岡村重夫の理論は特徴がないため覚えにくくて受験生を苦しめます。
この記事では岡村重夫を覚えるためのキーワードを伝授します。
その他、永田幹夫、孝橋正一、三浦文夫、右田紀久惠、一番ケ瀬康子、真田是、大河内一男、大橋謙策のキーワードも。
地域福祉9人衆
岡村重夫(おかむら しげお)
岡村重夫のキーワードとして、次の2つをまず押さえましょう。
・地域住民の主体的参加
・社会関係の主体的側面
岡村重夫は、「地域住民の主体的参加のないままサービス提供がなされても、それは地域福祉ではない」と考え、地域の問題は可能な限り地域で解決することを目指しました。
また、社会関係の主体的側面に焦点を当てた視点を重視しました。
社会関係というのは個人と社会制度の関係のことです。
つまり、一般的な社会制度側から見て個人に客体的に働きかける政策だけではなく、個人側から見て社会制度に対する主体的側面に働きかけるという社会福祉固有の視点を提起したのです。
どちらのキーワードも「主体的」って入っていることに注目!
ただし、最近の国家試験で出題される岡村理論は、これだけでは対応できなくなっています。
が、どんなに勉強しても報われないのが岡村重夫です。
2001年に岡村重夫さんが亡くなってから、まさか自分が社会福祉士受験生を苦しめることになろうとは想像もしていなかっただろうねぇ。
岡村は、1974年「地域福祉論」の中で、地域福祉の構成要件を「コミュニティケア」、「一般組織化活動と福祉組織化活動」、「予防的社会福祉」の3つに分類しました。
コミュニティケアとは、地域住民が(高齢者も障害者も)あたりまえに地域で暮らしていくための支援で、その原点はイギリスの「シーボーム報告」です。
下の永田幹夫と対比させて覚えてください。
地域福祉の構成要素として、岡村は「コミュニティケア」、永田は「在宅福祉サービス」を重要視しました。
さらに両者に共通するのは、地域組織化活動(コミュニティオーガニゼーション)です。
地域を組織化することの重要性は二人とも共通認識です。
人物 | 地域福祉の構成要素 |
---|---|
岡村重夫 | コミュニティケア、一般組織化活動と福祉組織化活動、予防的社会福祉 |
永田幹夫 | 在宅福祉サービス、環境改善サービス、組織活動 |
当サイトに「岡村重夫、覚え方」で検索してくる人がまあまあ多いのだ。受験生にとっていかに岡村重夫が覚えにくいかってこと。「重夫」が漢字変換できなくてもイライラしないで。岡村さんに罪はないんだから。
永田幹夫(ながた みきお)
永田幹夫は、地域福祉の構成要素として、「在宅福祉サービス」「環境改善サービス」「組織活動」の3つに分類し、地域福祉の具体的展開のために新たなサービス供給体制の創出を図ることを重視しました。
在宅福祉サービス(予防的サービス、専門的ケア、在宅ケア、福祉増進サービスを含む対人福祉サービス)を整備することで社会福祉サービスを必要とする個人や家族の自立を地域社会の場において図ることを重視しました。
在宅福祉サービスは、デイサービス、ショートステイ、ホームヘルプという、自宅にいながら受ける福祉サービスだよ。1990年の福祉八法改正で在宅福祉サービスは第二種社会福祉事業に規定されたんだね。これは地域福祉にとってとても重要だよ。
孝橋正一(こうはし しょういち)
孝橋正一は、社会事業(社会福祉事業)の課題を社会科学的・経済学的に解明しようとし、社会事業(社会福祉事業)は、社会問題への対策が政策で出来ない場合の代替であるという「政策論」を展開しました。
社会政策:資本主義の基本問題である社会問題を対象
社会事業:社会問題への対策が社会政策で出来ない場合の代替
一方で岡村重夫は、社会福祉の対象となる人たちの「社会との関係や環境」に着目しその環境との不均衡を調整して適応することが重要と論じました。
岡村重夫は「地域住民の主体性」だけでなく「環境への適応」が重要と考えた点を押さえておきましょう。
この孝橋の「政策論」と岡村の「援助技術論」は、孝橋理論と岡村理論として対照的です。岡村理論は現在も主流ですが、孝橋理論が現在ほとんど使われていないのは、社会政策が主で社会事業はそれを補うものといった感じの理論だからでしょう。
人物 | 理論 | 内容 |
---|---|---|
岡村重夫 | 援助技術論 | 「社会との関係や環境」に着目しその環境との不均衡を調整して適応することが重要 |
孝橋正一 | 政策論 | 社会事業(社会福祉事業)は、社会問題への対策が政策で出来ない場合の代替 |
また岡村重夫でてきたー!
仲村優一は「戦後の社会福祉研究の中で後世に残るのは、孝橋さんと岡村さん」と言ってるよ。
三浦文夫(みうら ふみお)
三浦文夫は、公的責任における生活保護などの貨幣的ニードから、対人サービスなどの非貨幣的ニードの充足の必要性を提起しました。
三浦文夫のキーワードは「貨幣的ニード」と「非貨幣的ニード」です。
これまでは低所得者に「貨幣的ニード」があるとされていましたが、家族機能の弱体化や地域社会の崩壊によってあらゆる人が「非貨幣的ニード」を抱くようになったとされています。
さらに三浦は、このようなニードを充足するための福祉サービスの供給体制を論じました。社会福祉の供給組織を、行政型供給組織、認可型供給組織、市場型供給組織、参加型供給組織に区分し、供給主体としての公私の役割分担などを論じています。
ということで、三浦文夫のキーワードとして「供給体制論」も加えておいてください。
右田紀久惠(うだ きくえ)
右田紀久惠は、福祉ニーズを生活問題として捉え、その問題解決に向けた住民の主体的な参加を重視し、地方自治体と住民との協働の必要性についても提起しています。
キーワードは「住民の主体的参加」、これは岡村重夫と同じですが、もう一つ「自治型地域福祉」も覚えておきましょう。
自治型地域福祉とは、個人の主体性と内発性を要件とした地方自治体のモデルです。
「みぎた」じゃないよ、「うだ」だよ!
一番ケ瀬康子(いちばんがせ やすこ)
一番ケ瀬康子のキーワードは「運動論」です。
運動とは社会福祉の改善や要求を行うことです。
彼女は、社会福祉を「目標としての福祉」と、「手段としての福祉」に区分しました。
「手段としての福祉」:目標を達成するために貢献する政策や運動など
真田是(さなだ なおし)
真田是は、地域における住民活動を地域の福祉力にしていくことを重視し、これは自然に発生するものではないため、住民の自治組織が社会福祉に注目することの必要性を提起しています。
そして、社会福祉の問題を社会構成体的に理解し、対象と政策主体と運動の三元的な力動関係において捉え、そこから「福祉労働」を規定しました。
ということで、真田是のキーワードは「福祉労働」と「運動論」です。
一番ケ瀬康子と同じく、運動論を唱えています。
運動論を唱えたのは、一番ケ瀬康子、真田是、その他にも高島進がいます。
高島進らが唱えた運動論は「新政策論」と呼ばれ、孝橋正一が唱えた「政策論」との格闘が続きます。
名前の読み方は「なおし」だよ。「ぜ」じゃないよ。
大河内一男(おおこうち かずお)
大河内一男は、社会政策と社会事業を以下のように捉えています。
社会政策:経済秩序内的存在である労働者を対象
社会事業:経済秩序外的存在である貧困者を対象
つまり「社会政策=労働政策」として必要不可欠とする一方で、社会事業は社会政策を補うものとして捉えていました。
ということで、大河内一男のキーワードは、「経済秩序外的存在」など上の定義をそのまま覚えてください。
この人は東大の教授で、東大総長まで務めたよ。すごい。
孝橋正一も社会政策と社会事業について論じていましたね。再度載せておきます。
結局、孝橋正一も大河内一男も、社会政策が主で、社会事業がそれを補うものというような考え方ですね。
社会政策:資本主義の基本問題である社会問題を対象
社会事業:社会問題への対策が社会政策で出来ない場合の代替
大橋謙策(おおはし けんさく)
大橋謙策のキーワードは「コミュニティソーシャルワーク」です。
まだご存命ですので、一度講演会などを聴きに行きましょう。
地域生活での課題を抱える個人や家族への個別支援と、生活環境の整備や住民の組織化等の地域支援を総合的に展開し、地域共生社会を実現するためのコミュニティソーシャルワークを提唱されています。
コミュニティソーシャルワークは、イギリスのバークレイ報告でも提唱されていました。
まとめ
人物 | キーワードなど | 内容 |
---|---|---|
岡村重夫 | 地域住民の主体的参加 | |
社会関係の主体的側面 | 個人側から見て社会制度に対する主体的側面 | |
援助技術論 | 「社会との関係や環境」に着目しその環境との不均衡を調整して適応することが重要 | |
コミュニティケア | 地域福祉の構成要素:「コミュニティケア」「一般組織化活動と福祉組織化活動」「予防的社会福祉」 | |
永田幹夫 | 在宅福祉サービス | 地域福祉の構成要素:「在宅福祉サービス」「環境改善サービス」「組織活動」 |
孝橋正一 | 政策論 | 社会政策:資本主義の基本問題である社会問題を対象 社会事業:社会問題への対策が社会政策で出来ない場合の代替 |
三浦文夫 | 貨幣的ニード、非貨幣的ニード | |
供給体制論 | 社会福祉の供給組織を、行政型供給組織、認可型供給組織、市場型供給組織、参加型供給組織に区分 | |
右田紀久惠 | 地域住民の主体的参加 | |
自治型地域福祉 | 個人の主体性と内発性を要件とした地方自治体モデル | |
一番ケ瀬康子 | 運動論(新政策論) | 社会福祉運動の役割を重視 |
真田是 | 運動論(新政策論) | 社会福祉運動の役割を重視 |
福祉労働 | 社会福祉の問題を「対象」と「政策主体」と「運動」の三元的な力動関係で捉える | |
大河内一男 | 社会政策 社会事業 | 社会政策:「経済秩序内的存在」である労働者を対象 社会事業:「経済秩序外的存在」である貧困者を対象 |
大橋謙策 | コミュニティソーシャルワーク | 地域生活での課題を抱える個人や家族への個別支援と、生活環境の整備や住民の組織化等の地域支援を総合的に展開 |
岡村重夫が受験生に嫌われるのは、キーワードが特に多いからだね。
覚えても覚えても知らない内容が試験に出題されるんだ。
日本のコミュニティ施策の変遷
ここは、サラッと流して読んでください。
1969年 国民生活審議会調査部会コミュニティ問題小委員会「コミュニティ問題における人間性の回復」
高度経済成長による都市化やモータリゼーションによって従来の地域共同体が崩壊していく中で、新しいコミュニティの創造を訴えました。
地域共同体とは一線を画す「コミュニティ」は地域住民によって自発的に形成される自治的な地域社会です。
1971年 自治省「コミュニティ(近隣社会)に関する対策要綱」
モデルコミュニティ事業を立ち上げ、全国にいくつかのモデルコミュニティができました。
モデルコミュニティではコミュニティセンターなどの集会施設を中心に、それらの管理運営や文化・レクリエーション活動などの住民活動が行われました。
1983年 自治省「コミュニティ推進地区設置要綱」
都市化の進展によってコミュニティ施策推進の必要性が極めて高い地区を設定し、コミュニティ活動の活発化を図ろうとしました。
1990年 自治省「コミュニティ活動活性化地区設定施策」
コミュニティ活動が行われている地域で、さらなる活性化が必要な地区を設定し、指導や助言を行いました。
このように国は1971年、1983年、1990年と3段階に分けてコミュニティ施策を推進してきました。
1995年に発生した阪神淡路大震災は、地域コミュニティの重要性が改めて認識されるキッカケとなり、ボランティアの重要性も再認識されました。
1998年には「NPO法」が制定され、非営利活動を行う団体に法人格を付与し、国民の行う自由な社会貢献活動の発展を目指しました。
地域福祉関係キーワード
ソーシャルキャピタル
ソーシャルキャピタルは、「社会関係資本」と訳されます。
これは人々のつながりや社会的ネットワークなど、人間が持つ資源としての側面を指します。
人々の協調行動を活発にすることによって、社会の効率性を高めることのできる、「信頼」「規範」「ネットワーク」のことです。
社会関係資本と聞くと、産業や生活の基盤となる公共施設や上下水道などのインフラをイメージするかもしれませんが、それはフィジカルキャピタル(社会資本)ですので全く違います。
ソーシャルインクルージョン
ソーシャルインクルージョンは、「社会的包摂」と訳されます。
インクルード(include)=「含む」の意味なので、社会に含まれるということです。
つまり人々を社会の一員として受入れ支え合うという理念です。
ソーシャルアクション
ソーシャルアクションは、社会福祉制度の創設や制度運営の改善を目指し、世論に働きかける活動です。
ソーシャルアクションには以下の2つの機能があります。
代弁機能:高齢者や障害者など弱い立場の人たちのために代弁する機能(アドボカシー)です。
組織化機能:地域を組織化する機能(コミュニティオーガニゼーション)です。
過去問
第29回 問題32
地域福祉の学説に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 岡村重夫は、生活課題を貨幣的ニードと非貨幣的ニードに分類し、後者に対応する在宅福祉サービスを充実することを重視した。
2 永田幹夫は、地域社会で発生する生活課題の解決を図るために、地域住民の主体的で共働的な問題解決プロセスを重視した。
3 真田是は、在宅福祉サービスを整備することで、社会福祉サービスを必要とする個人や家族の自立を地域社会の場において図ることを重視した。
4 三浦文夫は、生活問題とその解決のための政策、そして地域社会の産業構造の変革も視野に入れた生活の共同的維持・再生産の地域的システムを重視した。
5 右田紀久惠は、地方自治体における福祉政策の充実や住民自治を基底に据えた自治型地域福祉を重視した。
1 岡村重夫は、生活課題を貨幣的ニードと非貨幣的ニードに分類し、後者に対応する在宅福祉サービスを充実することを重視した。
間違いです。貨幣的ニードは三浦文夫のキーワードです。
2 永田幹夫は、地域社会で発生する生活課題の解決を図るために、地域住民の主体的で共働的な問題解決プロセスを重視した。
間違いです。 「地域住民の主体的な・・・」といえば岡村重夫です。
3 真田是は、在宅福祉サービスを整備することで、社会福祉サービスを必要とする個人や家族の自立を地域社会の場において図ることを重視した。
間違いです。「在宅福祉サービス」といえば永田幹夫です。
4 三浦文夫は、生活問題とその解決のための政策、そして地域社会の産業構造の変革も視野に入れた生活の共同的維持・再生産の地域的システムを重視した。
間違いです。この内容は真田是の学説です。
5 右田紀久惠は、地方自治体における福祉政策の充実や住民自治を基底に据えた自治型地域福祉を重視した。
「自治型地域福祉」と言えば右田紀久惠ですので正解です。
第19回 問題2
社会福祉・社会事業の理論形成に貢献した人物に関する次の記述のうち、正しいものを一つ選びなさい。
1 大河内一男は、社会政策が資本主義の基本問題である社会問題を対象とするのに対して、社会事業は「関係的・派生的な社会的問題」を対象とするという前提に立って理論を形成した。
2 竹内愛二は、社会福祉の問題を社会構成体的に理解し、対象と政策主体と運動の三元的な力動関係において捉え、そこから「福祉労働」を規定した。
3 岡村重夫は、個人がその基本的要求を充足するために利用する社会制度との関係を「社会関係」と呼び、その主体的側面に立つときに見えてくる生活上の困難を、社会福祉の固有の対象領域とした。
4 孝僑正一は、社会事業を「経済秩序外的存在」である貧困者に対する施策と位置づけ、同時に社会政策の強化・補強策と規定した。
5 真田是は、人間関係を基盤に駆使される専門的な援助技術の体系を、特に「専門社会事業」と呼び、社会事業概念の中軸に位置づけた。
1 大河内一男は、社会政策が資本主義の基本問題である社会問題を対象とするのに対して、社会事業は「関係的・派生的な社会的問題」を対象とするという前提に立って理論を形成した。
間違いです。これは孝橋正一の孝橋理論です。
孝橋は、社会事業(社会福祉事業)は社会問題への対策が政策で出来ない場合の代替であるという「政策論」を唱えました。
社会政策が主で、社会事業はそれを補うものって感じでしょうか。
2 竹内愛二は、社会福祉の問題を社会構成体的に理解し、対象と政策主体と運動の三元的な力動関係において捉え、そこから「福祉労働」を規定した。
間違いです。福祉労働といえば真田是でしたね。
3 岡村重夫は、個人がその基本的要求を充足するために利用する社会制度との関係を「社会関係」と呼び、その主体的側面に立つときに見えてくる生活上の困難を、社会福祉の固有の対象領域とした。
これが正解です。「社会関係の主体的側面」といえば岡村重夫でしたね。
4 孝僑正一は、社会事業を「経済秩序外的存在」である貧困者に対する施策と位置づけ、同時に社会政策の強化・補強策と規定した。
間違いです。社会事業を「経済秩序外的存在」である貧困者への施策としたのは大河内一男でしたね。
5 真田是は、人間関係を基盤に駆使される専門的な援助技術の体系を、特に「専門社会事業」と呼び、社会事業概念の中軸に位置づけた。
間違いです。
これは竹内愛二の内容です。竹内愛二は日本のケースワークの第一人者です。
第32回 問題24
1950年代から1970年代にかけての社会福祉の理論に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 木田徹郎は、社会事業を、資本主義の維持という側面から、賃金労働の再生産機構における「社会的問題」の緩和・解決の一形式と捉えた。
2 三浦文夫は、政策範疇としての社会福祉へのアプローチの方法として、ニード論や供給体制論を展開した。
3 岡村重夫は、生活論を起点に捉えた実践論・運動論を組み入れた社会福祉学が総合的に体系化されなければならないと論じた。
4 孝橋正一は、社会福祉の固有の機能を、個人とそれを取り巻く環境との間の不均衡を調整し、環境への適応を促すことと論じた。
5 一番ケ瀬康子は、政策論よりも援助技術論を重視すべきと論じた。
1 木田徹郎は、社会事業を、資本主義の維持という側面から、賃金労働の再生産機構における「社会的問題」の緩和・解決の一形式と捉えた。
間違いです。これは孝橋正一の内容です。彼は社会事業を、社会政策では対応できない社会問題を解決するためのものであると考えたのでした。
2 三浦文夫は、政策範疇としての社会福祉へのアプローチの方法として、ニード論や供給体制論を展開した。
これが正解です。三浦文夫のキーワードは「貨幣的ニード」「非貨幣的ニード」「供給体制論」でしたね。
3 岡村重夫は、生活論を起点に捉えた実践論・運動論を組み入れた社会福祉学が総合的に体系化されなければならないと論じた。
間違いです。これは一番ケ瀬康子の運動論の内容です。
4 孝橋正一は、社会福祉の固有の機能を、個人とそれを取り巻く環境との間の不均衡を調整し、環境への適応を促すことと論じた。
間違いです。「環境との不均衡を調整」とくれば岡村重夫でしたね。
5 一番ケ瀬康子は、政策論よりも援助技術論を重視すべきと論じた。
間違いです。これは孝橋正一の「政策論」と岡村重夫の「援助技術論」のことです。
第30回 問題93
日本の社会福祉の発展に寄与した人物に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 石井十次は、医療ソーシャルワーカーとして実践に携わった。
2 浅賀ふさは、北海道家庭学校を創設し、感化教育を実践した。
3 岡村重夫は、社会関係の主体的側面に焦点を当てた社会福祉固有の視点と領域を提起した。
4 留岡幸助は、ケースワーク技術や援助プロセスにおける理論を発展させた。
5 竹内愛二は「無制限主義」を掲げ、孤児を救済する民間社会事業を展開した。
浅賀ふさ:日本初の医療ソーシャルワーカー
留岡幸助:「北海道家庭学校」「東京巣鴨の家庭学校」を創設
竹内愛二:ケースワーク理論を発展
が、覚えておくべき内容です。
選択肢が全て入れ替えになっているのが分かります。
例えば選択肢1は石井十次ではなく選択肢2の浅賀ふさの内容です。
結局、正解は、残った選択肢3、岡村重夫です。
「社会関係の主体的側面」は岡村重夫のキーワードでしたね。
第31回 問題33
地域福祉に関する理念や概念に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
1 ソーシャルキャピタルとは、地域における公共的建築物や公共交通といった物的資本の整備状況を示すことをいう。
2 住民主体の原則とは、行政の指導の下で地域住民が主体となって行う地域活動の原則のことをいう。
3 ノーマライゼーションとは、障害のある人に、障害のない人と同じような暮らしが可能となる生活条件を作り出していく考え方のことをいう。
4 地域移行支援とは、住まい・医療・介護・予防・生活支援を一体的に提供することで、在宅の限界点を高めることをいう。
5 ソーシャルインクルージョンとは、全ての人々を孤独や孤立、排除や摩擦から援護し、社会の構成員として包み支え合う社会を目指すことをいう。
1 ソーシャルキャピタルとは、地域における公共的建築物や公共交通といった物的資本の整備状況を示すことをいう。
ソーシャルキャピタルは物的資本ではなく、人々の繋がりや社会的ネットワークなど、人間関係が持つ資源です。
2 住民主体の原則とは、行政の指導の下で地域住民が主体となって行う地域活動の原則のことをいう。
行政指導の下では住民主体ではありませんので間違いです。
3 ノーマライゼーションとは、障害のある人に、障害のない人と同じような暮らしが可能となる生活条件を作り出していく考え方のことをいう。
正しいです。
4 地域移行支援とは、住まい・医療・介護・予防・生活支援を一体的に提供することで、在宅の限界点を高めることをいう。
地域移行支援とは、施設などに入所している障害者に対して、地域生活へ移行するための支援を行うものです。
5 ソーシャルインクルージョンとは、全ての人々を孤独や孤立、排除や摩擦から援護し、社会の構成員として包み支え合う社会を目指すことをいう。
正しいです。
第30回 問題33
地域福祉への参加に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 住民主体の地域福祉活動は、専門機関の支援を求めないで進めることが望ましい。
2 福祉公社などの住民参加型在宅福祉サービス団体は、介護保険制度を補完することを目的に設立された。
3 共同募金は、地域福祉の推進に関わる第一種社会福祉事業である。
4 特定非営利活動法人の活動分野や「まちづくりの推進を図る活動」が最も多い。
5 介護保険制度の地域密着型サービスの運営推進会議は、都道府県が設置する。
1 住民主体の地域福祉活動は、専門機関の支援を求めないで進めることが望ましい。
そんなわけありません。
2 福祉公社などの住民参加型在宅福祉サービス団体は、介護保険制度を補完することを目的に設立された。
福祉公社は1980年に出来た武蔵野市福祉公社が日本初です。
福祉公社は行政機関では困難なきめ細かい相談や心理的支援を行い、全ての市民の安心した老後生活を保障することが設立目的とされています。
介護保険制度を補完することが目的ではありませんし、そもそも2000年に介護保険制度ができた時より以前に福祉公社は出来ています。
3 共同募金は、地域福祉の推進に関わる第一種社会福祉事業である。
頻出の共同募金ですが、第一種社会福祉事業なのでこれが正解です。
4 特定非営利活動法人の活動分野や「まちづくりの推進を図る活動」が最も多い。
NPO法人で最も多い活動分野は「保健、医療又は福祉の増進を図る活動」です。
5 介護保険制度の地域密着型サービスの運営推進会議は、都道府県が設置する。
運営推進会議は各事業所が自ら設置しますので、都道府県が設置するものではありません。
運営推進会議は、事業所が利用者や市町村職員等に対し提供しているサービス内容等を明らかにすることにより、事業所による利用者の抱え込みを防止し地域に開かれたサービスにすることが目的です。
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次は福祉避難所です。
コメント
上の方に『コミュニティケアとは、地域住民が(高齢者も障害者も)あたりまえに地域で暮らしていくための支援で、その原点はイギリスの「シーボーム報告」です。』とありますが、これは、シーボーム報告ではなく、グリフィス報告ではないでしょうか。
間違っていたら、すみません。
よく勉強されていますね。シーボーム報告と言えば「部局の統合」なんですが、実はシーボーム報告を受けて地方自治社会サービス法が成立し、行政によるコミュニティケアの推進体制が整えられました。つまりコミュニティケアの原点はシーボーム報告なんです。
グリフィス報告では、「コミュニティケアに関して地方自治体が責任をもつこと」が謳われたのですが、グリフィス報告が出される20年前のシーボーム報告で既にコミュニティケアの萌芽があったわけです。
コメント失礼します。
大河内一男の箇所で、「大河内一男のキーワードは、「社会秩序外的存在」など上の定義をそのまま覚えてください。」とありますが、「経済秩序外的存在」ではないでしょうか?
大河内一男の論文を読んでも「社会秩序外的存在」とは言っていないように思いました。
そのとおりです!
ご指摘ありがとうございますm(_ _)m
訂正させていただきます。