【ソーシャルワークの専門性】ソーシャルワーカーは専門職か否か?

ソーシャルワークの対象は、高齢者の介護、障害者の社会参加、子育て支援、自殺や孤独死の問題、生活困窮者支援、少年非行や犯罪、不登校の問題、在日外国人への支援などなど、様々です。

単にソーシャルワーカーと言っても、医療ソーシャルワーカー、スクールソーシャルワーカー、児童福祉司、精神保健福祉士、ファミリーソーシャルワーカー等々、医療や教育、司法などの多岐にわたる分野で必要とされています。

このように高い専門性が必要なソーシャルワーカーの、「専門性」とは何かということについて見ていきたいと思います。

ソーシャルワーク専門化の起源

ソーシャルワークの専門化の起源は、ケースワークの母と呼ばれるリッチモンドがケースワークの専門化に取り組んだことから始まります。

リッチモンドはCOS(Charity Organization Society)の友愛訪問(現在の民生委員のような活動)を通してケースワークを発展させていきます。

一方で、COSと対比されるセツルメント運動は、同じ時期にアダムズによって行われていました。
COSでは支援の専門性を重視したのに対し、セツルメント運動では経験と勘に頼った支援を行いました。

結果的に、ノーベル平和賞を受賞したのは、セツルメント運動のアダムズでしたね。

ソーシャルワーク専門職の属性

ソーシャルワークは専門職か否かという議論は100年以上前から行われています。

専門職という単語は、エキスパート(熟練者、達人)、プロフェッショナル(職業、使命)、スペシャリスト(技能的に高度化した専門職)という3種類ありますが、ここではプロフェッショナルが近い意味だと思います。プロフェッショナルは「職業」という意味でも用いられますが、「使命としての仕事」のような意味合いが含まれているので、ここでの内容に合致します。

1915年 フレックスナー

全米慈善矯正事業会議で、フレックスナーは「現段階でソーシャルワークは専門職に該当しない」と講演しました。

当時のソーシャルワークは以下の属性を満たしていないと判断されたのです。

<ソーシャルワーク専門職の属性 by フレックスナー>
・体系的理論があること
・個人的責任が伴う知的な仕事であること
・実践的、実用的であること
・教育的手段により伝達可能な技術があること
・専門職団体・組織を作ること
・利他主義的であること

1957年 グリーンウッド

フレックスナ-の講演から40年以上経って、グリーンウッドが「ソーシャルワークはすでに専門職である」としました。

この時に提示された専門職の5属性は以下です。

<ソーシャルワーク専門職の属性 by グリーンウッド>
・体系的理論
・専門職的権威
・社会的承認
・倫理綱領
・専門職的副次文化(サブカルチャー)

この5属性を満たしていると認めたんですね。
その後、いろいろな人が専門職の条件を提案しています。
参考程度に見ておいてください。

1965年 ミラーソン

専門職の6属性を提唱しています。

①公衆の福祉という目的
②理論と技術
③教育と訓練
④テストによる能力証明
⑤専門職団体の組織化
⑥倫理綱領

秋山智久

社会福祉専門職の6条件を提唱しています。

①体系的な理論
②伝達可能な技術
③公共の関心と福祉という目的
④専門職の組織化(専門職団体)
⑤倫理綱領
⑥テストか学歴に基づく社会的承認

秋山さんはアドボカシーの5機能を提唱した人ですね。

仲村優一

専門職の6条件を提唱しています。

①専門職とは、科学的理論に基づく専門の技術の体系を持つものであること。
②その技術を身につけるのには、一定の教育と訓練が必要であること。
③専門職になるには、一定の試験に合格して能力が実証されなければならないこと。
④専門職は、その行動の指針である倫理綱領を守ることによって、その統一性が保たれること。
⑤専門職の提供するサービスは、私益でなく公衆の福祉に資するものでなければならないこと。
⑥社会的に認知された専門職団体として組織化されていること。

仲村優一は「岸・仲村論争」の仲村ですね。

まとめ

ソーシャルワーク専門職の属性は、見てきたように様々な人が様々な基準を示しています。しかし、よく見てみると同じ項目があったりします。

まとめてみましょう。

ソーシャルワーク専門職の属性まとめ

上の表を見てみると、5人全員が挙げている属性があります。

それは「体系的理論があること」です。

「専門職団体」の存在もグリーンウッド以外の4人が挙げていますが、グリーンウッドは「専門職的権威」を挙げていて、これを含めると、こちらの属性も全員一致と言えます。

次に、「倫理綱領」と「教育・学習による伝達」については4人が挙げています。

フレックスナーとグリーンウッドで共通するのは「体系的理論」だけですね。この二人は仲悪そう。

医学モデルから生活モデルへ

グリーンウッドが「ソーシャルワークは専門職である」と言った1950年代は、ソーシャルワークが医学モデルから生活モデルへ移行していった時期です。

ソーシャルワークの各種アプローチ

つまり、課題の原因はその人個人にあると捉える「医学モデル」から脱却し、課題はその人を取り巻く環境も含めたシステム全体にあると考えるシステム理論をベースにした「生活モデル」が、ソーシャルワークの基本的な考え方になってはじめて、ソーシャルワークは専門職に成り得たわけです。

この点は次の記事で取り上げています。

最後に

日本のソーシャルワーカーである社会福祉士が専門職であるためには、自身の自己研鑽による専門技術や能力の向上、そして社会福祉士の社会的地位の向上が不可欠です。

このサイトでは、社会福祉士になってから活きる知識を重要視しています。

単に国家試験に合格するためだけの知識も確かに必要なので受験テクニック的なことも書いていますが、試験にも役に立って、社会福祉士になってからも活きる知識を授けることを、このサイトの重要テーマに掲げています。

過去問

精神保健福祉士 第23回 問題21 

次のうち、グリーンウッド(Greenwood, E.)が掲げたソーシャルワーク専門職の属性として、適切なものを1つ選びなさい。
1 個人的な責任を伴う、理論を携えた活動であること
2 地域社会の承認があること
3 専門職を養成するための教育システム及びその訓練課程があること
4 利他的な動機があること
5 構成員の大多数が加入している専門職能団体があること

1 個人的な責任を伴う、理論を携えた活動であること
間違いです。個人的な責任を伴うことは示されていません。

2 地域社会の承認があること
これが正解です。

3 専門職を養成するための教育システム及びその訓練課程があること
間違いです。これはフレックスナーが示した属性です。

4 利他的な動機があること
間違いです。これはフレックスナーが示した属性です。

5 構成員の大多数が加入している専門職能団体があること
間違いです。これはフレックスナーが示した属性です。

次の記事

次は、国家試験に必ず出題されるソーシャルワークのアプローチ総まとめです。

【総まとめ】ソーシャルワークの全15種アプローチ
13種類もあるソーシャルワークのアプローチを覚えるコツは、歴史的な流れを捉えながらストーリーとして覚えていくことです。最終的には各アプローチのキーワードが頭に入っていればOK。

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