【ソーシャルワークの三大技術】ケースワーク、グループワーク、コミュニティワーク

ソーシャルワーク、ケースワーク、グループワーク、コミュニティワーク、コミュニティソーシャルワーク、いろいろあってややこしいですね。

まとめましょう。

ソーシャルワークの分類
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ソーシャルワークの分類

ソーシャルワーク(社会福祉援助技術)には、その援助方法によって以下の3種類に分けられます。

・直接援助技術
・間接援助技術
・関連援助技術

直接援助技術

クライエントに対して直接援助する直接援助技術は以下の2種類です。

・ケースワーク(個別援助技術)
・グループワーク(集団援助技術)

ケースワークはクライエント個人に対して援助する手法です。「ケースワークの母」と呼ばれるM.リッチモンドが、ケースワークの専門化に取り組みました。

グループワークは特定の集団に対して援助する手法です。「グループワークの母」と呼ばれるG.コイルがセツルメントやYMCAの活動を基に体系化しました。

間接援助技術

間接的に援助する間接援助技術には以下の形があります。

コミュニティワーク(地域援助技術)
・ソーシャルアドミニストレーション(社会福祉運営法)
・ソーシャルプランニング(社会福祉計画法)
・ソーシャルワークリサーチ(社会福祉調査法)
ソーシャルアクション(社会活動法)

関連援助技術

直接援助でも間接援助でもないけど、遠回りに援助に貢献する手法として関連援助技術があります。

ソーシャルワークの三大技術

上で見てきたソーシャルワークの直接援助技術と間接援助技術、その中には以下の3大技術がありました。

このうち、コミュニティワークだけは間接援助技術です。

ソーシャルワークの3大技術 タイプ 源流
ケースワーク 直接援助技術 慈善組織協会COS
グループワーク 直接援助技術 セツルメント、YMCA
コミュニティワーク 間接援助技術 コミュニティオーガニゼーション

コミュニティワークはコミュニティオーガニゼーションが源流になっていることから分かるように「間接援助技術」です。つまりケースワークやグループワークのように被援助者に直接援助するわけではなく、コミュニティという環境に働きかけ間接的に援助する手法です。

カリスマくん
カリスマくん

コミュニティオーガニゼーションは、地域を組織化する活動だったね。

被援助者に直接働きかける援助方法ではないね。

コミュニティワークとコミュニティソーシャルワークは、重なる部分も多いですが別物です。

コミュニティワークは社会的正義や社会的不平等にかかわる問題をローカルレベルにおける政策変化を促すためのコミュニティオーガニゼーションやソーシャルアクションによりその解決を図っていくのに対し、コミュニティソーシャルワークは、ローカルサービスへのアクセスの利便性と効率性をより高めるシステムに焦点を置きながら、個々のサービス利用者のニーズを満たす方法を模索していきます。

「コミュニティソーシャルワーク」が謳われたバークレイ報告を思い出してください。

日本のドラマ「サイレント・プア」で深田恭子さんが演じたのは「コミュニティソーシャルワーカー」でした。

この例からもイメージできるように、コミュニティワークは間接援助技術ですが、コミュニティソーシャルワークは直接援助技術的です(厚生労働省のページには直接援助技術としてケースワークとグループワークのみが規定されているので直接援助技術とは言えませんが)。

カリスマくん
カリスマくん

この三大技術を統合したのがジェネラリストソーシャルワークだったね。

過去問

精神保健福祉士 第22回 問題108

V精神科病院で薬物依存症者の家族教室を担当しているC精神保健福祉士は、家族教室に参加したDさんが、「覚醒剤使用歴がある息子が、求職活動をしても、なかなか理解してもらえず、就職できない」と悔しそうに語るのを聞いた。薬物依存症に対する差別や偏見をなくすことを目的とした家族会の支援をしていたC精神保健福祉士は、家族教室終了後、Dさんに声を掛け、やりきれない思いを受容するとともに、家族会に関する情報提供を行った。その後、C精神保健福祉士は家族会に参加するようになったDさんと共に、家族会メンバーと力を合わせて、薬物依存症のことを理解してもらうための講演会を開催したり、利用できる新たなサービスを求めるための署名運動を行い、行政機関に働き掛けたりするようになった。次のうち、C精神保健福祉士が家族会と共に行った内容として、適切なものを1つ選びなさい。
1 ソーシャルアドミニストレーション
2 ソーシャルアクション
3 ソーシャルビジネス
4 ソーシャルキャピタル
5 ソーシャルプランニング

選択肢2が正解です。「薬物依存症のことを理解してもらうための講演会を開催したり、利用できる新たなサービスを求めるための署名運動を行い、行政機関に働き掛けたりする」活動はソーシャルアクションです。

第28回 問題113

ソーシャルアクションに関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。

1 目的には、社会参加の促進は含まれない。
2 対象には、個人は含まれない。
3 内容には、ソーシャルアドミニストレーションが含まれる。
4 展開過程には、学習会や調査などによる問題と要求の明確化が含まれる。
5 形態には、自らの課題を克服し、要求を実現する組織化は含まれない。

1 目的には、社会参加の促進は含まれない。
誤りです。社会参加の促進も含まれます。

2 対象には、個人は含まれない。
誤りです。個人も含まれます。

3 内容には、ソーシャルアドミニストレーションが含まれる。
誤りです。ソーシャルアクションとソーシャルアドミニストレーションは別物です。

4 展開過程には、学習会や調査などによる問題と要求の明確化が含まれる。
これが正解です。

5 形態には、自らの課題を克服し、要求を実現する組織化は含まれない。
誤りです。組織化することも含まれます。

介護福祉士 第21回 問題26

社会福祉援助技術に関する次の記述のうち、適切なものに〇、適切でないものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A 社会福祉援助技術は、利用者がその人らしく生活し、よりよい生活を実現するための支援の過程である。
B コミュニケーション技術は、援助関係を形成する上で重要である。
C 直接援助技術には、ケースワークとグループワークがある。
D 間接援助技術が中心であり、直接援助技術は補完的役割を果たす。

1 A B C D×
2 A B× C× D
3 A× B〇 C D〇
4 A× B C〇 D×
5 A× B× C× D

A 社会福祉援助技術は、利用者がその人らしく生活し、よりよい生活を実現するための支援の過程である。
正しいです。

B コミュニケーション技術は、援助関係を形成する上で重要である。
正しいです。

C 直接援助技術には、ケースワークとグループワークがある。
正しいです。

D 間接援助技術が中心であり、直接援助技術は補完的役割を果たす。
誤りです。直接援助技術が補完的役割というのはおかしいです。

精神保健福祉士 第27回 問題32

次の記述のうち、精神保健福祉士が行うコミュニティワークとして、適切なものを2つ選びなさい。
1 住民が運営し、精神障害の有無にかかわらず集えるサロンの立ち上げを支援する。
2 精神科デイ·ケアでの話合いで、地域にある居場所の見学を企画する。
3 自治会と共に精神障害の理解に関する住民ヒアリングを行い、結果をまとめる。
4 障害福祉サービスの利用を希望する精神障害者のセルフプラン立案を支援する。
5 精神保健福祉ボランティアグループの定例会で、ファシリテーターを担う。

1 住民が運営し、精神障害の有無にかかわらず集えるサロンの立ち上げを支援する。
これは、コミュニティワークです。

2 精神科デイ·ケアでの話合いで、地域にある居場所の見学を企画する。
これは、グループワークです。

3 自治会と共に精神障害の理解に関する住民ヒアリングを行い、結果をまとめる。
これは、コミュニティワークです。

4 障害福祉サービスの利用を希望する精神障害者のセルフプラン立案を支援する。
これは、ケースワークです。

5 精神保健福祉ボランティアグループの定例会で、ファシリテーターを担う。
これは、グループワークです。

ということで、正解は選択肢1と3です。

次の記事

次は、ソーシャルワークのレベルについてです。

ソーシャルワークの4レベルと4システム by ピンカス&ミナハン
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