社会福祉士国家試験によく出てくる家庭裁判所と地方裁判所、役割を整理しておきましょう。
5種類の裁判所
裁判所は、日本国憲法で定める最高裁判所と4種類の下級裁判所(高等裁判所、地方裁判所、家庭裁判所、簡易裁判所)で構成されており、裁判所法でそれぞれの裁判所が扱う事件を定めています。
日本では第一審、第二審、第三審の三つの審級の裁判所を設けて、当事者が望めば原則的に3回までの反復審理を受けられる三審制度を採用しています。第一審の裁判所の判決に不服のある当事者は第二審の裁判所に不服申立て(控訴)をすることができ、第二審の裁判所の判決にも不服のある当事者は更に第三審の裁判所に不服申立て(上告)をすることができます。

最高裁判所
日本国憲法では、最上級の裁判所として最高裁判所を定めており、裁判所法では「最高裁判所は東京都に置く」とされています。
最高裁判所は憲法によって設置された日本における唯一かつ最高の裁判所で、長官及び14人の最高裁判所判事によって構成されています。最高裁判所長官は内閣の指名に基づいて天皇によって任命されます。また、14人の最高裁判所判事は内閣によって任命され、天皇の認証を受けます。
日本国憲法第76条 すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。
下級裁判所
高等裁判所
高等裁判所は、日本の8か所の大都市(東京、大阪、名古屋、広島、福岡、仙台、札幌、高松)に置かれているほか、6か所の都市に支部が設けられています。また、特別の支部として東京高等裁判所に知的財産高等裁判所が設けられています。
高等裁判所は、高等裁判所長官及び判事によって組織されています。高等裁判所長官は内閣によって任命され、天皇の認証を受けます。
地方裁判所
地方裁判所は全国に50か所(各都道府県および北海道には4か所)あり、203の支部が設けられています。
地方裁判所は原則的な第一審裁判所です。
家庭裁判所
家庭裁判所は全国に50か所(各都道府県および北海道には4か所)あり、203の支部と77の出張所が設けられています。
家庭裁判所では、夫婦関係や親子関係などの家庭内紛争について話し合う調停や審判、非行少年の事件についての審判を扱います。家事調停で合意できなかった場合の人事訴訟の裁判も扱います。
・成年後見制度(後見人の選任など)
・民法に規定される親権や遺言
・少年事件の審判(全件送致)
・児童の一時保護の承認
・特別養子縁組
・性同一性障害特例法に基づく性別取扱いの変更の審判

家庭裁判所は家庭の事件を扱うんだね。少年事件の審判や児童の一時保護だけじゃなく、離婚や親権、後見人の選任や特別養子縁組などの人事も扱うんだね。
簡易裁判所
簡易裁判所は全国に438か所あり、民事事件については訴訟の目的となる物の価額が140万円を超えない請求事件について、また刑事事件については罰金以下の刑に当たる罪及び窃盗や横領などの比較的軽い罪の訴訟事件等について第一審の裁判権を持っています。
簡易裁判所は、罰金以下の刑又は3年以下の懲役刑しか科することができません。この制限を超える刑を科するのを相当と認めるときは事件を地方裁判所に移送しなければなりません。
過去問
第35回 問題82
家庭裁判所に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 家庭裁判所は、近隣トラブルに関する訴訟を取り扱う。
2 家庭裁判所は、「DV防止法」に基づく保護命令事件を取り扱う。
3 家庭裁判所は、嫡出でない子の認知請求訴訟を取り扱う。
4 家庭裁判所は、労働審判を取り扱う。
5 家庭裁判所は、債務整理事件を取り扱う。
(注)「DV防止法」とは、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」のことである。
1 家庭裁判所は、近隣トラブルに関する訴訟を取り扱う。
誤りです。これは民事上の訴訟として主に地方裁判所が取扱います。
2 家庭裁判所は、「DV防止法」に基づく保護命令事件を取り扱う。
誤りです。これは民事事件として主に地方裁判所が取扱います。
3 家庭裁判所は、嫡出でない子の認知請求訴訟を取り扱う。
これが正解です。これは家事事件の人事訴訟になりますので、家庭裁判所が取扱います。
4 家庭裁判所は、労働審判を取り扱う。
誤りです。これは主に地方裁判所が取扱います。
5 家庭裁判所は、債務整理事件を取り扱う。
誤りです。これは主に地方裁判所が取扱います。
第31回 問題140
民法の規定に基づいて、養親となる者の請求により特別養子縁組を成立させることができる組織・機関の名称として、正しいものを1つ選びなさい。1 法務省2 児童相談所3 福祉事務所4 家庭裁判所5 地方検察庁
選択肢4が正解です。
第28回 問題81
家庭裁判所の役割に関する記述として、正しいものを1つ選びなさい。
1 成年後見人に不正な行為、著しい不行跡などの事実がある場合、家庭裁判所は、職権で成年後見人を解任できる。
2 成年後見人の業務に疑義があることを理由に、家庭裁判所が直接、成年被後見人の財産状況を調査することはできない。
3 成年後見人は、正当な事由がある場合、家庭裁判所への届出をもって、その任務を辞することができる。
4 成年後見人が成年被後見人を養子にする場合、家庭裁判所の許可は不要である。
5 成年後見人が成年被後見人の居住用不動産を売却する場合、家庭裁判所の許可は不要である。
1 成年後見人に不正な行為、著しい不行跡などの事実がある場合、家庭裁判所は、職権で成年後見人を解任できる。
これが正解です。成年後見人を選任するのは家庭裁判所ですから、家庭裁判所の職権で解任できます。
2 成年後見人の業務に疑義があることを理由に、家庭裁判所が直接、成年被後見人の財産状況を調査することはできない。
誤りです。できます。
3 成年後見人は、正当な事由がある場合、家庭裁判所への届出をもって、その任務を辞することができる。
誤りです。家庭裁判所の許可が必要です。
4 成年後見人が成年被後見人を養子にする場合、家庭裁判所の許可は不要である。
誤りです。家庭裁判所の許可が必要です。
5 成年後見人が成年被後見人の居住用不動産を売却する場合、家庭裁判所の許可は不要である。
誤りです。家庭裁判所の許可が必要です。
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これで日本国内の内容は終了です。
次は、これまでの内容を年数でまとめます。



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