福祉の人物はとにかく覚えるのが大変。
その人の人生を伝記などで学ぶのが一番記憶に残りやすいのですが、それではいくら時間があっても足りません。
ノーマライゼーション3人衆、児童福祉6人衆、地域福祉9人衆など、カテゴリー分けしてできるかぎり覚えやすくしてみました。
福祉の父と母(海外編)
肩書き | 人物名 |
---|---|
「ケースワークの母」 | M.リッチモンド |
「グループワークの母」 | G.コイル |
「ノーマライゼーションの父」 | N.E.バンクミケルセン |
ケースワークの源流となったCOSで有名なメアリー・リッチモンドは頻出ですので、よく学んでおいてください。
ケースワークはリッチモンド以外にも、日本のケースワーク3人衆も知っておきましょう(下に出てきます)。
グループワークの母はコイルですが、グループワーク6人衆も知っておきましょう(下に出てきます)。
ノーマライゼーションについては、バンクミケルセンだけでなくノーマライゼーション3人衆も覚えておきましょう(下に出てきます)。
福祉の父と母(日本編)
肩書き | 人物名 |
---|---|
「児童福祉の父」 | 石井十次 |
「知的障害者教育・福祉の父」 | 石井亮一 |
「障害福祉の父」「社会福祉の父」 | 糸賀一雄 |
石井十次は日本で初めての孤児院である岡山孤児院を設立し、1,000人以上の孤児を収容していたことで有名です。無制限に受け入れる「無制限主義」がキーワードです。
石井亮一は「知的障害者教育・福祉の父」と呼ばれ、日本初の障害者施設「滝乃川学園」を創設した人です。
障害福祉の世界で働く僕にとっては、神。
糸賀一雄は戦後すぐ戦災孤児を収容し知的障害児の教育を行う「近江学園」を創設した人で、「障害児福祉の父」と呼びたいところですが、「障害(者)福祉の父」とか「社会福祉の父」と呼ばれています。糸賀一雄の有名なセリフ「この子らを世の光に」も覚えておきましょう。
この3名は「児童福祉6人衆」に仲間入りだよ。3名とも貧しい子どものために人生を捧げた人たちなんだ。
岡山4聖人
福祉の偉人には、岡山出身の人が多いです。
人物名 | 設立 | キーワード | 肩書き |
---|---|---|---|
石井十次 | 岡山孤児院 | 無制限主義 | 児童福祉の父 |
留岡幸助 | 家庭学校 | ||
アリス・ペティ・アダムス | 岡山博愛会 | 日本初のセツルメント | |
山室軍平 | 日本人初の救世軍士官(牧師) |
岡山4聖人と呼ばれるこの4人以外にも、民生委員制度のはじまりとされる済世顧問制度も岡山県知事の笠井信一が始めたね。岡山ばかりだ。
石井十次と留岡幸助は次の児童福祉6人衆で出てきます。
アリス・ペティ・アダムスは日本初のセツルメントである「岡山博愛会」を設立した人です。
山室軍平は「救世軍」の士官で、救世軍というと軍隊のように思えますが、違います。
救世軍は社会福祉や教育、医療などの支援を行うキリスト教の団体で、軍隊式の組織編制になっているので「軍」と呼んでいるだけです。
児童福祉6人衆
人物名 | 設立 | 肩書き |
---|---|---|
石井十次 | 岡山孤児院 | 児童福祉の父 |
石井亮一 | 滝乃川学園 | 知的障害児教育の父 |
留岡幸助 | 家庭学校(東京・北海道) | |
野口幽香 | 二葉幼稚園 | |
糸賀一雄 | 近江学園、びわこ学園 | 障害福祉の父、社会福祉の父 |
高木憲次 | 肢体不自由児療育事業 |
石井十次と石井亮一はよくでてくるね。
そして、「世界の児童福祉の父」とでもいうべき、ヤヌシュ・コルチャックも忘れないで。
地域福祉9人衆
人物名 | キーワードなど | 内容 |
---|---|---|
岡村重夫 | 地域住民の主体的参加 | |
社会関係の主体的側面 | 個人側から見て社会制度に対する主体的側面 | |
援助技術論 | 「社会との関係や環境」に着目しその環境との不均衡を調整して適応することが重要 | |
コミュニティケア | 地域福祉の構成要素:「コミュニティケア」「一般組織化活動と福祉組織化活動」「予防的社会福祉」 | |
永田幹夫 | 在宅福祉サービス | 地域福祉の構成要素:「在宅福祉サービス」「環境改善サービス」「組織活動」 |
孝橋正一 | 政策論 | 社会政策:資本主義の基本問題である社会問題を対象 社会事業:社会問題への対策が社会政策で出来ない場合の代替 |
三浦文夫 | 貨幣的ニード、非貨幣的ニード | |
供給体制論 | 社会福祉の供給組織を、行政型供給組織、認可型供給組織、市場型供給組織、参加型供給組織に区分 | |
右田紀久惠 | 地域住民の主体的参加 | |
自治型地域福祉 | 個人の主体性と内発性を要件とした地方自治体モデル | |
一番ケ瀬康子 | 運動論(新政策論) | 社会福祉運動の役割を重視 |
真田是 | 運動論(新政策論) | 社会福祉運動の役割を重視 |
福祉労働 | 社会福祉の問題を「対象」と「政策主体」と「運動」の三元的な力動関係で捉える | |
大河内一男 | 社会政策 社会事業 | 社会政策:「経済秩序内的存在」である労働者を対象 社会事業:「経済秩序外的存在」である貧困者を対象 |
大橋謙策 | コミュニティソーシャルワーク | 地域生活での課題を抱える個人や家族への個別支援と、生活環境の整備や住民の組織化等の地域支援を総合的に展開 |
岡村重夫が受験生に嫌われるのは、キーワードが特に多いからだね。
覚えても覚えても知らない内容が試験に出題されるよ。
岡村重夫は、地域福祉の構成要素として、「コミュニティケア」、「地域組織化活動」、「予防的社会福祉」を提言しました。
永田幹夫は、地域福祉の構成要素として、「在宅福祉サービス」、「環境改善サービス」、「組織活動」を提言しました。
在宅福祉サービスは、1990年の福祉八法改正の時に第二種社会福祉事業に規定されました。
在宅福祉サービスは、デイサービス、ショートステイ、ホームヘルプが3本柱。居宅サービスとも呼ばれ、自宅に住みながら受ける福祉サービスだよ。
地域福祉の人物に関しては特徴がなく覚えにくいですが、以下の記事はできる限りわかりやすくまとめていますので、超オススメです。
日本のケースワーク3人衆と著書
ケースワークの母はM.リッチモンドでしたが、日本でのケースワークといえばこの3名です。
人物名 | 著書 |
---|---|
竹内愛二 | ケースウォークの理論と実際 |
三好豊太郎 | ケースウォークとその人事相談事業 |
仲村優一 | 公的扶助とケースワーク |
竹内愛二は、日本で始めてアメリカのケースワークを導入した、第一人者です。
仲村優一は「岸・仲村論争」の仲村として、「公的扶助とケースワーク」の中で、公的扶助の手段としてケースワークを考えることができるとしています。一方で、仲村に真っ向から反対した岸勇は、公的扶助とケースワークは分離すべきと唱えました。
仲村優一は、2015年の僕の誕生日に亡くなったんだ。ほんとに。
ノーマライゼーション3人衆
ノーマライゼーション3人衆は全て覚えましょう。
人物名 | キーワード |
---|---|
バンク・ミケルセン | ノーマライゼーションの父 |
ベンクト・二イリエ | ノーマライゼーション8つの原理 |
ヴォルフェンスベルガー | ソーシャルロールバロリゼーション |
そーしゃるろーるばろり・・・。むずかしい。
ソーシャルロールは「社会的役割」のこと。バロリゼーションは「バリュー(価値)を与える」ということ。つまり、障害のある人にも価値ある社会的役割を与えましょうという考え方だよ。
グループワーク5人衆
グループワーク5人衆は人物とキーワードを対比させて覚えましょう。
人物名 | キーワード |
---|---|
G.コイル | グループワークの母 |
G.コノプカ | グループワークの14原則 |
R.D.ヴィンタ― | 治療モデル |
W.シュワルツ | 相互作用モデル |
W.ニューステッタ― | インターグループワーク |
G.コノプカは、グループワークの14の原則を示し、収容施設入所者、非行少年、情緒障害児に対する治療教育的なグループワークを開拓しました。
子犬(コイル)のお母さん(グループワークの母)がワルツ(シュワルツ)を一緒に(相互作用モデル)踊ったら、ビンタ(ヴィンター)をくらって治療(治療モデル)したが、プッカリ(コノプカ)腫れて重症(14の原則)となったニュース(ニューステッター)がインターネット(インターググループワーク)でひろまった。
貧困理論9人衆
貧困理論はできれば以下の9人全員覚えたいです。
人物名 | キーワード |
---|---|
ブース | 貧困調査@ロンドン「貧困線」 |
ラウントリー | 貧困調査@ヨーク「絶対的貧困」 |
タウンゼント | 「相対的貧困」「相対的剥奪」 |
セン | 「潜在能力(ケイパビリティ)」の欠如が貧困 |
ルイス | 「貧困の文化」 |
ポーガム | 「社会的降格」 |
スピッカー | 「貧困の家族的類似」 |
リスター | 「貧困の車輪モデル」 |
ピケティ | 「21世紀の資本」著 |
社会的行為5人衆
社会的行為といえばウェーバーが提唱した4つの社会的行為です。
・価値合理的行為
・目的合理的行為
・伝統的行為
それ以外にもさまざまな人が社会的行為論を展開しています。
人物名 | キーワード |
---|---|
ウェーバー | 「感情的行為」「価値合理的行為」「目的合理的行為」「伝統的行為」 |
ハバーマス | 「戦略的行為」「コミュニケーション的行為」 |
パーソンズ | 「主意主義的行為論」 |
ブルデュー | 「ハビトゥス論」 |
ゴッフマン | 「演劇論的行為(ドラマツルギー)」 |
動機付け理論7人衆
マズローを筆頭に、動機付け理論を唱えた7人の侍です。
1930年代にスキナーの「オペラント条件づけ」、その後1950年代に広く研究が行われ、マズローの「欲求階層説」、マクレガーの「X理論・Y理論」、ハーズバーグの「動機づけ・衛生理論」の3つを古典的理論として、マクレランドの「欲求理論」、ロックの「目標設定理論」、ブルームの「期待理論」などが発展してきました。
マズロー | マクレランド | ハーズバーグ | マグレガー | デシ |
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自己実現の欲求 | 達成欲求 | 動機づけ要因 | Y理論 | 内発的動機づけ |
自尊と承認の欲求 | 権力欲求 | X理論 | 外発的動機づけ | |
所属と愛の欲求 | 親和欲求 | 衛生要因 | ||
安全と安定の欲求 | 回避欲求 | |||
生理的欲求 | ー |
次の記事
次は、いよいよ最後の総仕上げです。
これまでの全記事で出てきた重要な単語の復習です。
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