【児童虐待】年間20万件?!48時間ルールってなに?親の体罰禁止?!

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児童虐待の動向

障害者虐待は年間数千件、高齢者虐待は2万件弱、なんと児童虐待は2020年現在で20万件を超えています。

コロナ禍で子供たちが自宅にいる時間が増えたことで、児童虐待はさらに増加しています。

以下の過去問(第31回 問題142)を見てください。

この時の正解選択肢は、「児童虐待相談件数が10万件を超えた」というものでした。

試験委員は自分が最も訴えたい内容を正解選択肢に持ってくる傾向があります。

この時は、児童虐待件数が初めて10万件を超えた衝撃を伝えたかったのでしょう。

そして、わずか数年で、今や20万件にもなっています。

20万件のうち心理的虐待が10万件で最多です。面前DVの増加が顕著です。

児童虐待の推移

さらに、代理ミュンヒハウゼン症候群などの、虐待5類型に当てはまらない虐待の形が出てきています。

代理ミュンヒハウゼン症候群というのは、病気でもない子供を病院に連れて行って、甲斐甲斐しく看病する親を演じて自己満足する、その結果、子供には不必要な検査や投薬が行われてしまうという、親の病気です。

2022年9月20日 福祉新聞

2022年9月20日 福祉新聞

記事内容をまとめると以下の通りです。

・児童虐待相談件数は一貫して増加
・虐待種別では「心理的虐待」が最多
・相談経路(通告)は「警察」が最多
・虐待死「身体的虐待」「ネグレクト」
・虐待死「0歳0カ月」が最多
・虐待死「実母」が最多
※虐待死案件で児相が関与していたのは2割未満

第31回 問題142

「平成28年度福祉行政報告例」(厚生労働省)における児童相談所の相談に関する統計の説明のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 児童相談所が対応した児童虐待相談件数は、10万件を超えている。
2 児童相談所が対応した虐待相談を虐待種別でみると、身体的虐待が最も多い。
3 児童相談所が対応した相談のうち、児童福祉法に基づく入所措置をとったものは3割程度である。
4 児童相談所が受け付けた相談の相談経路は、学校が最も多い。
5 児童相談所が受け付けた障害相談の内訳でみると、肢体不自由相談が最も多い。

1 児童相談所が対応した児童虐待相談件数は、10万件を超えている。
これが正解です。
1990年に統計を取り始めた時は1000件程度だった児童虐待は、増加し続け、ついに10万件を超えました。25年程で100倍になったのです。2000年に児童虐待防止法ができて通報義務が課されたことで増えた分もあるでしょうが、実態として増えていることも確かです。

2 児童相談所が対応した虐待相談を虐待種別でみると、身体的虐待が最も多い。
心理的虐待が最も多いです。

3 児童相談所が対応した相談のうち、児童福祉法に基づく入所措置をとったものは3割程度である。
2%程度です。

4 児童相談所が受け付けた相談の相談経路は、学校が最も多い。
家族や親戚からの相談が最も多いです。

5 児童相談所が受け付けた障害相談の内訳でみると、肢体不自由相談が最も多い。
知的障害相談が最も多いです。

第34回 問題138

次の記述のうち、2019年度(令和元年度)の児童相談所における児童虐待相談対応件数(「福祉行政報告例」(厚生労働省))について、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 虐待相談対応件数は、5年前と比べて減少している。
2 心理的虐待は、5年前と比べて減少している。
3 警察等からの虐待通告は、5年前と比べて増加している。
4 相談種別で件数をみると、ネグレクトの割合が最も高い。
5 相談の経路(通告者)は、家族・親戚からの割合が最も高い。

1 虐待相談対応件数は、5年前と比べて減少している。
誤りです。増加しています。

2 心理的虐待は、5年前と比べて減少している。
誤りです。増加しています。

3 警察等からの虐待通告は、5年前と比べて増加している。
正しいです。

4 相談種別で件数をみると、ネグレクトの割合が最も高い。
誤りです。ネグレクトではなく心理的虐待が最多です。

5 相談の経路(通告者)は、家族・親戚からの割合が最も高い。
誤りです。通告者は警察が最多です。

48時間ルール

以下の過去問(第32回 問題136)にあるように、児童虐待の通報があれば児童相談所は48時間以内に子供の安全を確認するよう求められています(48時間ルール)。

2006年に京都で起こった3歳男子が食事を与えられずに餓死する虐待事件が教訓となり、2007年に厚生労働省が児童相談所運営指針を改正し、「48時間ルール」が全国的なルールになりました。

この48時間ルールは、1999年に埼玉県で始まりましたが、児童虐待防止法が出来たのが2000年であることを思うとすごいことです。

第32回 問題136

社会保障審議会児童部会に設置された児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会の「子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について(第14次報告)」(2018年(平成30年))に示された心中以外の虐待死に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 死因となる虐待の種類は、ネグレクトが最も多い。
2 主たる加害者は、実父が最も多い。
3 虐待通告を受理した後、48時間以内に安全確認をすることを新たに提言した。
4 死亡した子どもの年齢は、0歳が最も多い。
5 児童相談所が関与していた事例が半数を超えている。

1 死因となる虐待の種類は、ネグレクトが最も多い。
間違いです。死因は身体的虐待が最も多く、6割を超えています。最も多いのは心理的虐待ですが死因にはなりにくいです。

2 主たる加害者は、実父が最も多い。
間違いです。主たる加害者は実母が最も多く、6割を超えています。

3 虐待通告を受理した後、48時間以内に安全確認をすることを新たに提言した。
間違いです。
この「48時間ルール」は2007年の児童相談所運営指針の見直しで定められました。
2006年に京都で3歳の男子が食事を与えられずに餓死するという痛ましい事件が起こり、通報があったのに防げなかったことが教訓になっています。

4 死亡した子どもの年齢は、0歳が最も多い。
これが正解です。さらに0歳0か月の死亡が最も多くなっています。

5 児童相談所が関与していた事例が半数を超えている。
間違いです。
虐待死の事例で児童相談所が関与していたのは2割に満たない件数です。
児童相談所が関与していれば死なずに済んだ例は多いのかもしれません。
難しい問題で、確実に消去できるのは選択肢1くらいでしょうか。
私は選択肢3を選んで間違えましたが、選択肢4を選べた人がどれくらいいたでしょう。

体罰禁止

近年の児童虐待急増を受けて、児童福祉法&児童虐待防止法は、2016年、2017年と改正されてきたにもかかわらず、東京都での5歳女児の死亡事案、千葉県での10歳女児の死亡事案、北海道での2歳女児の死亡事案など、児童虐待が後を絶たなかったことを受けて、2019年に法改正が行われています。この改正では、親がしつけと称して子に体罰を与えることが禁止されます。

児童福祉法&児童虐待防止法の変遷

第33回 問題137

2019年(令和元年)に改正された児童福祉法及び児童虐待の防止等に関する法律に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 児童相談所における介入担当と保護者支援担当は、同一の児童福祉司が担うこととなった。
2 児童相談所の業務の質について、毎年、評価を実施することが義務づけられた。
3 親権者は、児童のしつけに際して体罰を加えてはならないとされた。
4 特別区(東京23区)に、児童相談所を設置することが義務づけられた。
5 一時保護の解除後の児童の安全の確保が、市町村に義務づけられた。

1 児童相談所における介入担当と保護者支援担当は、同一の児童福祉司が担うこととなった。
誤りです。介入担当と保護者支援担当は分離することが規定されています。

2 児童相談所の業務の質について、毎年、評価を実施することが義務づけられた。
誤りです。このような規定はありません。

3 親権者は、児童のしつけに際して体罰を加えてはならないとされた。
これが正解です。

4 特別区(東京23区)に、児童相談所を設置することが義務づけられた。
誤りです。特別区は任意設置です。

5 一時保護の解除後の児童の安全の確保が、市町村に義務づけられた。
誤りです。市町村ではなく都道府県です。

児童相談所の役割

児童虐待対応の第一線での役割を担う児童相談所について詳しく見ていきましょう。

①虐待通告→②立入調査→③一時保護→④入所措置
の流れを見ていきます。

児童虐待対応フローチャート

①虐待通告

全ての人に児童虐待に関する通告義務があることは、少しずつ知られてきました。

児童福祉法第25条:「保護者に監護させることが不適当であると認める児童を発見したもの」の通告義務があります
児童虐待防止法第5条:「学校、児童福祉施設、病院その他児童の福祉に業務上関係のある団体及び学校の教職員、児童福祉施設の職員、医師、保健師、弁護士その他児童の福祉に職務上関係のある者は、児童虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、児童虐待の早期発見に努めなければならない。」
児童虐待防止法第6条「児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに、これを福祉事務所若しくは児童相談所又は児童委員を介して福祉事務所若しくは児童相談所に通告しなければならない」

そして、虐待通告を受けた児童相談所などは対応しなければなりません。

児童虐待防止法第8条「市町村や都道府県の設置する福祉事務所や児童相談所は、虐待通告を受けた場合、速やかに安全確認を行う。」

通告後の対応には「48時間ルール」が定められています。

②立入調査

児童福祉法第29条「都道府県知事(委任により児童相談所長)が子どもの居所等への立入調査をさせることができる」

このように、通告を受けた児童相談所は都道府県知事の指示により立入調査を行う場合があります。

立入調査は保護者の同意があればスムーズなのですが、保護者が拒む場合などもあり、一筋縄ではいきません。

そのため、児童虐待防止法第10条「児童相談所長は子どもの安全確認又は一時保護を行おうとする場合において、都道府県知事は立入調査等の際に、その子どもの住所又は居所の所在地を管轄する警察署長に対し、援助を求めることができる」とされています。

③一時保護(2か月以内)

立入調査の結果、一時保護が必要と判断した場合、児童相談所の権限で行うことができます。

この一時保護は、本人の同意も保護者の同意も家庭裁判所の承認も不要という児童相談所の絶大な権限です。

近年ではこれが問題視され、2022年6月8日、ついに児童の一時保護で保護者の同意が得られない場合に「司法審査」が導入されることになりました!

④一時保護(2か月超)

一時保護は原則2か月以内ですが、2か月を超える場合は親権者等の同意が必要です。

親権者等の同意が得られない場合は、家庭裁判所の承認があれば延長できます。

⑤入所措置

一時保護から、児童養護施設への入所等の措置へと進む場合は、親権者等の同意が必要ですが、同意が得られない場合は、家庭裁判所の承認があれば実施できます。

入所措置以外にも里親への委託などがあり、ここは施設養護と家庭的養護の分かれ道です。

虐待を受けた子供たちには愛着障害が生まれます。愛着障害を癒すには家庭的養護が必要です。

まとめ

児童相談所の役割親権者等の同意家庭裁判所の承認都道府県知事の指示(委任により児童相談所長)根拠法
立入調査△(強制執行はできない)児童福祉法第29条
一時保護(2か月以内)児童福祉法第33条
一時保護(2か月超)〇(親権者等の同意がない場合)児童福祉法第33条
入所措置〇(親権者等の同意がない場合)児童福祉法第27条,28条
児童相談所の役割

第34回 問題142

児童相談所の一時保護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 一時保護する場合には親権者の同意が必要である。
2 一時保護は児童相談所に設置されている一時保護所に限って行う。
3 親権者の意に反して2か月を超える一時保護を実施するためには、児童福祉審議会の承認を得なければならない。
4 都道府県知事は、一時保護所の福祉サービス第三者評価を行わなければならない。
5 外出、通学、通信、面会に関する制限は、子どもの安全の確保が図られ、かつ一時保護の目的が達成できる範囲で必要最小限とする。

1 一時保護する場合には親権者の同意が必要である。
誤りです。親権者の同意は必要ありません。

2 一時保護は児童相談所に設置されている一時保護所に限って行う。
誤りです。児童養護施設、乳児院、里親などに委託して一時保護することができます。

3 親権者の意に反して2か月を超える一時保護を実施するためには、児童福祉審議会の承認を得なければならない。
誤りです。児童福祉審議会ではなく家庭裁判所の承認が必要です。

4 都道府県知事は、一時保護所の福祉サービス第三者評価を行わなければならない。
誤りです。このような規定はありません。

5 外出、通学、通信、面会に関する制限は、子どもの安全の確保が図られ、かつ一時保護の目的が達成できる範囲で必要最小限とする。
これが正解です。

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コメント

  1. スミコ  より:

    ポイントを絞られ、わかりやすい解説がなされています。素晴らしいサイトです。まさに、「カリスマ」的ですね。

    • カリスマ社会福祉士カリスマ社会福祉士 より:

      嬉しいコメントありがとうございます。質問やご意見もどんどんお待ちしています!

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