外部不経済とはマーシャルが提唱した概念で、経済活動の費用や便益が取引当事者以外に及ぶことを指します。例えば、企業活動などの結果社会に不利益をもたらす公害や環境破壊などですね。

2 犯罪容疑者である共犯者が、逮捕されていない主犯者の利益を考えて黙秘する結果、自分が罪をかぶることを「囚人のジレンマ」という。
囚人のジレンマは、逮捕されていない主犯者の利益を考えるのではなく、自分の利益を考えて自白してしまうことなので間違いです。

3 社会にとって有用な資源へのアクセスが特定の人に限られていることを「共有地の悲劇」という。
間違いです。
共有地の悲劇は、有用な資源へのアクセスが誰にでも可能な状況で、不合理な行動を選択してしまうジレンマのことです。

4 ある財やサービスの対価を払うことなく、利益のみを享受する人のことを「フリーライダー」という。
これが正解です。

5 協力的行動の妨害に与える報酬のことを「選択的誘因」という。
間違いです。
選択的誘因は、協力的行動に報酬を与えて協力を促すことです。選択的誘因によってフリーライダーは減るでしょう。

第32回 問題20

次のうち、「囚人のジレンマ」に関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 合理的な仕組みに対して過剰な執着を持つ状況を指す。
2 一定期間、閉鎖的・画一的に管理された場所で生活する状況を指す。
3 協力し合うことが互いの利益になるにもかかわらず、非協力への個人的誘因が存在する状況を指す。
4 二つの矛盾した命令を受けているため、そのいずれも選択することができない状況を指す。
5 非協力的行動を行うと罰を受け、協力的行動を行うと報酬を得ることで、協力的行動が促される状況を指す。

選択肢3がズバリ正解です。

第33回 問題20 

次のうち、社会的ジレンマの定義として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 目標を効率的かつ公正に達成するための手段として制定されたルールが、それ自体目的と化してしまうことで、非効率な結果が生み出されている状況
2 文化を介して不平等や序列を含んだものとしての社会秩序が維持・再生産されている状況
3 信頼関係、互酬性の規範、人的ネットワークなどが整えられることによって人々に広く便益をもたらしている状況
4 協力的な行動には報酬を与え、非協力的な行動には罰を与えることで、協力的行動が合理的であるようにする状況
5 各個人が自らの利益を考えて合理的に行動した結果、集団あるいは社会全体として不利益な結果を招いてしまう状況

選択肢5が正解です。

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